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第一章~冒険者への旅立ち~

第44話~やっとファンタジー要素のドラゴン討伐だよ~

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ジルが連れて来てくれた店の店内は厨房だけで席は全て通りに並べられてるよ
まだ時間も早く客も少ないので厨房にあるカウンター近くの席に案内されたよ
まずはビールを注文する
すぐに出てきたけどサイズ感がバグってるよ
ピッチャーより大きな樽をイメージしたジョッキ
数リッターはあるでしょ!?片手で持ち上がらないとか
ビールを飲むのに部位強化を使う日が来るとは想像もしてなかったよ
七海も部位強化使ってるね

「あっ!!」
ジルが思い出したように
「ごめんこのサイズは重過ぎたか」
「部位強化で問題ないよ」
「部位強化?」
そうなかミナイにはガイア人とメネシス人の筋力差を教えてなかったね
”メネシス人はね私達ガイア人の三倍筋肉密度があるの”
「私達の1/3しか筋力が無いってこと」
”実際は縦横に筋繊維はあるので二乗倍になるから筋力差は九倍だね”
「まあ私達も普段から最大筋力で生活してる訳でないから彩美達も日常は困らないみたいだけど」
「このジョッキは片手では無理でしたので部位強化を使ってるよ」

ビールを飲んでると串に刺さった大きな肉塊を店員が持って来て目の前で取り皿に削ぎ落してくれる
キッチンをよく見ると串に刺さった巨大な肉塊が回転しながら焼かれてるよ
”シュラスコだ!”
「このスタイルのお店はガイアにもあるのかい?」
「あるよ」
「じゃココも彩美の物語に出て来たのかな」
”それが書いて無いんだよシュラスコ知ったのは七海と出会ってからだし”
「偶然なのか何処かに彩美の想いがまだ世界に影響力があるのか」
”多分偶然だけどシュラスコはかなりお気に入りのスタイルだからうれしいよ”
七海は思う存分にお腹いっぱい食べれて私は好みの肉を少しずつ楽しめてデートに使い勝手よかったよね

もう流れはわかったけどメネシスの飲み会前半は会話と酒に肴でなくって酒と大量の飯で腹を満たすから始まるんだよね
店員が持って来る色々な肉を好きな量だけ切り分けて貰い食べる
皆んなは私の数倍は毎回食べてるよね
私はそろそろお腹ギブなので野菜を少しサーブして〆に入るよ
パイナップルに似たフルーツの焼き物は〆に最高だったね

ってまだまだ食べ続けてる三人ですがしばらくは傍観します
シュラスコは大きい肉塊を長い串に刺して焼くんだよ
牛とか豚でも鶏でも色々な肉の塊を串焼きで勘違いされるけど薄肉を何枚も重ねて串に巻くトルネードケバブとは別物で肉々しさはシュラスコの圧勝ね
三人の食欲も少し落ち着いて食事も酒の肴な感じになったのでビールを追加してトークモードだね
「あのジルさんとも相談した結果でギルド依頼をお願いしたいのですが」
「内容は?」

ミナイが説明してくれる
明日ある四人組のパーティーが銀級昇級試験を受ける
昇級依頼は西の大渓谷にドラゴンが居座り街道の安全を脅かしているので討伐すること
西の大渓谷付近に領地を構える貴族がドラゴンの生息域拡大で領地に被害が出る事を懸念して冒険者ギルドに依頼を出した
依頼時に確認出来ていたドラゴンの種類はワイバーン級が数匹となっており銀級昇格へバランスの良い昇級試験として採用され試験対象に推薦されたパーティーの実力であれば討伐失敗はあっても死者が出るレベルではないとの判断だった
だが依頼を出した貴族より付近を通過した商団よりリヴァイアサン級の目撃情報があったとの追加情報が届いた
リヴァイアサン級となると白金級のパーティーが妥当な依頼になる
ただ目撃情報は一件のみで信憑性が薄く昇級試験は実施することになったがギルドとしては保険を掛けることにした
依頼での生死は受諾者自己責任だがギルドの推薦で依頼を受けてもらう昇級試験で死者を出すことは可能な限り避けたいから

