婚約破棄までの大切なプロセス

ごろごろみかん。

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ごじゅう

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男についていくと、店の奥に扉があった。男はその扉をあけてその奥に消えていく。私もおってその扉をくぐると、そこは細長い廊下となっていた。所々にあかりが置かれているだけなので、全体的に暗い。突き当たりがどうなってるかもよく分からない。
数分ほど歩いただろうか。男は突然足を止め、いきなりぐんっと私の方を振り向いた。何の前置きをなく振り向かれたものだから驚く。思わず後ずさりそうになって、既で堪えた。

「………………」

なんだと言うのか。男は黙って私を見ていたが、ややあってから小さく告げた。

「こちらにございます」

「え………」

よく見れば、右手に扉があった。どうやらここがメゾネリアの入口らしい。男はそれだけ言うと、狭い廊下なのに私の横を通って来た道を戻っていってしまった。もう案内は終了ということなのだろう。男が消えていくのを見ながら、私は息を飲む。前を向くと、相も変わらずどこまで伸びているか分からない廊下が。
この先を進む必要は無いが、好奇心を刺激されて気になってしまう。だけど余計な冒険は現状だと不要。それは私にとってマイナスになる可能性だってある。
ひとつ息を吐いて、私は右手の扉を見た。細かい意匠が掘られた鉄製のノブ。それを回して、私は中へと踏み入った。
空気が変わった。廊下の静かな空気ではなく、濡れた、洞窟のような空気。ひやりとした空気が肌を刺した。

「ここは………」

ここがメゾネリア………?
でも暗くてよく見えない………。
そう思っていると、突然、部屋が明るくなった。

「っ……!!」

突然の眩しさに目を細める。これは魔法………?
突然明るくなったせいで目が慣れない。目を細めながら見つめていると、どこからかコツ、コツという足音が響いた。

「ようこそ、非合法集団メゾネリアへ」

顔を上げるとそこには黒のフロックコートをきた男がいた。フードを被ってるせいで顔は分からない。長身の男は首を傾げると、また一歩進み出た。

「お嬢さん、いいとこの人?一人でよくこんなところまで来たねえ」

「………あなたが殺し屋さん?」

「え?僕?うーん、まあそんなところかな。最も、僕が契約したことってないんだけど」

男は体に見合わず少年のような声を出した。
私はじっと注意深く彼を見ながら言葉を続けた。
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