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第69話 クマちゃんの可愛いおねだり
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クマちゃんはドキドキしながら、さっそくみんなに声をかけた。
「クマちゃん、クマちゃん……」
◇
やばそうな洞窟を封鎖し湖へと戻る五人と一匹。
猫顔のクマ太陽はニャーという声を森に響かせ、今日も元気に縄張りを見回っている。
黄色い頬っ被りクマちゃんはいつもと同じようにルークの腕の中へ戻っていた。
ウィルに抱かれていたクマちゃんが彼の装飾品に歯を立てようとしているのを見たルークが、腕の中のもこもこをスッと奪ったのだ。
クマちゃんの可愛らしい小さな歯を欠けさせるわけにはいかない。
装飾品を外し、可愛いもこもこの抱っこ権を取り戻そうと思ったウィルだったが、森の魔王のような男に今はやめろという視線を向けられ考え直した。
彼の装飾品は無駄に派手なわけではなく意味のあるものだ。外すのなら湖に戻ってからのほうがいいだろう。
足の速いギルド職員は湖へ着いてすぐに、
「報告に行ってきます……」
と疲れた様子で、展望台一階にある酒場直通ドアを目指し歩いて行った。
「俺たちも報告行く? 何言えばいいのかわかんないけど」
リオがかすれ気味の声で言う。
しかしルークの腕の中で、クマちゃんがピンク色の肉球が付いたもこもこのお手々を、露天風呂の方へ向けていた。
クマちゃんは皆とお風呂に入りたいですよ、という意味だ。
「クマちゃん露天風呂行きたいの? じゃあ報告あとでいーか」
洞窟内の匂いと自分の嗅覚について若干不安を感じていたリオは、報告よりも風呂を優先するクマちゃんに賛成した。
「そうだね。あの場所へはしばらく入れないのだし、報告は後にしてもかまわないと思うよ」
特に汚れるようなことはしていないが、クマちゃんが入りたいというなら一緒に入るつもりのウィル。
「行くか」
急ぎの報告は必要ないという判断を下し、ルークは魅惑的な低い声で風呂へ行くことを決定した。
クマちゃんに反対する気などまったくないクライヴも当然頷き、皆と共に小さい方の露天風呂へと歩き出す。
浄化と癒しの効果がある、光るお花のシャワーで汗を流す四人と一匹。
そのまま浴びるだけで汚れは綺麗に落ちるが、丁度目の前に誰かが置いて行ったらしい石鹼がある。
「みんな色々置きすぎでしょ」
リオはそう言いながら勝手にそれを借りた。
ウィルとクライヴもそこらにある石鹼を勝手に使っているようだ。
クマちゃん専用高級石鹼が無くなってしまったのではないか、とリオは気になってそちらに視線を向ける。
しかしルークが持っているのは無くなったはずのそれだった。
――予備があったらしい。
なんとなく、濡れてほっそりしたクマちゃんを見ていると、こちらを見て深く頷いている。
やはりリオには意味が分からなかったが、どんどんもこもこ泡々になっていくクマちゃんへ頷きを返しておいた。
ほかほか綺麗でいい香りになり身支度を整えた四人と一匹は、立入禁止区画を抜け、今度こそマスターの所へ報告に来た。
片方が無い扉の中へそのまま入ると、いつものように書類が山になっている大きな仕事机でそれを確認しているマスターが見えた。
「…………まぁいい。ギルド職員から洞窟のことは聞いたが、一応確認させてくれ。――洞窟だと思っていた場所は遺跡の可能性が高く、しかし今は白いのの魔法で封鎖され、中には入れないってことでいいのか」
マスターは石鹼の香りを漂わせ、妙に髪がつやつやしている彼らを見て言いたいことがあったが、それを飲み込み簡単に洞窟の話を纏め、彼らに尋ねる。
