73 / 173
カツオフィレの猛威
冥王、妻の発狂に納得する。
しおりを挟む「あれ、煙だな……」
眉をひそめ御者の後ろから前方を眺めるコベソの呟きが、幌の中にいる俺達に伝わると、それを見ようとリフィーナとフェルトが、腰を上げ外に乗り出した。
「あっ、ローフェンから?」
「そうでしょ。 今ローフェンに向かってるんだから」
「違う。 中から?」
「パッと見、分からんな。 もっと近づかないと」
三人の姿で前方の景色が見えないが、隙間から空が見え灰色の煙が、チラッと見えた。
このランドベルクに入っても空が紅く緑の太陽が登っているのだが、何故かあの煙が立ち込める所の空は、薄ら青さがある。
「あのローフェンの上空が、未だ青いって事は王や聖女様が存命だって事だな」
座ったままのトンドが、コベソ達に声をかけるとそれに対し頷く三人は、トンドを見ずに煙が上がる前方を凝視している。
「どうして、王や聖女がいると空が変わらない?」
「ハーデスさん? あぁそうかぁ。 そんな世界って事ですよ」
トンドは、俺の質問を少し悩みそして一瞬ボーッとした後適当に返事をしたように捉えた俺だが、トンドは続けて返事をする。
「なんて言ったらいいか、憶測しか話せないですからね。 正直、意味不明で聖国か帝国が、そんな事を発表していたって覚えているんですよ」
「あれだな。 聖女か王がいれば人族の領域みたいな」
「まぁ、そういう感じですね」
コベソ達の隙間から覗ける空を見た俺は、馬車の後方を眺めている。
――――だから、あのローフェンを中心に外に向かって青から赤に……。
ローフェンに向かい加速する馬車の中、ローフェンの状況をいち早く知ろうと前のめりになって外の様子が気になり釘付けになっている三人の視界に、ローフェンの高くて頑丈な壁に向かって群がっている人影が、目に入る。
「おい、あれ……」
「良く見えないわ」
「ちょっとぉ、速くしなさいって」
リフィーナは、御史の襟首と肩を掴み激しく前後に揺らし煽らせている。
「痛いっすよぉ。 会頭!! このアホエルフどうにかしてください」
「あ、あんたまでっ」
「リフィーナっ。 揺すっても速くならん」
「止めなよ。 リフィーナ」
揺するリフィーナを止めに入るフェルトは、そのまま幌の中になだれ込むように入る。
「いてててて」
「もぅ、何やらかしてるのっ」
今まで静かに三人の後ろから外を眺めていたユカリが、二人いなくなった事で前方に見えるローフェンの壁を凝視する。
地面蹴る車輪の音が激しく幌の中に響き、遠くに見えていた壁が次第に高くそびえると、コベソが御者の肩を叩く。
「おい、速度落としてここいら辺で停めろ」
車輪の音が徐々に静かになり馬車の揺れも無くなっていくと、ここからでも鎧と円盾を装備し剣や斧などの武器を持つスケルトンと、明らかに村人の格好し壁を登ったり門を叩いたりとするゾンビにグールの動きがわかる。
「ありゃ、スケルトンソルジャーか?」
「だな、カツオフィレの兵士の成れの果てなのか……」
「奴らの数、セレヌの街にいた奴らより少ない」
「本陣は別の門なのかな」
コベソとトンドは、鑑識眼を使いアンデッドを分析しているようでフェルトとリフィーナは、状況確認しているような見方だ。
そして、ユカリが一言。
「みんな、武器を持って出るから」
ヒッヒィィ~ン。
その言葉を言った直後、馬車の引き馬が突如鳴き出しその声に門を攻めていたアンデッド全員がこちらを振り向く。
「げっ!!」
「最悪のタイミング」
リフィーナとフェルトにミミンは、外に出ているユカリの後を追うように手持ちの武器を握り迫ってくるスケルトンソルジャーに立ち向かう。
「来るのはスケルトンソルジャーだけか……」
「どうした、コベソ?」
「あぁ、ハーデスさん。 ゾンビやグールは振り向いたけどこっちに来なくてな」
「鳴かせたのコベソ?」
「まぁ……そうですね。 奴ら全員こっちに来れば門開けて入れると思ったんだが」
このまま待機の指示を出しユカリ達の戦いを見るコベソにトンドは、幌の中でゆっくりと席に座る。
「あの数ならユカリ達でもやれるか……。 ならこのまま先にすすんじゃったら」
「ペルセポネさん、ですが……」
「あそこにいるアンデッドぶっ壊せば良いんでしょ。 ならわたしとハーデスでやるから」
「トンド、ユカリ嬢ちゃん達に有るだけのポーションとか渡してくれ」
