異世界転移したら女になって私の書いてる小説の世界でした~無敵チート以外のご都合主義がない大変な世界~

さいび

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第二章~魔王討伐計画始動~

第70話~光の国到着~

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今回は文体を一般的な小説で書いてみました。従来形式と何方が私らしい文体か悩ましい部分もあります。形式に御希望がある場合はコメントやDM、X等で御意見を頂けると嬉しいです。
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「・・・以上が今回の謀反に関する教団関与の調査結果です」
昨晩の追撃で邪教団支部を壊滅した報告をマドカを含めた朝食会の参加者にしたよ。チャムの謀反から夜が明け朝食としては少し遅めの時間になるけどサトス卿邸宅の来客室で朝食を済まし報公会が開催されている。
 部屋は大きな窓で街を見下ろすことが出来る明るい部屋で、十人程度が座れる円卓にあわせたサイズになっている。円卓にはマドカ、真矢、サトス卿、ガイル、ナツと七海、美香、私が着席し、既に朝食は終えて机上にはコーヒーカップが湯気を上げ並んでいる。昨晩の謀反劇でサトス邸の衛兵やメイド達も多く失われ、生き残りの少ない人数でなんとか片付けと朝食会の準備をしてくれたので少し遅い時間になったけどね。
「では、息子は邪教団と結託していたのですね」
サトス卿の、わかっているが再確認をしないと我慢できない気持ちはわかるよ。昨晩に美香の回復魔法で大きな傷は癒えていたので、一晩の睡眠と入浴で体力を回復し身を整えたサトス卿は貴族の貫禄を取り戻していた。黒髪を後ろに撫でつけ、髭を剃りスレンダーだけど筋骨逞しい身を貴族服に包んだ姿は美香が思い描いていた「スレンダーな叔父様設定」のままだね。
「間違いないかと。証言、状況証拠から疑う余地はなく」
私の答えにサトス卿が重苦しく口を開く。
「あれに思想的な問題があることはわかっておりました」
うん。それが連れ子のチャムに相続権を認めていなかった理由だもんね。
「まさか邪教団と手を組んでいたとは。異変に気が付かず、このような騒動になってしまったのは私の不徳が致すところです。どのような処罰でも受けさせて頂きます」
「私も邪教団の手がここまで長いとは考えてもいなかった。ここまではやく邪教団が強硬な手段を取ることも予想は難しい状況であり、サトス卿の不手際を責めることは出来ない」
マドカがサトス卿を許すことは想定内だったので驚きはしないよ。信賞必罰が基本の絶対王政統治といえ今までの功を考えれば今回一件の罰を贖うのに十分だし、かわりを担う人材がいないという現実問題もあるしね。光の国とは和平を結んで平和な状況だけど、国境の街となると起きる問題も多彩で統治には様々な能力と実績が必要になるんだよ。
「チャムの件は不測の事故とし、サトス卿には引き続き領主として街を頼む。」
死や投獄はないにしても退任をいい渡される覚悟していたサトス卿はマドカの言葉に深くこうべを垂れる。
「ありがたきお言葉に感謝でございます」
サトス卿の言葉に頷き、マドカが会の締めに入る。
「彩美の報告からも街への脅威は一時的としても排除された。」
カップに残っていたコーヒーを一気に飲み干し気合を入れたマドカが告げる。
「では、予定通り光の国へ出立する。各位は準備を頼む」
マドカと真矢を除く私を含めた全員が席を立ち一礼をし部屋を出る。

