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~2章~
25話
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蓮二にも輪違屋に残るよう引き止める山南を明里の元に託し、店を出たのは、宵五つも間近に迫った頃だった。
足早に屯所へ戻ってきた蓮二は背後から突如、声を掛けられ身体を硬直させる。
「今晩は。如月くん」
背後を取られた事に全く気付かなかった。
普段の蓮二なら有り得ないだろう……。
だが、今夜は山南と明里の互いを想い合い、慈しみ合う姿を目の当たりにして気持ちが少しだけ浮ついていた。
「……。今晩は、伊東先生」
ゆるりと振り返れば、山南とは種類の違う穏やかな笑みを浮かべた伊東甲子太郎が立っていた。
「巡察の帰りですか?」
一人で巡察なわけねぇだろ……。
あからさまな伊東の態度に小さく舌打ちすると、蓮二は素直に動向を話す。
「島原に行っていたんですよ。誰に会っていたなんて野暮な事は聞かないで下さいね」
蓮二が嘘をつかなかった事に驚いたのか、伊東は少しばかり目を見開くとクスリと笑った。
「そうでしたか。君のような美男子なら島原の遊女達も放っておかないでしょうからね」
薄笑いを貼り付けて一歩ずつ近付いて来る伊東の纏う空気の気持ち悪さに蓮二は後退りする。
「伊東先生はこんな時間にお一人でどうされたのですか?」
背中にじっとりと浮かんだ汗が背筋を通り流れた時には、さ迷っていた手が壁に触れ、これ以上の逃げ場が無いことを物語っていた。
「江戸で懇意にして頂いた方が京へ上ってきたと聞いて、会いに行ってきたのですよ」
「へ、へぇ……。さすが伊東先生。交友関係も広くていらっしゃ……!?」
壁に張り付くように爪先立ちしていた蓮二は、伸ばされた伊東の手が自分の頬に触れた瞬間、ビクッと身体を跳ねた。
総毛立った全身が『この男は危険だ』と信号を鳴らしている。
だが、蛇に睨まれた蛙のように身体はピクリとも動かない。
「如月くん……。君は本当に美しい。あの男には勿体無いね。是非、私と仲良くしてくれないかい?」
仲良くとはどういう意味だと問いたいが、それはきっと愚問だろう……。
これほどまでの恐怖は初めてだった。
覚悟を決めた訳では無いが、この状態から逃げ出せる策も浮かばず蓮二は伊東を睨み付けながら耐えていた。
「おい、そんな所で何をしている?」
聞き慣れた声に張り詰めていた糸が緩む。
伊東の肩越しに黒くしなやかな髪が風になびいていた。
暗闇に浮かんだ鋭い眼光が月を反射して、ギラリと伊東を睨み付ける。
「あぁ、土方くん。君こそどうしたんだい?」
伊東は蓮二の頬に触れたまま、チリチリと焼け付くような殺気を受け流した。
土方はその様子にギリッと奥歯を噛み締め、掴み懸かりたい衝動を抑える。
「如月、この前捕縛した浪人の事で話がある」
「……あぁ」
突如自分に向け発せられた声に呆けていた蓮二が土方の意図を探るようにをジッと見つめる。
しばしの沈黙の後、深く息を吐くと伊東の手からスルリと抜け出した。
その瞬間、迫られていた事が嘘のように蓮二の動きには一縷の隙も見当たらなくなっていた。
なるほど……と小さく呟くと、去り際の蓮二に声を掛ける。
「如月くん、今度一緒に酒でも飲もうか」
既に土方の方へ歩き出していた蓮二は、顔だけを伊東に向けフワリと微笑む。
余りにも鮮やかな余裕のある微笑に伊東は呆気に取られる。
先程まで伊東の存在に狼狽え、身動き一つ出来なかった蓮二の見事な豹変ぶりに感嘆の溜め息が零れた。
「土方くん、君は随分と如月くんにご執心のようだが、衆道の気はあるのかい?」
「…そんなんじゃありません。こいつはそこら辺の奴よりよっぽど使える手駒なだけです。だが俺には忠実なんでね。側に置いといて損はありません」
ニヤリと口端を上げた土方を見て、彼の言わんとしてる事が分かった蓮二は傍らでクスリと笑いを零す。
『引き抜けるもんならやってみろ』
その様子から牽制と挑発を受けたのだと気付いた伊東は、土方と同様に口角を上げた。
「そういう事なら…。これからが楽しみですね」
ーーー
冷たい風が頬を突き刺す。