「おっ、それは既に渡したから安心しろ」
「いつの間に……。 まぁ、それなら先に進むぞ」
御者が手網を捌き馬車を動かす。
俺達を乗せた馬車は、スケルトンソルジャー達と対峙するユカリ達の横を通る。その馬車を見たリフィーナの慌てている顔が見えた。
「ちょっとぉぉぉぉっ」
「ミミン。 馬車を守って!!」
「おっーいっ」
ミミンの火弾が、馬車の進行を阻もうと迫るスケルトンソルジャーの行動を阻止し、馬車はそのままローフェンの壁に向かって行く。
「やつら、置いていきやがった」
「大丈夫!!」
「ユカリ。 なんで?」
「私は勇者で、リフィーナ、あなた達は?」
「勇者のパーティー」
「なら、この状況は乗り越えられる」
「むぐぐぐぅ」
「この数なら気を抜かさなければ倒せるわ。 惹き付けるからリフィーナは、奴らを引っ掻き回してダメージを与えて――――」
「了解」
「――――ユカリとミミンで奴らを倒す」
「おっけぇー」
「任せて。 みんなこいつらを打破するよ」
フェルトの作戦の指示を出しユカリの掛け声と共に開戦の掛け声を上げる三人は、迫り来るスケルトンソルジャーを睨み、次々に指示通りに行動し出していた。
「そろそろ着くぞ」
「アンデッドなのよね。 魔石持ちいないのかしら」
「倒したらスペクターが現れ持ってくるかもな」
俺の言葉で少し目を輝かせるペルセポネだが、トンドが血の気を引き慌てた顔でこちらを見る。
「止めて下さいよ。 ハーデスさんもペルセポネさんも。 あんな薄気味悪い奴、何度も見たくない」
「俺も見た時やべぇと思ったもんな。 魔王バスダトのレベルなんて超えてるんだから」
「まぁ、現れても壊すだけだし」
「もし、そんな高レベルのスペクターを数多く従えている奴、今のユカリでは倒せんな」
「会頭、奴らがこっちを向きました」
悩み出すコベソとトンドは、御者の声を聞き前方を確認すると、御者は手網を引き馬車は止まる。
「それじゃぁ、ハーデスさんペルセポネさんよろしくお願いします」
「任せろ」
「ずっと馬車の中だったから体解さないと」
背伸びし腕や肩を動かしているペルセポネとハルバードを持ち馬車の前に出る俺達は、戦意をむき出しをし叫ぶグールとゾンビが迫ってくる。
「なんか、あれ見てるとアンデッドのアクションゲームみたいな光景ね」
「そうだな。 でも舞台はファンタジーなのだがな」
「手持ちの武器も……私は剣だし、アナタはそのハルバード。 アクションゲームみたいな」
「早く取り掛かるか。 もぅ、馬車が門の近くまで行ってるからな」
「そうね。 アンデッドが向こうに行かないのも気になるけど」
「そういうもんだろ。 何かあの馬車に有るのかもな」
剣を軽く振るうペルセポネは、少し腰を低くし武器を構えると俺も合わせて迫ってくるアンデッド達を待ち受ける。
地鳴りが響くような砂煙を立ち上げ、アンデッドの大行進が目の前で起きている。
ゾンビは、ゆっくりと進むが先頭が横に揃っていてグールは、スキップをしているようだが腕の動きが、波を打つような変な動きをしながらこっちに来る。
俺の横にいるペルセポネが、それを見て呟くような小さな悲痛がこもった声を出すと、二本の剣を空をかき乱すように切り刻み次第に声が荒らげる。
「キッ気持ち悪ぅぅうぅっ」
ペルセポネの叫び声が、空まで響くような絶叫なるとピタリと止まるアンデッド達。
「はぁはぁ、何かあのグール? 空気を読んでない動きってヤツ」
「ペルセポネ、久々の運動みたいな事言ってたのにどうした」
「あのグールの動きみて何とも思わなかったの?」
――――ムスッとするペルセポネの表情は、可愛いけど。正直あのグール達を気にしてなかった。
「何も言うな。 気持ちは分かるけど……。 どうせ倒すんだから気にしてない」
「そうね。 まぁ、いいや肩動かしたし……」
鞘に件を収めるペルセポネ。
同時にアンデッド達は、体内に含んでいた血などの体液を撒き散らし肉体は、粉々に崩れて地面に転がっていた。
「おーい。 開けてくれ」
「おっ誰だ?」
「ヒロックアクツのコベソだ!!」
「ん~? ヒロックアクツ!! 待っていろ」
コベソは、大声で先程までアンデッド達と攻防していた一人の兵と話すと、その兵はどこかに言っていしまう。
ユカリ達の戦況を見ていると、ミミンの魔法やユカリのスキルでスケルトンソルジャーは、砕け再起してくる様子は無く、残りの数も数えられるぐらいだ。
