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1章

お米

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《LVが上がったよ!》


 この世界に来て二か月と少し、私のLVは4になった。

 3になったのは一か月ほど前なので、ペースとしてはかなり落ちていることになる。

 テイムしたモンスターの数も増えて、ダンジョンの三階層まで探索が進んでいるので、取得経験値自体は多くなっているはずなのだけれど、LVが上がったので必要経験値もガンガン増えているのだろう。

 この調子だと次のLVアップまで何か月掛かるのだろう。
 まあ、戦わないでLVが上がってるんだから、文句は言わないでおこう。

 ステータスは……。



『ユキナ 人族LV4

 HP280/280(+10)
 MP280/280(+10)

 STR:115(+5)
 VIT:115(+5)
 MAG:115(+5)
 RES:115(+5)
 AGI:115(+5)
 DEX:115(+5)

 スキル
【テイム☆】
【魔力操作LV1】』



 うん、相変わらず。
 LVアップの上昇幅は全く変わらない。

 LVが上がって能力が高くなった実感もあまりなかった。

 でも、最初と比べると、少し力が上がったかな、って感じはする。
 どっちかっていうと、スキルを覚えた事の方が変化は分かり易かった。

 日本にいた時には存在しなかった、魔力なんて力を操れるのだから当然だろう。
 実感は少なくとも、スケルトンたちの様子を見ていれば数値が嘘を付いていないのは分かるので、LVアップは普通に嬉しいことだ。


 それはともかくとして、私は今、畑にいる。

 前にLVアップした時も畑にいたような気がしたけれど、この場所はなんだか縁起がいい。

 畑で何をしているのかと言えば、クリスと並んで収穫の様子を眺めていた。

 スケルトンたちが収穫し、脱穀しているのはお米だ。

 ここには水田がないのだけれど、お米というのは畑でも育てられるらしい。
 水田の方が効率が良いだけで。

 もしかしたら、成長促成ライトの謎パワーによる力で育っているだけかもしれないけども。


 スケルトンたちは腰を屈め、鎌を使って稲を収穫していく。
 さすがにクリスでも稲収穫用のトラクターは作れなかったみたいだ。

 やろうと思えば作れるかもしれないけど、忙しいから作っている時間はなかったのだろう。

 スケルトンたちは疲れないというけれど、腰が痛くなったりはしないのだろうか。

 収穫した稲は、千歯扱きそっくりの農具に掛けられて、脱穀されていく。
 なんかトラクターも脱穀機もなかった時代の農業を体験してるみたい。

 やってはいないんだけどね。

 脱穀された玄米は、精米機に掛けられて白米になっていく。
 精米機は作ったんだね。

 精米機が作れるなら、トラクターも脱穀機も作れるんじゃないかな。


 この辺りでは、お米も麦も普通に食べられる。

 けど、人気がないのかお米は出回る量が圧倒的に少ないらしい。

 だから私も麦を主食とした食生活をしていたわけだけれど、これでやっと心おきなくお米が食べられる。

 取れたてのお米だし、やっぱり最初は塩結びかな。

 これって何キロぐらい取れるの?
 六十キロ?
 意外と少ないんだね。

 畑は結構おっきく見えるけど、これだけやっても六十キロしかお米が取れないんだもん。
 農家さんって大変だよね。

 お米って一人どのくらい食べるんだろう?

 月に十キロだとしても半年しか持たないんだね。
 これだけ作って一人分にならないって大変だ。

 まあ、ここの畑は季節無視して作れるから、年間に何回か収穫出来るんだけど。

 でも、二か月に一回、フルに収穫出来るのだとしても、年間三百六十キロだ。
 月十キロだとしても三人分くらいしか賄えない計算になる。

 もふもふなんてまだ先の話だ。
 鶏ぐらいなら、何匹か飼えるのかな?

 鶏がどのくらいの飼料を食べるのか知らないけど。


 精米されたお米を持って、早速私はキッチンに向かった。

 普段私に料理を作ってくれているスケルトンたちにお米を渡し、炊いて貰う。

 炊飯器がないので鍋で炊く。
 研いだ米を入れた鍋を、ガスコンロのような魔道具に掛ける。

 なんか中途半端に近代的な設備だよね、ここ。
 ここになくても、私が言えば大抵の家電はクリスが再現しちゃうんだけど。

 ずっと鍋を見てても暇だから、炊けたら呼んでもらうことにしよう。


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