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水路 2
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真也が横目で都古を確認すると、こちらはのけぞることも、ましてや首をしめられるなんてこともなく、海神が丁寧に腕の中へと包み込んでいた。
真也と勝の後ろ襟をつかんだままの蒼が、二人の頭上で落ち着いた声を聞かせる。
「お楽しみのところ邪魔をしたかな。ボクの思い違いでなければ、君達はあいつの腹の中を見に行きたいと思うほどには、奴に興味は持っていないんじゃないかと思ったんだけど?」
その言葉の意味を理解した瞬間、真也と勝はぞっとして、のけぞったまま再び顔を見合わせた。
つまり、4人とも危うく今の生き物の手ごろなおやつになってしまうところだったというわけだ。
「ありがとう」
「助かったよ」
2人が素直に礼を伝えている横で、光弘が癒をそっと抱き寄せる。
「癒。ありがとう」
光弘の声があまりにも頼りなく震えていることに驚き、真也はそちらに目を向けた。
顔色を紙のように白くした光弘に癒が小さな頭を摺り寄せている。
「ごめん。もっと早く追い払ってやればよかったのに」
癒のその台詞で、どうやら先ほど水面に映った小さな紅い煌めきは癒の瞳であったのだと思い至る。
ようやく体勢を整えた勝だったが、その口から出た声は光弘と同じくらい心細いものだった。
「白妙・・・・・・」
零れ落ちるように紡がれたその名に、真也は首をかしげる。
「白妙?」
「ああ。さっきあのでかい奴の中に囚われているのが見えたんだ」
「そんな・・・あれは母さんだった」
「俺には・・・黒が見えたよ」
三者三様の答えが飛び出す中、都古は無言で眉間にしわを寄せている。
勝も光弘も都古も、いつもと同じ風を装ってはいるが各々大切に想う者が床に伏しているのだ。
ただでさえ不安に思っているだろうに、当の本人がこんな場所でにわかに水の中に浮いているのを見てしまえば、錯乱してしまうのも悪いことを考えて気が気でなくなるのも全く無理のないことだった。
真也たちがすっかり黙り込んでしまうと、蒼と海神の向こうに控えていた小男がやんわりと口を開く。
「ここには先ほど外店で使っていた捨目魚をはじめ、さまざまな生き物が溢れております。あまり身を乗り出されますな。やつらは船には手を出さないが、そこから出た者に容赦はありませんから。」
「そういうことは、できればもう少し早く教えておいてもらえたら有難かったな」
勝が頭をかきながらぼやいた。
真也と勝の後ろ襟をつかんだままの蒼が、二人の頭上で落ち着いた声を聞かせる。
「お楽しみのところ邪魔をしたかな。ボクの思い違いでなければ、君達はあいつの腹の中を見に行きたいと思うほどには、奴に興味は持っていないんじゃないかと思ったんだけど?」
その言葉の意味を理解した瞬間、真也と勝はぞっとして、のけぞったまま再び顔を見合わせた。
つまり、4人とも危うく今の生き物の手ごろなおやつになってしまうところだったというわけだ。
「ありがとう」
「助かったよ」
2人が素直に礼を伝えている横で、光弘が癒をそっと抱き寄せる。
「癒。ありがとう」
光弘の声があまりにも頼りなく震えていることに驚き、真也はそちらに目を向けた。
顔色を紙のように白くした光弘に癒が小さな頭を摺り寄せている。
「ごめん。もっと早く追い払ってやればよかったのに」
癒のその台詞で、どうやら先ほど水面に映った小さな紅い煌めきは癒の瞳であったのだと思い至る。
ようやく体勢を整えた勝だったが、その口から出た声は光弘と同じくらい心細いものだった。
「白妙・・・・・・」
零れ落ちるように紡がれたその名に、真也は首をかしげる。
「白妙?」
「ああ。さっきあのでかい奴の中に囚われているのが見えたんだ」
「そんな・・・あれは母さんだった」
「俺には・・・黒が見えたよ」
三者三様の答えが飛び出す中、都古は無言で眉間にしわを寄せている。
勝も光弘も都古も、いつもと同じ風を装ってはいるが各々大切に想う者が床に伏しているのだ。
ただでさえ不安に思っているだろうに、当の本人がこんな場所でにわかに水の中に浮いているのを見てしまえば、錯乱してしまうのも悪いことを考えて気が気でなくなるのも全く無理のないことだった。
真也たちがすっかり黙り込んでしまうと、蒼と海神の向こうに控えていた小男がやんわりと口を開く。
「ここには先ほど外店で使っていた捨目魚をはじめ、さまざまな生き物が溢れております。あまり身を乗り出されますな。やつらは船には手を出さないが、そこから出た者に容赦はありませんから。」
「そういうことは、できればもう少し早く教えておいてもらえたら有難かったな」
勝が頭をかきながらぼやいた。
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