空を仰ぎ見れば今にも泣き出しそうな空が静寂を包む。
「山南さんの所行ってたんだろ?」
低く優しい声が風の音に乗って蓮二の耳に届く。
「あぁ…まぁな」
「俺はあの人から奪ってばかりだな。近藤さんも、新選組も、自尊心も、矜持も……」
はらりと落ちた前髪から覗く瞳は山南と同じ悲しい色をしていた。
厚く覆われた雲に隠された月のように土方と山南の心もまた闇にすっぽりと包まれている。
土方の瞳から光が徐々に失われてゆく。
そこにかつて“鬼”と呼ばれていた男は居なかった。
脆弱な人間が一人、己の歩んだ道を悔いていた。
「だからって山南さんはあんたを恨んじゃいない。あんたがそんな顔してちゃあそれこそあの人が悲しむ。前を向け。振り返るな。あんたが選んだ道は優しくないんだ。立ち止まる暇はねえよ。修羅は修羅らしく生きろ。てめえで決めた事じゃねえのか?」
ゆるゆると瞼を上げれば射るような眼差しで自分を見つめる蓮二と視線が絡まる。
「言っただろ?お前が修羅の道を行くなら何があっても俺はお前を見捨てない。最後まで見届けてやるって」
曇天の空からこの時期にはまだ早すぎる雪が舞い降りる。
土方はそっと手のひらを広げてみた。
吸い寄せられるように零れ落ちた雪は体温によって程なく溶けてゆく。
落ちては消える雪を見つめ蓮二の言葉を心の中で反復した。
『俺はお前を見捨てない』
白い雪と共に降りてきた声に気持ちが落ち着いてくる。
儚く優しい声は土方の酷く澱んだ闇を溶かす。
溶けきった雪を手のひらでギュッと握り締め再び顔を上げた土方の瞳は輝きを取り戻していた。
「そうだったな。俺とした事が弱気になっちまった。悪い……今日の事は忘れてくれ」
「いやだね。口外する気はねえが一つくらい鬼副長の弱点知ってても良いだろ?俺の特権だ」
土方の肩をポンと叩くと意地悪く微笑んだ。
蓮二の手を振り払い睨みつける。
「てめえ……」
「お前の人間らしい部分を知る人間が一人増えたと思え」
蓮二の手が置かれた肩に残る温もりは優しく雪と共に堅く張りつめた土方の心をゆっくりと溶かして行った。
「チッ…まぁいい。伊東や山南さんの事は後々考えるとしてお前に先に教えておくが……近々屯所を西本願寺に移転する」
ーーーーーーー
「私は反対ですよっ!!聖域である寺社に我々のような血で濡れた人間が移り住むなど神仏への冒涜ですっ!」
張り上げた声にビリビリと振動を伝わり、襖が小刻みに震えた。
怒鳴る事など珍しい山南の剣幕に他の者が呆気に取られる。
「隊士が増えすぎた。ここじゃ狭すぎるんだよ」
「だからと言って何故、西本願寺なのですかっ?他にもあるでしょう?」
「西本願寺は倒幕派に荷担している。先の政変でも長州を匿い、逃亡の手助けをした。これは見過ごせないだろう?新選組が西本願寺に屯所を置く事で牽制しつつ、動きも監視出来る」
今にも土方に飛びかからんとする山南の袖を、総司がそっと掴む。
「くっ……!それでは益々新選組の悪評が広まるではありませんか」
「構わねえよ。元々、良い噂なんてありゃしねえ」
張り詰めた空気に誰もが口を閉ざした。
山南を見下ろすように視線を流し、土方は紫煙を吐き出す。
その瞳には青い炎が宿り、怒りとも悲しみとも言えない葛藤が浮かんでは消える。
「……山南さんには悪いが、これは決定事項だ」
突き付けられた言葉に、山南はギリギリと奥歯を噛み締めた。
誰も意見を口にしない事に苛立ちが募る。
寿司詰め状態になった部屋の気温は高いはずなのに、睨み合う二人が漂わせる冷気に背中がゾクリと震える。
「山南くんすまない。私もあまり気は進まないんだが…。長州の動きは見逃せないんだ。ここは譲ってくれないだろうか?」
沈黙を破るように近藤が口を開いた。
少しばかり気落ちしたその声に、山南は言い掛けた言葉を飲み込む。
譲れない一線も近藤が紡いだ言葉には成す術がなくなる。
それを分かって彼は口に出したのだ。
これまでも土方の用意周到な策に誰もが口を挟めず、言うがままに従ってきた。
そしてこの先も決して変わらない。
口から出任せでは無く、足場を固めてから動き出す土方に論じるだけでは通じないのは、始めから分かっていた。
それでも尚、意見をぶつけて来たのは自分の言葉なら届くだろうと云う淡い期待と矜持だった。
