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~序章~
第17話~イベント告知~
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今日の目覚めは気持ち良く目覚められた
日に日にだけど体調が回復しているのを感じられるのは嬉しいよ
覚醒して目覚めてから今日で四十日目
記憶のない百日間と同じ日数で回復が完了するのであればもう少しで折り返し点だね
ガチャ
「失礼します」
ナタリーがタオルとか着替えの寝着をもって部屋に入って来た
「お風呂の準備をしてまいりました」
最近は体調もかなり回復したので寝起きに風呂が定番になっている
”今日もお願いね”
寝着と下着を脱がされテラスの温泉横の椅子まで御姫様抱っこで運ばれる
かけ湯からシャンプーしてリンス
洗顔用石鹸を渡されて顔を洗って桶で持って来てくれた湯で顔を流す
体は石鹸を泡立てたタオルで優しく洗われる
流石に胸を洗われる感覚とかは慣れたよ
ただアソコを洗われる時だけは気を付けないと声出ちゃうので集中
胸とか太腿とかは体が慣れてきたのか前ほど敏感では無くなったけっどアソコだけはまだ無理です
かけ湯をされてサッパリと泡が洗い流される
ナタリーが湯舟に運ぶのにメイド服を脱ごうとしてる
”ちょっと待ってナタリー”
「はい」
”こっちに来て支えてくれるかな”
座ってる横にナタリーが来る
”脚部強化”
前より脚に力が入る感覚がある
ナタリーが私の手を取り上方に引き上げる
なんとか立ち上がれたよ
ナタリーに肩を後ろから支えられて状態だけど右足を前に踏み出す
左足にもっと魔力を集中する
少し体重を前に移動して前足が地面に着く今度は右足に魔力を集中して左足を前に・・・
たった数歩だけど右足左足と交互に魔力を集中して湯舟の脇まで辿り着く
少しずつ両足に集中してた魔力を抜いて行く
ゆっくり膝と足首が曲がり腰が地面に近づいて行く尻が地面に触れたら全ての魔力を抜く
ペタンコ座りで湯舟の脇に座った状態になる片方ずつ脛を掴んで足を動かし湯舟に入れる両足を湯舟に入れると湯舟の縁に座った状態になる
そこからは腕の力で腰を持ち上げて前にずらして湯舟に入る
ドボンって少し湯が跳ねたけど浮力で底に尻が激突する事はなく軟着陸で湯舟に座った状態になった
距離にして一メートルもない数歩の距離
でも久々に自分の脚で歩いた快感と湯が気持ち良くて笑顔になっちゃう
「凄いです!」
ナタリーが驚いているのがわかる
「支えたのはバランス程度でほとんど力を入れておりませんし」
”少しだけだけど脚に感覚が出始めたので出来るかなって”
「でも無理はしないでくださいね」
”うんわかってる米酒をお願いしていいかな”
「辛口の冷でよろしいですか」
”お願い”
「少々お待ちください」
本当に御都合主義は戦闘能力に関する事だけだよね
普通の異世界物なら目が覚めて死にそうになってたらエリクサー飲んで復活とか主人公をサポートする今の私ならルシファーの回復魔法で一発元気とか
仮に回復がなくても予定では百日でしたが脅威の回復力で十日で回復しちゃったとか
女体化後の生理に関してはそこまで描写してる作品が少ないからだけどなかなかの洗礼だったよなあ
脊髄反射とか体のバランスとか変わって自由にならない体をリハビリしなくちゃとか
本当に異世界に来て女体化とかしてすぐに最強冒険者でバリバリ活動するとか羨ましいよね
御都合主義要素がないと異世界転移で苦労物語だよ
何て考えていたら
「こちらに置かせて頂きます」
ナタリーが戻って来て四合瓶サイズのデキャンタとグラスを手の届く場所に置いてくれた
「では失礼します何かあればベルで御呼びください」
ナタリーが部屋に戻って行く
まずはグラスに米酒を注いで一杯目をグッと飲む
いいねキンキンに冷えた辛口淡麗で温泉で暖まる体と胃の中に流れ落ちる冷たさの落差が気持ちいいよ
グラスに米酒を注ぎ今度は味わいゆっくり飲み始める
さて不幸ばかりを嘆いても前に進めないので悲劇のヒロインごっこはこの辺で終わって
部位強化を使えば数歩でも歩けたってことは回復している
ルシファーの見込みではあと二十日位で下半身も動かせるらしい
少しでも早くと思うけど筋力とかと違って鍛えればどうにかなるものでもないってのは理解してるけど
ああもどかしい!!
