ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。

光子

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113話 《完》 最強の天才公爵様と再婚しました

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「……」

 ここまで大事になっても、エレノアもお母様も反省しているようには見えない。だけどお父様だけはーーー唯一、反省しているように見えた。

「何て事だーー!孫が、カインの子じゃなかった、と?!」
「カインの方が……不妊?!子供が出来無いと…?!」

 マルクス伯爵夫妻も、相応の衝撃を受けていて、受け入れ難い現実に、ブツブツと独り言を呟いていた。

「そんな……そんな……僕が、不妊?僕の方がーー子供が、出来ない?」

「……その可能性が高いと思いますよ。のカイン」

「!ハズレ…旦那…!」

「だってそうでしょう?仕事も家事も嫁に丸投げで、義両親との仲裁も出来ない、貧乏で家もボロくて、子供も出来ないーーーこんな最低な男、ハズレ旦那でしかないじゃない」

 今まで私が言われてきた言葉ーーーそっくりそのまま、貴方にお返ししますね。本物のハズレ旦那さん。

「ま、待ってよ。ルエル……ルエルは、そんな僕でも、好きでいてくるよね?僕を……助けてくれるよね?」

「……」

 何を期待してるのかしら?
 ここで私が、貴方を好きと答えても、メトに始末される運命なのに……まぁ、私は嘘をつくのは嫌いなので、ハッキリと言ってあげますよ。

「ハズレ旦那なんて、死んでもいらないわ。私には、最強で天才の公爵様がいるもの」

「……ルエル……!」

 私が築いた、マルクス伯爵家の名誉も、財力も、仕事も、全てお返し頂きました。結果、私と結婚する前よりも、もっと酷くなってしまいましたけど、どうぞ、そこで、一生不幸なままお過ごし下さいませ。

「さようならカイン。二度と、私の前に姿を現さないで下さいね。お幸せに」

 ーーー幸せになれるものならね。




 *****

 結局、あれから、エレノアとカインは離婚し、帰る家の無いエレノアは、ターコイズ男爵の元に嫁いだ。
 お母様も、お父様と離婚し、今は必死に頭を下げて戻った実家で、肩身の狭い、家政婦として必死に働いているそうだ。

『……本当に、すまなかった……』

 お父様は、最後、私に深く頭を下げ謝罪した。
 その姿は、本当に心からの謝罪で、反省しているように見えたーーーでも、私は許せなかった。

『もう、貴方を父親だとは思えないんです。お父様は、領主としては素晴らしい方なのかもしれませんが、父親としては最低です』
『……そうだな……分かった』

 私の拒絶を、お父様は素直に受け入れた。
 もう、これから先、お父様とも会うことは無いでしょう。
 妹の子供は、お父様が引き取った。
 お父様は男の子を望んでいたし……今のお父様なら、少なくとも、昔のような無関心で子供と接することは無いと思う。


 マルクス伯爵家はーーー結局、伯爵位を剥奪された。
 さらに、子供が出来ない体だと分かってから、あれだけカインに甘々だった元・義両親は、カインに冷たく当たるようになったらしく、以前、私が言われていたような、『子供の出来ない出来損ない!』や、『ハズレ旦那!』など、罵倒する声がボロ屋から聞こえるらしい。
 元・義両親は、自分達の鬱憤を都合よく誰かで晴らしているだけなのでしょうね。

 そんなカインは、家の隅っこでずっと縮こまって生活しているようだ。

『子供が出来ないからって、何で僕に酷いことを言うんだよ……!ああ……でも、僕も……ルエルに同じことを思っていたのか……!ルエル……あのまま、君をちゃんと、愛し続けていれば……!』


 あのままーーーカインが私をちゃんと愛してくれていたなら、私は、貴方と二人で夫婦として過ごしていたわ……でも、いまさら後悔しても、手遅れよ。





「ルエル」
「メト」

 自室で仕事をしていると、いつの間にか部屋にいたメトに、背後から抱き締められた。

「お仕事お疲れ様でした」
「……君は、まだ仕事してるの?仕事は他の奴に任せて、もう休んだらどう?」
「大丈夫ですよ!私、最初の悪阻以外、元気ですし、立ち仕事は止めて、書類仕事ばかりにしてますから」

 妊娠発覚時から、メトは私に仕事を辞めて欲しがったけど、私はそれを拒否した。借金がまだまだ残ってるし……それに何より、仕事自体、とても楽しくやっている。

「無理はしませんから、安心して下さい」

「……分かった」

 無理したくても、監視網が引かれていて、出来ません。少しでも重たい物や、走ろうとすると、どこからかヴェルデとサンスが飛んできて、『止めて下さいー!俺等が怒られるッス!』と言って止めたり、栄養が足りないとベール様が沢山食材(とても貴重)を届けて下さったり、働き詰めにならないように、フィーリン様とシャインが遊びに来て、仕事が休みになったり、ド直球にラットが、『メトが過保護過ぎてうるせーから、今日1日大人し目でよろしく!』なんて言ってくる。
 恐ろしい程に厳戒態勢!!!

「もうすぐだね」
「はい、会えるのが楽しみです」

 愛しい我が子が休むお腹を、優しく撫でる。

「私……メトと出会えて、本当に幸せです」
「ルエルが俺を選んだ選択は正しかったねーーー次は、男を見る目があって良かったんじゃない?」

 確かに、1回目は大失敗でしたけどーーー相変わらず、自信満々ですね。

「メトも、私を選んで良かったですね」

 何となく、張り合ってみたくて口に出した台詞に、メトは小さく微笑むと、頬にキスを落とした。

「勿論。俺は女を見る目もあるからね。君の元旦那のようにーーーハズレ嫁を捨てたりしないよ」

「……ふふ。そうですね。ハズレ嫁は、最強の天才公爵様と再婚しました」


 ハズレ嫁と罵られてきた私だけど、2度目の結婚は、本当に私を愛してくれる人と結ばれました。


「例え君に子供が出来なかったとしても、俺は君となら、ずっと幸せに暮らしていたと思うよ」

「……はい。私も、そう思います」

 愛する人と一緒なら、それでいい。
 例え子供が出来なくても、メトと2人なら、一生、添い遂げられると思う。子供が出来たらーーーもっと、家族皆で、幸せに暮らしていけると思うから。


 私は、ハズレ嫁は、最強の天才公爵様と再婚して、幸せです。




 完



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