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第15章

6話~ダンジョン、終了~

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 クレオパトラと対峙し戦うこと十分。ゾンビ達はようやくその姿を消し、残るはクレオパトラのみとなった。ここまできたら、後はこのボスの習性を使って一気に終わらせられると思ったのだが…ここでクレオパトラが巨大な範囲攻撃を仕掛けてきた。それは、ポ●モンの波乗りそのもの。いや、正確には津波を起こされている。その上にクレオパトラがいるため波乗りになってしまっている。
 このままではパーティ全滅もありうるので盾を展開させ前方に壁を作る。この壁に津波は砕かれたように左右に割れていき、左右に作っておいた溜まり場に溜まっていく。そして、その溜まった水は次から次へと消えていき、ついにはクレオパトラのみが残った。
「一斉攻撃するぞ!魔法組は一番威力のある魔法、物理組は一番威力のあるスキルか攻撃をしろ!」
この指示と共に物理組のゴロウ、シノンがスキルと通常攻撃を使ってラッシュをかける。魔法組は詠唱に入り撃ち込むタイミングを狙っている。俺の方には相変わらずクレオパトラの攻撃が飛んでくるが全て自動防御盾に任せて『速連突』を撃ち込む。
「詠唱完了、耀一、いつ打てばいいの?」
とカナから来たので物理組を下がらせて「いつでも大丈夫だ!」と答える。するとその直後巨大な隕石やら闇やらが出てきてクレオパトラを襲った。
 魔法組の攻撃でクレオパトラはようやく虫の息になったようで最後に物理組がとどめを刺しにラッシュをかける。そして、クレオパトラが倒れたのはその数分後。突然光に包まれたかと思うと、少しずつ消えていったのだ。完全に消えるにはまた十秒くらいかかって、消えたあとには撃破報酬が出ていた。
「…こんだけ?」
クレオパトラのドロップしたものは、ちょっとした素材と武具のみ。しかも素材も武具も今使っているものから考えたら貧弱貧弱ぅすぎる。その代わり経験値はわんさか貰えたが。
「ボスを倒したんだからもうちょっといいものをくれてもいいのに」
誰が言ったかは言ったかは分からないがそんなことも聞こえてくる。確かに、あれだけ苦労して倒したのにこんな報酬だけじゃあなぁ。まあ、無いよりはマシ、かな?

 このあとダンジョンを出て向かったのは、初め男女に案内された村。村に着いたらどこから伝わったのか、あのクレオパトラを倒したことが広まっていた。
「ふおふおふお…まさかあの女王を倒すものがおるとはなぁ。これであの場所を今まで通り、試練の間として使えるようになったのう。お前さんら、感謝するぞ」
話が全く飲み込めないが、目の前にいるお爺さん…おそらく村長と思われる…がそんなことを言うので、何かいいことをしたのに間違いは無いのだろう。
「お帰りなさい。急なことで驚いていると思うのだけど。説明いいかしら?」
この村に案内してくれた二人組がやって来て、女性の方が説明を始めた。
 説明の内容を要約すると、あのダンジョンはクレオパトラが出てくる前までは、村の人々の修行場として使われていたらしく(何故修行を?と聞くと「試練を乗り越えるためです」と言われた。ちなみにその試練とやらはあそこのダンジョンの本来のボスを倒すことらしい)、修行場として使えなくなって困っていたとのこと。で、偶然俺達と出会ったからこちらにも利益があるように餌を吊るして連れてきた(その餌と言うのは経験値のことだろう)。クレオパトラを倒してくれではなく、ダンジョンを攻略してくれと。そして俺達がダンジョンを攻略し、クレオパトラも倒してくれたということらしい。
「なので、こちらを受け取ってください。これは契約した魔物が更に強くなるものです。勿論、契約をしていなくても個人としての能力も上がります。さらなる能力もあるのですが、これは自ら試してみてください」
そう言いながら渡してきたものは、直径五センチほどの球。その球を受けとると、<スキル『シンクロ』、『ペットライザー』が解放されました>とでた。スキル詳細を見ると『シンクロ』は契約したペットとの融合、『ペットライザー』は契約していると、契約した魔物の能力アップ、プレイヤー自身の能力もペットとの相性等に応じて上昇するというもの。さらにこれはペットのいないプレイヤーにも適応され、契約していない場合、別にボーナスステータスがつくようで、俺とシノン以外のメンバーも能力が上昇しているらしい。
「それでは、今回はありがとうございました。またいつか」
この言葉と共に目の前が光に包まれ、気がつくと自宅のベットに横になっていた。
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