さっきの数歩も回復の確認であって自己満足以外はリハビリでも何でもない
なんか駄目イライラが全開だ
七海と出会えてからイライラなんて無縁だったのに
とりあえずグラスの酒を一息に飲んで気を落ち着かせる
気ばっか焦ってもダメなんだよ
あと六十日の我慢で七海に会える
それを糧に・・・
あれクラクラする・・・あっ気が付いたらデキャンタ空だ・・・それと湯舟に入ってどれくらい経ってるなか
やばい意識が・・・
「気が付きましたか?」
”私は・・・”
「なかなかベルが鳴りませぬので様子見に行きましたら逆上せて気絶しておりましたのでベッドまで運ばさせて頂きました」
気絶するまで逆上せていたのか私
「はい冷水です体の温度をまずは下げてください」
グラスを受け取り飲み干す
体の芯から冷気が広がり少し意識がはっきりしてくる
”ごめんナタリー迷惑かけて”
「お気になさらず誰でも心疲れる時はあります・・・それも最愛の人と突然・・・」
頬を伝う涙・・・私泣いてる・・・泣いてると意識瞬間に堰を切ったように溢れる涙と嗚咽
ナタリーが優しく抱きしめてくれる
「四十日頑張りましたね」
・・・・・
「七海様と会えない苦しみ・・・思うように動かない体・・・この四十日・・・本当に苦しい日々なのに常に私達に笑顔で・・・頑張って・・・」
”私が転移した日は・・・七海と・・・七海と・・・婚姻届けを出した日だった・・・形式だけかもしれない・・・でも七海と添い遂げる・・・”
「そうだったのですね・・・」
ナタリーの温もりが気持ち良く少しずつ平静な思考を取り戻してくれる
”もう大丈夫!あと六十日頑張る!元気充電ありがとう”
ナタリーが離れる
私の手にポーションが渡される
「夢の中だけでも出会える事を祈っております」
ナタリーが部屋を出る
ポーションを飲むと勝てない眠気がやてくる・・・睡眠のポーション・・・意識が闇に落ちて行く・・・儚くても夢で出会えたら・・・
美香がお店に来た週末からもいつも通りな学生生活と週末の店での出勤が続いていた
学校では少し美香が前よりベタベタになったけど理由を察してる女子会メンバーは温かい目で見守ってくれてる
一部の男子からはなんか視線が痛くなってますがぁ
気が付けば十二月二十日で終業式の日といっても何も無く終わり美香と辿り着く何時もの新宿駅東口
「クリスマスもOKになったので楽しみだね」
”七海凄すぎるよ一緒にクリスマスから年越し初詣までOKを御両親から取り付けるとか”
「それだけじゃないよ彩美もね」
そう・・・ある日の放課後に美香両親と七海に美香でセッティングされた西口の超有名ホテルラウンジでお茶会の日
緊張MAXで美香の御両親ときちんと出会った日
美香母は美香そっくりで美香と並ぶと少し年の離れたお姉さんに見える美魔女
美香父は少し白髪の交じった7:3分けでスーツをビシッと決めて出来るビジネスマンのオーラが凄い
私以外の四人は既に交流があるので私だけガチガチに緊張
既に七海にプロポーズして夫婦として生活してる私達への祝辞
