12 / 40
12話 波乱のお茶会②
しおりを挟む「な、何で私が慰謝料を払わなきゃいけないのよ!?しかも、今更!?今まで何もしてこなかったじゃない!」
あらあら、焦ってますねー。
私が貴女に対して今まで何もしなかったのは、不貞の事実を私自身が隠蔽していたからに過ぎません。でも、もう隠す必要が無くなったんだから、遠慮無く仕返ししてもいいって事でしょ?
「おかしな事を言うんですね。不貞を働いたら、相手に慰謝料を払う!当然のことですよ?もしかしてご存知無かったんですか?常識を一から勉強し直しましょうね」
「なっ!?」
「貴様!クイナに向かって何を――!」
「アシュレイ殿下もですよ?慰謝料、請求します。きっちり支払って下さいね。アシュレイ殿下の私費でお願いします」
絶対に王家のお金からは出しませんよ。自分のケツは自分で拭け。
「何で俺様の金から出さなきゃなんねーんだよ!俺は王太子だぞ!?国の金は将来、全て俺様の物になるんだから、今使ったって何の問題もねーだろーが!」
ほんっっっっっとうに馬鹿な人ですね!こんな貴族のご婦人・ご令嬢がいる前で、そんな非常識なこと言います?国民が納めた税を、私利私欲に使いまーす!なんて宣言する馬鹿がいます!?やるにしても普通は黙ってするんですよ?
あ、やばい……本当に頭痛がしてきた……これはもう急いで王太子の剥奪を皆様に発表する場を設ける必要がありますね。即、陛下と相談しよう。
「大体、お前に慰謝料払う義務なんてねーんだよ!俺様とクイナは純粋に愛し合っているんだ!お前の方が邪魔者!こっちが慰謝料請求する立場なんだよ!」
「そ、そうですわ!私達は何も悪いことはしていません!ただ、運命の出会いが遅かっただけなんです!リンカ様よりも前にアシュレイ殿下と出会っていたら……こんな事にはならなかったのに……誰も、傷付かなかったのに!愛し合った二人に罪はありません!」
黙れマジで。本気で二人共消え失せろ。周りの反応見て少しは自分達が冷めた目で見られているのを感じ取れよ!
「……そんな安っぽい恋模様を見せられても、こっちは白けるだけなんで止めて下さい」
「何だと!?」
「慰謝料は必ず請求します。ああ、でもアシュレイ殿下は兎も角、クイナ嬢はお支払い出来ますか?失礼ですが、ロスナイ子爵家はそこまで裕福ではないようですし」
「――っ!」
家柄のことを言われるのは悔しいですか?私も普段はこんな事――必要に応じて言いますね。でも、家柄関係無く、尊敬に値する相手には言いませんよ。クイナ嬢には、尊敬のその字も無いということです。
「まさか子爵令嬢ともあろうものが、王太子妃の夫を寝取るなんて真似をするとは思っていませんでした。貴女の父……ロスナイ子爵は、娘をこのように育てた責任をどうとるおつもりなのでしょうね?」
「お、お父様は関係無いでしょう!?」
「やだ、何言ってるんですか?関係あるに決まっているじゃありませんか。今は離婚しているとは言え、貴女は、この国の王太子妃の夫、そしてガルドルシア公爵令嬢の夫を寝取ったのですよ?――ただで済むと、本当にお思いですか?」
貴女達の不貞関係を公にするつもりは無かったから、慰謝料請求や、貴女の両親……ロスナイ子爵家を巻き込むことは止めてあげようとしていたのに、貴女達は今ここで、不貞関係にあることを自ら暴露した。
それなら私は、たかが子爵家くらい問答無用で潰せるんですよ。
「ロスナイ子爵には、王太子と不貞を働くような不出来な娘を育てた罰に、世襲の爵位継承権を剥奪させようと思っているんです」
「爵位の剥奪だなんて……!そこまでする!?そんな大袈裟にする必要無いじゃない!」
貴女、アシュレイ殿下との子供を宿していますよね?貴族ならグレゴリー国の歴史、愚王が他所で作った子供が原因のいざこざを知っているでしょうに、貴女は同じ事をしているんですよ?知ってます?時代も時代なら、斬首刑なんですよ。平和な時代に産まれて良かったですねー。
子供の件は黙っているから、まだ、許してあげているつもりなんですよ?もし喋れば――今度こそ、例え陛下やルイ殿下が反対しても、厳格に処罰します。
私だって本当は、ここまでするつもりは無かった。
子供が産まれた後、貴女だけを国外追放してお終いにするつもりでした。本当ですよ?少しは国外追放後も優遇出来るよう手配するつもりだったのに……無駄な仕事が一つ減りましたね、あー良かった。
2,412
お気に入りに追加
3,430
あなたにおすすめの小説
貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」
隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。
「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」
三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。
ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。
妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。
本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。
随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。
拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。
俺はお前ではなく、彼女を一生涯愛し護り続けると決めたんだ! そう仰られた元婚約者様へ。貴方が愛する人が、夜会で大問題を起こしたようですよ?