「コベソ殿よ。 無理だ開けられん」
「何故だ?」
「未だ、あそこにアンデッドがいる。 奴らがいなくなったら安全を確認した上で開門する」
「門の付近にいないのだから開けられるだろっ」
「……すまん。 そう言う指示だ」
申し訳なさそうな顔をする兵士に、黙ってしまいアタマを掻きむしるコベソは、振り返りユカリ達の方を眺めると、コベソと同じ方を見るトンドと共にコベソもゆっくりと口が大きく開き、目をひん剥いていた。
「まるデブ達何あんなに驚いているの?」
「ん? 俺たちの後ろ見ているのか?」
俺とペルセポネは、コベソ達の視線をなぞりユカリ達の方へ振り返る。
必死に最後のスケルトンソルジャー一体にトドメを刺すユカリ達の前に紫色のオーラが、燃えるように立ち込め、それが徐々に人影の形に整えていく存在が現れていた。
眉をひそめ御者の後ろから前方を眺めるコベソの呟きが、幌の中にいる俺達に伝わると、それを見ようとリフィーナとフェルトが、腰を上げ外に乗り出した。
「あっ、ローフェンから?」
「そうでしょ。 今ローフェンに向かってるんだから」
「違う。 中から?」
「パッと見、分からんな。 もっと近づかないと」
三人の姿で前方の景色が見えないが、隙間から空が見え灰色の煙が、チラッと見えた。
このランドベルクに入っても空が紅く緑の太陽が登っているのだが、何故かあの煙が立ち込める所の空は、薄ら青さがある。
「あのローフェンの上空が、未だ青いって事は王や聖女様が存命だって事だな」
座ったままのトンドが、コベソ達に声をかけるとそれに対し頷く三人は、トンドを見ずに煙が上がる前方を凝視している。
「どうして、王や聖女がいると空が変わらない?」
「ハーデスさん? あぁそうかぁ。 そんな世界って事ですよ」
トンドは、俺の質問を少し悩みそして一瞬ボーッとした後適当に返事をしたように捉えた俺だが、トンドは続けて返事をする。
「なんて言ったらいいか、憶測しか話せないですからね。 正直、意味不明で聖国か帝国が、そんな事を発表していたって覚えているんですよ」
「あれだな。 聖女か王がいれば人族の領域みたいな」
「まぁ、そういう感じですね」
コベソ達の隙間から覗ける空を見た俺は、馬車の後方を眺めている。
――――だから、あのローフェンを中心に外に向かって青から赤に……。
ローフェンに向かい加速する馬車の中、ローフェンの状況をいち早く知ろうと前のめりになって外の様子が気になり釘付けになっている三人の視界に、ローフェンの高くて頑丈な壁に向かって群がっている人影が、目に入る。
「おい、あれ……」
「良く見えないわ」
「ちょっとぉ、速くしなさいって」
リフィーナは、御史の襟首と肩を掴み激しく前後に揺らし煽らせている。
「痛いっすよぉ。 会頭!! このアホエルフどうにかしてください」
「あ、あんたまでっ」
「リフィーナっ。 揺すっても速くならん」
「止めなよ。 リフィーナ」
揺するリフィーナを止めに入るフェルトは、そのまま幌の中になだれ込むように入る。
「いてててて」
「もぅ、何やらかしてるのっ」
今まで静かに三人の後ろから外を眺めていたユカリが、二人いなくなった事で前方に見えるローフェンの壁を凝視する。
地面蹴る車輪の音が激しく幌の中に響き、遠くに見えていた壁が次第に高くそびえると、コベソが御者の肩を叩く。
「おい、速度落としてここいら辺で停めろ」
車輪の音が徐々に静かになり馬車の揺れも無くなっていくと、ここからでも鎧と円盾を装備し剣や斧などの武器を持つスケルトンと、明らかに村人の格好し壁を登ったり門を叩いたりとするゾンビにグールの動きがわかる。
「ありゃ、スケルトンソルジャーか?」
「だな、カツオフィレの兵士の成れの果てなのか……」
「奴らの数、セレヌの街にいた奴らより少ない」
「本陣は別の門なのかな」
コベソとトンドは、鑑識眼を使いアンデッドを分析しているようでフェルトとリフィーナは、状況確認しているような見方だ。
そして、ユカリが一言。
「みんな、武器を持って出るから」
ヒッヒィィ~ン。
その言葉を言った直後、馬車の引き馬が突如鳴き出しその声に門を攻めていたアンデッド全員がこちらを振り向く。
「げっ!!」
「最悪のタイミング」
リフィーナとフェルトにミミンは、外に出ているユカリの後を追うように手持ちの武器を握り迫ってくるスケルトンソルジャーに立ち向かう。
