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しおりを挟む「なななな何と申した?!」
動揺しまくり、ガタガタと声を震わせる王様。
「あの……聖女様は、それはもう毎日、本当に楽しそうに生活されていまして……」
聞き直しても、返ってくる答えは同じ。
王様は、目眩がして、フラっと体がよろけた。
「父上?!」
「はぁはぁ……何と言う事だ……!絶対に根を上げて、城へ戻って来たいと泣きついてくると思っていたのにーー!!」
本音がダダ漏れしている。
「それどころか、誰かは分かりませんが、好きな方も出来たようでーーー」
バターーーンッッ!!!!
今度は、王子がその場に泡を吹いて倒れた。
「聖女が……私の聖女に……他に好きな人…だと?!」
信じられない様に、ぶつぶつと呟く。
王の間は王が取り乱し、王子が倒れ込み、周りの臣下達が慌てふためくという、ちょっとしたカオスの状態に陥った。
「ーーー私に行かせて下さい!!」
そんなカオスの中、1人の青年が、王座に向かい、声を上げた。
「お前はーー騎士ノルゼスか」
「は!」
ノルゼスと呼ばれた青年は、騎士の通りの、鎧や、剣を帯刀していて、その胸には、城に仕える者の証の、白い虎の刻印の入ったエンブレムがあった。
「私がその村へ行き!この目で聖女様のご様子を見に行きたいと思います!!野蛮な辺境な村の事です!聖女様はきっと、村人から冷たい態度を取られ!辛く!悲しい思いをしているに違いありません!その村が聖女様にとって相応しく無いのでしたら、私が連れ帰ります!!」
熱く訴える様に、ノルゼスは王に懇願した。
「連れ帰るーーとな?」
「はい!必ずや聖女様を説得し、城に帰るよう進言致します!!」
連れ帰る。の言葉に、少し平常心を取り戻した王様は、表情を何事も無かった様に正常に直した。
「ふむ。ならば、お主に一任しよう。
聖女の地位を自ら捨てた者とはいえ、貧しい辺境の地で1人孤独にいる元・聖女をこのまま放置するのは、不憫だからの」
既に本音ダダ漏れなのだが、王様は1番最初のスタンス、聖女が地位を捨てた事を後悔し、頭を下げて、城に戻って来たいと言えば、特別に!城に戻る事を許す。を貫き通すようだ。
「ありがとうございます!!」
王様の許可を得、ノルゼスは膝をつきながら、頭を下げた。
「……いや、あの……だから、聖女様は、毎日とても楽しく暮らしてるんですってば……」
1人、辺境の村ヘーゼルに趣き、心優しい村人達の歓迎を受けながら、毎日楽しそうに過ごしている聖女の姿を見て来た偵察者は、嘘偽り無い真実を伝えたが、その声は誰にも届く事は無かったーーー。
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