「で今回は事前通達の昇級試験なので念のため御二人に護衛をお願いしたいのです」
「私も監視者として同行はするけど片腕ではワイバーン級で何かあった時の対応は出来てもリヴァイアサン級が居た場合は厳しいからね」
「報酬は・・・」
”報酬はいらないよギルドの懐はいつもギリギリでしょ”
「でもそれでは」
「もしリヴァイアサン級が居て倒したら素材としてかなり高額で売れるからね」
「居なかった場合は」
”七海とジルと一緒にピクニックを楽しんでくるよ”
「途中で食材になるモンスターに出会いたいね」
”腕によりをかけるよ!”
「本当にありがとうございます」
「彩美のモンスター料理は楽しみだな」
「ジルさんは彩美さんの料理を食べた事があるんですか?」
「臭くて食えないと言われるワーウルフを美味しく調理してくれたよ」
「わあ!私も食べてみたいなあ」
本当にメネシスでは食べる事は重要な楽しみなんだね

「パーティーからは西街道の乗り合い馬車で大渓谷付近まで行き野営で一泊をし翌日に討伐を予定しているとのことです」
乗り合い馬車は安全の為に日の出ている時間しか運行をしない
闇の国を朝に出て大渓谷付近までは西街道で約六十リーグなので七~八時間
街道から大渓谷までは約十リーグなので徒歩で移動すると暗闇の中でドラゴンと戦う事になるので途中で野営するのは最適な判断だね
ドラゴン類は闇属性が多いから夜の戦いはかなり不利になるからね
「乗り合い馬車は九時にギルド前を通りますので顔合わせもありますので八時までにギルドへお願いをいたします」
”おっけー!”

最後に特大ジョッキをもう一杯頼んで飲み干したら今日はお開きだよ
黒泉館の部屋に帰るとお風呂で少し晩酌をしたら今日は普通に寝るよ
って普通にって表現がどうなのか謎だけど
寝る前に万が一でも寝坊するとなのでナーターシャに六時に起こしてもらうお願いをしておくよ
メネシスにも目覚まし時計があれば便利なんだけどね
七海の温もりが気持ちよく身を任せていたら意識が闇に落ちて行く

目覚ましをお願いして大正解だったよ二人揃って大爆睡してました
最近は朝ノンビリだったから早起き感覚が完全に無くなっていたよ
着替えをしてメイクを済ましたタイミングでナターシャが朝御飯を届けてくれたよ
今日はクロワッサン風のパンと緑豆のポタージュにコーヒーだね
緑豆はグリーンピースとほとんど同じ味で少しだけある苦味がアクセントで美味しかったよ
まだ時間があるのでコーヒー片手にテラスで一服
「リヴァイアサン級が居てくれると面白いね」
”やっと異世界冒険者の展開だね”
「そうだね今回は気楽に楽しめそうだね」

そろそろ丁度よい時間になったので冒険者ギルドへ向かうよ
この時間のメインストリートはモーニング営業をしてない店前は朝市で行商人や農家がシートを広げて食材とか朝取れ野菜を売ってて賑やかだよ
何時ものように七海が私に寄り添い朝市をウインドウショッピングしながら歩いて冒険者ギルドに到着
ギルドに入るとミナイとジルに昇級試験を受けるパーティー四人が待ってたよ
「おはようございます!彩美さん七海さん」
「おはよう御二人」
「おはよう!」
”おはよう!”
「こちらが本日御同行をお願いするパーティーになります」