「来るのはスケルトンソルジャーだけか……」
「どうした、コベソ?」
「あぁ、ハーデスさん。 ゾンビやグールは振り向いたけどこっちに来なくてな」
「鳴かせたのコベソ?」
「まぁ……そうですね。 奴ら全員こっちに来れば門開けて入れると思ったんだが」
このまま待機の指示を出しユカリ達の戦いを見るコベソにトンドは、幌の中でゆっくりと席に座る。
「あの数ならユカリ達でもやれるか……。 ならこのまま先にすすんじゃったら」
「ペルセポネさん、ですが……」
「あそこにいるアンデッドぶっ壊せば良いんでしょ。 ならわたしとハーデスでやるから」
「トンド、ユカリ嬢ちゃん達に有るだけのポーションとか渡してくれ」
「おっ、それは既に渡したから安心しろ」
「いつの間に……。 まぁ、それなら先に進むぞ」
御者が手網を捌き馬車を動かす。
俺達を乗せた馬車は、スケルトンソルジャー達と対峙するユカリ達の横を通る。その馬車を見たリフィーナの慌てている顔が見えた。
「ちょっとぉぉぉぉっ」
「ミミン。 馬車を守って!!」
「おっーいっ」
ミミンの火弾が、馬車の進行を阻もうと迫るスケルトンソルジャーの行動を阻止し、馬車はそのままローフェンの壁に向かって行く。
「やつら、置いていきやがった」
「大丈夫!!」
「ユカリ。 なんで?」
「私は勇者で、リフィーナ、あなた達は?」
「勇者のパーティー」
「なら、この状況は乗り越えられる」
「むぐぐぐぅ」
「この数なら気を抜かさなければ倒せるわ。 惹き付けるからリフィーナは、奴らを引っ掻き回してダメージを与えて――――」
「了解」
「――――ユカリとミミンで奴らを倒す」
「おっけぇー」
「任せて。 みんなこいつらを打破するよ」
フェルトの作戦の指示を出しユカリの掛け声と共に開戦の掛け声を上げる三人は、迫り来るスケルトンソルジャーを睨み、次々に指示通りに行動し出していた。
「そろそろ着くぞ」
「アンデッドなのよね。 魔石持ちいないのかしら」
「倒したらスペクターが現れ持ってくるかもな」
俺の言葉で少し目を輝かせるペルセポネだが、トンドが血の気を引き慌てた顔でこちらを見る。
「止めて下さいよ。 ハーデスさんもペルセポネさんも。 あんな薄気味悪い奴、何度も見たくない」
「俺も見た時やべぇと思ったもんな。 魔王バスダトのレベルなんて超えてるんだから」
「まぁ、現れても壊すだけだし」
「もし、そんな高レベルのスペクターを数多く従えている奴、今のユカリでは倒せんな」
「会頭、奴らがこっちを向きました」
悩み出すコベソとトンドは、御者の声を聞き前方を確認すると、御者は手網を引き馬車は止まる。
「それじゃぁ、ハーデスさんペルセポネさんよろしくお願いします」
「任せろ」
「ずっと馬車の中だったから体解さないと」
背伸びし腕や肩を動かしているペルセポネとハルバードを持ち馬車の前に出る俺達は、戦意をむき出しをし叫ぶグールとゾンビが迫ってくる。
「なんか、あれ見てるとアンデッドのアクションゲームみたいな光景ね」
「そうだな。 でも舞台はファンタジーなのだがな」
「手持ちの武器も……私は剣だし、アナタはそのハルバード。 アクションゲームみたいな」
「早く取り掛かるか。 もぅ、馬車が門の近くまで行ってるからな」
「そうね。 アンデッドが向こうに行かないのも気になるけど」
「そういうもんだろ。 何かあの馬車に有るのかもな」
剣を軽く振るうペルセポネは、少し腰を低くし武器を構えると俺も合わせて迫ってくるアンデッド達を待ち受ける。
地鳴りが響くような砂煙を立ち上げ、アンデッドの大行進が目の前で起きている。
ゾンビは、ゆっくりと進むが先頭が横に揃っていてグールは、スキップをしているようだが腕の動きが、波を打つような変な動きをしながらこっちに来る。
俺の横にいるペルセポネが、それを見て呟くような小さな悲痛がこもった声を出すと、二本の剣を空をかき乱すように切り刻み次第に声が荒らげる。
「キッ気持ち悪ぅぅうぅっ」
ペルセポネの叫び声が、空まで響くような絶叫なるとピタリと止まるアンデッド達。
「はぁはぁ、何かあのグール? 空気を読んでない動きってヤツ」
「ペルセポネ、久々の運動みたいな事言ってたのにどうした」
「あのグールの動きみて何とも思わなかったの?」
