53 / 91
1章
村
しおりを挟む
馬で走ること数時間、日が少しずつ落ち始めてきた。
この世界に来てから、神様が頑丈に創ってくれた身体のおかげか、LVが上がってステータスが上がってるからか、疲れることも少ないし、運動神経も良くなった。
けれどずっと馬に乗っていたので、さすがに少し疲れて来た。
乗っている私でさえそうなのだから、走っている馬はもっと疲れているだろう。
大丈夫?
返事はない。
ただの馬のようだ。
「今何時?」
「午後の三時を過ぎたところだな」
クリスに確認する。
私も時計は持っているのだけれど、基本的には使わない。
部屋にある壁掛け時計でちょくちょく時間を確認するだけだ。
懐中時計も腕時計もあるのだが、懐中時計は出すのが面倒だし、腕時計は手首が圧迫されるのが嫌いで、前世から使わない。
前世だとスマホで確認していたのだけれど、この世界にはそんなものはない。
午後三時か。
アフタヌーンティーの時間だね。
そろそろ休憩する?
今日はもう野営で良いんじゃない?
「ふむ、もう少し耐えてもらえぬか?」
「別にいいけど……」
どうして?
あと一時間くらいなら体力は持ちそうだけど、馬の方がヤバいんじゃない?
朝からずっと駆け通しだ。
お昼に休憩は取ったけれど、ゲームと違って小休憩を取ったからって全回復はしないよね?
疲労してもHPは減らないみたいだし、疲労はステータスじゃ確認出来ないのだ。
「見えてきたぞ?」
見える?
なにが?
私には見えないよ。
クリスって視力良いよね。
眼球ないのに。
城から冒険者たちを観察する時も、私は双眼鏡借りてたけど、クリスは裸眼? で普通に見えてたし。
視力もステータスには載ってないから、LVが上がれば見えるようになるってもんじゃないでしょ?
え? 上がるの?
LV上がると動体視力を中心に視力も上がるんだ?
まあ、冒険者たちの戦いを思い出すと、あんな化け物みたいな戦い方してて、動体視力が低いわけないもんね。
動きとか滅茶苦茶速かったし。
骨の巨人のあり得ない速度の剣とか、結構避けれてたしね。
遠視力は上がりづらい?
けど上がるんだね。
まあ、クリスの視力が良いのは、LVやステータスのせいだけじゃないんだろうけどね。
アンデッドは暗闇だって見えるわけだし、そもそもが人間よりも高性能な目を持っているのだろう。
眼球ないけど。
で、何が見えたの?
あ、私にも見えた。
あれは……村だ!
ぽつぽつと、民家らしきものが見えてきた。
家はまばらに建っていて、その周囲を獣避けの柵みたいなので囲んである。
それほど大きな村ではなさそうだけど、百人や二百人は普通に住んでそう。
あそこに行くの?
異世界に来て三か月、ついに私は人里に入るの?
そう思わせといて、実はアンデッドの巣窟だった、なんてことはない?
一夜の宿?
目的地じゃないんだね。
中継地点ってことか。
けど、こっちに来てから人間との交流とか、初めてだよ?
そう言うとなんか、私がコミュ障みたいだけどさ。
私、日本じゃ結構コミュ力高い方だったからね?
友達多かったし。
休日は家で過ごしたいタイプだったけどね。
インドアなのとコミュ障なのはノットイコールなのだ。
一夜の宿とはいえ、人と交流が持てるっていうのはなんか嬉しいよね。
城にいてもクリス以外喋らないし。
最近麻痺して来たけど、骸骨って怖いし。
でも、クリスは入って平気なの?
幻影魔法使ってるとはいえ、アンデッドだってばれたりしない?
都市部以外にはモンスター避けの結界はない?
え? 都市部には結界があるの?
まあ、城には間逆の結界が張ってあるんだから、人間もモンスター避けくらいは出来るのか。
それって、クリスも入れないの?
クリスなら入れるの?
なんかザルな警備だね。
ただ、門から入ると魔物鑑定用の魔道具とかがあるからバレるんだ?
高位の魔法使いだと、幻影魔法も見破られる?
ふーん……。
あの村にたまたま高位の魔法使いがいたりしないよね?
見破れるのは、王族に仕える魔法使いや、高位の冒険者とか、神官ぐらい?
そういう人は、こんな辺鄙なところにある田舎の村には来ない?
うーん、まあ、そっか。
けどお城にいたクリスも大概だよね?
あんな場所に高位の魔法使いがいるなんて予想もつかないでしょ?
クリスはモンスターだから例外なのかもしんないけど、どんなイレギュラーがあるか気を引き締めておかないと、変なフラグが立っちゃうから気をつけようね。
この世界に来てから、神様が頑丈に創ってくれた身体のおかげか、LVが上がってステータスが上がってるからか、疲れることも少ないし、運動神経も良くなった。
けれどずっと馬に乗っていたので、さすがに少し疲れて来た。
乗っている私でさえそうなのだから、走っている馬はもっと疲れているだろう。
大丈夫?