短髪の赤髪で長身で筋骨逞しく革と鉄を組み合わせた軽量鎧にブロードソードを背負った二十歳半ばくらいの男から挨拶が始まったよ
「鉄級冒険者のケンプファーですパーティーのリーダーでアタッカーをやってます」
次はショートカット緑髪で三十歳位の女性なんだけどデカい!背はジルと同じくらいだけど横幅と厚みは1.5倍位はある筋骨隆々な体をプレートアーマーに包みロングソードと盾を装備してるね
「私はサイだよ役割はタンク」
背中の半ばまであるワンレン赤髪で十代前半の幼さ残る顔立ちな女性で黒ロングワンピースに黒コルセットで鉄乃剣バングルを身に付てるよ
「攻撃魔法師のメイレーンです」
青髪ボブ姫カットで軽装革鎧に身を包み鉄乃剣バングルを身に着けた二十歳半ばくらいの女性
「セレンです回復とバフ魔法で支援メインです」
見本みたいなバランスのとれたパーティー構成だね

”水晶級の彩美です”
「同じく七海です」
「今回はよろしくお願いいたします」
ケンプファーがパーティーを代表して一礼をする
「彩美さん依頼受領のサインをお願いします」
ミナイに差し出された依頼書にサインをする
「そろそろ馬車が来ますのでギルド前でお待ちください」

ギルドの外に出るとすぐに乗り合い馬車が来たよ
乗り合い馬車もランクがあるんだけど鉄級の報酬では一番下のランクだね
荷馬車用の幌馬車に長椅子が設置されてるだけの簡易な客室
馬車が動き出すと振動が凄いこと
一番後ろの席に七海とジルと一緒に座ったよ
七海は私にもたれ掛かって座ってるよ
王都を出て西街道を歩くより少し早い速度で馬車は進む
というかこれより早い速度だと乗ってられないひどい乗り心地だね

前の席には四人組が座ってるけど私達が後ろにいるので緊張しちゃって会話も少なく静かだよ
少しアイスブレイクしないと今後に響きそうだね
空間拡張術が施されたポーチからワインを二本取り出す
一本をケンプファーに手渡し
”今から緊張してたら持たないよ今日は移動だけだから飲もうよ!乾杯!”
「あっ乾杯です」
一口飲むんだらボトルを七海に渡すよ
「よろしく!乾杯!」
次はジルにボトルを渡す
「依頼遂行時以外は私達は旅仲間だからね乾杯!」
ケンプファー達も一口飲みボトルを回して乾杯をしたよ

「あの彩美様と七海様は冒険者登録から一週間で水晶級になったとお聞きしているのですが」
メイレーンが滅茶苦茶に緊張した感じで質問してきたよ
「質問に答える前に私も彩美もね様とか言われるの嫌いなの冒険者階級制度での慣例とか色々あるけどさ」
”今回はパーティーメンバーではないけど一緒に旅をする仲間だから階級とか気にせず気楽に接して欲しいな”
「それは私もだよ」
ジルも同意してくれたよ
「そのでは彩美さん七海さんジルさんでいいですか」
”「さん」も無くていいけどそこは任すよ”

「二人は冒険者登録から一週間だけど色々な事情があって北方最果て辺境から闇の国まで来る間に並の冒険者以上の試練を乗り越えて来てるからな登録時には余裕で水晶級レベルまで成長してたってね」
ジルが表向きな設定に合わせてフォローしてくれたよ
ジルがワインボトルを渡してくれたので一口飲んでメイレーンの額に手を当てる
突然で少し驚くメイレーン
私の中にはメイレーンの色々なパラメタが流れ込んで来る
”鉄級で火嵐まで使えるのか!鉄乃剣だけどポテンシャルとしては金か銀乃剣級の火葬も使える可能性があるね”
「わかるんですか!?」
”わかるというか感じるかな”
「ってぇメイレーンってそんな凄かったのか!?」
ケンプファーが目玉が出そうな感じで驚いてるよ