娘のコミュ障を解決してくれたお礼
私が娘の砕けた初恋相手と知りながら美香が全てを受け入れて信頼する大親友・・・娘の友は友と信頼してくれるいるのがわかる
美香がお店に来た週末の件はお泊り会の前に七海と美香母がランチをした時には許可を取っていた
やっぱし七海はきちんと筋を通してだから皆んなから信頼されるんだよね
美香両親は「七海が一緒であれば間違いは起きないし今のまま無菌培養で私の居ない大学キャンパス生活を考えると少し社会経験を積んでおくことも必要」と許可していた
美香は私が辞退する事になった高校が付属している大学へ一緒に推薦合格してるんだよね本当は一緒にキャンパスライフの予定だったんだ
私の居ないキャンパスライフそうなんだよね美香と一緒に気軽に女子会とか出来るのも冬が終わるまで
高校生活三年間いつも学校では一緒で隣に居るのが普通でそれも無くなると思うと寂しくなっちゃうな
でも御両親が私の存在を美香の護衛として認めてくれていたなんて凄くうれしいよ
お茶会の最後に美香父が
「私も若い頃に嫁と出会うまではそれなりに遊んでましたので感覚で分かるというか七海さん彩美さん美香をよろしくお願いします」
「若い頃の遊びを詳しく聞かせてもらおうかぁ~」
との後に耳を引っ張られ美香母に連れ去られる美香父
「まあ毎度の夫婦喧嘩は犬も喰わないとかなのでクリスマスの件は後程でぇ」
美香が二人を追いかけて行く
なんでこんなに御都合主義で・・・なんでか変な感情が湧きおこるが今は無視するよ
終業式を終えて今日からは三学期の始業式まで毎日出勤出来るのはうれしいよ
もう私は新宿の沼に頭まで浸かって戻れない
お店で御客様と過ごす浮世の時間が待ち遠しくてしかたない
七海から「店専属は大学卒業してからでもいいんだよ徳さんにお願いすれば辞退取消も簡単に出来るから」と言われた事もあるけど沼から這い出す事は無理なんだ・・・やっと見つけた「場所」なんだよ
今日の出勤は少し緊張するよ普通イベント告知は一月前位からするんだ
クリスマスのイベントは告知済だけどイブの追加イベントを今日から告知する
この告知をするってことは・・・
「さて今日は少し早いが朝礼をはじめるママよろしく」
マキの声が店内に響く
「おはよう今日は皆に伝えなければいけない事があるマキよろしく」
少し騒めく店内
「公式には発表していないが・・・ママと彩美が付き合ってるのは皆知ってると思う」
キャストもスタッフも皆頷いてる
「御客様に隠してと言っても多くの御客様は知っているが公式的に隠し続けるのも今後の懸念となる」
なんか店内に緊張が走る
「ついに彩美がママにプロポーズをしたタイミングで御客様にも正式に伝える事にした」
まあ本当はずいぶん前だけど流れ的にはこの方が通しやすいしね
「おおお!」
なんか皆んなの視線が私に集まり視線が痛いよ
「手続き等は諸事情で来年春になるがイブの夜に店にて先行して結婚式をして御客様への発表する」
(なんで来年春?)
