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最終話 シンデレラストーリー
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建国パーティーから一か月後、私はまだフィル殿下の侍女として、王宮で働いていた。
「昨日、マックスは王宮騎士団から地方の騎士団に左遷されたんだってね」
「……はい」
アシュリー様に夢中になっていたマックスは、何度も鍛錬を抜け出しては、アシュリー様に会いに行っていたようで、入隊当時は一番を誇っていた剣の実力も落ち、その不真面目さから評価を下げることになり、憧れだった王宮騎士団を去ることになった。
『本当に……すまなかった』
最後、マックスは深く頭を下げ、謝罪の言葉を吐いた。
もう昔のような仲の良い幼馴染には戻れないけど……憑き物が取れたようにスッキリした彼の表情に、また一から頑張って欲しいと思った。
「アシュリー様は、ミルドレッド侯爵によって修道院に送られたようですね」
父様の妨害で事業が怪しく、建国パーティーに参加出来なかったミルドレッド侯爵は、いくら娘に激アマな父親と言えど、度を越えたパーティーでの失態を知り、声を荒げ、怒り狂った後、有無を言わさず修道院に娘を送りつけた。
あれだけ甘やかしていたというのに……見切りをつけるのは早いのですね、と、呆れてしまった。
「ミルドレッド侯爵にも娘を野放しにした件で責任を取らせ、爵位を下げる方向で話がまとまったよ。近々報告が行くと思う」
……まぁ、ミルドレッド侯爵家には、父様が圧力をかけ続けているので、事業は全く上手くいっておられないようですし……そんなことをされずとも、自然と貧乏になっていくのは目に見えていますけど。
「これで邪魔者は全員いなくなったね」
「邪魔者……ですか?」
「そう、君と僕の」
フィル殿下は立ちあがると、私の手を握り締め、まっすぐに私を見つめた。
「僕は正式に君の婚約者になったワケだけど、前にも言った通り、僕は君に愛してもらえるように、これからも努力していくよ」
「……フィル殿下……!」
手の甲に落ちる口付けに、心臓が大きく跳ねる。
……そんなことされなくも……私はもう、きっとフィル殿下に恋をしているのに……
最後にマックスに会った時、私は何も感じなくなっていた。私の心が揺らぐのは――今はフィル殿下だけ。
「……私……も、フィン殿下に愛してもらえるように……これからも、頑張りますね」
私がそう答えると、フィン殿下はとても嬉しそうに微笑んだ。
私の初恋は叶わなかったけど、私は次に運命の王子様に出会いました。私はこのまま、幸せに、華麗なシンデレラストーリーを彼と共に歩んでいきます。
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