だが……。
それも限界だった……。
彼にはもう自分の言葉は届かない。
山南は黙ったまま、部屋を後にした。
足早に屯所へ戻ってきた蓮二は背後から突如、声を掛けられ身体を硬直させる。
「今晩は。如月くん」
背後を取られた事に全く気付かなかった。
普段の蓮二なら有り得ないだろう……。
だが、今夜は山南と明里の互いを想い合い、慈しみ合う姿を目の当たりにして気持ちが少しだけ浮ついていた。
「……。今晩は、伊東先生」
ゆるりと振り返れば、山南とは種類の違う穏やかな笑みを浮かべた伊東甲子太郎が立っていた。
「巡察の帰りですか?」
一人で巡察なわけねぇだろ……。
あからさまな伊東の態度に小さく舌打ちすると、蓮二は素直に動向を話す。
「島原に行っていたんですよ。誰に会っていたなんて野暮な事は聞かないで下さいね」
蓮二が嘘をつかなかった事に驚いたのか、伊東は少しばかり目を見開くとクスリと笑った。
「そうでしたか。君のような美男子なら島原の遊女達も放っておかないでしょうからね」
薄笑いを貼り付けて一歩ずつ近付いて来る伊東の纏う空気の気持ち悪さに蓮二は後退りする。
「伊東先生はこんな時間にお一人でどうされたのですか?」
背中にじっとりと浮かんだ汗が背筋を通り流れた時には、さ迷っていた手が壁に触れ、これ以上の逃げ場が無いことを物語っていた。
「江戸で懇意にして頂いた方が京へ上ってきたと聞いて、会いに行ってきたのですよ」
「へ、へぇ……。さすが伊東先生。交友関係も広くていらっしゃ……!?」
壁に張り付くように爪先立ちしていた蓮二は、伸ばされた伊東の手が自分の頬に触れた瞬間、ビクッと身体を跳ねた。
総毛立った全身が『この男は危険だ』と信号を鳴らしている。
だが、蛇に睨まれた蛙のように身体はピクリとも動かない。
「如月くん……。君は本当に美しい。あの男には勿体無いね。是非、私と仲良くしてくれないかい?」
仲良くとはどういう意味だと問いたいが、それはきっと愚問だろう……。
これほどまでの恐怖は初めてだった。
覚悟を決めた訳では無いが、この状態から逃げ出せる策も浮かばず蓮二は伊東を睨み付けながら耐えていた。
「おい、そんな所で何をしている?」
聞き慣れた声に張り詰めていた糸が緩む。
伊東の肩越しに黒くしなやかな髪が風になびいていた。
暗闇に浮かんだ鋭い眼光が月を反射して、ギラリと伊東を睨み付ける。
「あぁ、土方くん。君こそどうしたんだい?」
伊東は蓮二の頬に触れたまま、チリチリと焼け付くような殺気を受け流した。
土方はその様子にギリッと奥歯を噛み締め、掴み懸かりたい衝動を抑える。
「如月、この前捕縛した浪人の事で話がある」
「……あぁ」
突如自分に向け発せられた声に呆けていた蓮二が土方の意図を探るようにをジッと見つめる。
しばしの沈黙の後、深く息を吐くと伊東の手からスルリと抜け出した。
その瞬間、迫られていた事が嘘のように蓮二の動きには一縷の隙も見当たらなくなっていた。
なるほど……と小さく呟くと、去り際の蓮二に声を掛ける。
「如月くん、今度一緒に酒でも飲もうか」
既に土方の方へ歩き出していた蓮二は、顔だけを伊東に向けフワリと微笑む。
余りにも鮮やかな余裕のある微笑に伊東は呆気に取られる。
先程まで伊東の存在に狼狽え、身動き一つ出来なかった蓮二の見事な豹変ぶりに感嘆の溜め息が零れた。
「土方くん、君は随分と如月くんにご執心のようだが、衆道の気はあるのかい?」
「…そんなんじゃありません。こいつはそこら辺の奴よりよっぽど使える手駒なだけです。だが俺には忠実なんでね。側に置いといて損はありません」
ニヤリと口端を上げた土方を見て、彼の言わんとしてる事が分かった蓮二は傍らでクスリと笑いを零す。
『引き抜けるもんならやってみろ』
その様子から牽制と挑発を受けたのだと気付いた伊東は、土方と同様に口角を上げた。
「そういう事なら…。これからが楽しみですね」
ーーー
冷たい風が頬を突き刺す。
空を仰ぎ見れば今にも泣き出しそうな空が静寂を包む。
「山南さんの所行ってたんだろ?」
低く優しい声が風の音に乗って蓮二の耳に届く。
「あぁ…まぁな」
「俺はあの人から奪ってばかりだな。近藤さんも、新選組も、自尊心も、矜持も……」
