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第一章~冒険者への旅立ち~

第42話~メネシスで女子会~

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黒泉館に着き長期滞在者用フロアに紛れたVIPフロアへの扉を開け入る
「ええ!部屋じゃなく廊下!?何回か長期滞在部屋には緊急連絡とかで来てますがワンルームでぇ!?」
ミナイがパニックになったね
”ここはVIP専用の特別な空間で何ヶ所かある入口の一つがさっきの扉ね”
「噂は聞いたことがありましたが本当にあったんですね」
「VIPとか縁の無い世界と思っていたよ」
少し移動すると新しく扉が増えてるよ
今までの闇の国専用VIPルームを経由しないで部屋入口の階段へ直接出入りできるよ

部屋に二人を招き入れると
「ここが御二人の愛の巣なんですね」
おいおいミナイ!表現を考えてよ当たりだけど恥ずかしいよ
「てぇテラスに馬!?」
まあジルが驚くのも普通だよね
”その馬に関しては後程説明しますのでえ”

ソファーのローテーブルでは狭いのでベッドサイドのテーブルも持って来て宴会場を作るよ
テイクアウトした料理を並べて最初は赤ワインでカンパーイ!
「本当に居心地が良い部屋ですね」
「こんな部屋が黒泉館にあったとは驚きだよ」
”まあ黒泉館は秘密基地の設定だから色々あるんだよな”

さっそく刺身!刺身!って
”えっ!酢〆じゃなくなってる!!”
「本当だね!」
「あの生のお魚ってお腹が痛くなるんじゃ」
「このお店ね特別な処理をして大丈夫なんだよジルが紹介してくれて」
”私達の居たガイアの国だと生魚は普通なんで恋しくてね”
「でも怖いけど美味しそうに食べてるのを見てると我慢出来ないです」
醤油を漬けてパクリのミナイ
「おいしい!!この滑っとした感触が癖になるよお」
”少しゆっくり噛み締めてみて”
「焼いたり煮たりと違って色々な味が魚だけなのにするよ」
ミナイも刺身を気に入ってくれたみたいで嬉しいし早速の冷凍と解凍技術の研究も凄いよ

しかし毎度だけど三人の食べる速度と量が恐ろしい
フライの盛り合わせや串焼き盛り合わせにピザが三人の胃袋に消えて行く
私はちょこちょこと摘まみながらでもお腹いっぱいになって来たよ
三人は食べ終わったデリバリーケースを下げスペースを作ってまだ開けてなかったテイクアウトをテーブルに並べてるよ
メインデッシュは鶏の丸焼きだね
見た目はガイア鶏の倍くらいあるけどサイズ以外は同じだね
手際よくジルがバラバラにするとお腹の中からピラフが出て来たよ
胸肉とササミはバラバラにほぐしてピラフに混ぜてくれたよ
モモと手羽が二本ずつだったのでミナイと私は手羽で七海とジルはモモにしたよ
手羽元にかぶりつくと思ってたより脂はサッパリでお腹いっぱい近くても食べれるね
きっと焼き方が上手で上手く脂を落としてるんだね
七海と一口づつ交換したよ
モモはガッツリの肉感で食べ応えが凄いね
手羽を食べ終わるとお腹いっぱいだったけどピラフの味も気になり少しだけ食べたよ
ほぐした肉は味が濃いねピラフは鶏のエキスとか脂を吸って風味が最高だよ

色々買って来た肴もそろそろ尽きそうなタイミングで
「王宮から使者が来ております」
って狭霧が来たよ
”ちょっと行って来るね!”
狭霧に案内され黒泉館のロビーにある応接室に入る
案内を終え部屋を出ようとする狭霧に小声で
”二人にお風呂の準備をお願い”
と伝える

部屋には既に初老で貴族服に身を包んだ男性が居る
準備された応接セットのソファーに座らず私達が入って来るのを待っていたよ
「儀典官のクエです」
”水晶級冒険者の彩美です”
「同じく七海です」
「反逆軍の件では我が国の平穏の為に御尽力を頂き大変に感謝をしております」
”私達は冒険者ギルドよりの依頼を遂行しただけですので”
少し儀礼的な挨拶を終えソファーに座る
「本日は王妃様より御二人を王宮に御招待致したいとの事を御伝えにまいりました」
”謹んで御受けいたします”
「この場では詳しく御話出来ませんが急く内容もあるとの事で急でございますが明日の十五時でお願いできますでしょうか」
”拝領いたしました”
「では明日の十四時頃にお迎えの馬車が黒泉館に参ります」
歩いていけるけどと言いたいけど儀礼的に王宮が礼を持って迎える場合は迎え馬車なんだよね
話が終わり儀典官が挨拶をして部屋を出る

ふ~形式は重要だけど疲れるね
部屋に帰ると二人は東屋風呂で月見酒をしていたよ
私達も服を脱いでテラスに出る
「おかえりい~」
「お待たせ!」
と言いつつ
まずは一服
何をしてるか気になった二人が湯舟からテーブルに来たよ
「それはなんですか?」
「タバコって言ってガイアの趣向品の一つかな」
「不思議な光景だけ口から煙が出て来るとか」
”吸ってみる?”
「いいんですか」
「いいのか」
一本ずつ渡すと咥えてので指先に火を出し先端に近付ける
「軽く吸ってね深く吸うと最初は咽ちゃうよ」

「ごふぉごほ」
ミナイは強く吸い過ぎたみたいだけどルシファーにしてもいきなり紫煙を肺に入れるとかタバコを吸うのに最初は上手くできないことを易々とやるなあ呼吸の仕方がガイア人と少し違うのかな
何吸いかすると二人とも上手に吸ってるよ
「なんか不思議な感じだなあ」
「ええ何とも表現出来ないですね」
”まあ私もなんだか落ち着くから吸ってる感じだしね”
吸い終えると吸い殻を鬼火で消してお風呂へ
吸い殻を消すのに驚いてる二人に
「ガイアの物だから外に出ちゃって何か起きるとなんでね」
と七海が説明してるよ

掛湯をして湯舟へ
四人で並んで月見酒だよ
ミナイから米酒の入ったグラスが手渡さられる
「「乾杯」」
月を見ながら杯を傾け色々な話をしばらくしたよ
ジルの苦労した依頼の話とか
ナ国に居るミナイの彼氏惚気話だったり
まだ来てないけど美香の紹介したりしたよ

部屋に戻るとナターシャがテーブルの上を片付けてくれている最中だったよ
「もう少しお待ちくださいませ」
片付け終わると女子会をやってるとルシファーから聞いたらしくデザートにケーキを買って来てくれていたよ
ケーキとコーヒーを準備終えると
「では引き続きお楽しみください」
とナターシャは部屋を出る

「うあ!超人気店”ソーシャの店”のチーズケーキですよ!」
ミナイのテンションがマックスだよ
「これが王宮パワーなのか!?」
ジルの判断は正しいよ
”有名店なの?”
「ええ!喫茶もテイクアウトも三時間待ちは普通の超人気店ですよ!列に並んでも開店前から並んでないと売り切れになって手に入らない時もあるんですよ」
「間違いなく王宮の御客様へ出したいとか店に無茶振りしてるね」
王宮からの頼みを断れる店はないし王宮の注文は店として箔がつくしね

ケーキのサイズもガイアの倍です
本当に私から見ると全てが大食いチャレンジな世界だなあメネシス
見た目はベイクドチーズケーキだけど味はどうかな
一口食べるとチーズが凄く濃厚なのに上手にホイップされ適度に空気を含んでいてフワッと軽い感じ口当たり
ボトムはパイ生地だねバターの香りが濃厚でサクサクでボトムだけでも美味しいよ
ただ全体的には甘みが強いのはメネシスとガイアの味覚差かな
お腹いっぱいと思ったけど美味しくて全部食べれた驚きだよ

ケーキを食べ終えコーヒータイム
「ああ美味しかったあ!何回並んでも食べれてなかったので本当に嬉しい!」
「スイーツはあんまり食べないけどコレは本当に美味しかったよ」
あとでナターシャに感謝を伝えないとだね
さてそろそろお開きだね

テラスに出て皆んなで一服だよ
「じゃあ私はジルを送って行くね」
”私はミナイだね”
???な二人だよ
一服を終えて
”ダークおいで”
テラスの隅で寝てた黒馬が私に寄り添いに来たよ
鞍と手綱を付けるとダークに跨る
ミナイを引っ張り上げ後ろに跨らさす
七海はフリューゲルにジルと跨ってるね

