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間違ってますよ8
しおりを挟むこんな知識覚え無くても、魔法は使えるから必要無いじゃん。とは思うけど、学校生活において、成績は大切。
良いホワイトな就職先を見付ける為にも、学校はきちんと卒業しなくてはならない!
……生きるって、自由気まななだけじゃ、難しいよね……。
生まれ変わったら、自由に生きたい!なんて望んでいたけど、生きる為にはお金がいるし、働くのは必須!ならせめて、ホワイトな就職をしたいのは必然!家族の為にも、お金稼がなきゃだし!
魔法陣なんて複雑で面倒くさそうなもの覚え無くても魔法は使えるのに、覚えないといけないのか……。と、頭を抱えながら、ヒナキは答案用紙を見続けた。
「?あれ?」
「君、さっきから五月蝿い」
最後の応用問題に目を向けた所で、違和感を感じ、思わす声が出たら、後ろの席のセラフィが、迷惑そうに、ジト目で文句を言って来た。
そらね。前の席の奴がいきなり、違います!って叫んだり、あれ?って独り言言ってたら、五月蝿いよね。
「ねぇ、性悪王子」
「その呼び名、今すぐ止めないと、不敬罪でひっ捕らえてやるから」
「セルフィ、最終問題、正解した?」
ひっ捕らえられるのは困るので、きちんと訂正。
後ろに振り返り、答案用紙の最後の問題を指しながら見せる。
「間違えたけど……君、0点って正気?最終問題、気にするより、基本的な問題から片付けていったら?名前書き忘れた以外に0点とる馬鹿初めて見たよ」
テストの点数を気にされてしまった。
いや、大きなお世話!てか言い方ね!何なの?絶対に私を馬鹿にしないと気がすまないの?!
「今はそれはいーから!ね、最終問題、問題文、おかしいよね?」
「ーー何ですって?何がおかしいって言うの?」
私の言葉が聞こえていたみたいで、マイヤ先生は、凄く鋭くて冷たい視線を送って来た。
「問題文では、亀の魔物に対して有効な魔法の属性を述べよ。と書いていますが、そもそも、亀の魔物に対して有効な魔法は存在しません」
スラスラと、疑問に感じた部分を素直に答える。
この世界の魔物とは、生物が変異し、元の生体から、牙が生えたり、巨大化したり、獰猛になったり、凶暴化したものを指すのだけど、その中で、亀の魔物は、その分厚い甲羅が変異して、魔法を通さない、魔法使い泣かせの魔物になった。
多分、甲羅自体に、魔法を防御する効果があるんだと思う。
「は?貴女みたいな劣等生が何を言うかと思えば……きちんと効く魔法はあるわよ!いーい?確かに、甲羅には魔法防御の力があるけど、火の魔法を使えば、中に隠れている本体を蒸し焼きにして退治する事が出来るのよ!」
「甲羅は、耐火構造もバッチリです。中に隠れてしまえば、温度の変化なんて関係有りません」
何せ、極寒地方や熱帯地方、色々な場所に亀の魔物は出没しますからね。寒いの暑いの、何でも奴等は平気ですよ。氷の魔法で凍らせてしまおうとも、氷の中でちょー長生きします。
「何を馬鹿な事を……!いーい?この方法は、大魔法使いであるサクラ様が、実演した結果なのよ?!」
「そんなはずは無いんだけど…」
私が?いつ?そんな事した覚え無いけど。
「サクラ様の史書にきちんと残されているわ。冒険で亀の魔物と対峙した際、炎の魔法で撃退したと」
「……あー」
前世の記憶を辿ると、古い記憶の中、1つだけ思い付く事があった。
でも残念ながら、厳密に言うと、事実は違う。
「単純に、甲羅の防御を上回る、威力の強い魔法をぶつけただけです。それがたまたま炎だっただけで、水でも雷でも土でも氷の魔法でも、何でも構わないんですよ。甲羅の防御を上回れる程の魔法を使えるんならね」
即ち、亀の魔物に有効な属性魔法など無い。
だから、この最終問題は、問題自体が間違っていると言わざる得ない。
一般的な亀の魔物の倒し方は、剣士や武闘家など、前衛が物理攻撃で撃退するのが主流。甲羅は魔法には強いけど、硬い見た目と反して、以外と物理攻撃に弱い。何回も叩き込むと、ダメージが蓄積して、甲羅が破れる。そして、本体が出て来た所を、仕留める。
ーーーただ、当時の私は、仲間の援護を待てなくて、思いっきり魔法をぶち込み、力技で仕留めたんだよね。
お陰で、後の戦闘、魔力切れ起こしかけてホント大変だった。仲間にはめっちゃ怒られるし。
だから、この方法は全くオススメしない。
適材適所って言葉通り、素直に仲間に倒して貰うか、魔法使いは素直に逃げた方が良い。亀は亀らしくノロマだから、逃げるのは簡単だし。
「何を馬鹿な事を言ってるの?そんなはず無いじゃない!知りもしないのに、まるで当事者のように偉そう語ってーー!」
バリバリ当事者なんですよね。本人です。
ただ、私の横着の性で、そんな風に間違って史実に残っちゃってるのはごめんなさい。ちゃんと訂正しとかないと、間違った知識で、現代の冒険者の皆様に迷惑をかけてまうかも知れない。
「えっと、魔法使いは逃げるが勝ちって言うかーー」
「黙りなさい!劣等生でいるだけでは飽き足らず、教師である私の問題にケチを付けるなんて、これは由々しき事態です!」
全然納得せず、マイヤ先生は怒り心頭。
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