少しは打ち解けられたかな
”お酒はいっぱいあるから足りなかったら言ってね”
私達は回し飲みのボトルが空いたのでジルに新たなボトルを渡して七海と私も二人で新たなボトルを飲み始めたよ
もたれ掛かる七海の温もりと軽い酔いが気持ち・・・よくなぁあああい・・・そろそろ馬車の揺れでお尻がいたいよぉ
椅子は板張りの背もたれ付きベンチだからクッション性はまったく無しでね
もう少しで限界!無理だぁ私は空飛んで渓谷まで行く!って言いそうになる直前に休憩で馬車が止まったよ
まずは我慢の限界が近かったのでトイレとか無い森の中なので木陰に隠れて用を足すよ
必要に迫られて熟して慣れては来たけど行為の感覚は思い出せないけど昔にした立ちションと違って恥ずかしさは何でか凄いけどね
七海は「ウオシュレットあるともう少しいいけど」とかボケモードだし
しかし後一~二時間の距離まで来てるけどお尻限界だよ
ポーチに寝袋がある事を思い出した七海が寝袋を座布団代わりにと渡してくれて何とか耐えれるかな

座布団代わりの寝袋があっても本当の限界直前で目的地に到着で下車
助かった本当にメネシス人は筋肉が凄いからクッションの代わりをしてるかな?だけど七海もシレっとしてるのが凄いよ
「痛がってる彩美を見てたら面白くて尻の痛みを忘れてたよ」
おーい!もう何も言いませんが完敗です

時間は十六時少し過ぎでまだ日差しあるね
下車した場所は長距離移動する商団とか旅団が野営に利用する街道脇に整備された野営地
まあ野営地といっても地面が平らに均されて横に流れる小川に水場が設置されてるだけね
後から団体さんが来るかもなので一番奥の端に私達は陣取ったよ
野営に必要な道具を取り出す為に手の平にポーチを多重空間から取り出すと
「うわー多重空間収納ですか!いつかは使えるようになりたいです」
キラキラな目でセレンが私をみてるよ
セレンの額に手をあてパラメタを読み取る
”うん可能性はあるよ鍛錬を怠らなければ”
「本当ですか!!頑張ります」
大きなリュックを背負ったセレンは自分達の野営準備に向かう
鉄級だと高額な空間拡張ポーチとかの購入はまだ難しいから大荷物なんだよね
あとパラメタを読み取るといっても全てがわかる訳ではないよ
今の魔力とか成長の可能性が何となく把握出来て使える魔法は魔力から推測してるだけだよ

テントと焚火の用意を終えたので
”さあ食材を集めに行こう!”
「じゃあ私は野草とか集めてくるよ」
元農家のジルは野草に関しても知識豊富で助かるよ
私と七海は野営地横の森の中へ
野営地の喧騒が届かない奥まで来たら気配を消して周りの気配を探るよ
小動物の気配は多いけど食材サイズはなかなか見つからないね
おっ剣で狩るには少し遠いけど居たね
念通で七海に目標位置を共有すると七海は静かに目標に腕を伸ばして細い光矢を一本放つ
「ぷぎゅぅ~」
断末魔が聞こえて来たね

くう重いよ
見た目は猪だけどサイズが牛サイズとかさあ
七海と二人で部位でなく全身強化して息も絶え絶えで野営地まで運んで来たよ
包丁を取り出して解体をするよ
血抜きに関しては光矢が腹部を貫通して即死でなかったので傷口からの出血でかなり抜けてるからよしとしようね
内臓を取り出して皮を剥ぎ部位単位に別けるよ
しかし量が多すぎだね

私達が狩に行ってる間に五十人ぐらいの商団が野営地に到着していたのでリーダーと思われる人の元へ行くよ
”すいません”
話掛けると振り返り水晶級メダルを見つけ驚いてる
”水晶級冒険者の彩美と申しますが夕食の食材で猪を狩ったのですが食べきれないので貰ってくれませんか”
「それはありがたい」
”ちょっと量があるのでアソコに見えるテントまで取りに来て頂けると助かります”
野営場所に戻り解体の片づけをしてると数人の商団メンバーが肉を取りに来てくれたよ
肩ロース以外は自由に持って行ってと伝えると
「骨とか毛皮も貰っていいんですか」
流石商人だよ商魂逞しいね
骨も毛皮も需要が多いから商材になるんだよね
”はい私達の必要とする量は別にしてありますのでココにあるのはご自由に”
持って来てた台車に内臓も含めて全て乗せてるよ
「ありがとうございます!内臓も新鮮なので無駄なく食べさせて頂きます」

