夫に用無しと捨てられたので薬師になって幸せになります。

光子

文字の大きさ
上 下
25 / 35

25話 鼓動

しおりを挟む
 龍王が部屋に閉じこもったという知らせはヨシュアにも届いていた。
 イザークとシオンが警護に当たり、ヨシュアは近付けないようにと言われているのも知っている。
 誰が止めてもヨシュアは龍王の元に行く気だった。
 先に湯殿に行って体を清め、後ろに香油を塗り込めてしっかりと解して仕込んだ後で、服を着直す。

 龍王は黄宮の部屋の中で暴れている様子だった。
 ヨシュアの名前を呼んで咆哮しているのが聞こえる。
 一刻も早く龍王のもとに行ってやらなければいけないという気持ちでいっぱいだった。

 警護の兵士が止めるのも構わず、龍王の部屋までたどり着くと、龍王は幾重にも張られた結界を無理やりに壊して、イザークとシオンに攻撃を仕掛けようとしていた。魔術も封じると言っていたはずだが、それも解いたようだ。
 イザークとシオンには受け止められない魔術が襲ってきそうになったのを、ヨシュアは片手を振って払った。
 ボロボロになっている結界を解いて部屋に入ると、部屋の中は酷い有り様だった。
 龍王が自我を忘れて暴れたのだろう、布団も枕も引き裂かれて真っ白な羽毛が飛び散り、寝台は壊されて、獣のように龍王が飛び掛かってくる。
 細い体を抱き締めると、ふうふうと息を吐いてヨシュアに触れようとするのを口付けで宥める。見開かれた黒い目が僅かに紫色を帯びていて、魅了の力も解放されていることに気付く。
 その目を見せないように手で隠し、ヨシュアは龍王を抱き上げた。

「イザーク、シオン、青陵殿のおれの部屋で警護を引き続き頼む」
「は!」
「心得ました」

 イザークとシオンに命じて下半身を白濁で汚し、長衣も下衣も引き裂いたようになっている龍王と口付けを交わしながら青陵殿のヨシュアの部屋に移る。
 寝台の天幕を閉じて、長衣も下衣も下着も脱ぎ捨てれば、奥から溢れた香油が太ももを伝った。
 普段から細い体の割には凶悪なものを龍王は持っているのだが、さらに凶悪になったそれも、入念に準備していたので何とか飲み込めた。
 ヨシュア主導でことが進むはずもなく、奥の今まで龍王も受け入れたことのない場所を容赦なくえぐられたり、後ろから背中から首周りに噛み跡を付けながら貫かれたり、翻弄はされはしたものの、なんとか意識は保っていられた。

 普段よりもかなり疲労度はあったが、それ以上に披露している様子の龍王を担いで湯殿に連れて行き、体を清めて、自分の体は精を掻き出したところでまた注がれるだけだろうから、そこまではせずに簡単に流して、清潔になった寝台に戻る。
 意識を失っている龍王の伸びて尖った爪を丁寧に切って、やすりがけをして、口移しで水を飲ませていると、龍王の目が開いた。

「ヨシュア……」

 飲ませている水を嚥下して、龍王がヨシュアの舌に舌を絡める。
 できれば何か食べさせてやりたかったが、それは無理そうだった。
 舌を絡めた龍王がヨシュアの胸の飾りを摘まむ。爪が伸びていたときにはしなかったので、それだけヨシュアを傷付けたくないという気持ちが本能にも勝ったのだろう。
 握り締めた手の平には爪の痕があったし、唇も血の味がして切れているようだった。

 理性を失おうとも龍王はどこまでもヨシュアのことを考えてくれている。
 ヨシュアを傷付けまいとしてくれている。

 そもそも発情期ですら自分一人で熱を我慢して過ごそうとしていたのだ。龍王がヨシュアをどれだけ大事に思っているかがよく分かる。

 舌を絡めながら龍王に主導権を許すと、寝間着を脱ぎ捨ててヨシュアに覆い被さってくる。
 先ほどまで意識がなくなるくらいに交わっていたはずなのに、中心はもう兆していて、復活の速さにヨシュアもさすが発情期と思ってしまう。

 膝裏に手を差し込まれて、深く足を折り曲げて広げられて、後孔が露わになってしまう。注ぎ込まれたものをそのままにしているそこからは、とろとろと龍王の放った白濁が香油に交じって溢れていた。
 凶悪なブツの切っ先を押し当てた龍王に、ヨシュアは抵抗せずに力を抜く。
 一気に奥まで貫かれて、ヨシュアは背を反らした。喉に龍王の歯が当てられて、噛み付かれる。

「ぐっ……あぁぁっ!」
「ヨシュア、ヨシュア、ヨシュア」

 もうヨシュアの名前しか知らないようにずっと繰り返して腰を動かす龍王に、ヨシュアは抵抗せずにされるがままになっている。
 奥の深い場所を犯されると、快感に視界が明滅する。

