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第四章 『呪いの真実』

エピローグ 『隻腕の男』

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 一年後

 歩行人でごった返している街の交差点付近で、ノースリーブにスカートを身に纏った短髪の女性が一人、なにやら不安気な顔つきで、きょろきょろとしている。

「七海っ」と声をかけながら、女性の手が七海の肩に触れた。七海はビクッと体を震わせて後ろを振り向くと、友達の唯が顔をひきつらせている。

「もう、びっくりさせないでよ」

「びっくりしたのは、こっち。そんなに驚くとは思わないもん。どうしたの、なんか怯えてない?」

 唯が言う通り、七海の顔つきは怖がっているように見えた。

「だってさ、最近ネットとかにも、よく出てくる、あれが気になっちゃって」

「あれ?」

「知らないの、ほら、呪いの痣の話」

「あー、はいはい。あれ、ね。知ってるけど、冗談でしょ。まさか、信じてるとか言わないよね」

「違うの、聞いて。大学の友達が実際にあったんだって。気がついたら、体に手形の痣があって、それを友達に言われた翌日、その子は殺されてたって」

「ほんとに? でも、待って。友達って誰よ」

「友達っていうか、友達の友達っていうか」

「ほらね、噂、決定」唯が勝ち誇ったように鼻を高くした。

「そうなのかな」

「はいはい。もう、遅れちゃうから、行くよ」そう言って、唯が先を急ぐと、七海も後を追い歩いていく。七海の肩にはじんわりと手形の痣が浮かび上がってくる。

 人込みに交じり、七海を見つめる一人の男がいた。男は季節にそぐわない黒いフード付きのコートを身に纏い、顔にはサングラスをかけている。コートの袖からは右腕しか出ておらず、男は隻腕のようだった。男が静かにフードコートを脱いでいくと、中からは、了の顔が露わになっていく。

「今度こそ……」了は睨みつけるような表情で、そう呟くと、二人を追って街の喧騒へと消えていった。
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