返事はない。
ただの馬のようだ。
「今何時?」
「午後の三時を過ぎたところだな」
クリスに確認する。
私も時計は持っているのだけれど、基本的には使わない。
部屋にある壁掛け時計でちょくちょく時間を確認するだけだ。
懐中時計も腕時計もあるのだが、懐中時計は出すのが面倒だし、腕時計は手首が圧迫されるのが嫌いで、前世から使わない。
前世だとスマホで確認していたのだけれど、この世界にはそんなものはない。
午後三時か。
アフタヌーンティーの時間だね。
そろそろ休憩する?
今日はもう野営で良いんじゃない?
「ふむ、もう少し耐えてもらえぬか?」
「別にいいけど……」
どうして?
あと一時間くらいなら体力は持ちそうだけど、馬の方がヤバいんじゃない?
朝からずっと駆け通しだ。
お昼に休憩は取ったけれど、ゲームと違って小休憩を取ったからって全回復はしないよね?
疲労してもHPは減らないみたいだし、疲労はステータスじゃ確認出来ないのだ。
「見えてきたぞ?」
見える?
なにが?
私には見えないよ。
クリスって視力良いよね。
眼球ないのに。
城から冒険者たちを観察する時も、私は双眼鏡借りてたけど、クリスは裸眼? で普通に見えてたし。
視力もステータスには載ってないから、LVが上がれば見えるようになるってもんじゃないでしょ?
え? 上がるの?
LV上がると動体視力を中心に視力も上がるんだ?
まあ、冒険者たちの戦いを思い出すと、あんな化け物みたいな戦い方してて、動体視力が低いわけないもんね。
動きとか滅茶苦茶速かったし。
骨の巨人のあり得ない速度の剣とか、結構避けれてたしね。
遠視力は上がりづらい?
けど上がるんだね。
まあ、クリスの視力が良いのは、LVやステータスのせいだけじゃないんだろうけどね。
アンデッドは暗闇だって見えるわけだし、そもそもが人間よりも高性能な目を持っているのだろう。
眼球ないけど。
で、何が見えたの?
あ、私にも見えた。
あれは……村だ!
ぽつぽつと、民家らしきものが見えてきた。
家はまばらに建っていて、その周囲を獣避けの柵みたいなので囲んである。
それほど大きな村ではなさそうだけど、百人や二百人は普通に住んでそう。
あそこに行くの?
異世界に来て三か月、ついに私は人里に入るの?
そう思わせといて、実はアンデッドの巣窟だった、なんてことはない?
一夜の宿?
目的地じゃないんだね。
中継地点ってことか。
けど、こっちに来てから人間との交流とか、初めてだよ?
そう言うとなんか、私がコミュ障みたいだけどさ。
私、日本じゃ結構コミュ力高い方だったからね?
友達多かったし。
休日は家で過ごしたいタイプだったけどね。
インドアなのとコミュ障なのはノットイコールなのだ。
一夜の宿とはいえ、人と交流が持てるっていうのはなんか嬉しいよね。
城にいてもクリス以外喋らないし。
最近麻痺して来たけど、骸骨って怖いし。
でも、クリスは入って平気なの?
幻影魔法使ってるとはいえ、アンデッドだってばれたりしない?
都市部以外にはモンスター避けの結界はない?
え? 都市部には結界があるの?
まあ、城には間逆の結界が張ってあるんだから、人間もモンスター避けくらいは出来るのか。
それって、クリスも入れないの?
クリスなら入れるの?
なんかザルな警備だね。
ただ、門から入ると魔物鑑定用の魔道具とかがあるからバレるんだ?
高位の魔法使いだと、幻影魔法も見破られる?
ふーん……。
あの村にたまたま高位の魔法使いがいたりしないよね?
見破れるのは、王族に仕える魔法使いや、高位の冒険者とか、神官ぐらい?
そういう人は、こんな辺鄙なところにある田舎の村には来ない?
うーん、まあ、そっか。
けどお城にいたクリスも大概だよね?
あんな場所に高位の魔法使いがいるなんて予想もつかないでしょ?
クリスはモンスターだから例外なのかもしんないけど、どんなイレギュラーがあるか気を引き締めておかないと、変なフラグが立っちゃうから気をつけようね。
0
お気に入りに追加
112
あなたにおすすめの小説
美味しい料理で村を再建!アリシャ宿屋はじめます
今野綾
ファンタジー
住んでいた村が襲われ家族も住む場所も失ったアリシャ。助けてくれた村に住むことに決めた。
アリシャはいつの間にか宿っていた力に次第に気づいて……
表紙 チルヲさん
出てくる料理は架空のものです
造語もあります11/9
参考にしている本
中世ヨーロッパの農村の生活
中世ヨーロッパを生きる
中世ヨーロッパの都市の生活
中世ヨーロッパの暮らし
中世ヨーロッパのレシピ
wikipediaなど
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
余命半年のはずが?異世界生活始めます
ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明…
不運が重なり、途方に暮れていると…
確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる