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90話 その後の女子会
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許せないーー許せないーー!私を子爵の座から引きずり下ろした事、絶対に後悔させてやるーー!!
ーーー数日後、フィーリン邸ーーー
「まぁまぁまぁ。大変だったのねー」
フィーリン様にご招待して頂き、今日はベール様と一緒に、女子だけのお茶会。
いつものフィーリン邸の庭で、美味しいお茶とお菓子を頂く。
「ルエルお姉ちゃんーこれも美味しいから食べてー」
私の口に向かって、丸いクッキーを、あーん。して下さるシャイン…!なんて可愛いの!天使!天使がここにいる!
「頂きますね」
んー!美味しい!いつもの100倍美味しい気がします!
「シャインはルエルちゃんのこと好きねー」
「うん!僕、ルエルお姉ちゃんもメトお兄ちゃんも大好き!あ、ベールお姉ちゃんも好きだよ!」
「ありがとうございますわ、シャイン」
幸せ過ぎる……!何この平和な空間!この前まで殺伐とした空気の中に居たから、凄い安心する!嬉しい!
本当は仕事をサボっていた分、仕事に邁進しないといけないんだけど、宝石関連は採取が間に合ってないから、今の所何も出来ないし、通常の仕事は、急成長を遂げたヴェルデとサンスが、休んでよいと言ってくれたので、お言葉に甘えた。
『緊急事態は呼ぶっスけど、ある程度は大丈夫ッスよ』
『俺等以外も皆優秀だし、1日くらいルエル様が休んでも平気ッス!てか頼むから休んで下さい!マルクス領から戻ってから働きづめじゃないッスか!』
『俺等がルーフェス様に怒られるッス』
本当に……頼りになる部下に成長しました。敬語はまだまだだけど。こんなに有能な部下を自ら手放すんだから、本当にカインは無能ね。
「それにしても、メト君ってばーお灸にーマルクス伯爵家に魔物をけしかけるだなんてー」
「あはは。少しやり過ぎでしたよね?下手したら、マルクス伯爵家の皆様、全員死ーー」
「家を失って領土を一部返還した程度なのでしょう?その程度で済ますなんて、メト様は本当にお優しい方ですわ」
ーーーあれ?
「まぁまぁまぁ。メト君は本当は爵位も取り上げたかったみたいなんだけどー皇帝陛下が最後のチャンスをあげたみたいよー」
ーーー魔物を使って命を脅かしたことは、別に大した事にならないんだ……?まぁ、正確にはマルクス伯爵家だけ助けなかったってだけなんだけど……。
あれからメトは、宣言通り、皇帝陛下に今回の事態を報告し、事態を重く見た陛下は、マルクス伯爵が持つ殆どの領地を取り上げた。
爵位まで取り上げなかったのは、陛下の最後の温情……でも最早、伯爵とは名前ばかり。マルクス伯爵家も落ちぶれたわね。
私が稼いで買ったマルクス伯爵邸は崩壊し、今は昔住んでいたガレギアンのボロ屋で暮らしていると、風の噂で聞いた。
ルーフェス公爵家に逆らった罰が、領地返還と自宅崩壊ーーーあとは、魔物に襲われるトラウマレベルの恐怖のオマケ付きーーー中々にきついお灸だと思っていたのは、私だけなんですね。
「新しいファンファンクラン子爵は、上手くやってるみたいよー」
「それは良かったです」
自分の父親を失脚させ、自らが子爵になったクラウド様。少し心配していましたが、大丈夫みたいですね。
「元・ファンファンクラン子爵はどうされたのですか?」
ベール様も当然のように、事の顛末をルーフェス公爵家の情報屋であるフィーリン様に尋ねる。
「夫人とも無事に離婚が成立して、ファンファンクラン領を去ったと聞いたわー。今はどこで何をしてるか、誰も知らないそーよー」
自分の子供に、産まれて来なければ良かったなんて暴言を吐く父親も、自分の保身のために何人もの命を奪った領主も、ファンファンクラン領にはーークラウド様には必要無い。
どうぞそのまま、一人惨めに生きていて下さい。
「自分の妻が有能で、その息子も期待されていて、劣等感を持って生きていたんでしょうねー」
「情けない男ですわ。私がその場にいましたら、もっと痛い目に合わせてあげましたのに」
ベール様……相変わらず過激ですね。一体、どんな目に合わせるおつもりで…?
「マルクス伯爵から返還されたスクル街も、新しい領主様が来たみたいだしー魔物にボロボロにされた街も、メト君の援助もあって綺麗になるみたいよー」
「良かった…」
フィーリン様の言葉に、ホッと胸を撫で下ろす。
マルクス伯爵家と元・ファンファンクラン子爵に痛い目を見せるためとは言え、街に被害が出たのは申し訳なく思っていたんですよね……。
「そこまで気になさらなくても大丈夫ですわ。こちらが手を出さなければ、街だけじゃなくて領民の命までも失っていたのですから」
そうなんですけどね。でも、やっぱり、気にはなります。
「ねーねーママ!あっちでお花見てきてもいーい?」
「あらあらーいいわよ」
フィーリン様のお庭には沢山のお花や、野菜なんかも植えられていて、凄く綺麗に手入れされているんですよね。この前、庭で採れた野菜を頂きましたが、それはそれは美味しかったです!
「………ルエル様。ルエル様もシャインと一緒にお花を見にいって下さいませんか?」
「え?」
それは全然構わないし、寧ろ嬉しいし光栄だし幸せだけど……こうやって話の最中に言われるのは珍しい。
シャインはとても賢い。大人達が難しい話をしているのを理解し、話が落ち着くまでは、と。一人で遊ぶ。
「うんうん。シャイン、ルエルちゃんに新しく咲いた花を見せたいって言っていたものねー」
ああ、そういう事ですか。
「うん!行こう、ルエルお姉ちゃん!」
ルエルの手を引いて走り出すシャイン。二人はそのまま、庭の裏手にある花壇に向かった。
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