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それぞれの進む道
幻の花コトコリカ
しおりを挟む本人目の前に、死んでしまった。なんて話、して良いのかな?気分良いものじゃないよね?
キリアの話を聞き終えた3人は、無言で、黙り込んだ。
あれ?やっぱり皆さんの気分を害した?!そうだよね。勝手に殺されてるし、国はめちゃくちゃにされてるし、嫌だよね?!
「あの、夢とは言え、本当にごめんなさい!」
「……キリア、随分、服が汚れていますね」
「え?」
言われて気付いたけど、確かに、土塗れだし、血もーー付いてる。あれ?私、何か怪我とかしたっけ?
「サウィルンに足蹴りにされて、怪我をしたんですよね?」
「う、うん。夢では……その後、怪我は治したけど」
何故かカトレアの幼い頃みたいな子供と会って、その時に怪我は治療した。
「その時に負った血ではありませんか?」
「ーーっ、そんな、はずーー無いよ。だって、じゃあ、何で私はここにいるの?皆は、何でーー」
ーー無事なの?アレンさんもクラ兄さんもカトレアも、無事では済まなかったはず。
最後まで言葉に出来ず、詰まる。それくらい、夢はリアルで、悲しかった。
「キリア。今日は、僕がケイの過去について話した日から、まだ一日しか経っていないんです」
「ーーーえ?」
嘘。だって、あの日から、3週間は経っているはずーーなの、に。あれ?でも、夢なら、私は、3週間分の夢をずっと見てたってこと?!
「アレン、任務の内容をキリアに話しましたか?」
「……いいえ」
カトレアの問いに、神妙な赴きで、アレンは返事を返した。
「ですが、先程キリアさんが言っていた内容と一致します。俺が行くのは、救護員を護衛し、街まで送り届ける任務です」
「っ!嫌!行かないで!」
思わず、大きな声で引き止めてしまう。
夢の通りなら、アレンさんは、この依頼で、命を落とす事になる。
「クラ、最近、騎士団には、救助要請が多々届いているの?」
カトレアは、今度はクラ兄さんに質問を投げ掛けた。
「……届いています。だから、アレンにも応援要請を出しました」
「直ぐに騎士達に行くのを止めるよう伝えて下さい」
「分かりました」
カトレアに一礼だけし、慌ただしく、外に飛び出すクラ。
何?どうゆう事?夢じゃなかったの?でも、なら、どうして私は、ここにーーー?
意味が分からなくて、困惑する。
「キリア」
カトレアは、キリアの部屋にあった幻の花コトコリカを植えている植木鉢を持って来て、キリアに見せた。
まだ、花は咲いていない。蕾のまま。夢の通りなら、3週間後、マドローナが攻めて来る日に、花を咲かせる。
「この花は、実は絶滅した花なんです」
「絶滅……?」
幻の花コトコリカ。
幻の花と言われる通り、数百年、発見されていなかった、幻の花。
絶滅してた?
「はい。魔物に食い潰されたり、中々、実が咲かないのもあって、繁殖が上手くいかず、滅びたと言われています」
「……滅びたはずの花が、何で……」
コトコリカを見付けた時、カトレアは、本当に驚いていた。コトコリカを見付けた喜びよりも、驚きの方が勝っていたようなーーー。
「薄々思ってはいましたが、確信しました。キリア、貴女の特殊魔法は、回復ではありません。貴女の特殊魔法はーーー《時間》です」
「ーーー時間?」
「はい。貴女の回復魔法は、体を、元の元気な状態に、時間を戻していたんです」
(時間……私の特殊魔法が、時間?!)
「キリアは、過去から、今の時間に戻って来たんです。幻の花コトコリカも、貴女の力で、過去から取り寄せた」
「ちょっちょっと待って!私、そんな事してない!」
時間魔法で、幻の花コトコリカを過去から取り寄せる?3週間前に時間を戻す?!私、そんな魔法唱えてない!絶対に出来ない!!
「カトレア様、そんな魔法を使えるなら、キリアさんが黙っているはず無いと思いますが……」
そう!そうだよアレンさん!そんな魔法が使えるなら、もっと色んな場所で使ってるよ!ユーリさんの土砂崩れの時だって、あんな大惨事が起きる前に、元に戻すし!
「時を超えたりするような時間魔法はとても強力なものでしょうから、そう簡単には発動しないのかもしれませんね。何らかの条件が合わさって、発動するのかもしれません」
それって、使ってる本人も分からず、勝手に発動しちゃうって事?それってどーなの?それって、私の魔法って言えるのかな???
「どちらも、貴女の意思があったのでは有りませんか?」
「それはーー」
あった。どちらも、私が、強く望んだ。
「ーーカトレア様、騎士団に救助要請を止めるよう通達しましたが、その事で王様から、説明を求めるようお達しがありました」
急いで戻って来たクラは、通常の入口からでは無く、窓から現れ、カトレアに報告した。クラ兄さんの身体能力なら、例え3階の窓でも、ひょいひょいと飛んで辿り着いてしまう。
「分かりました」
「待って!私の……夢を……その、時間魔法を、信じるのーーー?」
時間魔法が本当なら、私は過去に戻って来た。でも、私に、そんな特殊な魔法が使えるなんて、私自身がまだ信じられないのに!
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