「ひぁっ! 星宇、ふかいっ! あぁっ! おく、だめっ!」
「ヨシュア……」

 普段は届かないような深い場所まで暴かれて、身もだえるヨシュアに、龍王は無心で腰を振り続ける。ヨシュアの中に放たれた白濁は泡立ち、龍王が吐き出すたびにこぷこぷと逆流して来ていた。

 何度吐き出されたか分からない。
 ヨシュアも一瞬意識が飛んでいたが、龍王の方は完全に意識が飛んでいるようだった。
 抱き上げると、まだヨシュアの中に入っていた龍王の中心がずるりと抜けて、ヨシュアの中から白濁がどろりと溢れ出してくる。
 快感よりも苦しさが勝るようになっていたが、ヨシュアは淡々と龍王を湯殿に担ぎ上げて連れて行き、体を流して、自分の体も流して、部屋に戻ってきた。
 今回は爪も伸びていないようなので、水だけは何とか飲ませる。
 口移しで水を飲ませていると、龍王がヨシュアの頬に手を伸ばす。

「もっと……」
「喉が渇いたんだろう。何か食べられそうか?」
「ヨシュア、どうして……」
「星宇一人を苦しい目に遭わせたくなかったんだよ」

 問いかける龍王の目は潤んでいるようだった。
 全部吐き出したからか、少し落ち着いた龍王に、粥を持って来てもらって匙で掬って食べさせる。龍王の発情期も落ち着きそうな様子であった。

「あれからどれくらい時間が経ちましたか?」
「多分、一昼夜は過ぎてると思う。もう少し粥を食べるか?」
「すみません」
「星宇がこれ以上瘦せるとおれが心配だ」

 粥を食べさせて清潔な寝台に休ませると、龍王は目を閉じて眠ってしまった。ヨシュアも休めるときに休んでおこうと一緒に目を閉じる。
 後ろから龍王の白濁が溢れ出た感触がしたが、それは気付かなかったことにして眠りに落ちた。

 その後の二日は普段と変わらないくらいの情交で済んだので、ヨシュアは龍王と発情期を問題なく過ごすことができた。

 龍王の手の平の傷も、唇の傷もそのころにはきれいに治っていた。

「次からはおれを頼ってくれよ」
「ヨシュアを抱き殺すかと思ったのです」
「そこまではなかっただろう。自我がなくなっても、星宇はおれを絶対に傷付けなかったし、酷いこともしなかった」

 普段よりは翻弄されてしまったが、それも悪くはなかったと笑うヨシュアに、龍王はその逞しい胸に顔を埋める。

「ヨシュアがわたしの伴侶でよかったと思っています。愛しています、ヨシュア」
「おれも愛しているよ、星宇」

 抱き締め合って口付けを交わすヨシュアと龍王に、一番安堵していたのはイザークとシオンだろう。

「さすがにわたしたちも全力の龍王陛下を抑えきれるかは自信がありませんでした」
「国のために命を懸ける覚悟はしていましたが、龍王陛下に殺されるのは無念と思っていました」
「次の発情期にはそんなことはない。二人には苦労をかけたな」
「ヨシュアが謝ることではありません。イザーク、シオン、迷惑をかけました」
「我々の力が足りず申し訳ありません」
「これからも龍王陛下と王配陛下をお守りできるように精進していきたいと思います」

 本気になった龍王に勝ち目がないと分かったイザークとシオンは、心を新たに精進するつもりのようだった。

 三日間の発情期が明けて、龍王はその期間に食べられなかった分も食べさせられるように、円卓に並ぶ豪華な料理を前に、ヨシュアと二人で夕餉を取っていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者を友人に奪われて~婚約破棄後の公爵令嬢~

tartan321
恋愛
成績優秀な公爵令嬢ソフィアは、婚約相手である王子のカリエスの面倒を見ていた。 ある日、級友であるリリーがソフィアの元を訪れて……。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

婚約破棄されたので王子様を憎むけど息子が可愛すぎて何がいけない?

tartan321
恋愛
「君との婚約を破棄する!!!!」 「ええ、どうぞ。そのかわり、私の大切な子供は引き取りますので……」 子供を溺愛する母親令嬢の物語です。明日に完結します。

妹に婚約者を奪われたので、田舎暮らしを始めます

tartan321
恋愛
最後の結末は?????? 本編は完結いたしました。お読み頂きましてありがとうございます。一度完結といたします。これからは、後日談を書いていきます。

【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます

21時完結
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。 エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。 悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。

【完結】虐げられて自己肯定感を失った令嬢は、周囲からの愛を受け取れない

春風由実
恋愛
事情があって伯爵家で長く虐げられてきたオリヴィアは、公爵家に嫁ぐも、同じく虐げられる日々が続くものだと信じていた。 願わくば、公爵家では邪魔にならず、ひっそりと生かして貰えたら。 そんなオリヴィアの小さな願いを、夫となった公爵レオンは容赦なく打ち砕く。 ※完結まで毎日1話更新します。最終話は2/15の投稿です。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話

ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。 リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。 婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。 どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。 死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて…… ※正常な人があまりいない話です。

処理中です...