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じゅうご
しおりを挟むリーリアが退室し、急遽私たちの話し合いの場が設けられた。
「それで…………きみが僕に聞きたいことは?」
いやまずそれが一言目なのかよ。もっとほかに言うことあるでしょう…!そう思ったが、笑みはキープしておく。なぜか婚約破棄が保留になったものの、私は諦めない。この婚約、絶対破棄させてみせるんだから……!
「殿下は、シアさんとの関係を認めませんでしたわね………」
「………うん。そうだよ、シャロ、僕は」
いや初めてよんだわね。
今までシャーロット呼びだったのにいきなりシャロ呼び。これは減点要素ね。
殿下の発言を遮るわけにもいかず彼を見ていれば、殿下が口を開いた。そして、どこか気まずそうに告げた。
「………僕は誰も好きじゃないんだ」
………なんですって???
いや、100歩譲って殿下が私を好きではないのは理解した。そもそもそうだろうな、と思っていたし。だってこの方、全く私に興味無さそうだったもの。一回目も二回目も私は殿下のことが好きで、殿下と距離を詰めようとしたけれど。殿下は全く変わらなかったものね………!婚約者なのにキスすらしたことないってどうなのよ。
いや今はそれが重要なのではない。問題なのは………
普通それ婚約者に言う……!?
というところだ、そう。これが一番大切。いやだってこれ私どういう反応すればいいの。『そうですわね、わたくしもあなたのこと好きではありませんわ』が正解?いやそんな喧嘩売るようなまね出来ないわ。私が考えていると、殿下がため息混じりに顔を上げた。そしてわたしと視線が絡み合う。
「……すまない。シャロが悪いわけじゃないんだ」
私は悲しみを顔にうかべたままにしておく。正直疑問符が脳内乱舞しているけれど、とりあえず殿下の見解も聞いてみようじゃない。
「僕は人として致命的な欠陥があるのだと思う。恋愛感情というものが分からないんだ」
へ~~~~?その割にはシアと仲が良かったようだけど。もしかして無自覚?殿下は気づいていないのかしら。ご自分の気持ちに。
私は表面上寂しげな顔をうかべたまま無言を貫く。いや、何を言えって言うのよ。
「………だから、正直きみを好きかと言われたら、わからない」
「………はい」
「でもきみは僕の婚約者だ。努力はして………きみのことを、好きに、なりたい、と、思う」
妙に歯切れが悪いなと思って顔を上げると。そこには白皙の頬を薄らと赤らめて話す殿下がいた。え、今赤くなる要素なんてあった……?
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