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16話 イベント③
しおりを挟む空を見上げると、授業終了の合図を告げる狼煙が見えた。
もう授業はお終いか……結局、上手くいきませんでしたね。
授業いっぱいを使って頑張ってみたけど、結局、魔物は倒せなかった。
次からの森での授業、どうしよう……先生に、倒せないけど、一人で参加させて下さい。って言って許可してくれるかな……?いや、今日もサステナ王子が一緒じゃ無かったら怪我してたくらいだし、無理か。何か方法を考えないと……。
「ーーおい」
「はい!あ、課題はクリア出来ませんでしたが、サステナ王子が特訓に付き合ってくれたおかげで、少しは上達出来たような気がします!」
目標は達成出来なかったけど、特訓に付き合ってくれたサステナ王子には、感謝しかありません!本当は私の事、大嫌いで顔も見たくない相手だろーに、償いのためにペアになってくれるなんてーーー俺様で口は悪いけど、本当は良い人!ですね!流石は攻略対象キャラ!これなら、ヒロインがサステナ王子を選ぶのも納得出来ます!
「そ、そうかよ!俺に感謝しろよ!」
「はい!私を守って頂いて、ありがとうございました!」
「…守る……俺が…!」
感謝を伝えるたびに、何故かサステナ王子の顔が赤くなっている気がしますけど……どうしたんでしょう?風邪?嫌いな相手と一緒にいてストレス溜まっちゃったのかな?それは申し訳ない!
「お約束通り、これから先私は、サステナ王子に付きまとったりしません。なるべく関わらないように学園生活を送っていくので、安心して下さいね」
どうぞどうぞ、好きなだけ好きな人と恋愛して下さい!マリアもヒロインに相応しく、優しくて凄くいい子だし、遠くのほーから、応援します!私のいないところで、物語をじゃんじゃん進めていって下さいね!
それよりも私は、これから先の自分のことで頭が一杯です。
どうしよう……次の森の授業は、申し訳ないけどマリアに頼み込んで、ペアになってもらおうかな……
「ーーおい!」
「?はい」
サステナ王子ほったらかしで考え事をしていると、頭上から声を掛けられた。
いけないいけない。つい、サステナ王子と一緒にいるのを忘れてしまいます。
「ーーし、仕方ねぇから、また、俺がお前とペアを組んでやってもいーぜ?」
「へ?」
婚約破棄を突きつけてくるくらい、私の事が嫌いなサステナ王子が、何故に私と???
「勘違いするなよ!俺はただ、誰ともペアを組んでもらえねーお前が哀れで仕方ねーから、仕方なく!仕方なくペアを組んでやってもいいって意味でーーー!!」
ああ、そういう意味で……。
「大丈夫ですよ!サステナ王子にそんなご迷惑をかけるわけにはいきません!」
今日はありがたくペアを組んでもらいましたけど、本来、私のモットーは、ヒロインと攻略対象キャラの邪魔をしない!です!
出番の終わった悪役令嬢なんかに構っている時間が勿体無い!そんな事している暇があるなら、ヒロインとの好感度アップに時間を費やさなきゃ!
「サステナ王子は、王太子候補として色々お忙しいでしょう?それなのに、私なんかの相手をしてもらうなんて、恐れ多くてーーーとてもじゃありませんが、お断りします」
「うるせぇ!別にいーんだよ!たまにだ!たまに!気が向いた時だけ、またペアを組んでやるっつってんだ!」
「…え…」
その台詞、確かーーーヒロインが初期、サステナ王子に言われる台詞じゃなかったっけ?遠慮したヒロインに対して、俺様で素直じゃないサステナ王子が言う台詞。
何で私に?
「いいんですか?私のこと、怖いんじゃありませんか?」
「誰がお前なんて怖がるか!怖がってなんかねーよ!」
「はぁ…」
素直じゃない!絶対に怖がってたのに!
「では……お言葉に甘えて、たまに、お願いしてもいいですか?嫌になったら、すぐにお断りして頂いて大丈夫なので!」
「仕方ねーな!たまにだからな!」
……本当にいいのかな?婚約破棄するくらい嫌いだった私と関わるなんて……そもそも、悪役令嬢とサステナ王子が和解していた描写なんて、ゲームには一切無かったのに。
裏設定多過ぎて、プレイヤー置いてけぼりじゃない?悪役令嬢なんて用が無くなったらゲームに登場させる必要ないと思ったのかもしれないけど、せめて攻略本に小さくオマケとして書いておいてくれれば良かったのに。そうしたら、いざ悪役令嬢に転生した時に助かるんだから。
でもーーーサステナ王子が助けてくれるのは、正直助かる!
これで、マリア以外にもペアを組んでくれる相手が出来た!マリアばかりに頼るのもよくないですもんね!マリアは週一、サステナ王子はーーたまにがどれくらいの頻度か分かりませんが、ペアを組んでくれる!
二人が私に付き合ってくれている間に、何とか!何とかFランクの魔物を倒せるようにならなきゃ!
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