モンスターなら必要な食材だけ取って消し去っても罪悪感ないけど自然に元々いた獣達の命は出来るだけ無駄にしたくないからね
血が地面に染み込まない様に敷いてた防水布を野営地に流れる小川に持って行き血を流して森の木を使って干してるとジルが戻って来たよ
「根菜は残念な結果だったけど葉物と茸は色々揃えられたよ」
おお!葉物はネギに春菊みたいな葉とアロエみたいな肉厚の植物だね
茸類は椎茸と舞茸な感じで美味しそうだよ
”ありがとう!これがあれば考えていた料理が作れるよ”

肩ロースは血抜きが完璧ではないので薄切りにしたら塩で揉んで臭みを抜くよ
他の仕込みがあるので肉の塩抜きは七海に任せたよ
ネギは一口サイズにカット
春菊みたいな葉を味見してみると味も春菊に近いね
春菊は適当なサイズにカットだね
アロエみたいのは皮を剥ぐと半透明なプルンプルンな状態になったよ一口味見すると無味の堅いゼリーだね
肉の塩抜きを終えた七海が戻って来たので仕上げだね

ジルが焚火を起こしてくれてるよ
私は大きい鍋に水を張り焚火に設置した調理五徳に置いて沸騰するのを待つよ
「今日は何が出来るんだい?」
七海は予想が付いてる顔をしてるけどジルはもしかしたら見た事ない料理かもだね
”牡丹鍋だよ”
「ボタン?」
”ガイアでは猪を牡丹って呼んだりもするんだ”

鍋の湯が沸いたので味噌を溶かすよ
そう醤油があるなら味噌も絶対にあると探していたら朝市で見つけて買っておいたんだよ
醤油の発祥は味噌を作る時に出る上澄みだったんだよ
今のガイアでは上澄みより美味しい醤油を作るのに醤油専用の仕込みが多いけど
味噌が溶けたら米酒を入れて味醂はないので砂糖を少し代用で入れて味見
味噌のパンチが薄いので少し醤油を入れて味を整えたら鍋出汁の完成
野菜や茸と薄切り肉を入れて肉に火が通ったら食べれるね

ジルがケンプファー達を呼んで来てくれたよ
”さあ晩御飯だよ!”
「ここまで甘えてしまいよろしいのですか?」
ケンプファーが確認をして来たね
七海が
「鍋は大人数で食べた方が楽しいから遠慮しないでね」
と伝えると
メイレーンが
「まさか野営で鍋を頂けるなんて」
と大興奮
セレンは
「わあ美味しそう!」
と目がキラキラだね
サイは無言だけどよい笑顔をしてるね

牡丹鍋といえば米酒だね
何本かポーチから米酒とグラスを取り出し皆んなに配りグラスへ米酒が注がれる
「「乾杯」」
やはりです凄い勢いで食べ始めたね
”肉はいっぱいあるからどんどん食べてね”
そういえば今まで気にしてなかったけどメネシスの人も普通に箸を使うんだね
さて私も食べるかな
うん肉は臭みが抜けて豚肉より少し野性味は感じるけど味噌の風味でいい感じだね
気になったのはアロエみたいなやつね
煮込んだら瓜みたいな食感になって味も染みてるので面白いかも
私は小皿に数杯でお腹いっぱいだけど皆んなはまだ腹二分目もいってないよね
米酒を飲みつつ肉を追加したり野菜を追加したりしてるよ

気が付くと十キロくらいあった肩ロースが無くなってるよ!!
私は少しだから誤差として一人約一キロ以上って驚き
メネシスの人はわかるが七海は何処に入ってるんだい

さて〆だね
雑炊を作るけど長粒米は生のまま鍋に入れて十分ぐらいで煮えて食べれるから楽だね
本当は卵があればだけどね日持ち考えるとポーチに入れても厳しいから我慢だよ
米が煮えたので丼によそって渡して行くね
御代りは自由でお願いして私はおたまに一杯だけ味見だよ
イメージする雑炊とは違うけどこれはこれでいいかな
粘りがでないので米入りスープみたいな感じだけどね
十分くらいで汁一滴も残らない鍋になりました