柚木ゆず
恋愛
※9月20日、本編完結いたしました。明日21日より番外編として、ジェラール親子とマリエット親子の、最後のざまぁに関するお話を投稿させていただきます。
お前の家ティレア家は、財の力で爵位を得た新興貴族だ! そんな歴史も品もない家に生まれた女が、名家に生まれた俺に相応しいはずがない! 俺はどうして気付かなかったんだ――。
婚約中に心変わりをされたクレランズ伯爵家のジェラール様は、沢山の暴言を口にしたあと、一方的に婚約の解消を宣言しました。
そうしてジェラール様はわたしのもとを去り、曰く『お前と違って貴族然とした女性』であり『気品溢れる女性』な方と新たに婚約を結ばれたのですが――
ジェラール様。貴方の婚約者であるマリエット様が、侯爵家主催の夜会で大問題を起こしてしまったみたいですよ?
困った時だけ泣き付いてくるのは、やめていただけますか?
柚木ゆず
恋愛
「アン! お前の礼儀がなっていないから夜会で恥をかいたじゃないか! そんな女となんて一緒に居られない! この婚約は破棄する!!」
「アン君、婚約の際にわが家が借りた金は全て返す。速やかにこの屋敷から出ていってくれ」
新興貴族である我がフェリルーザ男爵家は『地位』を求め、多額の借金を抱えるハーニエル伯爵家は『財』を目当てとして、各当主の命により長女であるわたしアンと嫡男であるイブライム様は婚約を交わす。そうしてわたしは両家当主の打算により、婚約後すぐハーニエル邸で暮らすようになりました。
わたしの待遇を良くしていれば、フェリルーザ家は喜んでより好条件で支援をしてくれるかもしれない。
こんな理由でわたしは手厚く迎えられましたが、そんな日常はハーニエル家が投資の成功により大金を手にしたことで一変してしまいます。
イブライム様は男爵令嬢如きと婚約したくはなく、当主様は格下貴族と深い関係を築きたくはなかった。それらの理由で様々な暴言や冷遇を受けることとなり、最終的には根も葉もない非を理由として婚約を破棄されることになってしまったのでした。
ですが――。
やがて不意に、とても不思議なことが起きるのでした。
「アンっ、今まで酷いことをしてごめんっ。心から反省しています! これからは仲良く一緒に暮らしていこうねっ!」
わたしをゴミのように扱っていたイブライム様が、涙ながらに謝罪をしてきたのです。
…………あのような真似を平然する人が、突然反省をするはずはありません。
なにか、裏がありますね。
【完結】婚約破棄はしたいけれど傍にいてほしいなんて言われましても、私は貴方の母親ではありません
すだもみぢ
恋愛
「彼女は私のことを好きなんだって。だから君とは婚約解消しようと思う」
他の女性に言い寄られて舞い上がり、10年続いた婚約を一方的に解消してきた王太子。
今まで婚約者だと思うからこそ、彼のフォローもアドバイスもしていたけれど、まだそれを当たり前のように求めてくる彼に驚けば。
「君とは結婚しないけれど、ずっと私の側にいて助けてくれるんだろう?」
貴方は私を母親だとでも思っているのでしょうか。正直気持ち悪いんですけれど。
王妃様も「あの子のためを思って我慢して」としか言わないし。
あんな男となんてもう結婚したくないから我慢するのも嫌だし、非難されるのもイヤ。なんとかうまいこと立ち回って幸せになるんだから!
【完結】子供が出来たから出て行けと言われましたが出ていくのは貴方の方です。
珊瑚
恋愛
夫であるクリス・バートリー伯爵から突如、浮気相手に子供が出来たから離婚すると言われたシェイラ。一週間の猶予の後に追い出されることになったのだが……
【完結】要らないと言っていたのに今更好きだったなんて言うんですか?
星野真弓
恋愛
十五歳で第一王子のフロイデンと婚約した公爵令嬢のイルメラは、彼のためなら何でもするつもりで生活して来た。
だが三年が経った今では冷たい態度ばかり取るフロイデンに対する恋心はほとんど冷めてしまっていた。
そんなある日、フロイデンが「イルメラなんて要らない」と男友達と話しているところを目撃してしまい、彼女の中に残っていた恋心は消え失せ、とっとと別れることに決める。
しかし、どういうわけかフロイデンは慌てた様子で引き留め始めて――
婚約者様。現在社交界で広まっている噂について、大事なお話があります
柚木ゆず
恋愛
婚約者様へ。
昨夜参加したリーベニア侯爵家主催の夜会で、私に関するとある噂が広まりつつあると知りました。
そちらについて、とても大事なお話がありますので――。これから伺いますね?
無実の罪で聖女を追放した、王太子と国民のその後
柚木ゆず
恋愛
※6月30日本編完結いたしました。7月1日より番外編を投稿させていただきます。
聖女の祈りによって1000年以上豊作が続き、豊穣の国と呼ばれているザネラスエアル。そんなザネラスエアルは突如不作に襲われ、王太子グスターヴや国民たちは現聖女ビアンカが祈りを怠けたせいだと憤慨します。
ビアンカは否定したものの訴えが聞き入れられることはなく、聖女の資格剥奪と国外への追放が決定。彼女はまるで見世物のように大勢の前で連行され、国民から沢山の暴言と石をぶつけられながら、隣国に追放されてしまいました。
そうしてその後ザネラスエアルでは新たな聖女が誕生し、グスターヴや国民たちは『これで豊作が戻ってくる!』と喜んでいました。
ですが、これからやって来るのはそういったものではなく――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる