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しおりを挟む気付いたら、3日間くらい連泊した事があってーーー
(でも、酷い事はされていませんでしたし……寧ろ、大変手厚く、もてなして下さって……)
「ほぼ軟禁しとるやないかい!リーシャはんが何も言わんのを良い事に、好き勝手して…!毎回毎回、<お前が来ない限り、リーシャをお前の元には帰さない>って脅迫文送り付けてきはってーー!!」
「いやぁ何。実の息子の顔が長い間見えないのが辛くて…」
「狭い村やねんから、どこかしらで会ってとるやろ!」
全然気付きませんでしたが、どうやら私は、イマルを誘き出す為の餌にされていた様です…!
「ご、ごめんなさい…!私、そんな事になっているとは知らずーー!」
衝撃の事実にショックを受ける。
「ああ!気付かれちゃった!てへっ」
「てへっ。や、あらへん!もおええ加減にせぇ!」
イマルは実の父親の頭を強く叩いた。
「お願いします」
座布団に座る3人の前で、綺麗な土下座を披露する、イマル父兼村長。
「プライドが無いんか!」
大の大人が、子供3人ーー1人はまだ8歳の男の子に対して、額を床に擦り付け土下座する。
「プライドなんてあっても飯は食えんし、願いは叶わん。ましてや、土下座で願いを聞き入れてくれるのなら、チョローー安いものだ」
「今チョロいって言いかけたなぁ?!」
「イマル兄ちゃん、もう埒が明かないから、取り敢えず要件だけ聞こうよ…」
父親の呼び出しに一切応じないイマルを、リーシャを餌に引き寄せ、サクヤは何だかんだ応じてくれるので、普通に手紙を出し呼び出し、喧嘩になり、わちゃわちゃし、埒が明かないからと、結局、村長の話を聞く事になる。
と、ここまではいつもの流れ。
ここから、話は、畑を荒らす猿の魔物の時の魔物退治や、美味しい美味しい肉となる豚の魔物の退治、家屋に使う木々の伐採の為の護衛任務等、基本、危険の伴うものへの相談と言う名の、お願い事に繋がる。
「実はなぁ。ほら、私達の村には、魚。が無いじゃないか」
「近くに水場が無いからな」
井戸があるので、生活的な水には困らないが、川や海、湖も、この村に来てから見た事は無い。
「リーシャ!」
「は、はい」
急に呼ばれ、ビクッとする。
「リーシャは、魚を食べた事があるかい?」
「え?あ、はい。有ります」
リーシャは元々、この世界で最も栄えている王都出身で有り、世界を冒険した魔王討伐のパーティの中心人物の1人。
王都でも魚は出るし、冒険をしている時も、よく、お付の者が魚を取って来て、調理をしていたので、勿論、口にした事がある。
「ではサクヤ!君はあるかい?」
「無いけど…」
「そうなんだ!無いんだ!無いんだよ!リーシャ!」
「え?え?え?え?」
まるで演劇をしているような激しい動きと口調についていけず、ただただ戸惑う。
「しばいたろか…」
1人、父親の奇行に、息子のイマルは険しい表情で睨み付けた。
「この村には、美味しい魚を食べた事が無い子供が存在するんだ!そんな悲しい事があっていいのだろうか?!否!!良くないよね!」
「は、はい」
リーシャが答える前に結論が出ていて、勢いのまま、頷く。
「村の子供達に!村長として、美味しい魚を食べさせて上げたい!これは、村全体の願いなんだ!」
「は、はい」
「だから君達には、川で魚を釣って来て欲しいんだ」
急に真顔になり、確信的な要件に入る村長。
「川…が、あるんですか?」
「あるよ。四季の森ガーデンをちょーーっと進んだ先にね」
成程。と、納得する。
四季の森ガーデンには、山菜採りで出掛けるような、村の近くとは違い、多く魔物が出没する。
狩りに出掛ける者は、四季の森ガーデンに出向くが、それでも、奥に進む事はまず無い。実際、私達3人が畑を荒らす猿の魔物を退治した時も、森の入口付近で、猿の魔物が出て来るのを待ち構え、退治した。
「ちょっと待て。それって、昔、親父達が行ってたとこやろ」
「達?」
「昔、じいちゃんと村長はパーティ組んでたんだよ」
「そうなのですね!」
ゲンは歳をとり一線を退いたとは言え、まだまだ村の近くの山菜集めの時に魔物が出る事があれば、現役で魔物と戦う凄腕の斧使い。
そんなゲンとパーティを組んでいたという事は、イマルの父親も、とても強かったのでしょう。
「阿呆か!行かへんで!その川、めっちゃ強い熊の魔物が出たからって、行くの止めたとこやんか!」
「阿呆ぬかせ。現役バリバリの時やったらよゆーやったわ。ゲンも私も、歳老いて来たから、仕方無く諦めただけや。その証拠に、お前は魚食べた事あるやろ」
急にイマルと同じような口調になるのは、この話し方が本来の素の話し方なのだろうか?
「大丈夫!お前は私に似て強く育ったし、サクヤは攻撃魔法が使えるし、なんと回復魔法を使えるリーシャまでいる!」
「サクヤはんはまだ8歳の子供やで?!子供をどんだけこき使う気なんや?!」
既に何度か村長の依頼をこなし、サクヤは着々と魔法使いとしての実力を伸ばしつつある。
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