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第201話 みんなで仲良くクマちゃんニュース。
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『クマちゃ――』時間ちゃん――クマちゃんは言った。
「え、なんの時間?」吞気な男がかすれた声で尋ねた。
その瞬間、もこもこに見えるが意外と硬い置物――リポータークマちゃん型魔道具〈クマちゃんテレビじょん〉が光り輝き、キュオーと愛らしい鳴き声が鼓膜を揺らした。
「なんか可愛い声聞こえたんだけど」
吞気な男が『キュオー』なそれに視線を移し「やべぇ光ってる」吞気に感想を伝える。
『やべぇ光ってる』魔道具は、やべぇくらい光るだけではなかった。
『――クマちゃーん!――』と放送を開始する、鼓膜と心臓には優しくない癒しのクマちゃんニュース。
「えぇ……なんか始まったんだけど」陽気ではないかすれ声。
魔道具から浮かび上がる「やべぇ……」映像。
『――クマちゃ、クマちゃ――』――こちら、現場の、クマちゃんです――。
聞き覚えのあり過ぎる『クマちゃ』
見覚えのある場所で見たくない格好をした金髪が、世界一愛らしいもこもこを抱え、世の中に不満のある金髪のような顔で立っている。
映像の左上で主張する『全森の街同時放送!』
「全森の街?!」目を剝くリオ。
世の中に不満のある金髪の不満が噴きあがる。
「まさかこれ他のとこにもあるわけじゃないよね?!」
噴火中の金髪。
「おもっ! 持てないんだけど!」何故か撤去できない『これ』こと〈クマちゃんテレビじょん〉
「クマちゃ、クマちゃ……」
もこもこが子猫のような声で活火山リオに答えた。
『リオちゃ、ポテトちゃん……』
さぁリオちゃん、クマちゃんニュースを観ながら美味しいポテトチップスを食べて下さい、と。
砂漠のような心の金髪に、心がオアシスのようなもこもこが勧めてきたのは、体に優しいやや塩ポテトチップスだった。
砂漠は砂を噴いた。
「今ポテトチップス食ってる場合じゃないんだけど!」
◇
オアシスが震え、『食ってる場合じゃない』砂漠が結局ポテトチップスを食っている頃。
「何だあの格好は……まさか――お揃いか?」
クマちゃんニュースを視聴中のマスターは真剣な表情で、どうでもいいことを呟いていた。
「え、リオさん……もしかして裏の仕事に……」「リオさんまさか……冒険者辞める気なんじゃ……」「裏通りの店の店員みたいな……」ざわつく冒険者達。
彼らは金髪の服装から、怪しい就職活動の気配を感じ取った。
「素晴らしい魔道具だね。離れていても動いているクマちゃんを観られるなんて」
南国の青い鳥が観ているのは、愛くるしいもこもこだけだ。
謎めいた格好のリオを視界から消している。
「…………」
クライヴは無言のまま映像を睨みつけた。窓のない室内に、冷たい風が吹く。
――「寒い……」淡雪のように消える、冒険者の声。
彼の視線の先。もこもこと動く、愛らしい置物と同じ姿のもこもこ。
衝撃を受けた死神が、美しい声で呟いた。
「……同じ……」
「…………」
美麗で無気力な魔王が、愛しのもこもこの映像を静かに眺めている。
『――クマちゃ、クマちゃ――』
魔道具ごしでも変わらぬ愛らしい声。
ルークは切れ長の目を微かに細め、
『へー、めっちゃ普通の樹ー』
教育に悪い子守りに感情の無い視線を向けた。
会議室にいる面々が、純粋な赤ちゃんクマちゃんの愛らしさと、金髪の心のねじれを比較していたとき、気になる言葉が聞こえてきた。
『――クマちゃ、クマちゃ――』――現地人ちゃん、悪の組織ちゃん――。