(彩美ちゃんがあれだからさ)
(そうだったね)
とか少し店内が騒がしい
「はーい」
「希美なんだ」
「ここにいる皆んなは超祝福モードでOKと思うんですが業界として聞いた事がないけど大丈夫なんですか?」
「それが出来るのがコノ店ではないかな」
「たしかに!」
「イベントの告知に関しては本日より行うポスター等の宣材は準備してあるのでスタッフは開店までに掲示を頼む」
七海が一歩前に出て私が手招きで呼ばれたの七海の横に立つ
「皆んな突然ですまないがよろしく頼む」
深々とお辞儀をする
当然だけど私も合わせてお辞儀をする
パチパチパチパチ
誰からともなくはじまり全員の拍手が店内に響く
「彩美!しっかりママを幸せにするんだぞ!おめでとう!」
先ほど質問した希美が大声で掛け声
「「おめでとう!」」
場の皆が一斉に祝福してくれる
やばい涙が出そうだけどメイクがヤバイので気合で我慢
「では今日も御客様が笑顔で帰り明日の活力になる一助として」
マキの声が響く
ーお客様の明日の活力一助へ!ー
全員でハモルこの瞬間は何回見ても圧倒されるよ
「では開店!」
マキの〆で異例な内容告知な朝礼は終わった
御客様を呼び込むまでのわずかな時間で黒服総出で店内に何ヶ所か張ってあるクリスマス告知ポスターの横に結婚式のポスターが貼られて行く
「七海&彩美 結婚式 十二月二十四日 二十三時~」の文言にブーケを二人で一緒に胸元に掲げたウエディングドレスの七海と私の写真
なんか照れるぞこれ
写真はスタジオで撮影したけど「私がウエディングドレスを着れる日がくるなんて」と七海が喜んでいたのはうれしかったな
って私は別の意味でウエディングドレスを着る日が来るなんて思ってなかったけどね
その日の営業中は色々な声をかけられたよ
「おおついにか!おめでとう!」
「絶対参加するからね」
「俺の俺のママぉおおおお!幸せにしなかったら許さないからな」
「じゃあ俺は彩美の二号さんになるのか」
と色々な表現だったけど多くの御客様に先行祝福されてうれしかったなあ
翌日の昼過ぎに指輪が完成したので外商の下田と栢山が二人でマンションに届けに来た
完成した指輪はお願いしたイメージ通りで本当に美しかった
「あとコチラですが必要な分を取りました残りで作成をいたしました」
栢山が指輪とは別のジュエリーケースを二つテーブルに取り出す
七海と私で一つずつ手に取り開けると十円玉サイズの水滴型に極微小多面カットされたアクアマリンがトップになっている細身のプラチナチェーンのペンダントが納められていた
「当店からのご結婚祝いとなりますのでお受け取りを頂ければと」
「御心使い感謝する」
二人が帰った後さっそく七海が私の指に私が七海の指に指輪を着ける
ニヤニヤしながら出勤準備までの間ソファーでお互いの指の指輪を見ながらイチャイチャする二人でした
日に日にだけど体調が回復しているのを感じられるのは嬉しいよ
覚醒して目覚めてから今日で四十日目
記憶のない百日間と同じ日数で回復が完了するのであればもう少しで折り返し点だね
ガチャ
「失礼します」
ナタリーがタオルとか着替えの寝着をもって部屋に入って来た
「お風呂の準備をしてまいりました」
最近は体調もかなり回復したので寝起きに風呂が定番になっている
”今日もお願いね”
寝着と下着を脱がされテラスの温泉横の椅子まで御姫様抱っこで運ばれる
かけ湯からシャンプーしてリンス
洗顔用石鹸を渡されて顔を洗って桶で持って来てくれた湯で顔を流す
体は石鹸を泡立てたタオルで優しく洗われる
流石に胸を洗われる感覚とかは慣れたよ
ただアソコを洗われる時だけは気を付けないと声出ちゃうので集中
胸とか太腿とかは体が慣れてきたのか前ほど敏感では無くなったけっどアソコだけはまだ無理です
かけ湯をされてサッパリと泡が洗い流される
ナタリーが湯舟に運ぶのにメイド服を脱ごうとしてる
”ちょっと待ってナタリー”
「はい」
”こっちに来て支えてくれるかな”
座ってる横にナタリーが来る
”脚部強化”
前より脚に力が入る感覚がある
ナタリーが私の手を取り上方に引き上げる
なんとか立ち上がれたよ
ナタリーに肩を後ろから支えられて状態だけど右足を前に踏み出す
左足にもっと魔力を集中する
少し体重を前に移動して前足が地面に着く今度は右足に魔力を集中して左足を前に・・・