はらりと落ちた前髪から覗く瞳は山南と同じ悲しい色をしていた。
厚く覆われた雲に隠された月のように土方と山南の心もまた闇にすっぽりと包まれている。
土方の瞳から光が徐々に失われてゆく。
そこにかつて“鬼”と呼ばれていた男は居なかった。
脆弱な人間が一人、己の歩んだ道を悔いていた。
「だからって山南さんはあんたを恨んじゃいない。あんたがそんな顔してちゃあそれこそあの人が悲しむ。前を向け。振り返るな。あんたが選んだ道は優しくないんだ。立ち止まる暇はねえよ。修羅は修羅らしく生きろ。てめえで決めた事じゃねえのか?」
ゆるゆると瞼を上げれば射るような眼差しで自分を見つめる蓮二と視線が絡まる。
「言っただろ?お前が修羅の道を行くなら何があっても俺はお前を見捨てない。最後まで見届けてやるって」
曇天の空からこの時期にはまだ早すぎる雪が舞い降りる。
土方はそっと手のひらを広げてみた。
吸い寄せられるように零れ落ちた雪は体温によって程なく溶けてゆく。
落ちては消える雪を見つめ蓮二の言葉を心の中で反復した。
『俺はお前を見捨てない』
白い雪と共に降りてきた声に気持ちが落ち着いてくる。
儚く優しい声は土方の酷く澱んだ闇を溶かす。
溶けきった雪を手のひらでギュッと握り締め再び顔を上げた土方の瞳は輝きを取り戻していた。
「そうだったな。俺とした事が弱気になっちまった。悪い……今日の事は忘れてくれ」
「いやだね。口外する気はねえが一つくらい鬼副長の弱点知ってても良いだろ?俺の特権だ」
土方の肩をポンと叩くと意地悪く微笑んだ。
蓮二の手を振り払い睨みつける。
「てめえ……」
「お前の人間らしい部分を知る人間が一人増えたと思え」
蓮二の手が置かれた肩に残る温もりは優しく雪と共に堅く張りつめた土方の心をゆっくりと溶かして行った。
「チッ…まぁいい。伊東や山南さんの事は後々考えるとしてお前に先に教えておくが……近々屯所を西本願寺に移転する」
ーーーーーーー
「私は反対ですよっ!!聖域である寺社に我々のような血で濡れた人間が移り住むなど神仏への冒涜ですっ!」
張り上げた声にビリビリと振動を伝わり、襖が小刻みに震えた。
怒鳴る事など珍しい山南の剣幕に他の者が呆気に取られる。
「隊士が増えすぎた。ここじゃ狭すぎるんだよ」
「だからと言って何故、西本願寺なのですかっ?他にもあるでしょう?」
「西本願寺は倒幕派に荷担している。先の政変でも長州を匿い、逃亡の手助けをした。これは見過ごせないだろう?新選組が西本願寺に屯所を置く事で牽制しつつ、動きも監視出来る」
今にも土方に飛びかからんとする山南の袖を、総司がそっと掴む。
「くっ……!それでは益々新選組の悪評が広まるではありませんか」
「構わねえよ。元々、良い噂なんてありゃしねえ」
張り詰めた空気に誰もが口を閉ざした。
山南を見下ろすように視線を流し、土方は紫煙を吐き出す。
その瞳には青い炎が宿り、怒りとも悲しみとも言えない葛藤が浮かんでは消える。
「……山南さんには悪いが、これは決定事項だ」
突き付けられた言葉に、山南はギリギリと奥歯を噛み締めた。
誰も意見を口にしない事に苛立ちが募る。
寿司詰め状態になった部屋の気温は高いはずなのに、睨み合う二人が漂わせる冷気に背中がゾクリと震える。
「山南くんすまない。私もあまり気は進まないんだが…。長州の動きは見逃せないんだ。ここは譲ってくれないだろうか?」
沈黙を破るように近藤が口を開いた。
少しばかり気落ちしたその声に、山南は言い掛けた言葉を飲み込む。
譲れない一線も近藤が紡いだ言葉には成す術がなくなる。
それを分かって彼は口に出したのだ。
これまでも土方の用意周到な策に誰もが口を挟めず、言うがままに従ってきた。
そしてこの先も決して変わらない。
口から出任せでは無く、足場を固めてから動き出す土方に論じるだけでは通じないのは、始めから分かっていた。
それでも尚、意見をぶつけて来たのは自分の言葉なら届くだろうと云う淡い期待と矜持だった。
だが……。
それも限界だった……。
彼にはもう自分の言葉は届かない。
山南は黙ったまま、部屋を後にした。
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