「彩美。少しいいかな」
一番最後に部屋を出ようとする私にマドカが声をかける。
「はい」
先に部屋を出た七海が振り返り私の顔を見る。軽く頷くと笑顔を残して準備に向かっていったよ。窓から街を見下ろし立つマドカと寄り添う真矢の後ろに立つと
「昨晩は遅くまで色々と本当にありがとう」
マドカの言葉使いが微妙に柔らかくて不思議な気分で驚きを覚えるよ。話ながら振り向いたマドカが私の顔を見て
「そんなに驚かないで欲しいな」
ありゃ。驚きが顔に出ちゃったのね。
「以前に友達になって欲しい。と、いわれたので友達とはなにかと考えていた。どうしても一人では答えがわからず真矢や、戻ってからは母に相談をしてみたけど」
「ルシファーと一緒に色々と例を出したりして話をしたりしたんですけど、概念としてわかっても感情的に理解出来ないと悩んでいたんですよ」
真矢の話に顔が赤くなるマドカが可愛いよ。
「真矢と母が話している姿を見て友達とは素直に自分の気持ちを伝える仲とは感じたけど」
設定ではルシファーは王女と皇女の立場を常に忘れずにマドカへ接してしまっているので上下関係があるけど、真矢はルシファーとはじめてあった時から意気投合して友達としての関係になったんだよね。
「今度は素直がわからないって悩みはじめてしまって。私と話す感じで話せばいいよと伝えたら・・・」
なに!なに!真矢の話の続きが凄く気になるよ。
「恥ずかしくて無理!って」
話を続ける真矢の横に並ぶマドカの顔が赤くなっていくよ。
「だって、真矢は・・・私の半身だから・・・なにも気にしないで・・・」
消え入るような声で囁くマドカ。恥ずかしがらなくていいよ。
「貴方は私そして私は貴方だから。私達も且ては二人で一人だったのだから」
今の私であれば融合も恐れもなくマドカに心を重ね物語を紡いでいた日々を受け入れることが出来るよ。
「二人で一人・・・」
「そうだよ。だから恥ずかしいなんて思わないでよ。」
「うん。その・・・王都に戻ったら彩美と一緒に食事にいきたいの!」
あああ。恥ずかしさから言葉の語尾が弾けちゃったよ。でも、これを命令でも請いでもなく友達として伝えたくて勇気をだしたんだね。
「うん。楽しみにしてるよ」
無言で表情が固まっているマドカ。まさか!あのパターンなの!?
「その。答えは・・・」
完全にアニメや漫画の空気読めないボッチキャラの状況なマドカだ。マドカの横では笑いを堪え薄涙を浮かべながら声が出ないように真矢が頑張ってる。
「YESだよ。一緒にいこうね!」
「ありがとう」
頑張ったねマドカ。友達の第一歩を頑張ったマドカを真矢が抱き締めて頭を撫でてる。その姿を背に私も部屋を出て出発の準備に向かうね。

 中庭に出ると馬具を装着され荷物を背負ったダークが待っていた。マドカと話している間に七海が準備を済ませてくれていた。
「嬉しそうだけどなにがあったの?」
少し浮かれた表情に七海が気が付いたね。
「王都に帰ったら友達として一緒に食事にいこうって誘われたよ」
「それはよかった」
苦悩するマドカを知っていた七海も嬉しそうだね。
「皆、出立の準備はよいか!」
準備を終えた団員達の前に館から真矢とサトス卿を後ろに従えマドカが出てきたよ。
「おー!」
準備を終えていた団員達が一斉に声をあげる。
馬具の準備を終えていた愛馬にマドカと真矢が跨り、マドカは馬上から傍らに控えるサトス卿に声をかける。
「この度はご苦労であった。傷を癒し、引き続き街と街道の平和を頼む」
深く礼をしてマドカの言葉に応えるサトス卿だった。
「いざ、光の国へ!」
マドカの号令で出発する隊列に、いつまでも深く礼を続け見送るサトス卿だった。
 出発した隊列の最後尾に七海、美香と馬を並べ私達も出発する。今回の件はサトス卿には大きな災いだったと思うけど私的には大収穫だったよ。世界はメネシスを現実化する時に不足する情報に私すら忘れていた記憶まで使っていた間違いない確証を得ることが出来た。本当に朧げに構想していた「血の儀式」や「伝承の術」が実現化していたのは驚きだけどね。ダブネスの配下であるネクロマンサーが復活してメネシスに転移してきているの間違いないので準備の手も早めないとだね。