たった数歩だけど右足左足と交互に魔力を集中して湯舟の脇まで辿り着く
少しずつ両足に集中してた魔力を抜いて行く
ゆっくり膝と足首が曲がり腰が地面に近づいて行く尻が地面に触れたら全ての魔力を抜く
ペタンコ座りで湯舟の脇に座った状態になる片方ずつ脛を掴んで足を動かし湯舟に入れる両足を湯舟に入れると湯舟の縁に座った状態になる
そこからは腕の力で腰を持ち上げて前にずらして湯舟に入る
ドボンって少し湯が跳ねたけど浮力で底に尻が激突する事はなく軟着陸で湯舟に座った状態になった
距離にして一メートルもない数歩の距離
でも久々に自分の脚で歩いた快感と湯が気持ち良くて笑顔になっちゃう
「凄いです!」
ナタリーが驚いているのがわかる
「支えたのはバランス程度でほとんど力を入れておりませんし」
”少しだけだけど脚に感覚が出始めたので出来るかなって”
「でも無理はしないでくださいね」
”うんわかってる米酒をお願いしていいかな”
「辛口の冷でよろしいですか」
”お願い”
「少々お待ちください」
本当に御都合主義は戦闘能力に関する事だけだよね
普通の異世界物なら目が覚めて死にそうになってたらエリクサー飲んで復活とか主人公をサポートする今の私ならルシファーの回復魔法で一発元気とか
仮に回復がなくても予定では百日でしたが脅威の回復力で十日で回復しちゃったとか
女体化後の生理に関してはそこまで描写してる作品が少ないからだけどなかなかの洗礼だったよなあ
脊髄反射とか体のバランスとか変わって自由にならない体をリハビリしなくちゃとか
本当に異世界に来て女体化とかしてすぐに最強冒険者でバリバリ活動するとか羨ましいよね
御都合主義要素がないと異世界転移で苦労物語だよ
何て考えていたら
「こちらに置かせて頂きます」
ナタリーが戻って来て四合瓶サイズのデキャンタとグラスを手の届く場所に置いてくれた
「では失礼します何かあればベルで御呼びください」
ナタリーが部屋に戻って行く
まずはグラスに米酒を注いで一杯目をグッと飲む
いいねキンキンに冷えた辛口淡麗で温泉で暖まる体と胃の中に流れ落ちる冷たさの落差が気持ちいいよ
グラスに米酒を注ぎ今度は味わいゆっくり飲み始める
さて不幸ばかりを嘆いても前に進めないので悲劇のヒロインごっこはこの辺で終わって
部位強化を使えば数歩でも歩けたってことは回復している
ルシファーの見込みではあと二十日位で下半身も動かせるらしい
少しでも早くと思うけど筋力とかと違って鍛えればどうにかなるものでもないってのは理解してるけど
ああもどかしい!!
さっきの数歩も回復の確認であって自己満足以外はリハビリでも何でもない
なんか駄目イライラが全開だ
七海と出会えてからイライラなんて無縁だったのに
とりあえずグラスの酒を一息に飲んで気を落ち着かせる
気ばっか焦ってもダメなんだよ
あと六十日の我慢で七海に会える
それを糧に・・・
あれクラクラする・・・あっ気が付いたらデキャンタ空だ・・・それと湯舟に入ってどれくらい経ってるなか
やばい意識が・・・
「気が付きましたか?」
”私は・・・”
「なかなかベルが鳴りませぬので様子見に行きましたら逆上せて気絶しておりましたのでベッドまで運ばさせて頂きました」
気絶するまで逆上せていたのか私
「はい冷水です体の温度をまずは下げてください」
グラスを受け取り飲み干す
体の芯から冷気が広がり少し意識がはっきりしてくる
”ごめんナタリー迷惑かけて”
「お気になさらず誰でも心疲れる時はあります・・・それも最愛の人と突然・・・」
頬を伝う涙・・・私泣いてる・・・泣いてると意識瞬間に堰を切ったように溢れる涙と嗚咽
ナタリーが優しく抱きしめてくれる
「四十日頑張りましたね」
・・・・・
「七海様と会えない苦しみ・・・思うように動かない体・・・この四十日・・・本当に苦しい日々なのに常に私達に笑顔で・・・頑張って・・・」
”私が転移した日は・・・七海と・・・七海と・・・婚姻届けを出した日だった・・・形式だけかもしれない・・・でも七海と添い遂げる・・・”
「そうだったのですね・・・」
ナタリーの温もりが気持ち良く少しずつ平静な思考を取り戻してくれる
”もう大丈夫!あと六十日頑張る!元気充電ありがとう”
ナタリーが離れる
私の手にポーションが渡される
