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第12話 登校、からの…… その2
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”それ”はあまりにも一瞬のことだった。
律希が楓に向かって叫んだと思うと突進して突き飛ばし。
次の瞬間、大きなトラックと衝突し、その体は宙を舞った。
ここまでわずか数秒の出来事。
その場にいた3人の思考が一瞬停止した後、すぐさま覚醒し猛回転を始める。
「律希、律希!」
楓が懸命に声をかけるも、返答はなし。
すぐさましずくが駆け寄り、脈を取るも。
「脈がない。莉乃、救急車呼んで!あと誰でもいいからAED持ってきて!早く!」
莉乃はそれを聞き、スマホを取り出すと迷いなく119番をかける。
交通事故であること、トラックに跳ねられたこと、現在脈がなく、心臓マッサージと人工呼吸、それにAEDを使用しているということを伝え電話を切る。
それと時を同じくしてAEDが到着し、すぐにAEDの装着に取り掛かる。
その間も心臓マッサージと人工呼吸は一切止めない。しずく→楓→莉乃の順でひたすら交代を繰り返す。
そのうち心電図チェックと電気ショックが始まるも、やはり目を覚ますことはない。
1時間にも2時間にも感じる数分が過ぎ去り、徐々に救急車のサイレンが近づいてくるのが聞こえ、少し安心しつつも、律希の脈すら戻らないという事実に全く気が抜けない3人。
そこからまもなくして救急車が到着し、親族であるしずくが代表して乗り込む。
楓と莉乃は学校を目指し再び登校を再開。
学校につくと同時に楓と莉乃それぞれが担任のところへと向かい、事故の件を報告。
すでにしずくから両親に連絡が行っていることも合わせて報告し、自分たちの欠席も伝えると速やかに昇降口へ移動し合流。
その足で搬送先の病院へと向かう。
幸いしずくからは搬送先の病院の名前と場所が送られてきており、そこを目指すだけだった。
「ここが律希の搬送先ですよね?」
「そうだな、しずくからは『川口市立医療センター』って来てるし多分ここで会ってるだろう。とにかく入ろうか」
ウィーンとかすかな稼働音を鳴らし開いた自動ドアの隙間から滑り込むようにして入り、受付へと向かう。
「すみません、ICUってどちらでしょうか?」
「先にお名前をお聞きしてもよろしいですか?」
「浜野莉乃と川俣楓です。相原律希の姉の相原しずくがすでに到着していると思うのですが」
「ご関係は?」
「相原律希の幼馴染と、親友です」
「分かりました。では案内しますので少々お待ち下さい」
その後案内された先の廊下の突き当り付近にはベンチがあり、そこには1人力なく座っている人が。
紛れもなく、しずくである。
その先にある重厚感たっぷりの大きな扉は閉ざされており、上には赤く『手術中』のランプが灯っている。
搬送されてからおそらく1時間弱。
それでもまだ一向に出てくる気配がないということが、彼女たちをより一層不安にさせた。
律希が楓に向かって叫んだと思うと突進して突き飛ばし。
次の瞬間、大きなトラックと衝突し、その体は宙を舞った。
ここまでわずか数秒の出来事。
その場にいた3人の思考が一瞬停止した後、すぐさま覚醒し猛回転を始める。
「律希、律希!」
楓が懸命に声をかけるも、返答はなし。
すぐさましずくが駆け寄り、脈を取るも。
「脈がない。莉乃、救急車呼んで!あと誰でもいいからAED持ってきて!早く!」
莉乃はそれを聞き、スマホを取り出すと迷いなく119番をかける。
交通事故であること、トラックに跳ねられたこと、現在脈がなく、心臓マッサージと人工呼吸、それにAEDを使用しているということを伝え電話を切る。
それと時を同じくしてAEDが到着し、すぐにAEDの装着に取り掛かる。
その間も心臓マッサージと人工呼吸は一切止めない。しずく→楓→莉乃の順でひたすら交代を繰り返す。
そのうち心電図チェックと電気ショックが始まるも、やはり目を覚ますことはない。
1時間にも2時間にも感じる数分が過ぎ去り、徐々に救急車のサイレンが近づいてくるのが聞こえ、少し安心しつつも、律希の脈すら戻らないという事実に全く気が抜けない3人。
そこからまもなくして救急車が到着し、親族であるしずくが代表して乗り込む。
楓と莉乃は学校を目指し再び登校を再開。
学校につくと同時に楓と莉乃それぞれが担任のところへと向かい、事故の件を報告。
すでにしずくから両親に連絡が行っていることも合わせて報告し、自分たちの欠席も伝えると速やかに昇降口へ移動し合流。
その足で搬送先の病院へと向かう。
幸いしずくからは搬送先の病院の名前と場所が送られてきており、そこを目指すだけだった。
「ここが律希の搬送先ですよね?」
「そうだな、しずくからは『川口市立医療センター』って来てるし多分ここで会ってるだろう。とにかく入ろうか」
ウィーンとかすかな稼働音を鳴らし開いた自動ドアの隙間から滑り込むようにして入り、受付へと向かう。
「すみません、ICUってどちらでしょうか?」
「先にお名前をお聞きしてもよろしいですか?」
「浜野莉乃と川俣楓です。相原律希の姉の相原しずくがすでに到着していると思うのですが」
「ご関係は?」
「相原律希の幼馴染と、親友です」
「分かりました。では案内しますので少々お待ち下さい」
その後案内された先の廊下の突き当り付近にはベンチがあり、そこには1人力なく座っている人が。
紛れもなく、しずくである。
その先にある重厚感たっぷりの大きな扉は閉ざされており、上には赤く『手術中』のランプが灯っている。
搬送されてからおそらく1時間弱。
それでもまだ一向に出てくる気配がないということが、彼女たちをより一層不安にさせた。
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