 サトスの街から西へ街道を数リーグすすむと光の国との国境だよ。国境といっても門や関所があるわけでなく境を示す看板が立っているだけね。ここから光の国王都まで約百四十リーグと少し長旅。ガイアの馬なら軽く走る速度の速足だと数十リーグが一日の限界だけど、一回り体格もよくスタミナもあるメネシスの馬なら速度もよりはやく休息も少なく一日に百リーグは移動出来る。皇女や王都師団の馬となれば選りすぐりなので少し無理をすれば、早朝予定だった出立が昨晩の影響で少し遅くなったけど夕方には光の国王都に到着も問題なし。ただ例年であれば途中の街道宿街で昼食休憩になるんだけど、今回は時間が厳しいのでサトス卿が準備してくれたサンドイッチランチを馬の休息時に手早く食べて済ますことになった。
「これは光の国王都での食事に期待だな」
「まあ今は我慢で、彩美ちゃんの物語だとチーズが名産品だから楽しみに我慢しよう」
サンドイッチランチでは量が絶対的に足りない七海と美香が食後に嘆いてるね。そんな時短努力の甲斐もあって陽が沈み切る前のギリギリだけど光の国王都に到着。

 門を抜け王都に入ると出迎えの兵が待っていた。出迎えに先導をされ光の国王都内をすすむ。光の国王都は闇の国王都とほぼ同じ様相で門から続くメインストリートは両側に商店や飲食店が並び多くの人々で賑やかだよ。物語を紡ぐときに思い浮かべていた光景がそのままで気分が高揚してくるね。
 先導の兵に旅団は続き街を通り抜け王宮に到着する。光の国王宮は一般的な中世ヨーロッパ式城との表現でいいのかな?高い塀に囲まれた広い敷地の中央に石造りの大きな建物で数個の塔がある。南門との通行のためだけど一階に吹き抜けがある特殊な構造の闇の国王宮に比べると間違いなく一般的でいいよね。王宮建物の入口に到着すると美女のお出迎え迎えだね。
「お久しぶりですね。マドカ殿」
「ウリエル殿もお元気そうでなにより」
光の国王女のウリエルのお出迎えだね。白地に金のアクセントラインが美しいいロココ調ドレスに身を包んだ物静かな印象のある少し線の細い美女で肩より少し長い金髪が眩しいよ。
「長旅お疲れ様でした。お部屋をご用意してありますのでどうぞ」
この後の式典に備えて着替えや身支度にマドカと真矢はウリエルに案内され用意された部屋に向かう。マドカ達は式典の準備をしながらウリエルと非公式な会談を済ましてしまうんだよ。まあ、例年行事と親交の深い仲だからの手抜きだね。ウリエルもマドカも同類で無駄に格式張ったことを望まないから。

 団員や私達もメイドに準備された部屋に案内された。部屋は美香も一緒の三人部屋が準備されていたね。クィーンサイズとダブルサイズのベッドが準備されていたので、ミカエルとかなり詳しく現情報告の連絡はやり取りしてる感じだね。ソファーセットのテーブルに赤ワインのボトルとグラスが準備されているのも抜かりないよ。傍らに準備してあったオープナーを使いボトルを抜栓して七海がグラスに注いで渡してくれた。
「さすがに今日の強行軍は少し疲れたよ。お尻がヒリヒリだあ」
長馬で美香のお尻も限界寸前だったみたいだね。
「まあ軽く飲んで一息入れたら街にご飯へいこう!」
昼食の量が少なく空腹激しい七海だね。三人で軽くグラスをあわせ乾杯をすませワインを喉に流し込む。うん。重めで土の香りが強くて好きな感じだよ。私の趣向もミカエルが連絡しておいてくれた情報に含まれていたのかな。
「コンコン」
扉がノックされたよ。