「夢の中だけでも出会える事を祈っております」
ナタリーが部屋を出る
ポーションを飲むと勝てない眠気がやてくる・・・睡眠のポーション・・・意識が闇に落ちて行く・・・儚くても夢で出会えたら・・・
美香がお店に来た週末からもいつも通りな学生生活と週末の店での出勤が続いていた
学校では少し美香が前よりベタベタになったけど理由を察してる女子会メンバーは温かい目で見守ってくれてる
一部の男子からはなんか視線が痛くなってますがぁ
気が付けば十二月二十日で終業式の日といっても何も無く終わり美香と辿り着く何時もの新宿駅東口
「クリスマスもOKになったので楽しみだね」
”七海凄すぎるよ一緒にクリスマスから年越し初詣までOKを御両親から取り付けるとか”
「それだけじゃないよ彩美もね」
そう・・・ある日の放課後に美香両親と七海に美香でセッティングされた西口の超有名ホテルラウンジでお茶会の日
緊張MAXで美香の御両親ときちんと出会った日
美香母は美香そっくりで美香と並ぶと少し年の離れたお姉さんに見える美魔女
美香父は少し白髪の交じった7:3分けでスーツをビシッと決めて出来るビジネスマンのオーラが凄い
私以外の四人は既に交流があるので私だけガチガチに緊張
既に七海にプロポーズして夫婦として生活してる私達への祝辞
娘のコミュ障を解決してくれたお礼
私が娘の砕けた初恋相手と知りながら美香が全てを受け入れて信頼する大親友・・・娘の友は友と信頼してくれるいるのがわかる
美香がお店に来た週末の件はお泊り会の前に七海と美香母がランチをした時には許可を取っていた
やっぱし七海はきちんと筋を通してだから皆んなから信頼されるんだよね
美香両親は「七海が一緒であれば間違いは起きないし今のまま無菌培養で私の居ない大学キャンパス生活を考えると少し社会経験を積んでおくことも必要」と許可していた
美香は私が辞退する事になった高校が付属している大学へ一緒に推薦合格してるんだよね本当は一緒にキャンパスライフの予定だったんだ
私の居ないキャンパスライフそうなんだよね美香と一緒に気軽に女子会とか出来るのも冬が終わるまで
高校生活三年間いつも学校では一緒で隣に居るのが普通でそれも無くなると思うと寂しくなっちゃうな
でも御両親が私の存在を美香の護衛として認めてくれていたなんて凄くうれしいよ
お茶会の最後に美香父が
「私も若い頃に嫁と出会うまではそれなりに遊んでましたので感覚で分かるというか七海さん彩美さん美香をよろしくお願いします」
「若い頃の遊びを詳しく聞かせてもらおうかぁ~」
との後に耳を引っ張られ美香母に連れ去られる美香父
「まあ毎度の夫婦喧嘩は犬も喰わないとかなのでクリスマスの件は後程でぇ」
美香が二人を追いかけて行く
なんでこんなに御都合主義で・・・なんでか変な感情が湧きおこるが今は無視するよ
終業式を終えて今日からは三学期の始業式まで毎日出勤出来るのはうれしいよ
もう私は新宿の沼に頭まで浸かって戻れない
お店で御客様と過ごす浮世の時間が待ち遠しくてしかたない
七海から「店専属は大学卒業してからでもいいんだよ徳さんにお願いすれば辞退取消も簡単に出来るから」と言われた事もあるけど沼から這い出す事は無理なんだ・・・やっと見つけた「場所」なんだよ
今日の出勤は少し緊張するよ普通イベント告知は一月前位からするんだ
クリスマスのイベントは告知済だけどイブの追加イベントを今日から告知する
この告知をするってことは・・・
「さて今日は少し早いが朝礼をはじめるママよろしく」
マキの声が店内に響く
「おはよう今日は皆に伝えなければいけない事があるマキよろしく」
少し騒めく店内
「公式には発表していないが・・・ママと彩美が付き合ってるのは皆知ってると思う」
キャストもスタッフも皆頷いてる
「御客様に隠してと言っても多くの御客様は知っているが公式的に隠し続けるのも今後の懸念となる」
なんか店内に緊張が走る
「ついに彩美がママにプロポーズをしたタイミングで御客様にも正式に伝える事にした」
まあ本当はずいぶん前だけど流れ的にはこの方が通しやすいしね
「おおお!」
なんか皆んなの視線が私に集まり視線が痛いよ
「手続き等は諸事情で来年春になるがイブの夜に店にて先行して結婚式をして御客様への発表する」
(なんで来年春?)