「それで間違いない。昨日は気付かなかったが、今日は白いののおかげで洞窟内に漂っている嫌な空気を感じることが出来た。長時間あの場所にいると自分達も気付かぬうちに、あの洞窟に取り込まれる可能性がある。――危険を感じた白いのが、浄化が終わるまで調査を止めるよう封鎖した、という事だ」
石鹼の香りを漂わせた冬の支配者のような男クライヴが、心優しき生き物の行動について推理し、クマちゃんがとても深い考えを持ったもこもこであるかのように話す。
何かが気になるとそれに熱中してしまう、猫のようなところがあるクマちゃんは、当然深い考えなど持っていないが、可愛いもこもこは皆を気遣う優しいもこもこだ。
多少クライヴが功績を盛って話しても、問題はないだろう。
腕の中のご機嫌なもこもこを可愛がっているルークは、クマちゃんが洞窟を綺麗にしたのは綺麗なものが好きなウィルのためで、封鎖も狙ってやったことではなく、泡が増えてああなっただけだと解っているが、クライヴが間違っているというわけでもないため彼の話を否定しなかった。
こうして、冒険者達は可愛くて凄いもこもこという認識を改め、可愛くて思慮深い凄いもこもこへとそれを進化させていく。
クマちゃんはルークの腕の中でいい香りになったつやつやの被毛を撫でられ、幸せな気分で考えていた。
洞窟へ行かないということは、今日はもう皆お仕事に行かなくてもいい、ということではないだろうか。
そうしたら、今日クマちゃんは皆とずっと一緒で、楽しく遊んだりもできるかもしれない。
綺麗なお花畑でピクニックをしたら、きっと皆もすごく嬉しくて楽しいだろう。
クマちゃんはドキドキしながら、さっそく皆をお誘いすることにした。
皆さん、ご都合がよろしければクマちゃんと一緒にピクニックへ行きませんか、と声をかけるのだ。
「クマちゃん、クマちゃん……」
皆が真面目な話し合いをしているなか、室内に幼く可愛らしい声が響く。
どうやら『仕事ない? いっしょに遊びたい。だめ……?』と言っているようだ。
その声と姿は、お断りされるかもしれないと思っているのか、不安げに見えた。
皆が何かを答える前に、森の魔王のような男が色気のある声で「遊ぶか」と勝手な返事をしている。彼がクマちゃんの誘いを断ることなどない。
大雑把で色々なことを気にしない、無神経な、しかし最強のこの男が討伐隊から抜けるのが、一番問題がある。
続けて「ああ。参加させてもらおう」と冬の支配者のような男の声も上がる。
クライヴは真面目だが、愛しいクマちゃんの可愛いお誘いを無下にすることなど出来なかった。
「おや。クマちゃんは僕たちと遊びたいようだね。素敵なお誘いをありがとう。是非参加させていただくよ。――マスター。一生懸命頑張ってくれたクマちゃんからのお誘いを断るわけにはいかないのではない?」
南国の鳥のような男ウィルは、外見が派手なだけで仕事をさぼったりしたことはない。しかし、皆のために一生懸命洞窟の調査や浄化に協力してくれたクマちゃんが、少し不安そうに『いっしょに遊びたい』と言っているのに断るなど、出来るわけがない。
全員が無理なら自分だけでも湖に残れないだろうか、という圧が強い視線をマスターへ飛ばす。
「……そうだな。白いのはまだ幼い。もっと遊ばせてやらねぇとな」
冒険者の中で特別強い彼らは、ほとんど休みなく――ルーク達は数日前にも休んだはずだが――働いている。もし今森に出ている討伐隊から助けを求められたら自分が戦いに出ればいい、と考えたマスターは、両手の肉球を合わせ『いい? だめ?』とつぶらな瞳で不安げにこちらをみつめている愛らしいもこもこに優しい視線を向け、彼らの休暇を許可した。
――本当にまずいことになったら、彼らは自分から森へ行ってやつあたりのように大型モンスターを狩ってくれるだろう。
外見が少しチャラいわりに真面目なリオは、クマちゃんのお願いを断りたくない、しかし今休んで大丈夫なのか、という気持ちの間で心が揺れ動いていたが、マスターの言葉を聞き、
「ありがとーマスター。クマちゃんと遊ぶの久しぶりじゃん」
と安心してクマちゃんの誘いに乗った。
◇
クマちゃんがお花畑でピクニックをしようと言っている、ということをルークの雑な説明から理解した彼らは、湖畔の家の横にあるふわふわの敷物と巨大クッション、もといベッドがあるところへ来ていた。
湖畔には絨毯のように白い花が敷き詰められ、フワリ、フワリと透き通った光の蝶が舞っている。
美しい自然の景色を切り取り映す湖は、光を反射し、キラキラと輝いていた。
「いつまでも見ていたくなる景色だね」
ふわふわのベッドにゆったりと座り、湖や光の蝶を眺め嬉しそうにウィルが呟く。
皆のベッドに掛かっていた日除けが、今は宙にフワフワと浮いている。
ルークが位置を調整してくれたようだ。
「ああ」
景色よりもクマちゃん、な森の魔王ルークが、全く景色を見ずに相槌を打つ。
明るい場所にいる彼の瞳は朝の森の色だ。風に揺れる銀の髪が光を弾き、時々それを白く見せた。美しく幻想的な容貌の彼は、光を纏うと更に人外に見える。
「ピクニックなんてしたことないんだけど。何すればいいの?」
くつろぎ過ぎて仰向けでベッドに横になっているリオが、自分の上にフワリと飛んできた光の蝶に触れ、尋ねる。
――体も温まり、寝る準備は万全だ。
「お前はここにそれを知る人間がいると思っているのか」
冬の支配者クライヴは自分のベッドが少しだけ遠いため、ルークのベッドの端に少し足を開いて座り、両肘を膝に乗せている。
その恰好のまま冷たい声を出す彼は、悪の親玉のようだ。
その時、幼く可愛らしい声が辺りに響く。
「クマちゃん」
ベッドに座るルークの膝の上で優しく撫でられているクマちゃんは、皆と一緒に遊べる幸せを嚙みしめながら、もこもこの可愛らしいお手々を上げ、言った。
『皆で、おままごとしたい』と――。
「クマちゃん、クマちゃん……」
◇
やばそうな洞窟を封鎖し湖へと戻る五人と一匹。
猫顔のクマ太陽はニャーという声を森に響かせ、今日も元気に縄張りを見回っている。
黄色い頬っ被りクマちゃんはいつもと同じようにルークの腕の中へ戻っていた。
ウィルに抱かれていたクマちゃんが彼の装飾品に歯を立てようとしているのを見たルークが、腕の中のもこもこをスッと奪ったのだ。
クマちゃんの可愛らしい小さな歯を欠けさせるわけにはいかない。
装飾品を外し、可愛いもこもこの抱っこ権を取り戻そうと思ったウィルだったが、森の魔王のような男に今はやめろという視線を向けられ考え直した。
彼の装飾品は無駄に派手なわけではなく意味のあるものだ。外すのなら湖に戻ってからのほうがいいだろう。
足の速いギルド職員は湖へ着いてすぐに、
「報告に行ってきます……」
と疲れた様子で、展望台一階にある酒場直通ドアを目指し歩いて行った。
「俺たちも報告行く? 何言えばいいのかわかんないけど」
リオがかすれ気味の声で言う。
しかしルークの腕の中で、クマちゃんがピンク色の肉球が付いたもこもこのお手々を、露天風呂の方へ向けていた。
クマちゃんは皆とお風呂に入りたいですよ、という意味だ。
「クマちゃん露天風呂行きたいの? じゃあ報告あとでいーか」
洞窟内の匂いと自分の嗅覚について若干不安を感じていたリオは、報告よりも風呂を優先するクマちゃんに賛成した。
「そうだね。あの場所へはしばらく入れないのだし、報告は後にしてもかまわないと思うよ」
特に汚れるようなことはしていないが、クマちゃんが入りたいというなら一緒に入るつもりのウィル。
「行くか」
急ぎの報告は必要ないという判断を下し、ルークは魅惑的な低い声で風呂へ行くことを決定した。
クマちゃんに反対する気などまったくないクライヴも当然頷き、皆と共に小さい方の露天風呂へと歩き出す。
浄化と癒しの効果がある、光るお花のシャワーで汗を流す四人と一匹。
そのまま浴びるだけで汚れは綺麗に落ちるが、丁度目の前に誰かが置いて行ったらしい石鹼がある。
「みんな色々置きすぎでしょ」
リオはそう言いながら勝手にそれを借りた。
ウィルとクライヴもそこらにある石鹼を勝手に使っているようだ。
クマちゃん専用高級石鹼が無くなってしまったのではないか、とリオは気になってそちらに視線を向ける。
しかしルークが持っているのは無くなったはずのそれだった。
――予備があったらしい。
なんとなく、濡れてほっそりしたクマちゃんを見ていると、こちらを見て深く頷いている。
やはりリオには意味が分からなかったが、どんどんもこもこ泡々になっていくクマちゃんへ頷きを返しておいた。
ほかほか綺麗でいい香りになり身支度を整えた四人と一匹は、立入禁止区画を抜け、今度こそマスターの所へ報告に来た。
片方が無い扉の中へそのまま入ると、いつものように書類が山になっている大きな仕事机でそれを確認しているマスターが見えた。
「…………まぁいい。ギルド職員から洞窟のことは聞いたが、一応確認させてくれ。――洞窟だと思っていた場所は遺跡の可能性が高く、しかし今は白いのの魔法で封鎖され、中には入れないってことでいいのか」
マスターは石鹼の香りを漂わせ、妙に髪がつやつやしている彼らを見て言いたいことがあったが、それを飲み込み簡単に洞窟の話を纏め、彼らに尋ねる。
「それで間違いない。昨日は気付かなかったが、今日は白いののおかげで洞窟内に漂っている嫌な空気を感じることが出来た。長時間あの場所にいると自分達も気付かぬうちに、あの洞窟に取り込まれる可能性がある。――危険を感じた白いのが、浄化が終わるまで調査を止めるよう封鎖した、という事だ」
石鹼の香りを漂わせた冬の支配者のような男クライヴが、心優しき生き物の行動について推理し、クマちゃんがとても深い考えを持ったもこもこであるかのように話す。
何かが気になるとそれに熱中してしまう、猫のようなところがあるクマちゃんは、当然深い考えなど持っていないが、可愛いもこもこは皆を気遣う優しいもこもこだ。
多少クライヴが功績を盛って話しても、問題はないだろう。
腕の中のご機嫌なもこもこを可愛がっているルークは、クマちゃんが洞窟を綺麗にしたのは綺麗なものが好きなウィルのためで、封鎖も狙ってやったことではなく、泡が増えてああなっただけだと解っているが、クライヴが間違っているというわけでもないため彼の話を否定しなかった。
こうして、冒険者達は可愛くて凄いもこもこという認識を改め、可愛くて思慮深い凄いもこもこへとそれを進化させていく。
クマちゃんはルークの腕の中でいい香りになったつやつやの被毛を撫でられ、幸せな気分で考えていた。
洞窟へ行かないということは、今日はもう皆お仕事に行かなくてもいい、ということではないだろうか。
そうしたら、今日クマちゃんは皆とずっと一緒で、楽しく遊んだりもできるかもしれない。
綺麗なお花畑でピクニックをしたら、きっと皆もすごく嬉しくて楽しいだろう。
クマちゃんはドキドキしながら、さっそく皆をお誘いすることにした。
皆さん、ご都合がよろしければクマちゃんと一緒にピクニックへ行きませんか、と声をかけるのだ。
「クマちゃん、クマちゃん……」
皆が真面目な話し合いをしているなか、室内に幼く可愛らしい声が響く。
どうやら『仕事ない? いっしょに遊びたい。だめ……?』と言っているようだ。
その声と姿は、お断りされるかもしれないと思っているのか、不安げに見えた。
