呪われた子と、家族に捨てられたけど、実は神様に祝福されてます。

光子

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大切な出会い

命の恩人

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 何度も言いますが、カトレアさんは分かるよ?!依頼主だし、護衛対象だし、守られて当然!でも、私は違うのに!

「私も寝ずの番出来る!」
 最悪、1人で魔物と戦っちゃ駄目って言うなら、皆を起こせば良いんでしょ?それなら出来る!問題無い!
「駄目だよ。まだ子供なのに」
「兄さん達が仕事デビューしたのは9歳の時でしょ?!私、もう12歳だよ!」
 それに比べれば、遅いくらい!
「五月蝿い、執拗い」
「ジュン兄さん、いっつもそれで終わらせようとする!」
 言い合いが面倒臭いのか、会話を無理矢理終わらせ、ジュンは空間魔法でしまって置いた荷物を次から次へと出した。

「クラ兄さん、お願い!私も何か役に立ちたい!」
 懸命に訴えてみるが、クラはニコニコと笑顔を崩さず、先程ジュンが出した荷物、鍋やフラインパンをキリアに手渡した。
「食材、狩ってくるから、料理お願いね」
「わーー」
「俺等は料理出来ねーんだから、適材適所だろ。それに、カトレアを1人にすんのか?全員で行ったらヤバいだろ」
 私も行く!の言葉を言う前に、先手で拒否される。

 悔しいけど、今回はジュン兄さんの言う事も一理ある。警護対象であるカトレアさんを1人にするのは良くない!良くないけど、残るのが私である必要は無い!絶対!こんな崖の場所だから見付からないって思って、私をここに残す気だ!

 本格的に何も危険な事をさせる気が無い兄2人を、キリアは睨み付けたが、兄2人はそれをスルーした。
 キリア、カトレアを残し、兄2人は食材を調達する為に、野宿場所となった崖から離れた。

 このままでは、きっと寝ずの番もさせてくれない。
 キリアは何とか出来ないかと思考を張り巡らせるが、上手い方法が何も思い付かなかった。
 (うう……このままじゃ、本当にただついてきただけになっちゃう……)
 そしてまた、この依頼が終わった後、仕事に参加させてくれなくなるのが目に見えて分かる。

「キリアは、お兄さん達に愛されているんですね」
 一緒に残ったカトレアは、キリア達のやり取りを見て、思った感想を述べたのだろう。
「……それは、凄く、嬉しい……よ」
 家族に愛されて育たなかった私にとって、今世、初めて優しくしてくれた、私の新しい家族だと思ってる。
「でも!兄さん達は、何も分かってくれてない…!」

 私は、兄さん達の為にも、紅の瞳の偏見を、少しでも無くしたい!その為には、私も、仕事をして、人の役に立って、紅い瞳の印象を良くする必要がある!てか、そんな大きな話じゃなくても、普通に仕事したい!ずっとおんぶにだっこは嫌なの!

「過保護過ぎるの……私だって、魔法使いになったんだもの」
 一生懸命学んだ。兄さん達の力になりたくて。
 でも、何もさせてくれない、守られているだけの環境は、私の気持ちを全部否定されているようで、とても悲しい。

「キリアも、お兄さん達が大好きなんですね」
「……うん」

 優しく話を聞いてくれる、その眼差しに甘えて、つい、身の上話をしてしまって、何だか恥ずかしくなって、キリアはカトレアから視線を外した。
 薪を並べて、魔法で火をつける。
 パチパチと揺らぐ炎越しに、カトレアに気付かれないように、彼に視線を戻した。
 (人間なのに……変な人)
 紅い瞳の私を、真っ直ぐに優しく見つめてくれる。人間と触れ合う事が怖くなっていたのに、今は、この人なら怖くない。

「……紅い瞳が、怖く無いの?」
 初めて出会った時から、カトレアに紅い瞳の差別は感じなかった。それどころか、私の瞳を見て、綺麗。とすら言った。

「怖くありません」
 ハッキリと答えてくれる。

「何故?」
 人間は、紅い瞳を、呪われていると、蔑む。何もしていてなくても、ただそこにいるだけで、畏怖や軽蔑の対象になる。

「何故、とは?キリアは、何か悪い事をしましたか?」
「し、してないよ!」
「なら、怖くありません。何もしていない人を恐れる必要は無いでしょう?」
 その言葉に嘘偽りは感じられない。

「とは言っても、そう思ってしまうのは、それだけ、僕達に酷い言葉や態度を取られていたとゆう証ですよね。本当にすみません…」
「カトレアさんが謝る必要無いよ!」
 カトレアの瞳に、悲しみの色が映るのを、慌ててキリアは止めた。
「……僕、幼い頃に、紅の目をしたお姉さんに、命を救われた事があるんです」
「!そーなの?」
 私達が初めて会った紅の瞳じゃないんだと、キリアは驚いた。
「はい。だから、キリアにも命を助けて頂いたので、これで紅い瞳をした人に助けられたのは、2回目になりますーーー僕にとって、紅の瞳はーーー貴女の瞳は、綺麗で、純粋な、敬愛する瞳です」
「!」
 まだ12歳とはいえ、可愛くて綺麗な容姿端麗の男の子からこんな事を言われたら、恥ずかしくて顔が真っ赤に染まる。
 幸いな事に、火を挟んで会話をしていたので、顔が真っ赤に染まったのは、カトレアには気付かれなかった。
「僕は、紅の瞳の差別を無くしたいと思っています」
「えっ…」
 それは、キリア自身も、ずっと思っている事。
「無くなったら、冒険の間も、フードで顔を隠さなくてもいいし、街に一緒に買い物も行けますね。美味しいご飯屋さんがあるので、是非皆さんと一緒に行きましょう」
 キリアにとって夢物語な話を、カトレアは笑顔で、語り続けたーーー。



「ただ今、キリア。変わり無かった?」
 安定で大きな猪の魔物を抱えて帰って来たクラは、火を起こし、簡易な寝具(薄いブランケット等)を用意していたキリアに向かい尋ねた。





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