(彩美ちゃんがあれだからさ)
(そうだったね)
とか少し店内が騒がしい
「はーい」
「希美なんだ」
「ここにいる皆んなは超祝福モードでOKと思うんですが業界として聞いた事がないけど大丈夫なんですか?」
「それが出来るのがコノ店ではないかな」
「たしかに!」
「イベントの告知に関しては本日より行うポスター等の宣材は準備してあるのでスタッフは開店までに掲示を頼む」
七海が一歩前に出て私が手招きで呼ばれたの七海の横に立つ
「皆んな突然ですまないがよろしく頼む」
深々とお辞儀をする
当然だけど私も合わせてお辞儀をする
パチパチパチパチ
誰からともなくはじまり全員の拍手が店内に響く
「彩美!しっかりママを幸せにするんだぞ!おめでとう!」
先ほど質問した希美が大声で掛け声
「「おめでとう!」」
場の皆が一斉に祝福してくれる
やばい涙が出そうだけどメイクがヤバイので気合で我慢
「では今日も御客様が笑顔で帰り明日の活力になる一助として」
マキの声が響く
ーお客様の明日の活力一助へ!ー
全員でハモルこの瞬間は何回見ても圧倒されるよ
「では開店!」
マキの〆で異例な内容告知な朝礼は終わった
御客様を呼び込むまでのわずかな時間で黒服総出で店内に何ヶ所か張ってあるクリスマス告知ポスターの横に結婚式のポスターが貼られて行く
「七海&彩美 結婚式 十二月二十四日 二十三時~」の文言にブーケを二人で一緒に胸元に掲げたウエディングドレスの七海と私の写真
なんか照れるぞこれ
写真はスタジオで撮影したけど「私がウエディングドレスを着れる日がくるなんて」と七海が喜んでいたのはうれしかったな
って私は別の意味でウエディングドレスを着る日が来るなんて思ってなかったけどね
その日の営業中は色々な声をかけられたよ
「おおついにか!おめでとう!」
「絶対参加するからね」
「俺の俺のママぉおおおお!幸せにしなかったら許さないからな」
「じゃあ俺は彩美の二号さんになるのか」
と色々な表現だったけど多くの御客様に先行祝福されてうれしかったなあ
翌日の昼過ぎに指輪が完成したので外商の下田と栢山が二人でマンションに届けに来た
完成した指輪はお願いしたイメージ通りで本当に美しかった
「あとコチラですが必要な分を取りました残りで作成をいたしました」
栢山が指輪とは別のジュエリーケースを二つテーブルに取り出す
七海と私で一つずつ手に取り開けると十円玉サイズの水滴型に極微小多面カットされたアクアマリンがトップになっている細身のプラチナチェーンのペンダントが納められていた
「当店からのご結婚祝いとなりますのでお受け取りを頂ければと」
「御心使い感謝する」
二人が帰った後さっそく七海が私の指に私が七海の指に指輪を着ける
ニヤニヤしながら出勤準備までの間ソファーでお互いの指の指輪を見ながらイチャイチャする二人でした
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