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「何や疲れたわ…」
サクヤ宅にて、イマルはぐったりとテーブルに突っ伏した。
あれから肉屋にて、マルシェとイマルの小競り合いが少し続いたが、最終的には落ち着き、元気出し。と、マルシェからオマケのコロッケを頂き、帰路についた。
「ご、ごめんなさい……私、イマルは悪く無いと言おうとして…」
結果、余計にマルシェがヒートアップしてしまった。
「ええ。最初にカマかけられて引っ掛かったんは俺やし……リーシャはんは悪く無い。悪いんはお節介根性丸出しのおばちゃんや」
何やら遺恨を残した感じになっているが、何だかんだ2人は仲良しなので、大丈夫だろう。
それよりも……私、そんなに落ち込んでいるように見えるのでしょうか?弱さを見抜かれた事が今まで1度だって無かったので、立て続けに見抜かれると、驚きが倍増します。
「何の話?」
「いい。何も無い。聞いたらあかん。聞いたら後悔すんで」
よっぽど聞かれたく無いのか、変な脅しをいれるイマル。
「逆に気になるけど…」
効果は逆効果だった。
「おーイマルにリーシャ!来てたのか!お、今日はご馳走様だな!」
この家の主であるゲンが、帰宅し、テーブルに置かれた料理を見て、歓喜の声を上げた。
「じいちゃん、先に手を洗って来ないと駄目だよ」
ゲンの背中を押し、洗面所に消える2人。
上手く話題が終わり、イマルは帰宅したゲンに感謝した。
「イマル、あの…」
「ん?なんや?」
2人が洗面所に消えた後、リーシャは真剣な表情を浮かべ、イマルに近寄ると、言葉を発した。
「一緒にいれるだけで満足…は、好きって言った事になりませんーーよね?」
「ーーは?」
好き好き執拗いと嫌われる。のイマルの発言から、嫌われないように一生懸命気を付けているリーシャは、マルシェに勢い任せで言ってしまった言葉がセーフかどうかを、本人に直接尋ねた。
***
その頃、村長宅、冒険者受け入れ部屋。
「聖女様…」
ノルゼスは、薄暗い明かりのついた部屋で1人、リーシャの事を思い伏せていた。
優美な城とは違う、ボロボロの家屋。
豪華絢爛な食事とは違う、質素な食事に、それすら、満足に食べられない環境。
エスコートした時に見えた手は、日々の生活で出来たと思われる手荒れ。
何より、聖女様に相応しい地位や教育を受けた者達で無く、ただの村人達が、馴れ馴れしくも聖女様の傍にいる事。
「やはり、聖女様にこの地は相応しく無いーー!」
必ず!聖女様をこの地より救い出し、王都へお連れする!!
リーシャ本人の気持ちをフル無視し、ノルゼスは強く決意したーーー。
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