芽生え

こたつみかん

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四話

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 シャフトを包み込むユウカの掌が、更に汗ばんでくる。
 まるで、自分が刺激されているように、手の動きに合わせて湿っぽい息がリズミカルに漏れる。

「ちょっと待って……。立ったままじゃやりにくいだろう……」

 こうなったら、この2人の少女の好奇心を満たしてやろう。

 これでは、自分が少女達にイタズラされているんじゃないか。
 彼は、苦笑しながら床に腰を下ろし、壁にもたれて座り込んだ。少し腰を前にずらし、位置を調整すると、スラックスをヒザまで下げた。
 
 すかさず2人の手が伸び、トランクスのパンツも半分ズリ下げられた。

「アオイもやってみる……?」
「ううん、いい。ユーカ、やっちゃって」

 ハジメのシャフトを覗き込む態勢のまま答えたアオイは、左腕で上体を支えながら右手はスカートの中に潜り込ませている。

「じゃあ、いい……? いくよ……」

 ユウカがハジメとアオイを交互に見る。

「いいか? そう、そのぐらいで、こんな感じにして、リズミカルに……そう、続けて……」

 ハジメが手を添えて、やり方を指導する。

 頬を上気させた少女は、真剣な顔で頷いてから再びシャフトをしごき始めた。
 その動きに神経を集中するハジメ。

 本来、自分でする行為を他人に、それも好奇心の塊のような少女に任せている状況が、実際にシャフトで感じる刺激以上に彼を興奮させていた。

 またしても自分の手の動きに合わせるようなリズミカルなユウカの鼻息が聞こえる。
 今度は、それにアオイのくぐもった呻き声が重なる。

 1人でオナニーする時は、無意識のうちに目を閉じているハジメだったが、この時は目の前の2人の様子を片時も見逃すまいと目を見張った。

 いつもより、はるかにゆっくりとしたペースで、しかし、1人遊びの時とは比べ物にならないほど大きな昂まりがハジメの下半身に広がり始めた。

「ウウッ……」

 思わず声が出る。

「出そうなの……? ねェ、そろそろ出るの?」

 2人が真正面からシャフトを覗き込む。

 ハジメは慌てて2つの身体を自分の横に引き戻した。
 そのままにしておけば、2人とも彼のシャワーをまともに浴びてしまう。顔射も一興だが、この場所では後始末が大変だ。

「ウッ……。ウウッ、アァ……」
「キャ、すっごーい、飛んだよォ」
「イヤァ、まだ出て来るゥ……」

 爆発の瞬間、2人の少女は口々にそんな感想を述べながら、大きく身をのけ反らせた。1射、2射と大きく空を切った彼の迸りは、徐々に勢いをなくし、ユウカの手に降り注いだ。

「熱いんだ……。それにネバネバしてる」

 横からアオイも恐る恐るユウカの手を汚した白濁の液体に指で掬った。

「なんか、変なニオイ……」
「マジ。こんなのから人間が出来るの? なんか信じられない……」

 そう言いながらも、2人は爆発を終えたシャフトや迸りをじっくりと眺め続けた。



 ハジメがマンション屋上の物置の中で、信じられないような体験をしてから、早くも1週間が過ぎていた。
 
 あれ以来、彼は何度か例のコンビニに行ってみたが、あの2人の姿を見掛けることはなかった。いくら相手からせがまれての事とはいえ、やはりあそこまでやらせるべきではなかった。

 多分、後で冷静になって、自分達の行動を反省して、もう大人が立ち読みしているエロ本を覗き見るようなことは慎むようになったのだろう。

 ハジメは、自分のやったことを反省していた。
 いつの間にか、彼の心の中では、2人への興味より、あの少女が誰かにあの日の出来事を話しでもしようものなら、自分はもうこの街にはいられなくなるかも知れない。という不安の方が大きくなっていくのを感じていた。

 彼がアオイとバッタリと道で出会ったのは、そんな時だった。

「ワッ……」

 彼の姿を見つけたマイが、突然、後ろから飛びついて来た。

「あぁ、びっくりした。アオイちゃんか」

 アオイの様子からは、あの時の事に傷ついている様子は見られなかった。
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