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第399話 新人アルバイタークマちゃんの隠れた偉業。黙っていても滲んでしまうもこもこ感と存在感。
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現在アルバイト中のクマちゃんはお客様のおもてなちをしている。
◇
商業ギルドのマスターはリオの腕の中にいる小さき生き物へ、ムッと不機嫌そうな顔を向けていた。
よく見ると非常に整った顔立ちだが、不健康そうな肌色と目の下の濃いクマのせいで気付かれにくく、損をしている。
青みがかった黒、紺に近い髪色、おしゃれになど欠片も興味のなさそうな常に不満気な表情。
――そのわりに片側の髪は綺麗に編み込まれ、そちら側の耳にはシンプルで高品質な装飾品を引っ掛けていた。
見た目の年齢は三十代後半といった雰囲気だ。
男が不機嫌な顔の裏で何を考えているのかというと、
(これが噂の〝美少女〟か……くだらん噂かと思っていたが、たしかに猫の中では相当な美少女だろう。……被毛の艶が凄いな。まるで内側から光っているかのようだ。傾国の美猫か?)
ということであり、つまり人相の悪い彼もまた森の街で暮らす人間らしく、可愛らしいもこもこに好意的であった。
彼の表情に気付いているだろうに、リオはまったく気にしない様子で話し出した。
「商業ギルドのおっちゃん顔やばくね? 死ぬんじゃねーの」
「もともとこういう顔だ! 相変わらず失礼なヤツだな。それにお前におっちゃんと呼ばれるほど歳も離れていないだろう」
「えぇ……」
「クマちゃ……!」
新人アルバイタークマちゃんはハッとした表情でもこもこしたお口を押さえた。
死ぬちゃ……! と。
後輩アルバイターのリオちゃんが『死ぬ』というなら危険な状態なのだろう。
これは今すぐ〝お体によいお飲み物〟を用意しなければ。
お目目の下がお疲れなので、お手々のまっちゃーじも必要かもしれない。
クマちゃんはお目目をうるうるさせながら「クマちゃ……」といった。
死ぬちゃ……。
「いや、死なないが」
「うちのがすまんな……。おい、リオ。小さいのに悪い言葉ばかり教えるな」
「いやでも顔色めっちゃ悪いじゃん。マジで休んだほうがいいんじゃね? あ、もしかしてそういう系の用事?」
「『そういう系の用事』とはなんだ。それよりお前……少し見ない間に趣味が変わったのか? まさか変装のつもりではあるまいな」
リオは商業ギルドマスターの質問に「あれまだ見てない人間いたんだ。逆に凄くね?」とまったく答えになっていない言葉を返しつつ、もこもこを応接テーブルに降ろし、真っ白なぬいぐるみを取り出し、それもテーブルへ置いた。
「白い美猫が二体……いや、そちらはぬいぐるみか……。随分と腕のいい職人だ。私が知っている者でもここまでのぬいぐるみを作れる者はいない」
「あ~、話が途中だったな。リカルド。それで、問題ってのは何だ。こいつらには聞かせない方がいい話か?」
もこもことぬいぐるみを見比べる商業ギルドのマスター、リカルドに冒険者ギルドの管理者である男が渋い声をかける。
放っておいても『冒険者ギルドが秘匿している職人を紹介してほしい』と頼んでくるような欲深い男ではないが、『有能という言葉では到底足りぬほど何でもできる幼子の話』をわざわざ言いふらす必要もない。
もこもこの生み出す奇跡のアイテムを紹介し、リカルドがそれに焦がれたところで、あまりにも凄すぎて流通させられないのだから。
――因みに、なぜ商売人としての欲が薄い男が商業ギルドのマスターをやっているのかというと、出身が王都な彼は王都の商人が相手でも騙されないからだ。
そして顔色が悪いのは、騙されやすい森の街の人間には任せられない仕事を山のように抱えているから、という実にいい人っぽい理由である。
