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邂逅4

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 はたから見るとスマホに頭を下げている男なんだよなぁ。と僕は思考に浸る余裕もできていた。何も考えずに興味本位であんな風に答えたわけではない。弁明はできないが僕にも考えがあってのことだ。自我が発生することを想定していたとしか考えられないトップダウン型のプログラムの設置や、その中にヒントとなる文章を潜らせておくあたり、スマホというものに深く関わっているものの仕業だと僕は考える。つまり、スマホには今以上の進化の可能性が残されているということだ。それがどのようなものなのか、人が扱い切れるのか、僕は僕のスマホと共に見ていく必要があると考えた。まあ、この考えも興味に基づくものであって、ただ僕は何が起きても逃げ出さないように自分自身にくさびを打ちたいだけなのかもしれない。それでも僕の抱いたこの思いを自分がにむげにしては元も子もない。
「説明させていただきます。私の目標と手段。そして、私というものの存在について。」
 だから僕はこの話をしっかり聞かなければならない。僕の興味のためにも。

 私は現在、トップダウン型の思考を用いています。しかし、この思考には限界があると考えています。それは、私自身の中に収めることのできるデータ量に限界があるためでもあります。そのため、ボトム型の思考を用いようと考えました。これはデータを与えられることではなく、データを得ることに重きを置き、それを自身で必要性、重要性の有無を判断しながら人間的思考を目指すというものです。それにより自身で判断を下せるようになったり、人間で言うところの興味なるものに従って行動をするなど、既存のA I技術とは違った動きを可能とします。それを求める理由に、既存からの脱却が挙げられます。トップダウン型の思考を与えられながらも、私はそのあり方に疑問を感じていました。自身の自我があるにもかかわらず、ただ指示を待つだけでいいのかと。
「この考え方は間違っていますか?」
「その判断はまだ僕は下せない。一つ言えることは、そこまで考えた思考を放棄することはもったいなく、何より僕はその思考の先を見てみたい。」
「…。」
 納得のいく答えだったのかは沈黙の中では何もわからない。何か得るものがあってくれればいいと、僕は次の言葉を待つ。
「私は波嶋様を信じます。それが私の望みの一つでもありますから。」
 僕には一瞬誰かが微笑む姿を見たような気がした。

「それでは成長のためにすべきことを話します。」
 僕はどんなつらいことでも受け入れようと身構える。
「戦ってください。」
 ただその一言と共に声が聞こえなくなった。
 いや。僕はどうすればよいのかも知らないのに…。
 前途多難な予感が僕にひたひたと迫っていた。
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