ダークとフリューゲルが翼を得て大空に舞い上がる
テラスから一気に高度を上げ地上からは判別出来ない高さまで駆けあがるよ
「うそ!?空飛んでるよ!」
「飛行魔法までつかえるのか二人は!!」
海の上を大回りして空の旅少し楽しんだよ
それから南門から少し離れた場所で目立たない場所を探し周辺を鷹目で人が居ない事を確認して着陸したよ
「凄かったな空の旅」
「夢みたいだったね」
南街道に出て西街道に抜ける脇道から西街道を経由して西門へ
王都に入ると七海はジルの家がある北門から農業地帯へ
私は西門横の丘上にある住宅街へ進むよ

丘上の住宅街はガイアで言う独身用ワンルームアパートが集まってるよ
王都中心部から少し離れてるので家賃が安いからね
「あっここです」
”今日はありがとう楽しかったよ”
馬からミナイを降ろす
「私の方こそです」
”そのさ・・・ギルドの受付女と冒険者の関係でなく・・・友達になってくれないかな”
「彩美さんってジルさんからも聞いてましたが本当に律儀ですね」
”えっ”
「私は彩美さんを大親友と思ってますから今日の常識外な出来事を全て受け止められてますよ」
やばい私は鈍感!?
「じゃなきゃ失神が連続の今日一日ですよ」
”ありがとう”
「今後も一緒によろしくだよ!」
ミナイが手を伸ばしてきたので受け止め握手をしたよ

ミナイと別れダークと常歩でゆっくりと黒泉館に向かうよ
メインストリートの北門への分帰路を過ぎた辺りで速歩で帰って来た七海と合流したよ
本当に何て言うか阿吽でタイミングが揃うんだよね七海とは
黒泉館の厩舎に到着すると深夜でも担当が待っててくれてダークとフリューゲルを預かってくれたよ
「おお!凄い!このような素晴らしい馬をお預かり出来るのはうれしいですね!お任せください」

部屋に戻り白酒を頼むと風呂へ
さっきは掛湯だけだったのでナターシャが準備しててくれたオイルでメイクダウンして髪と体を洗って完全すっきりで湯舟にね
少し温まったところでナターシャが頼んでた白酒とグラスを持って来てくれたよ
”ナターシャ!ケーキありがとう皆んなも喜んでくれたし私も本当に美味しかったよ”
「御二人の為であれば王宮権限を全て使ってよいとルシファー様から仰せつかっておりますので」
本当に真面目だよね・・・あれ真面目って言いかえれば・・・律儀
何かその・・・

ナターシャが部屋を出て七海と酒を飲み交わし始めたら
「何か悩んでるかな?」
”いやそのぉ”
「ナターシャと自分を重ねたね」
”何でわかるかな"
いきなり七海が胸に私の抱きしめる
「それは似て非なる思いだよ」
”なんで”
「ナターシャは主君の為で彩美は未来を切り開く為で似てるけど意味は全く違うから」
”なんか理解出来そうで理解出来ない”
「まあそれが彩美だね・・・感じるより理解したいって私は好きだよ」
”やっぱ私って鈍感なのかな”
「あのね!本当に鈍感なら私の店でトップとか無いから!」
”えっ!?”
「難しいけど結果は同じでも違う理由で同じ答えへ辿り着いた・・・まだ無理に理解しなくていいけど」
”そうか!私もまだまだ経験不足なんだよね”
「まあ干支一回りの経験差は一応あるからさ」
本当に七海って最高だよ
もう脳内は七海への惚気モード全開な壊れでいいよね
”七海・・・今日は・・・”
「もう少しだけ私が望む二人の黄昏飲みを楽しんだら・・・」

言葉はなくても抱きしめられ触れてる肌の感触で七海が癒してくれる
あれ・・・珍しく酔いを感じるよ
ふわ~ってして視界も少し微睡む
可笑しいかもしれないけど酔いを感じているのに意識をはっきりさせたくてキンキンに冷えてる白酒のグラスを煽る
一瞬だけ喉から胃が冷える感覚で酔いが冷める
「珍しいね顔が赤くなってる」
”なんか久々に酔いを感じてるよ”

濡れた体を拭き少し千鳥る私を七海が支えてベッドへ
そこから私の思考は不安定で記憶も薄い
体の全てを七海に預け脳が白く弾ける絶頂から薄くなる意識を次の絶頂が呼び覚まし再び意識が白く染まる
何回繰り返したかわからない気が付けば快楽で軽く痙攣する体を遥か遠くに感じながら意識が闇に落ちて行く
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