皆が何かを答える前に、森の魔王のような男が色気のある声で「遊ぶか」と勝手な返事をしている。彼がクマちゃんの誘いを断ることなどない。
大雑把で色々なことを気にしない、無神経な、しかし最強のこの男が討伐隊から抜けるのが、一番問題がある。
続けて「ああ。参加させてもらおう」と冬の支配者のような男の声も上がる。
クライヴは真面目だが、愛しいクマちゃんの可愛いお誘いを無下にすることなど出来なかった。
「おや。クマちゃんは僕たちと遊びたいようだね。素敵なお誘いをありがとう。是非参加させていただくよ。――マスター。一生懸命頑張ってくれたクマちゃんからのお誘いを断るわけにはいかないのではない?」
南国の鳥のような男ウィルは、外見が派手なだけで仕事をさぼったりしたことはない。しかし、皆のために一生懸命洞窟の調査や浄化に協力してくれたクマちゃんが、少し不安そうに『いっしょに遊びたい』と言っているのに断るなど、出来るわけがない。
全員が無理なら自分だけでも湖に残れないだろうか、という圧が強い視線をマスターへ飛ばす。
「……そうだな。白いのはまだ幼い。もっと遊ばせてやらねぇとな」
冒険者の中で特別強い彼らは、ほとんど休みなく――ルーク達は数日前にも休んだはずだが――働いている。もし今森に出ている討伐隊から助けを求められたら自分が戦いに出ればいい、と考えたマスターは、両手の肉球を合わせ『いい? だめ?』とつぶらな瞳で不安げにこちらをみつめている愛らしいもこもこに優しい視線を向け、彼らの休暇を許可した。
――本当にまずいことになったら、彼らは自分から森へ行ってやつあたりのように大型モンスターを狩ってくれるだろう。
外見が少しチャラいわりに真面目なリオは、クマちゃんのお願いを断りたくない、しかし今休んで大丈夫なのか、という気持ちの間で心が揺れ動いていたが、マスターの言葉を聞き、
「ありがとーマスター。クマちゃんと遊ぶの久しぶりじゃん」
と安心してクマちゃんの誘いに乗った。
◇
クマちゃんがお花畑でピクニックをしようと言っている、ということをルークの雑な説明から理解した彼らは、湖畔の家の横にあるふわふわの敷物と巨大クッション、もといベッドがあるところへ来ていた。
湖畔には絨毯のように白い花が敷き詰められ、フワリ、フワリと透き通った光の蝶が舞っている。
美しい自然の景色を切り取り映す湖は、光を反射し、キラキラと輝いていた。
「いつまでも見ていたくなる景色だね」
ふわふわのベッドにゆったりと座り、湖や光の蝶を眺め嬉しそうにウィルが呟く。
皆のベッドに掛かっていた日除けが、今は宙にフワフワと浮いている。
ルークが位置を調整してくれたようだ。
「ああ」
景色よりもクマちゃん、な森の魔王ルークが、全く景色を見ずに相槌を打つ。
明るい場所にいる彼の瞳は朝の森の色だ。風に揺れる銀の髪が光を弾き、時々それを白く見せた。美しく幻想的な容貌の彼は、光を纏うと更に人外に見える。
「ピクニックなんてしたことないんだけど。何すればいいの?」
くつろぎ過ぎて仰向けでベッドに横になっているリオが、自分の上にフワリと飛んできた光の蝶に触れ、尋ねる。
――体も温まり、寝る準備は万全だ。
「お前はここにそれを知る人間がいると思っているのか」
冬の支配者クライヴは自分のベッドが少しだけ遠いため、ルークのベッドの端に少し足を開いて座り、両肘を膝に乗せている。
その恰好のまま冷たい声を出す彼は、悪の親玉のようだ。
その時、幼く可愛らしい声が辺りに響く。
「クマちゃん」
ベッドに座るルークの膝の上で優しく撫でられているクマちゃんは、皆と一緒に遊べる幸せを嚙みしめながら、もこもこの可愛らしいお手々を上げ、言った。
『皆で、おままごとしたい』と――。
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