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カケル 2
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カケルは茶のような液体を口に含んでしまい、その不味さに液体を隣にいたミヤにかけてしまった。そしてそのままの勢いで、家を飛び出してしまった。
カケルは刀状態から人の姿になった八文字と並んで歩いて、小屋に帰ろうとしていた。
「なんだあれ・・・糞不味かった・・・」
『あの飲み物はどうやら虫をゴリュっと磨り潰して煎じて白湯のようなもので溶かした液体のようだな。私には飲めないこともないが・・・。』
「お前、あれ飲めるのかよ・・・あり得ねぇ・・・。」
『逆に何故飲めないのだ?何も不味くないだろう?』
「お前は蛙か何かかよ・・・。」
『蛙とは失敬な。どう見ても美女だろう?』
「そうだな。美女だよ。うん。」
そんな会話をしているとき、鐘が粗々しく鳴り響いた。完全に危ない方の音だった。
『家事か?』
「このご時世、家事で鐘鳴らすのかよ。」
『いや、どうやらカイヴァスとか言うやつの群れだそうだ。』
「カイヴァス?猿みたいなあれか・・・。規模と方角は?」
『見えないか?目の前にいるだろう。』
「は?」
カケルが目を向けた先には赤黒く血走った目がざっと80以上、こちらを凝視していた。
「何だこの量・・・尋常じゃねぇ・・・。」
『おそらく死体を見つけて、その周辺にあった何かしらの痕跡で私らを特定し、ここまで来たのだろう。大軍勢でな。』
「マジの大軍勢じゃねぇか・・・。そういえばさっきの小屋は監視塔的なことを言ってたな。なら、村とかがあるんじゃないか?」
『かもしれぬな。何にせよ、この世界の人間にとっては真っ向から挑んで倒せる相手ではなさそうだが。』
「じゃあ俺たちが止めないとな。八文字、戦闘態勢。」
『うむ。』
カケルが手を横に延ばすと、八文字が刀に姿を変え、そのまま突き出された手に収まった。
八文字の刀身は、限りなく闇に近い黒色で、艶光はしていない。光沢のない、というか光を吸収してしまうほどに黒い。それと対照的に、柄は白く、鍔も白い。
カケルはそんな不思議な刀を握ると、一直線にカイヴァスの群れに突っ込んでいった。
だが、そのとき遠くの方から怒号が聞こえ、森から大量の兵士と矢と砲弾が飛んできた。
「あれ?これって近距離戦しないほうがいい感じ?」
『だろうな。普通に彼らの攻撃の手を邪魔することになる。』
「じゃあ俺も後ろ下がって、火力支援するか。」
カケルはそういうと、2,3回後ろに向けてジャンプをすると、羽をはやし、空へ浮いた。
そして、左手を群れにかざし、静かに呟いた。
「【迦楼羅】」
するとカケルの周りに炎が浮かび始め、その炎が左手へと収束していった。
『迦楼羅だと?その魔法は使えるのか。』
「みたいだね。それと八文字、鍵を持ってきてほしい。」
『鍵?あぁ、あれか。了解した。』
八文字はカケルの手から離れると煙になって霧散した。
そして数秒後、金色の鍵のようなものをもって戻ってきた。
『これでいいか?』
「十分だ、攻勢に出るぞ。」
カケルはそういうと、右手に鍵を持ち空中へ突き出し、右回りに90°クルッとまわした。
するとカケルの後ろ、迦楼羅の炎の後ろに金色の魔法 陣が5個程浮かび、その魔法陣から色々な武器が出てきた。とても大きい斧や剣、鎌などが。
そして、その武器たちに迦楼羅の炎がまとわりつき、燃え上がった。
「【王法の鍵Ver,迦楼羅】」
カケルはそういうと、もう一度右に90°鍵を回した。
すると魔法陣から炎をまとった武器が、カイヴァスの群れへ飛んでいき、一発ですべてのカイヴァスを殲滅してしまった。
「ふぅ・・・。」
その時、さっき小屋で出会った3人が出てきた。
「おいおいマジかよ、この僕がこのエンフィールドで殲滅する夢が・・・。」
「まじか、来たら終わってたぜ・・・。僕のAKが寂しがってるよ。」
「何・・・これ・・・。」
カケルは3人を一瞥すると、地上へ降りた。するとその瞬間。
「「「確保ぉおおおおおおおおおおおお!」」」
「へ?」
カケルの周りに兵士と思われる軍服を着た、3人の男性が集まってカケルに銃を突きつけ、そのまま唖然としているカケルを拘束した。
「ワーカーの分際で、ここまでの狼藉を働きやがって!」
「厳罰対象だ!」
「よって逮捕だ!」
「え・・・えぇぇええぇぇえぇええぇぇえええぇぇ!?」
カケルはそういわれると、首に手刀を打たれ気絶し、そのままどこかへ運ばれて行ってしまった。
「あのガキ・・・阿呆なことを・・・。」
「どういうことだ?」
「実は、カイヴァスは一年に一度こういう襲撃があり、そのたびに村の民は果物などを出して気を静めて森へ帰していたんだが・・・今年は一匹たりとも生きていないな・・・。」
「普通襲撃されたら困るから迎撃するんじゃ?」
「昔それをやったら大飢饉が発生したのでな。最近は穏便に済ませていたのだが・・・今年は危ないかもしれぬな。」
アリーフの質問にリタが答えた。外に出れば周囲の目もあるので、彼女は顔を拭って芝居掛かった尊大で傲慢な演技に戻した。
どうやらカイヴァスという生物は森の守り神のような生物らしい。
その割には量が多すぎた気がする。というか多すぎるだろあれは。
アリーフはそう思ったが、あえて口には出さなかった。
リタの大きな胸に鼻の下を伸ばしながら。
「そういえばあの女は何処に言ったんだ?ワーカー」
「あの女?」
「ミヤとか言う奴だ。何処へ行ったんだ?先ほどから見当たらないが・・・。」
「そういえばそんな奴いたな、僕は何処にいるか知らないよ。」
「そうか・・・」
ミヤとカケルが何処へ連れていかれたかはわからないが、とりあえず4人だったワーカーは2人まで減ってしまったことは事実だった。
カケルは刀状態から人の姿になった八文字と並んで歩いて、小屋に帰ろうとしていた。
「なんだあれ・・・糞不味かった・・・」
『あの飲み物はどうやら虫をゴリュっと磨り潰して煎じて白湯のようなもので溶かした液体のようだな。私には飲めないこともないが・・・。』
「お前、あれ飲めるのかよ・・・あり得ねぇ・・・。」
『逆に何故飲めないのだ?何も不味くないだろう?』
「お前は蛙か何かかよ・・・。」
『蛙とは失敬な。どう見ても美女だろう?』
「そうだな。美女だよ。うん。」
そんな会話をしているとき、鐘が粗々しく鳴り響いた。完全に危ない方の音だった。
『家事か?』
「このご時世、家事で鐘鳴らすのかよ。」
『いや、どうやらカイヴァスとか言うやつの群れだそうだ。』
「カイヴァス?猿みたいなあれか・・・。規模と方角は?」
『見えないか?目の前にいるだろう。』
「は?」
カケルが目を向けた先には赤黒く血走った目がざっと80以上、こちらを凝視していた。
「何だこの量・・・尋常じゃねぇ・・・。」
『おそらく死体を見つけて、その周辺にあった何かしらの痕跡で私らを特定し、ここまで来たのだろう。大軍勢でな。』
「マジの大軍勢じゃねぇか・・・。そういえばさっきの小屋は監視塔的なことを言ってたな。なら、村とかがあるんじゃないか?」
『かもしれぬな。何にせよ、この世界の人間にとっては真っ向から挑んで倒せる相手ではなさそうだが。』
「じゃあ俺たちが止めないとな。八文字、戦闘態勢。」
『うむ。』
カケルが手を横に延ばすと、八文字が刀に姿を変え、そのまま突き出された手に収まった。
八文字の刀身は、限りなく闇に近い黒色で、艶光はしていない。光沢のない、というか光を吸収してしまうほどに黒い。それと対照的に、柄は白く、鍔も白い。
カケルはそんな不思議な刀を握ると、一直線にカイヴァスの群れに突っ込んでいった。
だが、そのとき遠くの方から怒号が聞こえ、森から大量の兵士と矢と砲弾が飛んできた。
「あれ?これって近距離戦しないほうがいい感じ?」
『だろうな。普通に彼らの攻撃の手を邪魔することになる。』
「じゃあ俺も後ろ下がって、火力支援するか。」
カケルはそういうと、2,3回後ろに向けてジャンプをすると、羽をはやし、空へ浮いた。
そして、左手を群れにかざし、静かに呟いた。
「【迦楼羅】」
するとカケルの周りに炎が浮かび始め、その炎が左手へと収束していった。
『迦楼羅だと?その魔法は使えるのか。』
「みたいだね。それと八文字、鍵を持ってきてほしい。」
『鍵?あぁ、あれか。了解した。』
八文字はカケルの手から離れると煙になって霧散した。
そして数秒後、金色の鍵のようなものをもって戻ってきた。
『これでいいか?』
「十分だ、攻勢に出るぞ。」
カケルはそういうと、右手に鍵を持ち空中へ突き出し、右回りに90°クルッとまわした。
するとカケルの後ろ、迦楼羅の炎の後ろに金色の魔法 陣が5個程浮かび、その魔法陣から色々な武器が出てきた。とても大きい斧や剣、鎌などが。
そして、その武器たちに迦楼羅の炎がまとわりつき、燃え上がった。
「【王法の鍵Ver,迦楼羅】」
カケルはそういうと、もう一度右に90°鍵を回した。
すると魔法陣から炎をまとった武器が、カイヴァスの群れへ飛んでいき、一発ですべてのカイヴァスを殲滅してしまった。
「ふぅ・・・。」
その時、さっき小屋で出会った3人が出てきた。
「おいおいマジかよ、この僕がこのエンフィールドで殲滅する夢が・・・。」
「まじか、来たら終わってたぜ・・・。僕のAKが寂しがってるよ。」
「何・・・これ・・・。」
カケルは3人を一瞥すると、地上へ降りた。するとその瞬間。
「「「確保ぉおおおおおおおおおおおお!」」」
「へ?」
カケルの周りに兵士と思われる軍服を着た、3人の男性が集まってカケルに銃を突きつけ、そのまま唖然としているカケルを拘束した。
「ワーカーの分際で、ここまでの狼藉を働きやがって!」
「厳罰対象だ!」
「よって逮捕だ!」
「え・・・えぇぇええぇぇえぇええぇぇえええぇぇ!?」
カケルはそういわれると、首に手刀を打たれ気絶し、そのままどこかへ運ばれて行ってしまった。
「あのガキ・・・阿呆なことを・・・。」
「どういうことだ?」
「実は、カイヴァスは一年に一度こういう襲撃があり、そのたびに村の民は果物などを出して気を静めて森へ帰していたんだが・・・今年は一匹たりとも生きていないな・・・。」
「普通襲撃されたら困るから迎撃するんじゃ?」
「昔それをやったら大飢饉が発生したのでな。最近は穏便に済ませていたのだが・・・今年は危ないかもしれぬな。」
アリーフの質問にリタが答えた。外に出れば周囲の目もあるので、彼女は顔を拭って芝居掛かった尊大で傲慢な演技に戻した。
どうやらカイヴァスという生物は森の守り神のような生物らしい。
その割には量が多すぎた気がする。というか多すぎるだろあれは。
アリーフはそう思ったが、あえて口には出さなかった。
リタの大きな胸に鼻の下を伸ばしながら。
「そういえばあの女は何処に言ったんだ?ワーカー」
「あの女?」
「ミヤとか言う奴だ。何処へ行ったんだ?先ほどから見当たらないが・・・。」
「そういえばそんな奴いたな、僕は何処にいるか知らないよ。」
「そうか・・・」
ミヤとカケルが何処へ連れていかれたかはわからないが、とりあえず4人だったワーカーは2人まで減ってしまったことは事実だった。
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