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仲の悪い婚約者 2

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だけど手違いがひとつ起きた。
わたくしは月経不純だ。
そして、月のものが始まる前は、魔力が不安定になる。

わたくしは自分のアトリエで自作品の魔道具の確認をしていた。
そこにヴィアアルコンビが現れたでは無いの!
しかもそこで友達以上恋人未満みたいな乳操りあいを始めたでは無いの!
実際はただの主従トークだったのだと思う。
だけどわたくしはもうそうとしか思えなかった。

ハラハラニコニコニヤニヤキュンキュンピャンピャンしながらふたりの会話を見守っていたわたくしの魔力は、感情の昂りによって抑えきれずーー呼応した魔道具が発動してしまった。

それが、"出られない部屋"だ。
しかも、その場にわたくしもいたせいでわたくしまで部屋に収監されてしまった。手違いにも程がある。
唖然とするわたくしを置いて、ふたりは警戒しーーそして、呆然としたわたくしを怪しんだアルが話しかけてきた。

わたくしはハッとしてアルを見る。
白金の髪に緑の瞳。顔だけなら美少女で、儚く、繊細な雰囲気がある。ほっそりとしたイメージのアルは難しげに眉を寄せていた。彼はくせ毛で、前髪はクロスするような形で、耳元にかかる前髪は長く、襟足はさっぱりと短めだ。中性的な顔立ちをしたアルは、神官のような柔らかな雰囲気を纏いながらも優しさが微塵もない。ミジンコよりもない。

いつもは能天気だとか喧しいとか姦しいとか言われたのだっけ。わたくしは冷や汗を浮かべながら答えた。まずい。わたくしの魔術が成功しているなら。

「そ、そうかしら……?」

「おかしい。お前はこういう時いの一番にうるさくなるだろ。どうして壁に突進して狂乱しない?お前本当にフランか?」

「喧嘩売ってる?買うわよ?」

「お前が買えるほど安く売ってないんでな。生憎だが勘違いだ」

「何が勘違いなの!思い切りバカにしてるじゃない!」

「バカにしてない!本当のことだろ!」

「あなたにはわたくしの、可憐で麗しく優しい深窓の令嬢の姿が見えないの!目が悪いのではなくて!」

「残念だったな。俺は両方とも視力1.0だ!いかがわしい本ばっか読んでギリギリ0.5なお前とは違う!」

「お前ですって!?レディ・フランベルって呼びなさいよ!」

「本当のレディはそんなに声を荒らげないが?」

「あなたの方がよっぽどレディにふさわしい顔立ちをしてるって言いたいの!?」

「ああ!?」

そんな場合じゃないのに言い合いがヒートアップしそうになった時、仲介に入ったのはヴィヴィだ。流石、アルの手綱を握ってるだけある。キャンキャン吠えたてるアルをよしよしと宥める旦那。むっつり騎士×ツンデレ王子。めちゃくちゃ美味しいですわ……………

「このような時にどうしてそうじゃれあうのですか。それにしても、フラン。何か知ってるのは本当ですか?」

じゃれあってなんかいない。
わたくしはヴィヴィを見て、口ごもった。嘘をつくとバレた時が厄介だ。
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