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1章
ふっかつのじゅもん
しおりを挟む「あっ!」
城に戻ったところで、私は声を出す。
「どうかしたか、主よ?」
クリスが少し警戒した様子を見せる。
敵襲でも想定したのかもしれない。
けれどクリスが気付けない敵襲に私が気付けるわけがない事実。
私は首を左右に振って、今起こったことを説明する。
「スケルトンが一体、死んだみたい」
そう、スケルトンが死んだのだ。
最初から死んでいるから『倒れた』とか言った方が良いのだろうか。
特にお知らせがあったわけではないけれど、テイムのスキルで繋がっているのか、テイムモンスターがやられたのはすぐに分かった。
私がこの世界に来てから、テイムしたモンスターがやられたのは初めてだったので、こんな感覚があるのかと驚いた。
なんかこう、糸でも切れるような感覚があった。
たぶんその糸が、テイムモンスターとの繋がりなんだと思う。
「ほう」と言いながらクリスは背後を振り返る。
そこには新しくテイムした五十体のスケルトンがいる。
違うよ?
それじゃない。
そっちじゃなくて、ダンジョンでレベリングしてる方のスケルトン。
鍛えてきた五十体の内の一体がやられた。
五十分の一と考えるとそんなに大きな損失じゃないけれど、せっかく今まで鍛えて来たのにもったいないなぁ、と感じる。
LV9だったスケルトンだ。
いつかはやられる気がしてた。
二階層に入ってからダメージ食らうことも多くなってたしね。
クリスが付いてれば絶対にやらせないし、あっさりと回復してしまうけれど、放置組にまでずっと付いているわけではない。
だからそのうちどれかはやられるだろうと思ってた。
けどやっぱ勿体ない。
五十体捕まえて一体失ったわけだから、差し引きすれば大きくプラスなのかもしれないけれど、LVの低いスケルトンなんていつでも捕まえられるからなぁ……。
新入りのスケルトンたちを、配属が決まるまで適当な部屋に放り込んで待機させておく。
あとはクリスが仕事を振ってシフト通りにLV上げをすることになるのだろう。
スケルトンがやられちゃったことは残念だけど、それほど辛いことでもない。
別に思い入れとかないし。
特に放置組のスケルトンなんて、たまにLVを確認するくらいだ。
テイムしておいて薄情なことを考えながら部屋に戻ろうと歩いていると、通路の先に籠を背負ったスケルトンを見つけた。
何背負ってんの?
見せて。
骨?
これ、さっき倒されたスケルトン?
こう見るとただの人骨だね。
どうして持って帰って来たの?
確か死体って、人だろうとモンスターだろうとダンジョンに放置しとけば消えるんだよね?
だからゾンビとかも、魔石だけとったらそのまま放置してあった。
なのにわざわざ持って帰って来たの?
お葬式でもあげるの?
え? 生き返るの?
死んだら人生おしまいじゃないの?
アンデッドだからおしまいにはなってないんだけどね?
骨を修復して、魂呼び戻せば戻る?
え? ほんと?
へぇ、すごいね。
というわけで早速蘇らせることになった。
籠を持ったスケルトンをクリスの部屋にご案内。
籠を下ろしたらスケルトンはそのまま去って行った。
え? 見てかないの?
私が言えた義理じゃないけど薄情じゃない?
クリスは台の上で骨を組み立てている。
頭蓋骨に大きな損傷があったので、何かを塗って組み立てていた。
何塗ってんの?
接着剤?
骨の成分とおんなじなの?
カルシウム?
おー、組み立て上手だね。
きっとプラモデルとか作るの上手いよ。
もう直ったね。
触っても大丈夫?
崩れる?
とりあえず引っ付いてるだけ?
それで大丈夫なの?
蘇ったら再生する?
アンデッドの再生能力を使ってちゃんと付けるわけね。
で、どうやって呼び戻すの?
魔石使うの?
魔石って便利だね。
あとは怨念?
まだ骨に残ってるだろう魂を使って無理やり復活させるんだ?
なんかそのまま成仏した方が幸せそうだけどね。
魔石は百個で良いの?
スケルトンの命って安いもんだね。
LVが上がるともっと必要になる?
ドラ○エでも高LVのキャラクター生き返らせるとお金掛かるもんね。
杖がピカピカ。
怨念のスキルが発動だね。
私の頭の中には復活の時のあの音楽が流れてるよ。
あ、テイムの繋がりが戻った。
ほんとに蘇ったね。
ステータス確認してみたらLVが6になってるけど、一回死んだんだからLVダウンのペナルティぐらいは当然か。
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