鍋とか食器は鍋のお礼でメイレーンとセレンが洗ってくれるってんでお願いをしたよ
焚火を囲んで酒を飲みながらしばらく皆んなで雑談だね
ケンプファー達は闇の国の南辺境にある村の同郷なんだって
「実はリーダーやらしてもらってるんですけど俺が一番若いんですよ」
そうだよねサイは明らかに年上だしメイレーンとセレンは覚醒してるか刻は止まってるしね
「俺が十五歳の時に村はワイバーンの群れに襲われて壊滅しちゃったんです」
「ワイバーンは村人を襲い食べ始め私達はワイバーンから逃げ回っていたら偶然一緒になってさ」
おっサイが長々話すの初めて聞いたよ
「なんとかメイレーンの魔法とサイの剣で撃退は無理でもワイバーンを寄せ付けない様にして村から逃げて俺らは生き残れたけど・・・」
「ワイバーンが去ってから村に戻ったら生き残りは私達だけだった」
サイはソロで冒険者登録をしたばかりで無事大理石級に登録出来たと両親に報告するため村に戻って来てたところだった
メイレーンは見た目に反して最年長の既婚者で三十年連れ添った鍛冶屋だった夫をワイバーンの襲撃で失った
襲撃と関係ないけど火属性の魔法師は火を扱う鍛冶屋と結婚する事が多いんだよね
セレンの両親は魔法が使えないから祝福の日でなく覚醒だったんだけど覚醒のダメージが抜けて動けるようになったばっかしで魔法もまだ使えず逃げ回っていたところだった

村に戻ったケンプファーが見たのは喰い散らかされた村人の死体だった
ワイバーンは人の内臓を好んで食べるので餌となる人が多い場合は肉は食べずに内臓だけ食べて放置する事も多い
街中に転がる死体の中に両親を見付けたケンプファーは復讐を誓いサイに弟子入りを願った
愛する夫の死を確認したメイレーンも復讐のために冒険者になることを決めサイにパーティー結成を願った
セレンは
「私は小さい頃に火事で両親は失ってたし親戚もいなかったので復讐とかどうでもよかったけど行く当てもないのでとりあえずパーティーに参加する事にしたんだ」
と流れで参加したけど毎日ボロボロになるまでサイに剣技を教わる健気なケンプファーに惚れちゃって「とりあえず」から「ずーっと」になったんだって

「最初はすぐに音を上げるかと思ったがケンプファーは剣の才能があったみたいで私のシゴキでメキメキ上達して行くので冒険者として活動をしばらくせずケンプファーの修行に付き合う事にしたのさ」
「私は覚醒したばかりで魔法の使い方もわからないからメイレーンに教わりながら二人で魔力を鍛えていたよ」
村があった場所で畑を耕し狩をして自給自足の生活をしながら各々修行を重ね五年の刻が経過した
「俺が二十歳になった区切りで王都に行き冒険者登録とパーティー登録をしたんだ」
「それから六年で鉄級・・・やっとワイバーン級の依頼を受けれる銀級が見えて来たよ」
「じゃあ今回の昇級試験ギルド依頼は・・・」
七海も思ってたんだね
「昇級試験がワイバーンって巡り合わせはあると俺は感じたよ」
「無理なのは承知してるが夢は大きく私達の目標は全てのドラゴン類を壊滅させて村の復讐をし再び悲劇を繰り返させないためだからさ」
”いいと思うよ手が届かないから夢・・・でも努力次第で手に入る可能性があるのも夢だからさ”

夜も更けて来たのでお開きにして各々のテントへ
ジルは私達のテント前にシートを敷いて焚火を前に横になったよ
七海と私はテントに入ると白酒の瓶を取り出し回し飲みを少しだけしてから七海に寄り添い横になる
さて明日はリヴァイアサン級に出会えるといいなあ
とか物騒な事を考えていたら七海の温もりも心地よく意識が闇に落ちて行く
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