「いえ、聞かれて困るような話では……。私が伝えに来ずともそのうち知れるでしょう。最近、といってもここ二、三日の話ですが――外から来るはずの商品、品物の一部が届かないという問題が起こっていまして……冒険者達にはまだ広まっていない情報のようですね」
「……ん?」
「へー。そーなんだー」
マスターが器用に片眉を上げ、顎鬚をさわる。
リオは応接ソファに座りながら雑な相槌を打った。
リカルドの話を聞いたマスターの頭には、クマちゃんニュースで観たあれこれが浮かんでいた。
『ピンク色の草』『おかしなもやが消されていく様子』『上空から見た森の街』『森の街全体を囲う癒しの結界』
現在この街の周りには『猫が好きそうなピンク色の草』が隙間なく生えている。
それは『樹々を枯らす原因』と思しき『謎のもや』を街から排除するためのものだ。
強い癒しの力を放つ『超巨大な癒しの結界』は、もやだけでなく悪しきものすべてに効果があるだろう。
(届かない荷物か。馬車、魔道具、荷物、人間……。荷物や乗り物に問題があって街に入れなかったとして、それなら何故、助けを求めに来ない? ……荷物をその場に留めても、運んでいた人間が街に入れないからじゃねぇのか)
――幼いもこもこが意識しているかは分からないが、悪意のある人間も街からはじかれている可能性が高い。
マスターが難しい顔で真面目なことを考えているあいだに、偉大な癒しの魔法使いクマちゃんがヨチヨチ、とリオが置いたぬいぐるみへ近付いてゆく。
「クマちゃ……」
新人アルバイタークマちゃんがお困りの表情で、口元に肉球を添える。
「あ、飲み物出したいの? ちょっと待っててねー」
リオはぬいぐるみを片手でササッと撫でた。
すると、品の良い赤ん坊的な帽子を被ったぬいぐるみがハッとしたように口元に手を添え、かっちりとした鞄を高速でごそそそ――!! と探り、シャシャシャ――! と素早すぎて一般人には見えない速度で木製の何かと小さなマグカップとふわふわの布が巻かれた瓶らしき物を取り出した。
希少価値の高いふわふわの布から、きらきらと光が零れている。
光は瓶からもれているようだ。
「今のはなんだ……!」
商業ギルドのマスター、顔色の悪い美形リカルドは目を剝いた。
「その布はまさか……それにその光は……?!」
「気にしなくていいから。ぜんぶ幻だから」
リオはふわふわの布が巻かれた瓶から小さなマグカップへチョロチョロ……と、よく冷えているそれを注いだ。
後輩アルバイターリオは先輩アルバイタークマちゃんの指示に従っているだけなのだ。
彼にできる抵抗といえば、瓶に布を巻いてその輝きを隠すことぐらいであった。
――隠しきれてはいないが。
先輩アルバイタークマちゃんは飲み物の用意が終わるのをじっと、お口の周りをもふっと膨らませて待っていた。
お行儀よくお腹の前で揃えられた猫の手、にそっくりなクマちゃんのお手々。
猫にそっくりな短いあんよがテーブルをきゅむ……! と踏みしめている。
商業ギルドのマスターは動揺しながら、猫のようで猫ではないクマちゃんを見ていた。
「いったい何なんだ、この愛らしい生き物は……」
「その子俺の子だから。あんま見ないでくれる?」
「リオ、混乱している人間を余計に混乱させるようなことを言うな」
◇
商業ギルドのマスターはリオの腕の中にいる小さき生き物へ、ムッと不機嫌そうな顔を向けていた。
よく見ると非常に整った顔立ちだが、不健康そうな肌色と目の下の濃いクマのせいで気付かれにくく、損をしている。
青みがかった黒、紺に近い髪色、おしゃれになど欠片も興味のなさそうな常に不満気な表情。
――そのわりに片側の髪は綺麗に編み込まれ、そちら側の耳にはシンプルで高品質な装飾品を引っ掛けていた。
見た目の年齢は三十代後半といった雰囲気だ。
男が不機嫌な顔の裏で何を考えているのかというと、
(これが噂の〝美少女〟か……くだらん噂かと思っていたが、たしかに猫の中では相当な美少女だろう。……被毛の艶が凄いな。まるで内側から光っているかのようだ。傾国の美猫か?)