渋い声の男が楽し気に笑い、疑問を口にした。
「ん? 悪の組織? なんだ、新しい遊びか?」
「え、なんの時間?」吞気な男がかすれた声で尋ねた。
その瞬間、もこもこに見えるが意外と硬い置物――リポータークマちゃん型魔道具〈クマちゃんテレビじょん〉が光り輝き、キュオーと愛らしい鳴き声が鼓膜を揺らした。
「なんか可愛い声聞こえたんだけど」
吞気な男が『キュオー』なそれに視線を移し「やべぇ光ってる」吞気に感想を伝える。
『やべぇ光ってる』魔道具は、やべぇくらい光るだけではなかった。
『――クマちゃーん!――』と放送を開始する、鼓膜と心臓には優しくない癒しのクマちゃんニュース。
「えぇ……なんか始まったんだけど」陽気ではないかすれ声。
魔道具から浮かび上がる「やべぇ……」映像。
『――クマちゃ、クマちゃ――』――こちら、現場の、クマちゃんです――。
聞き覚えのあり過ぎる『クマちゃ』
見覚えのある場所で見たくない格好をした金髪が、世界一愛らしいもこもこを抱え、世の中に不満のある金髪のような顔で立っている。
映像の左上で主張する『全森の街同時放送!』
「全森の街?!」目を剝くリオ。
世の中に不満のある金髪の不満が噴きあがる。
「まさかこれ他のとこにもあるわけじゃないよね?!」
噴火中の金髪。
「おもっ! 持てないんだけど!」何故か撤去できない『これ』こと〈クマちゃんテレビじょん〉
「クマちゃ、クマちゃ……」
もこもこが子猫のような声で活火山リオに答えた。
『リオちゃ、ポテトちゃん……』
さぁリオちゃん、クマちゃんニュースを観ながら美味しいポテトチップスを食べて下さい、と。
砂漠のような心の金髪に、心がオアシスのようなもこもこが勧めてきたのは、体に優しいやや塩ポテトチップスだった。
砂漠は砂を噴いた。
「今ポテトチップス食ってる場合じゃないんだけど!」
◇
オアシスが震え、『食ってる場合じゃない』砂漠が結局ポテトチップスを食っている頃。
「何だあの格好は……まさか――お揃いか?」
クマちゃんニュースを視聴中のマスターは真剣な表情で、どうでもいいことを呟いていた。
「え、リオさん……もしかして裏の仕事に……」「リオさんまさか……冒険者辞める気なんじゃ……」「裏通りの店の店員みたいな……」ざわつく冒険者達。
彼らは金髪の服装から、怪しい就職活動の気配を感じ取った。
「素晴らしい魔道具だね。離れていても動いているクマちゃんを観られるなんて」
南国の青い鳥が観ているのは、愛くるしいもこもこだけだ。
謎めいた格好のリオを視界から消している。
「…………」
クライヴは無言のまま映像を睨みつけた。窓のない室内に、冷たい風が吹く。
――「寒い……」淡雪のように消える、冒険者の声。
彼の視線の先。もこもこと動く、愛らしい置物と同じ姿のもこもこ。
衝撃を受けた死神が、美しい声で呟いた。
「……同じ……」
「…………」
美麗で無気力な魔王が、愛しのもこもこの映像を静かに眺めている。
『――クマちゃ、クマちゃ――』
魔道具ごしでも変わらぬ愛らしい声。
ルークは切れ長の目を微かに細め、
『へー、めっちゃ普通の樹ー』
教育に悪い子守りに感情の無い視線を向けた。
会議室にいる面々が、純粋な赤ちゃんクマちゃんの愛らしさと、金髪の心のねじれを比較していたとき、気になる言葉が聞こえてきた。
『――クマちゃ、クマちゃ――』――現地人ちゃん、悪の組織ちゃん――。
渋い声の男が楽し気に笑い、疑問を口にした。
「ん? 悪の組織? なんだ、新しい遊びか?」
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