婚約破棄までの大切なプロセス

ごろごろみかん。

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さんじゅうよん

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「そうです。今回派遣されるのはエクトーーー階級は6ですね。結構強いはずですから、ご心配なさらず!」

「6!?」

「はい、委員会としても今件で死人を出すのは望んでいません。なのでできる限り強い者を選抜し、送り込むことにしました」

聖騎士と会ったこともなかったのに、まさか一桁に会うことになるとは………。思ってもみない展開にやはり困惑が隠せない。

「本来であれば委員会は保留期間、自国に帰還するのが常なのですが」

「ええ」

「今回は状況が状況なので、私が1ヶ月見守らさせていただきます」

「あなたも王城に滞在するということ?」

「まあそうなりますね」

「………分かったわ」

この一ヶ月がどう動くかなんて正直分からない。だけど私は絶対に死なないで、この婚約を破棄させてみせる。前回の二の舞にはならない。今回、私は毒殺されないようにあらゆる毒に対しての知識を得たし振る舞いにだって気をつけた。安全第一。命がいちばん大事。さすがに毒の耐性を得るのは難しかったけれど、以前に比べれば毒の知識量はかなり増えている。

「お話中失礼致します、シャルロット様………」

そこでおずおずと先程の黒髪の女性ーーー侍女が話しかけてきた。目配せすると、彼女はリーリアに気遣いながらも口を開く。

「リズ・シアがいらっしゃっています」

リズ、とは苗字がないものに対しての敬称。通常、苗字がないというのはすなわち貧困層の表れということになる。だけど例外として苗字がないものに対して敬意を示す場合のみ、リズという言葉が使われる。シアは苗字がないが、彼女は異世界からの来訪者。国から保護されているという時点で特異な存在。時空を超えるという神業めいたことを行った彼女は神聖視されつつあり、それで敬称をつけられているのだと思う。

「……今日はたくさんお客様がいらっしゃるわね」

「お通ししますか?」

いや、まだリーリアがいるのだけど。ちらりとリーリアを見ると、彼女は既に帰り支度をしていた。持ってきたカバンの金具をしっかりと留め、立ち上がる。

「私の話は以上です。来客のようですし、私はこれで」

「しばらくは王城に泊まるということだったわね?」

「はい、なのでご安心ください。何か不安点、疑問点、懸念点がありましたら2階東フロアの客間までいらっしゃってください」

試験か。試験監督みたいな言い方するのね………。いや、1ヶ月この婚約を見守るというのは確かに監督らしくはあるのだけど。
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