ということであり、つまり人相の悪い彼もまた森の街で暮らす人間らしく、可愛らしいもこもこに好意的であった。
彼の表情に気付いているだろうに、リオはまったく気にしない様子で話し出した。
「商業ギルドのおっちゃん顔やばくね? 死ぬんじゃねーの」
「もともとこういう顔だ! 相変わらず失礼なヤツだな。それにお前におっちゃんと呼ばれるほど歳も離れていないだろう」
「えぇ……」
「クマちゃ……!」
新人アルバイタークマちゃんはハッとした表情でもこもこしたお口を押さえた。
死ぬちゃ……! と。
後輩アルバイターのリオちゃんが『死ぬ』というなら危険な状態なのだろう。
これは今すぐ〝お体によいお飲み物〟を用意しなければ。
お目目の下がお疲れなので、お手々のまっちゃーじも必要かもしれない。
クマちゃんはお目目をうるうるさせながら「クマちゃ……」といった。
死ぬちゃ……。
「いや、死なないが」
「うちのがすまんな……。おい、リオ。小さいのに悪い言葉ばかり教えるな」
「いやでも顔色めっちゃ悪いじゃん。マジで休んだほうがいいんじゃね? あ、もしかしてそういう系の用事?」
「『そういう系の用事』とはなんだ。それよりお前……少し見ない間に趣味が変わったのか? まさか変装のつもりではあるまいな」
リオは商業ギルドマスターの質問に「あれまだ見てない人間いたんだ。逆に凄くね?」とまったく答えになっていない言葉を返しつつ、もこもこを応接テーブルに降ろし、真っ白なぬいぐるみを取り出し、それもテーブルへ置いた。
「白い美猫が二体……いや、そちらはぬいぐるみか……。随分と腕のいい職人だ。私が知っている者でもここまでのぬいぐるみを作れる者はいない」
「あ~、話が途中だったな。リカルド。それで、問題ってのは何だ。こいつらには聞かせない方がいい話か?」
もこもことぬいぐるみを見比べる商業ギルドのマスター、リカルドに冒険者ギルドの管理者である男が渋い声をかける。
放っておいても『冒険者ギルドが秘匿している職人を紹介してほしい』と頼んでくるような欲深い男ではないが、『有能という言葉では到底足りぬほど何でもできる幼子の話』をわざわざ言いふらす必要もない。
もこもこの生み出す奇跡のアイテムを紹介し、リカルドがそれに焦がれたところで、あまりにも凄すぎて流通させられないのだから。
――因みに、なぜ商売人としての欲が薄い男が商業ギルドのマスターをやっているのかというと、出身が王都な彼は王都の商人が相手でも騙されないからだ。
そして顔色が悪いのは、騙されやすい森の街の人間には任せられない仕事を山のように抱えているから、という実にいい人っぽい理由である。
「いえ、聞かれて困るような話では……。私が伝えに来ずともそのうち知れるでしょう。最近、といってもここ二、三日の話ですが――外から来るはずの商品、品物の一部が届かないという問題が起こっていまして……冒険者達にはまだ広まっていない情報のようですね」
「……ん?」
「へー。そーなんだー」
マスターが器用に片眉を上げ、顎鬚をさわる。
リオは応接ソファに座りながら雑な相槌を打った。
リカルドの話を聞いたマスターの頭には、クマちゃんニュースで観たあれこれが浮かんでいた。
『ピンク色の草』『おかしなもやが消されていく様子』『上空から見た森の街』『森の街全体を囲う癒しの結界』
現在この街の周りには『猫が好きそうなピンク色の草』が隙間なく生えている。
それは『樹々を枯らす原因』と思しき『謎のもや』を街から排除するためのものだ。
強い癒しの力を放つ『超巨大な癒しの結界』は、もやだけでなく悪しきものすべてに効果があるだろう。
(届かない荷物か。馬車、魔道具、荷物、人間……。荷物や乗り物に問題があって街に入れなかったとして、それなら何故、助けを求めに来ない? ……荷物をその場に留めても、運んでいた人間が街に入れないからじゃねぇのか)
――幼いもこもこが意識しているかは分からないが、悪意のある人間も街からはじかれている可能性が高い。
マスターが難しい顔で真面目なことを考えているあいだに、偉大な癒しの魔法使いクマちゃんがヨチヨチ、とリオが置いたぬいぐるみへ近付いてゆく。
「クマちゃ……」
新人アルバイタークマちゃんがお困りの表情で、口元に肉球を添える。
「あ、飲み物出したいの? ちょっと待っててねー」
リオはぬいぐるみを片手でササッと撫でた。
すると、品の良い赤ん坊的な帽子を被ったぬいぐるみがハッとしたように口元に手を添え、かっちりとした鞄を高速でごそそそ――!! と探り、シャシャシャ――! と素早すぎて一般人には見えない速度で木製の何かと小さなマグカップとふわふわの布が巻かれた瓶らしき物を取り出した。
希少価値の高いふわふわの布から、きらきらと光が零れている。
光は瓶からもれているようだ。
「今のはなんだ……!」
商業ギルドのマスター、顔色の悪い美形リカルドは目を剝いた。
「その布はまさか……それにその光は……?!」
「気にしなくていいから。ぜんぶ幻だから」
リオはふわふわの布が巻かれた瓶から小さなマグカップへチョロチョロ……と、よく冷えているそれを注いだ。
後輩アルバイターリオは先輩アルバイタークマちゃんの指示に従っているだけなのだ。
彼にできる抵抗といえば、瓶に布を巻いてその輝きを隠すことぐらいであった。
――隠しきれてはいないが。
先輩アルバイタークマちゃんは飲み物の用意が終わるのをじっと、お口の周りをもふっと膨らませて待っていた。
お行儀よくお腹の前で揃えられた猫の手、にそっくりなクマちゃんのお手々。
猫にそっくりな短いあんよがテーブルをきゅむ……! と踏みしめている。
商業ギルドのマスターは動揺しながら、猫のようで猫ではないクマちゃんを見ていた。
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