「どうぞ」
私の返答にあわせて美香が扉を開く。扉が開くとウリエルが待っていたので部屋に招き入れるよ。
「創造主様。このたびは我国まで御足労を頂きありがとうございます」
優雅に一礼をするウリエル。
「ミカエルから連絡がいってると思うけど私はもう創造主じゃないの。彩美と呼んで普通に接してくれるかな」
「連絡は受けておりましたが本当にそのような御無礼をよいのかと」
メネシスの皆さんは本当に律儀だよ。こんな適当な私が紡いだ物語の住人とは自分でも信じられないよね。
「うん。今は同じ刻のメネシスを生きる者同士だよ。そして出来れば友達として接して欲しい。物語は自由に扱える傀儡でなく、友として一緒に過ごしたい面々を思い描いて紡いでいたからね」
「では、お言葉に甘えさせて頂きます」
って、その対応が硬くて砕けてくれていない状態ですが!
「出来れば本当にね、気楽に彩美ちゃんには接して欲しいの。物語を読むとわかるんだけど、こんな友達が欲しいな。って思いが込められていたのがわかるんだよ」
物語を紡いでいた頃に想い描いていた私の心中を美香が代弁してくれてる。
「私に命を授けて頂けたことを感謝いたします。では、お礼も出来ましたので今後は気楽にいかせていただきますね」
美香の言葉に心の壁を破れたのかウリエルの口調が変わったね。

「式典への参加はなしとの連絡を受けており残念です」
「それは状況がよい意味で先にすすんだのでね」
メイレーンとセレンと出会い対ダブネスの主となりカリスマ対象になる「私達」が決まった。今後はメイレーン達を中心とした者達が「私達の手で」を実現することになる。私達が冒険者として箔を付け目立つ意味は同時に失った。今後はメイレーン達が表に立ち、私達は出来るだけ目立たずに表舞台から去るので光の国と闇の国新年式典の参加も辞退したことを伝える。
「状況と理由は把握いたしましたけど寂しさを感じます。式典後のパーティーを御一緒出来るのを楽しみにしてたので」
本当に残念そうなウリエルには申し訳ないけど、パーティーが一番問題なんだよね。現代のガイアでもそうだけど式典後のパーティーは飲食が主目的でなく「顔広めの場」なんだ。旧知の方々との縁を再度確認したり、新しく出会う方に縁を広げる。これからは裏方にまわろうとする私の考えと完全に逆の場所なんだよ。
「明日は非公式昼食会を準備してます。正式な議会承認ですと全ての話が公になってしまいますので国家機密特例を発動しまして議長のみ同席いたします」

 光の国は「光と闇の戦争」を先代の王が領地拡大を目当てに起こし、両国を含め周辺国に多大な被害を出してしまった。ウリエルが先代王を幽閉し戦争を終結させた後は、議会王政とすることで王の暴走で国家存亡危機を回避する体制に移行したんだよ。まあ、私が考えたことなので抜け道も知っています。乱世のメネシスでは議会の承認を待っていると逆に国家存亡危機になる場合もあるので強権も抜け道で準備したの。それが国家機密特例だね。この特例を使えば議長の承認さえあれば絶対王政と同じ権力を使えるけど、王の暴走を抑制する役割である議会の議長を納得させる至難の話だけどね。
「まあ、議長が参加するのは仕方ないよね」
「そう決めたのは彩美なんだから説得を頑張るしかないな」
物語を知っている七海からすると自爆に見える部分はあるんだろうなあ。絶対に心の中で大爆笑してるよ!
「物語を紡いでいる刻なら私の匙加減だったけど、現実に自分が説得する立場になると面倒な設定をしてしまったよ」
「議長もそこまで物わかりの悪い方ではありませんので」
なんかウリエルがフォローをしてくれてるけど私の自爆を感じたのか薄笑いが含まれている気がするね。少しは壁を取り払って接してくれている感じになったかな。

