27 / 87
第1章 彼女の浮気と素顔
第26話 復讐という名の地獄落とし 後編 その6
しおりを挟む「証拠がないとでも思ったのか、このアバズレ」
一瞬の迷いもなく吐き捨てた暴言に部屋の空気が冷え込むのがわかる。
「しょ、証拠って何よ」
「君たちがしでかしてくれやがった誹謗中傷の数々だよ。裁判もできるように全部スクショしてある。なんなら今見せてやるよ」
そういって事前におじさんから受け取っていたスクショを印刷したもののほんの一部(ざっと10枚、コメント数約30前後)を机の上に広げる。
そして。
「え~なになに、『うちの元カレがひどすぎる。〇〇っていうアカウントなんだけど、気に食わないとすぐ暴力振るうし、罵詈雑言の嵐。そのくせ自分はうちの妹と浮気三昧。別れてやって正解だったわ』」
「こっちも読むね。『あっちが浮気したのに私を浮気者に仕立て上げ、一緒に追求しようとした友人ごと犯罪者にしやがった。もう許さない』だって」
「はい千春。これらについて何か言うことは?」
「あるわけ無いでしょ。全部ホントのこと言ってるんだから」
「さっきから同じこと言ってるけどさ、あんた自覚ないわけ?まずそもそも人に暴力振るうなんて今日が初めてくらいだし、罵詈雑言の嵐って言うけど、某高◯◯さ子よりは抑えてるしなんなら吹部のときの方がよっぽど浴びせてるし、あんたに浴びせたのはこないだの体育館くらいだけど」
「それが何よ。罵詈雑言の嵐だったじゃない」
「てめぇのその書き方はあたかもしょっちゅうやってるかのように聞こえるって言ってんだよバカ!それから暴力振るったことは一度もないし、浮気したのはそっちだろ。こっちは一度も浮気してないしな。なんなら君たちが何ヶ月も前から浮気してた証拠ならいくらでもあるんだけど」
「あんたたちだって浮気してたじゃない。昨日がその最たる例でしょう」
「あれは演技だけど。そもそもちとせとここ最近喋ってるのって全部お前たちへの制裁を考えてるからだし」
さっきから落ち着きかけたところに新たな燃料を投下してくるせいで気をつけないと怒りで暴走しそうである。
なんなら時折口が悪くなっているが。
「それでもあんた達だって私達と別れた瞬間に付き合い始めたじゃない」
「それはてめぇの話だろうが。誰が異性と付き合うか。お前みたいなやつに騙されてたもんでな、悪いが異性を信じるなんてもう無理だ。もう二度と交際するつもりはないからな」
いよいよ自分たちが何も反論できなくなってきたのか、口を閉ざす千春。
思ったより簡単にボロ出しまくってくれたおかげで想定より楽である。
追い打ちをかけるように畳み掛ける。
「そもそもだいぶ前からお前たちは浮気していたんだろ。それどころか邦彦がちとせと付き合っていたのは表面上だけでホントは千春とくっつくためだった上にいざバレたら嘘を付きまくってごまかして人に罪をなすりつける。そんでもって全く反省しない。そんな奴がよくもまあのうのうと生きていられるよな」
するとそれまで黙ってたちとせが口を開く。
「いくらお姉ちゃんでも許せることと許せないことがあるんだけどさ。今回のは許せないどころの話じゃないんだよね。ぶっちゃけ早くこの場から消えてほしいくらい。私が傷つくならまだ許せるけど、政信にまで傷つけたのは許さないから。一生許すつもりはないし、一生かけてその罪償ってもらうから。海外に逃げようとどこまでも追いかけるからね。覚悟しとけよ、クズ」
スラスラと飛び出た暴言に思わず口を出す。
「ちとせ、仮にも身内じゃないのか?」
「こんな酷いやつうちにはいないよ」
即答である。
結論、ちとせがブチギレるとおっかない。
ともかくこれを持って話し合いは終了した。
/////////////////////////////////////////////////////
次回からは後日談です。
その後からは2章に入ります。
2章からはただのイチャイチャラブコメです。
2章はちとせちゃんが政信を振り向かせようと頑張ります。
付き合えるかどうかは今後のお楽しみですが。
もしかしたら新ヒロインが出るかも?
キャラ紹介で触れたバカップルも登場です!
/////////////////////////////////////////////////////
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
君と僕の一周年記念日に君がラブホテルで寝取らていた件について~ドロドロの日々~
ねんごろ
恋愛
一周年記念は地獄へと変わった。
僕はどうしていけばいいんだろう。
どうやってこの日々を生きていけばいいんだろう。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
穏やかな田舎町。僕は親友に裏切られて幼馴染(彼女)を寝取られた。僕たちは自然豊かな場所で何をそんなに飢えているのだろうか。
ねんごろ
恋愛
穏やかなのは、いつも自然だけで。
心穏やかでないのは、いつも心なわけで。
そんなふうな世界なようです。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
最愛の幼馴染みと親友に裏切られた俺を救ってくれたのはもう一人の幼馴染みだった
音の中
恋愛
山岸優李には、2人の幼馴染みと1人の親友がいる。
そして幼馴染みの内1人は、俺の大切で最愛の彼女だ。
4人で俺の部屋で遊んでいたときに、俺と彼女ではないもう一人の幼馴染み、美山 奏は限定ロールケーキを買いに出掛けた。ところが俺の凡ミスで急遽家に戻ると、俺の部屋から大きな音がしたので慌てて部屋に入った。するといつもと様子の違う2人が「虫が〜〜」などと言っている。能天気な俺は何も気付かなかったが、奏は敏感に違和感を感じ取っていた。
これは、俺のことを裏切った幼馴染みと親友、そして俺のことを救ってくれたもう一人の幼馴染みの物語だ。
--
【登場人物】
山岸 優李:裏切られた主人公
美山 奏:救った幼馴染み
坂下 羽月:裏切った幼馴染みで彼女。
北島 光輝:裏切った親友
--
この物語は『NTR』と『復讐』をテーマにしています。
ですが、過激なことはしない予定なので、あまりスカッとする復讐劇にはならないかも知れません。あと、復讐はかなり後半になると思います。
人によっては不満に思うこともあるかもです。
そう感じさせてしまったら申し訳ありません。
また、ストーリー自体はテンプレだと思います。
--
筆者はNTRが好きではなく、純愛が好きです。
なので純愛要素も盛り込んでいきたいと考えています。
小説自体描いたのはこちらが初めてなので、読みにくい箇所が散見するかも知れません。
生暖かい目で見守って頂けたら幸いです。
ちなみにNTR的な胸糞な展開は第1章で終わる予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる