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約束 そのに
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まさか前世の知識が蘇りました、なんて言えるわけがない。私は焦って当たり障りない理由を口にした。静寂が部屋を支配する。しん、とした空気の中しばらくしてアルがにっこり笑った。
ああ、とてもいい笑顔だわ………でもすごく怖いのはなぜかしら………いい笑顔過ぎて怖い。
「…………バカを言う口はこれかな?」
「痛い痛い、何するのー!」
「いきなり何を言い出すのかと思えば、リア。本当にどうしたの?何かあった?」
「ありゅ、その前に手をはなひて」
アルの手は未だに私の頬をつまんでいる。
伸びるからやめてほしい。アルの手首をつかむがそれでもアルは頬をむにむにするのをやめてくれない。
「やだ。離すとまたろくでもないこと言い出すでしょ」
ろっ……ろくでもないこと………!?
私は思わず手から力が抜けた。こんなに頑張って話してるのにろくでもいこと。少しひどくないかしら!?
「ありゅ、手をはなしれくらさい!」
「はは、何言ってるか分からないね」
「アル!」
怒ってアルを睨むとようやくアルは手を離してくれた。アルを見ると本能的に抱きつきたくなるのだけれど、それは我慢。初恋の衝動は強くて困るわ………。私は息を吐いて呼吸を整えながらアルをキッと睨んだ。
「アル、分かったわ。ではこうしましょう」
「何がわかったのか分からないんだけど……何?リア」
「半年!半年してもアルの気持ちが変わらないなら婚約は続行です!でも一ミリでも婚約破棄したくなったらその場で婚約破棄!これは絶対!いい?!」
勢いづいて言うと、私の勢いに押されたのかアルはやや腰を引き気味に笑った。
「ええ……?いや、そんなのなくても僕はこのまま」
「ダメよ、これは絶対なの。いいわね?」
「………リアが何考えてるのか知らないけど、婚約は破棄しないよ、絶対」
「その言葉、半年後にまた言ってくれたら私はアルと結婚するわ」
「リアこそ言ったね?いいね、今のは取り消せないよ」
私がそう言うと、急にアルの目がきらりとひかったような気がした。
相変わらずアルの目は綺麗だ。アルのその様子に今度は私が後ずさりそうになりながらも頷いた。
半年後………というのはゲームのEDにあたる。半年後の聖夜祭。星空を見ながら行うパーティなのだが、そこでヒロインと攻略対象が結ばれるのだ。
逆に言えばそれさえ乗り切れば私の死亡フラグは消滅するのです!
ああ、とてもいい笑顔だわ………でもすごく怖いのはなぜかしら………いい笑顔過ぎて怖い。
「…………バカを言う口はこれかな?」
「痛い痛い、何するのー!」
「いきなり何を言い出すのかと思えば、リア。本当にどうしたの?何かあった?」
「ありゅ、その前に手をはなひて」
アルの手は未だに私の頬をつまんでいる。
伸びるからやめてほしい。アルの手首をつかむがそれでもアルは頬をむにむにするのをやめてくれない。
「やだ。離すとまたろくでもないこと言い出すでしょ」
ろっ……ろくでもないこと………!?
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「はは、何言ってるか分からないね」
「アル!」
怒ってアルを睨むとようやくアルは手を離してくれた。アルを見ると本能的に抱きつきたくなるのだけれど、それは我慢。初恋の衝動は強くて困るわ………。私は息を吐いて呼吸を整えながらアルをキッと睨んだ。
「アル、分かったわ。ではこうしましょう」
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「半年!半年してもアルの気持ちが変わらないなら婚約は続行です!でも一ミリでも婚約破棄したくなったらその場で婚約破棄!これは絶対!いい?!」
勢いづいて言うと、私の勢いに押されたのかアルはやや腰を引き気味に笑った。
「ええ……?いや、そんなのなくても僕はこのまま」
「ダメよ、これは絶対なの。いいわね?」
「………リアが何考えてるのか知らないけど、婚約は破棄しないよ、絶対」
「その言葉、半年後にまた言ってくれたら私はアルと結婚するわ」
「リアこそ言ったね?いいね、今のは取り消せないよ」
私がそう言うと、急にアルの目がきらりとひかったような気がした。
相変わらずアルの目は綺麗だ。アルのその様子に今度は私が後ずさりそうになりながらも頷いた。
半年後………というのはゲームのEDにあたる。半年後の聖夜祭。星空を見ながら行うパーティなのだが、そこでヒロインと攻略対象が結ばれるのだ。
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