 ワインを飲みながら少し情報交換を雑談交えにしていたらマドカが参加する式典の時間も近づいてきたね。
「では、明日を楽しみにしてますね」
挨拶をして部屋を去ろうとするミカエルに美香が
「あっ!ご飯で、おすす目のお店とかありますか?出来れば光の国を堪能がいいなあ」
う~ん。食い気パワー恐ろしや。でも、光の国の飲食店描写は曖昧なのしかしていないので予備知識なしなんで聞いてしまうのが店選びに失敗しなくていいね。扉の前で足を止めたウリエルが
「それでしたら光の国特産品のチーズを使った料理が中心のケーゼエッシですね」
人気店なので予約を手配してくれるとのことでお願いをしたよ。場所も聞いて、おおよそわかったので看板を探せば問題ないね。あっ光の国の文字も読めるから大丈夫だよ。光の国と闇の国の言葉や文字は方言程度の違いだからね。

 七海と美香が空腹に耐えれず暴れそうだったので、急いで街服に着替えてメインストーリーへ。街並みや行き交う人々は闇の国王都と大きな違いはないね。元々の知識に加えウリエルに教えてもらっていたので目的の店はすぐに見つかったよ。
「いらしゃいませ」
中年の少しふくよかな緑髪の女性が出迎えてくれたので予約してあることと名前を伝える。案内されたのは店の一番奥にある扉がない六人用の半個室だね。個室もあるみたいだけど居酒屋気分で気楽に楽しめる半個室をウリエルは選んでくれていたよ。さて、メニューが読めるのは私だけなので二人に説明をするよ。
「おっチーズフォンデューがあるなら食べたいな」
「おまかせセットで最初の具材はいいかな。追加は自由に出来るからね」
七海は絶対にチーズフォンデュは喰い付くとわかっていたよ。だって私が大好きだからね。
「私はチーズフライト、チーズオムレツと・・・」
美香の希望も色々と注文したよ。少し意味のわからない名前の料理もあったけど説明文が書いてあったので助かったね。

 さて、木樽ジョッキのビールも届いたから乾杯をして夕飯の開始だよ。続々とテーブルに届く料理が七海と美香の胃袋に消えていく。私は少しずつ味見程度で食べたけど、どれもチーズが濃厚で美味しいよ。ガイアと同じで色々な種類のチーズがあって料理にあわせて使われているよ。
「う~ん。ブルーチーズの臭いが強烈だあ!」
美香は青カビ系のゴルゴンゾーラが苦手だったんだね。ガイアでは気が付けなかった美香の一面に出会えて嬉しいよ。
「この香りとワインの組合せが最高なんだが。美香には少しはやかったかな」
飲み物をビールから赤ワインにかえて独特の風味を楽しんでる七海。私も赤ワインとブルーチーズの組合せを堪能してるよ。
「ううう。ブルーチーズに・・・いつの日か勝つ!」
なにがなんだかの決意をしてる美香でした。

 アルコールランプにセットされた鍋が出てきたんだけど。これチーズフォンデュだよね?すき焼き鍋サイズになみなみと溶けたチーズが入ってるのですが。ガイアで一般的な小鍋から中鍋を考えていたので少し驚いてしまったけど、出てきた具材をみたら納得。どれも一口サイズより大きめだね。具材は色々な野菜とベーコンやソーセージで見た目も楽しいよ。美香も気に入ってくれたので何回も具材と鍋のチーズを追加しながらチーズフォンデュを堪能。チーズとワインは鉄板組合せでワインも大量消費だよ。
「追加でバケットはあるかな?」
私もバケット欲しいと思っていたのでナイスタイミングな七海。メニューを見ると
「チーズフォンデュの具材ではないけどバケットはあるね」
注文をすると
「チーズフォンデュ用にカットしますね」
緑髪の女性がテーブルの状況を見て気を利かせてくれたよ。
すぐにカットされたバケットが届いた。ガイアの伝統的なバケットに近くて表面は硬くて中はもっちり密度が高い感じでチーズに沈めてもふやけずチーズを纏う感じで美味しいよ。
「この硬めでギッシリ感があるバケットはチーズフォンデュと相性抜群だな」
「うん。硬い部分の食感がたまらないね」
七海も私も柔らかくて食べやすく改良されたバケットでなく、本場の周りは硬くて中はぎっしりモチモチなバケットが大好きだよ。デパ地下でも十分美味しいのは手に入るけど飯田橋にあるパリ本店の店に時々買いにいったりするくらいのバケットマニアな私達です。
「ねーさんも、彩美ちゃんも硬いのが好きでメモメモ」
なんか美香のメモが後日、違う意味に変換されていそうな恐怖を感じるよ。
 チーズフォンデュを終えると毎度だけど私は満腹になったのでワインだけ。二人は追加注文をどんどんしてるよ。本当に美味しそうで楽しそうなんで二人の食べる姿を肴に酒を楽しめるね。デザートでティラミスを注文したけど、これは私が好きなので物語に紡いでいたからメニューにあった感じかな。デザートもサイズは私的に大盛だったので七海に半分食べてもらったけどね。

 今晩はイベントフラグになりそうな方々は闇の国との新年式典に出席しているのでイベント発生はないので気楽だね。本当は、もう一件!なんだけど私の体力がかなり消耗しているのに気が付いた二人が部屋飲みにしてくれたよ。王宮に戻ると風呂の準備が出来ていて気分も体もスッキリだよ。
「あっあっ、駄目。気持ちよすぎる・・・」
風呂上がりにベッドで見悶えている私ですが皆様ご期待なことをしている訳じゃありません。疲れが溜まって回復が少し追い付てない私を二人が魔力を込めてマッサージしてくれているんだけど、マッサージも気持ちいいけど光の魔力で身を焼く闇の魔力が中和されて表現出来ない快感を生み出してる。二人同時だと七海が一人でやってくれる時に比べて相乗効果なのか何倍もの快感になって少しヤバイ感じなの。
「あれ?彩美ちゃん、どうしたの?」
って、美香さん。そこを聞きますか!?
「あの・・・その・・・あ、ああああ・・・」
無理です。性感とは違う快感だけど押し寄せる感覚に意識が完全に負けてます。ツッコミに応じたい意識はあるけど思考が押し寄せる感覚に負けて発散してしまうよ。
「イジリたくなる気持ちは十分に理解できるが、今は快感の海に溺れてる彩美を見て楽しむだけで我慢してあげよう」
フォローをしてくれてる七海だけど。ツッコミ返したい要素満載なんですが・・・もう無理です。
「ああああ・・・」
一気に訪れる絶頂とは違い、薄く少しずつ意識が白く染まっていく感覚に溺れていく。意識はあるけど気持ちよさの残滓に溺れ感覚の全てを別世界に感じ放心状態だよ。

「さて、マッサージは十分かな」
すごく楽になったよ。ありがとうって伝えたいけど微睡に負け反応出来ない私の虚ろな瞳を七海が覗き込む。視点が定まらずボケた視界だけど金色の美しく惹き込まれそうな瞳だよ。なんとかゆっくり瞬きだけでもして感謝の意思を伝える。
「少し楽になったか、よかった。明日は忙しい一日だから今晩は少しはやいけど寝るか」
七海の言葉に美香がランプを消して部屋を暗くし自分のベッドに向かう。
「美香。今晩は少し狭いが一緒に彩美と添い寝をしないか」
添い寝の意味を理解した美香が
「よろこんで」
と、七海と逆側に寝そべり私を抱き締めた。七海と美香に全身を包まれるように抱きしめられると、光の魔力で全身を絶え間なく焼く魔力を感じなくなりる。微睡と二人の温もりに身を任せると気持ちよく意識が闇に落ちていく・・・

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