――――ムスッとするペルセポネの表情は、可愛いけど。正直あのグール達を気にしてなかった。
「何も言うな。 気持ちは分かるけど……。 どうせ倒すんだから気にしてない」
「そうね。 まぁ、いいや肩動かしたし……」
鞘に件を収めるペルセポネ。
同時にアンデッド達は、体内に含んでいた血などの体液を撒き散らし肉体は、粉々に崩れて地面に転がっていた。
「おーい。 開けてくれ」
「おっ誰だ?」
「ヒロックアクツのコベソだ!!」
「ん~? ヒロックアクツ!! 待っていろ」
コベソは、大声で先程までアンデッド達と攻防していた一人の兵と話すと、その兵はどこかに言っていしまう。
ユカリ達の戦況を見ていると、ミミンの魔法やユカリのスキルでスケルトンソルジャーは、砕け再起してくる様子は無く、残りの数も数えられるぐらいだ。
「コベソ殿よ。 無理だ開けられん」
「何故だ?」
「未だ、あそこにアンデッドがいる。 奴らがいなくなったら安全を確認した上で開門する」
「門の付近にいないのだから開けられるだろっ」
「……すまん。 そう言う指示だ」
申し訳なさそうな顔をする兵士に、黙ってしまいアタマを掻きむしるコベソは、振り返りユカリ達の方を眺めると、コベソと同じ方を見るトンドと共にコベソもゆっくりと口が大きく開き、目をひん剥いていた。
「まるデブ達何あんなに驚いているの?」
「ん? 俺たちの後ろ見ているのか?」
俺とペルセポネは、コベソ達の視線をなぞりユカリ達の方へ振り返る。
必死に最後のスケルトンソルジャー一体にトドメを刺すユカリ達の前に紫色のオーラが、燃えるように立ち込め、それが徐々に人影の形に整えていく存在が現れていた。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。


ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで商売をして生計を立てていく〜
西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」
主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。
生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。
その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。
だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。
しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。
そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。
これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。
※かなり冗長です。
説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
鬼神転生記~勇者として異世界転移したのに、呆気なく死にました。~
月見酒
ファンタジー
高校に入ってから距離を置いていた幼馴染4人と3年ぶりに下校することになった主人公、朝霧和也たち5人は、突然異世界へと転移してしまった。
目が覚め、目の前に立つ王女が泣きながら頼み込んできた。
「どうか、この世界を救ってください、勇者様!」
突然のことに混乱するなか、正義感の強い和也の幼馴染4人は勇者として魔王を倒すことに。
和也も言い返せないまま、勇者として頑張ることに。
訓練でゴブリン討伐していた勇者たちだったがアクシデントが起き幼馴染をかばった和也は命を落としてしまう。
「俺の人生も……これで終わり……か。せめて……エルフとダークエルフに会ってみたかったな……」
だが気がつけば、和也は転生していた。元いた世界で大人気だったゲームのアバターの姿で!?
================================================
一巻発売中です。

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる