8 / 13
第8話 交際戦争 Part4
しおりを挟む
それからしばらくして。
「ごはんできたよ~」
楓の呼ぶ声が聞こえ、急ぎ足で降りていく。
「もう出来たんだ?」
「そうだよ。しずくさんも莉乃さんもできてるみたい」
「そっか。じゃあ味噌汁温めるからちょっと待ってて。その間に盛り付けお願い。ご飯はこっちでよそっちゃうけど、量の希望とかある?」
「私は普通でいいよ?」
「私も普通がいいな」
「お姉ちゃんも!」
「しずく姉ねえは黙ってて。いつもの量くらい知ってるから」
「……久しぶりだね、その呼び方」
「あ、そうかも。……ってそんな話してる場合じゃない!急がなきゃ。もうこんな時間だ、明日学校あるんだし」
「ほんとだ。もうこんな時間なんだ、早いね」
気づけば時計の針は夜の8時を指していた。
これで明日全員揃って寝坊とかいったらシャレにならない。
味噌汁の鍋を火にかけると同時にご飯をよそっていく。
そうするとお鍋がグツグツいいだすので、すぐに火を止めこちらもよそう。
食卓に運ぶと、そこには。
随分と豪華な料理がズラッと並んでいた。
「誰がどれ作ったの?」
「私がチキンソテーオニオンソース、しずくさんが鮭となんか色々なのを焼いたの、莉乃さんが厚揚げあんかけだよ」
……どれも見た目、香りは高級レストラン並の出来栄えなのはどうしてなのだろうか。
おまけに盛り付けまで綺麗と来ればもう完璧である。
ただ味の方は食べてみないとわからない。
というわけでまずは楓のチキンソテーからいただく。
一口サイズに切り分け、ソースを少し付けてぱくり。
口の中に広がる鶏肉のジューシーさ、そして玉ねぎの甘み。
素材の味をフル活用して作られたこの味に、思わず笑みがこぼれる。
「鶏肉の旨味、玉ねぎの甘味を活かしてあってめっちゃ美味しい。なにこれ、楓ってこんなに料理上手かったんだ?」
「お母さんに教わってたの。……美味しいのを律希に食べてほしかったから」
急に顔を赤らめて話した楓につられ、思わず俺も顔が赤らむ。
それを見ていた莉乃さんがしびれを切らしたように、
「そこ!すぐにそうやって二人の空間を作るのはやめろ!ほら、次は私のも食べてみてくれ」
とものすごい剣幕で言ってくるので。
莉乃さんが作ったのは厚揚げあんかけ。
厚揚げは焼き目が入れられている他、あんかけには野菜ときのこがふんだんに使われており、白米にかなり合いそうなメニューであることは確かである。
さっそく取り分け、一口食べようとしたところで。
「ふたりともずるい!なんでお姉ちゃんより先なの?抜け駆けするってことはまさか莉乃、わたしに喧嘩売ってる?」
突如として機嫌を損ねた姉が乱入し、俺の頭は混乱するのであった。
「ごはんできたよ~」
楓の呼ぶ声が聞こえ、急ぎ足で降りていく。
「もう出来たんだ?」
「そうだよ。しずくさんも莉乃さんもできてるみたい」
「そっか。じゃあ味噌汁温めるからちょっと待ってて。その間に盛り付けお願い。ご飯はこっちでよそっちゃうけど、量の希望とかある?」
「私は普通でいいよ?」
「私も普通がいいな」
「お姉ちゃんも!」
「しずく姉ねえは黙ってて。いつもの量くらい知ってるから」
「……久しぶりだね、その呼び方」
「あ、そうかも。……ってそんな話してる場合じゃない!急がなきゃ。もうこんな時間だ、明日学校あるんだし」
「ほんとだ。もうこんな時間なんだ、早いね」
気づけば時計の針は夜の8時を指していた。
これで明日全員揃って寝坊とかいったらシャレにならない。
味噌汁の鍋を火にかけると同時にご飯をよそっていく。
そうするとお鍋がグツグツいいだすので、すぐに火を止めこちらもよそう。
食卓に運ぶと、そこには。
随分と豪華な料理がズラッと並んでいた。
「誰がどれ作ったの?」
「私がチキンソテーオニオンソース、しずくさんが鮭となんか色々なのを焼いたの、莉乃さんが厚揚げあんかけだよ」
……どれも見た目、香りは高級レストラン並の出来栄えなのはどうしてなのだろうか。
おまけに盛り付けまで綺麗と来ればもう完璧である。
ただ味の方は食べてみないとわからない。
というわけでまずは楓のチキンソテーからいただく。
一口サイズに切り分け、ソースを少し付けてぱくり。
口の中に広がる鶏肉のジューシーさ、そして玉ねぎの甘み。
素材の味をフル活用して作られたこの味に、思わず笑みがこぼれる。
「鶏肉の旨味、玉ねぎの甘味を活かしてあってめっちゃ美味しい。なにこれ、楓ってこんなに料理上手かったんだ?」
「お母さんに教わってたの。……美味しいのを律希に食べてほしかったから」
急に顔を赤らめて話した楓につられ、思わず俺も顔が赤らむ。
それを見ていた莉乃さんがしびれを切らしたように、
「そこ!すぐにそうやって二人の空間を作るのはやめろ!ほら、次は私のも食べてみてくれ」
とものすごい剣幕で言ってくるので。
莉乃さんが作ったのは厚揚げあんかけ。
厚揚げは焼き目が入れられている他、あんかけには野菜ときのこがふんだんに使われており、白米にかなり合いそうなメニューであることは確かである。
さっそく取り分け、一口食べようとしたところで。
「ふたりともずるい!なんでお姉ちゃんより先なの?抜け駆けするってことはまさか莉乃、わたしに喧嘩売ってる?」
突如として機嫌を損ねた姉が乱入し、俺の頭は混乱するのであった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる