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みずは
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柔らかなに頬をなでる風に、ぼんやりと目を開けると、そこは私の寝室だった。
乱れた髪をかきあげ、自分の姿を見つめる。
青い衣を着ていたはずだったが、今身に着けているのは元々自分が着ていた白い衣だ。
洗いたての清潔な状態で、柔らかな甘い香りがする。
夢だったのだろうか、と淡い期待を寄せ水鏡をのぞくと、首筋に刻印された呪印が目に映った。
やはり、夢ではないのだ・・・・・・。
私は唇にそっと触れた。
胸の奥を締め付けるような切なさに、ため息をつく。
長きにわたり煩っていた白妙への慕情を断つと決めたばかりなのに、すっかりあの美しい白銀の妖鬼に翻弄されてしまっている。
不義を働いているように感じ、私は自分を酷く汚らわしく思った。
ふいに扉の前に従者の気配を感じ、声をかける。
「何用だ。」
「海神様。お戻りでしたか。・・・・たった今、みずは様がいらっしゃいました。お会いになられますか。」
「すぐ・・・行く。」
火急の言伝を飛ばしておいて、自分は姿をくらませてしまったのだ。
みずはの動揺はどれほどのものだったろう。
私は身支度を整えると神殿へと急いだ。
「海神!無事であったか。」
舌足らずに話す美しい少女は、私の姿を見るなり駆け寄ってきた。
私の刀を手に、顔色を真っ青にして詰め寄ってくる。
「何があった?お前の連れが深海に横たわっておった。私は、間に合わなかった・・・・・。」
「そんなことはない。お前が無事でなによりだ。突然留守にして・・・済まなかったな。」
私は、みずはの頭を優しくなでた。
「あんなに強力な穢れ・・・今まで感じた事ない。よく、帰ってくれた。」
私が、みずはにあの妖鬼の話をすべきか迷っていると、みずはが気になる事を言い出した。
「昨日の祭で、エビが穢れ堕ちしていた。何かおかしいのだ・・・・・。海神、私はお前が心配だ。失うことが怖いのだ・・・。それなのに、私の力ではお前を守れない。」
「みずは。今・・・何と言った。エビが穢れ堕ちだと?」
「エビは子供らを殺そうとしたのだ。サメを使って。光弘が止めてくれた・・・・・・。」
みずはの言葉に、私は眉をひそめた。
穢れ落ちとは無視のできない話だ。
神妖が穢れ堕ちると、人に仇をなす。
要は、呪いや邪神となり果ててしまうのだ。
"エビ"は、みずは配下の神妖の名だ。
それほど力のある神妖ではないが、そのままにしておけば年をまたぐまでに10名は犠牲になる者が出るだろう。
私はすぐさま、海鳥を使い白妙へ伝言をした。
あの美しい妖鬼の話は、結局みずはに話せぬまま終わってしまった。
考えてみれば、あの妖鬼はもう自分にかかわるつもりがないのかもしれない。
私を連れ帰ったのも、何か策があるのではといぶかしんでのことだったのだ。
何もない事が分かった以上、もはや私に用はないだろう。
私は複雑な想いを胸に抱いたまま、エビに使役されていたというサメの様子を見るため、みずはと共に神殿を後にした。
乱れた髪をかきあげ、自分の姿を見つめる。
青い衣を着ていたはずだったが、今身に着けているのは元々自分が着ていた白い衣だ。
洗いたての清潔な状態で、柔らかな甘い香りがする。
夢だったのだろうか、と淡い期待を寄せ水鏡をのぞくと、首筋に刻印された呪印が目に映った。
やはり、夢ではないのだ・・・・・・。
私は唇にそっと触れた。
胸の奥を締め付けるような切なさに、ため息をつく。
長きにわたり煩っていた白妙への慕情を断つと決めたばかりなのに、すっかりあの美しい白銀の妖鬼に翻弄されてしまっている。
不義を働いているように感じ、私は自分を酷く汚らわしく思った。
ふいに扉の前に従者の気配を感じ、声をかける。
「何用だ。」
「海神様。お戻りでしたか。・・・・たった今、みずは様がいらっしゃいました。お会いになられますか。」
「すぐ・・・行く。」
火急の言伝を飛ばしておいて、自分は姿をくらませてしまったのだ。
みずはの動揺はどれほどのものだったろう。
私は身支度を整えると神殿へと急いだ。
「海神!無事であったか。」
舌足らずに話す美しい少女は、私の姿を見るなり駆け寄ってきた。
私の刀を手に、顔色を真っ青にして詰め寄ってくる。
「何があった?お前の連れが深海に横たわっておった。私は、間に合わなかった・・・・・。」
「そんなことはない。お前が無事でなによりだ。突然留守にして・・・済まなかったな。」
私は、みずはの頭を優しくなでた。
「あんなに強力な穢れ・・・今まで感じた事ない。よく、帰ってくれた。」
私が、みずはにあの妖鬼の話をすべきか迷っていると、みずはが気になる事を言い出した。
「昨日の祭で、エビが穢れ堕ちしていた。何かおかしいのだ・・・・・。海神、私はお前が心配だ。失うことが怖いのだ・・・。それなのに、私の力ではお前を守れない。」
「みずは。今・・・何と言った。エビが穢れ堕ちだと?」
「エビは子供らを殺そうとしたのだ。サメを使って。光弘が止めてくれた・・・・・・。」
みずはの言葉に、私は眉をひそめた。
穢れ落ちとは無視のできない話だ。
神妖が穢れ堕ちると、人に仇をなす。
要は、呪いや邪神となり果ててしまうのだ。
"エビ"は、みずは配下の神妖の名だ。
それほど力のある神妖ではないが、そのままにしておけば年をまたぐまでに10名は犠牲になる者が出るだろう。
私はすぐさま、海鳥を使い白妙へ伝言をした。
あの美しい妖鬼の話は、結局みずはに話せぬまま終わってしまった。
考えてみれば、あの妖鬼はもう自分にかかわるつもりがないのかもしれない。
私を連れ帰ったのも、何か策があるのではといぶかしんでのことだったのだ。
何もない事が分かった以上、もはや私に用はないだろう。
私は複雑な想いを胸に抱いたまま、エビに使役されていたというサメの様子を見るため、みずはと共に神殿を後にした。
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