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第2章 ちとせの政信奪還作戦

第19話 政信の目覚めと説教と… その1

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 地面が見え、意識が暗闇に溶け込み。
 そのまましばらく時間が経過した後、すっかり寝ていた俺は目を覚まそうとする。
 だが、なかなか目を開くことが出来ない。

『君はどうしてそこまでして生きようと思うんだい?』

 突如として頭の中に響いた声におどろく俺。

『あんなことがあったのに、今後も苦しい思いをすることぐらい分かってるだろうに。なのに君はまたあの世界に戻ろうというのかい?』
「それでもだ。確かに俺は苦しい思いをしたが、それは他にもたくさんいる。それにまだあいつらが苦しんでる最中だ。一生苦しんで死ぬまで苦しみ続けてるところを見るという崇高な使命は俺にはある」
『そうやって生きる理由をこじつけてるだけじゃないのか?』
「断じてそうじゃない。たとえお前が引き留めようと、俺はまだ生きてやる。ちとせと長生きして、あいつらにざまあみろと言い続けたいんだ!」
『……そこまで言うなら仕方ない、ならば目を開けよ。私は君とはしばらく関わらないことにしよう。皆が待ってる世界にもどりたまえ』

 そう言われた俺は、今度こそ目を開く。

 が、あまりの眩しさに目が細い状態でとはなったが。
 そして、まず目に入ってきたのが無機質な白のタイルとドアップのちとせの顔、そして白衣を着た医師らしき人と武弥に彩希さん。
 自分のいる環境やら一緒にいる人達に疑問が次々と生まれ、頭の上にはてなマークをいっぱい掲げながら問いを発する。

「……あれ、ちとせ?どうして俺は寝てるんだ?……それにお医者さん?」

 そう発した俺の言葉を聞いたちとせが、顔をくしゃりと歪める。
 一方の俺は日付が気になっていた。

「あの、今日は一体いつですか?」
「9月15日ですよ」

 その瞬間、俺の意識は一瞬で覚醒し、一息に起き上がろうとして。
 突然その目から大粒の涙をこぼしながら抱きついてきたちとせによって再び押し倒された。

「ちとせ、一旦どいてくれないか?俺はすぐにでも行かなきゃいけない。こんなにサボってたらなんて言われるか。迷惑をこれ以上かけるわけには行かないんだ」

「じゃあ行かないで」
「え?今なんて?」
「迷惑かけたくないなら行かないでって言ってるの!いきなり倒れて、そのままずっと目を覚まさなくて、もう二度と目を覚まさないかもって言われて。過労とストレス過多だって言われて、あんな惨状の胃を見せられて。もうあんな思いをするのは嫌!」
「ちとせ……」
「だいたい政信にとって私は何?私のことは信じられるんじゃなかったの?」
「そりゃ信じられるよ、だから隠し事なんて――」
「してたじゃない!自分が疲労とストレスで大変なことになってるのに黙ってたじゃん!」
「は?」

 たしかにそこそこ疲労は溜まっていたが、そこまでではなかったはず。
 困惑する俺に、医師が話しかけてきた。

「君が井野政信くんだね?」
「はい、そうです」
「君は部活中に倒れて搬送されてきたんだが、その時の状態がかなりひどくてね。病状の説明をしようと思うんだが、いいかい?」

 その声音と雰囲気から、かつて無いほどの真剣さを感じた俺は、頷いて同意をした。
 まさか自分の状況がとてつもなくヤバかったとは知らずに。



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 ようやく政信が目覚めです!
 そしてちとせのセリフ的に次回は結構ビッグなイベントが発生しますよ~!

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