上 下
63 / 87
第3章 修学旅行で何も起こらないなんて誰が決めた? 前半:〇〇が黙っているわけがない

第7話 出産前の最終決戦 Side極悪夫婦 その2

しおりを挟む
 千春と邦彦の前に広がる1つのノート。
 それは一見、1冊の普通の大学ノートだった。
 ただし、中身を見ると別である。
 その中には、細かい字でびっちりと隅から隅まで真っ黒に書いてあるページがたっぷり。

 その中身はあえて言わないが。
 一言だけ言うのであれば、とんでもない規模の爆弾である。
 おそらくこれを爆発させれば、よほどの腕を持たない限り、攻撃された側の立場は危うい。
 というか、ほぼ間違いなく、仮に冤罪であったとしても信頼を失い、それを取り戻すまでにはかなりの時間を要する。
 
 もっとも、敵が政信&ちとせなら話は別だ。
 この最強コンビ、そのあまりのイチャラブバカップルぷりについたあだ名は、オシドリ夫婦・熟年夫婦・新婚さんの3つである。
 その頭脳はとてつもなく、どんな爆弾を投げ込まれたって大丈夫なほどに信頼を得ていた。
 特に、復讐劇の生配信は、信頼度アップに貢献していたのだ。
 おそらくだが、地球破壊爆弾を爆発させられても生き残れるくらいには強い。

 ということを知らないものの、念の為かなり威力を高めていく千春たち。
 その威力たるや、事前にそれを封じることが出来なければ、どんな人間でも一旦は陥れられるほど。
 あの政信たちですら、もしかしたら対処しきれないくらいの、である。





 そして今何をしているかと言うと、千春と邦彦は2人揃ってひたすらスマホに打ち込んでいく毎日。
 そもそも邦彦は本来、千葉県まで来ることが出来ない身ではあるが、そこはスマホを効率良く使い、2人で協力してきていた。
 さっきだって、この2人はビデオ通話していたのだ。
 で、なぜスマホに打ち込んでいくのかというと、その後のためである。

 スイッターには、一度のスイートの文字数に制限がある。
 それに、1つのスイートではなく、いくつものスイートをしたほうが、効果バツグンである。
 そこで、スマホのメモ帳機能を活用し、いざスイートするときには、コピー&ペーストをフル活用し、次々にスイートできるようにしているのだ。

 この作業が大変時間がかかる。
 なにせ大学ノート1冊分の量がある。
 いくら打ち込むのが早いとは言え、量が半端じゃない。

 ようやく全て終わったのは、丸2日経った頃だった。

 さて、打ち込み終われば、残るのはそれを全て世にぶちまけるだけ。
 ただし、それにもタイミングというものがある。

 色々悩んだ末、彼らはまず半分を10時間かけて次々にばらまいていくことにした。
 そんでもって、反撃されたのを徹底的に潰した後、それを脚色したものと、残り半分をばらまく。
 そうすれば、あいつらを本当の地獄に落とせる。

 あとはいつ実行するか。

 やはり、最後までやりきった後に修学旅行に行ってもらいたい。
 そうすれば、行く先々で白い目で見られるからだ。



「私に逆らうからいけないのよ」

 千春の謎の思考は、とどまるところを知らない。





しおりを挟む

処理中です...