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プロローグは王宮の舞踏会
ワケアリ軍人と悪役令嬢と推しキャラ
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何気なしに顔を上げると、人垣の向こう側に軍式の白い礼装に身を包んだ長身の青年が見えた。
目深にかぶった制帽の影で目元ははっきりとしないが、細面ですっきりとした鼻梁と真一文字に引き結ばれた薄い唇から、かなりのイケメンだと想像する。
貴族でも家督を継がない次男三男が軍人になるのはよくある話だし、平和な世の中では彼らがコネで将校の位を持つことも珍しくない。
しかし、彼はそういう“名ばかり軍人”とは見た目だけでも一線を画する。肌は小麦色に日焼けしているし、服を着ていても鍛えているのが分かる体つきだし、何より動作の一つ一つがキビキビしていて隙がない。いかにも軍人という感じだ。
軍人萌えの属性はないし、スポーツマン系はタイプじゃないけど、なんだか彼の周りだけ凛とした空気が漂っているようで、不思議と目を引かれた。
「ご覧になって、カーライル様よ」
「いつの間に王都に戻って来たのかしら……ああ、嫌だわ」
「ご自身の罪ではないとはいえ、よくも陛下主催の舞踏会に顔を出せたものね」
さっきクラリッサの話題で盛り上がっていた夫人たちが、扇で渋面を隠しながら聞えよがしの悪口をコソコソとささやき合う。
カーライル、という名前に心当たりがあり記憶を辿ると、一人の人物に思い当たる。
カーライル・ジード。
またの名を、カーライル・クロウ・フォーレン。
この国の第一王子でありながら、側妃の子であることを理由に正妃の子である第二王子フロリアン殿下に王太子の座を譲ることになった人物だ。
その出生だけでも不遇だが、彼の母はどうしても自分の息子を王太子にしたかったようで、フロリアン殿下を亡き者にすべく刺客を雇い、幾度も暗殺未遂を繰り返した。まだカーライル様が成人する前、十三の頃の話だと言われている。
この事件は公にこそなっていないが、人の口には戸が立てられないのは当然の理で、それとなく誰かの口から洩れ、平民にまでは広がっていないまでも、貴族であれば大抵は耳にしたことのある有名な話だ。末端で社交界デビューもまだだった私も、概要だけは聞いたことがある。
側妃はその咎を問われて幽閉され、心身共に病んだのち服毒自殺。
残されたカーライル様は廃嫡に処され、完全に王位継承権を失った。
彼はフォーレン家から追放されて王族の傍流へ養子に入り、成長したのちに軍人となり、遠い辺境の地で国境警備隊の配属になった――という設定をフロリアンルートで聞いた。
殿下は腹違いの兄に罪悪感を抱きながらも、自力で人生を切り開く彼の強さにコンプレックスを抱き、彼の方が王にふさわしいのではないかと悩み、ヒロインにその心情を吐露するのだ。
そのあとはヒロインがガツンと檄を飛ばして問題は解決するのだが、あれだけ細かに人物像が語られているにもかかわらず、カーライル様がゲームのどこにも登場しないのは不思議だなとは思っていた。
事情が事情なだけに社交場に出てきづらいのは分かるし、私だったら絶対に出てこないけど、隠しキャラとしては最強の設定だ。実物もかなりイケメンっぽいし、どうしてカーライルルートはなかったのか。
……まあ、もしゲームにカーライルルートがあって攻略済みだったとしても、現実の彼を“攻略”できるなんて思ってないけどね。そもそも、傍流とはいえ王族の彼としがない子爵令嬢の私では、きっと人生は交わることはないだろう。
そう思いながら視線を逸らそうとした時、不意に立ち止まってあたりを見回すカーライル様と目が合った……ような気がして心臓が大きく跳ねた。
いやいや、落ち着け自分。ただの偶然だ。自意識過剰だ。
これだから転生ヒロインは脳内お花畑女って呼ばれるんだよ。
などと自分を諫めていると、カーライル様の前に一際目を引くご令嬢が現れた。
すべらかな白磁の肌に映える、濡羽色のロングストレートにアメシストの瞳。顔立ちもスタイルもまるで作り物のように完璧で、女神も嫉妬するような人形じみた美少女。
悪役令嬢ことクラリッサ・マクレインだ。
カーライル様へ優雅なカーテシーで挨拶をする彼女は、たおやかな笑みを浮かべつつも頬を薄っすらと染めている。まさに恋する乙女だ。カーライル様も少し肩の力が抜けたように見え、それなりに親しい関係なのは推察できた。
……ふーん、そういうことか。
誰ともフラグを立てなかったのは、カーライル狙いだったからってことね。
ゲームでは出てこなかったが、王家に近しい公爵家ともなれば廃嫡前の彼と接点があったのだろう。転生者であれば、謎に包まれたおいしい設定のキャラへ興味を惹かれて接触し、そのまま恋に落ちるということもありえる。ライトノベルでは、モブに恋する悪役令嬢も珍しくない。
よし、ひとまずの行動指針が定まった。
ザマァ回避のため、カーライル様には絶対近づかない。
愛され系悪役令嬢がいればヒロインなど見向きもされないだろうが、誤解が誤解を生んで泥沼になる、なんてオチだけは絶対に嫌だ。
そうと決まれば、父を探して一旦この舞踏会から撤退すべきだ。
善は急げ、とその場を立ち去ろうと踵を返したが、何か柔らかいものにぶつかってよろけ、履き慣れないヒールのせいでバランスを崩して床に崩れた。
「痛……」
「いったぁい! もう、どこ見て歩いてんのよ、このブス!」
いきなり罵倒されたことにムッとしながら顔を上げると、そこにはロックスの婚約者だという令嬢の巨体が山のようにそびえ立っていた。
どうやら彼女に衝突して転倒したようだ。
モブにブスと言われるヒロイン……お約束といえばお約束だし、この程度の顔面偏差値は貴族令嬢なら平均レベルなのは分かってるけど、これだけは言わせてくれ。
お前にだけは言われたくねぇよ、このデブめ!
つーか、お前の分厚い肉壁で弾かれた私の方が被害者だろうが!
……と、心の中で思い切り罵倒し、口では「申し訳ありませんでした」としおらしく謝る。こういう高圧的な人間には下手に出るのが一番角が立たない。
普通であればこれで済むはずだった。だが、
「あー! アタシのドレスが! アタシのドレスがぁぁ!」
グラスにわずかに残っていたワインが彼女のドレスの裾にかかり、小さな染みを作っていた。
「アンタのせいよ! アンタのせいで、ロックスからもらった大事なドレスが……!」
「ローザ、落ち着いて。ドレスならまた買ってあげるから」
ローザなる令嬢の巨体に隠れて見えなかったが、傍にいたらしいロックスがすかさず宥め、婚約者としばし甘い雰囲気で見つめ合ったのち、可愛らしい顔を怒りに染めて私を睨みつけた。
「よくもボクのローザに恥をかかせてくれたな。彼女を侮辱することはオージュ侯爵家を侮辱することと同じことだ。どこの誰だ、名を名乗れ」
声変わりしてもなお透き通るような中性的な声色はロックスそのものだが、彼はこんな風に傲慢で威圧的な言葉を紡ぐことはなかった。いつも明るく無邪気で、ちょっと腹黒いところはあるけれど、家名を笠に着るような真似はしなかった。
恋は人を変えるのか、あるいはゲームと現実では性格が違うのか……頭の片隅で嘆きながら、伏し目がちに答えた。
「……プリエラ・ホワイトリーと申します」
「ホワイトリー? 聞いたことのない家だな。爵位を金で買った成金貴族か? まあ、なんにせよ、オージュ家に逆らったからには爵位剝奪されて平民に成り下がるのは確定だし、どうでもいいことだな」
爵位剥奪?
前方不注意だったのもワインを引っかけてしまったのも私の責任で、多少咎められるのは仕方ないとはいえ、さすがにぶっ飛びすぎた罰ではないだろうか。それに、彼女の巨体のせいで私だって被害を被っているのに、謝りもしないどころか一方的に責めるなんて明らかにおかしい。
推しへの萌えも愛も一瞬で消し飛び、代わりにフツフツと湧き上がってくるのは、理不尽な扱いに対する憤り。
今すぐぶん殴ってやりたい。でも、さすがに手を上げれば言い逃れできない罪を背負ってしまう。自分だけならいいが、家族に迷惑をかけるわけにはいかない。
とはいえ、ここで黙って引き下がれば一生後悔する。それは個人的感情でもあるが、少なからず今世で培った貴族の矜持でもある。
すっくと立ち上がり、できるだけ冷静に、と自分に言い聞かせながら反論する。
「お言葉ですが、爵位と家名を振りかざして不当な罰を与えるなど、貴族として恥ずべき行為ではありませんか? 貴族は民の手本であるべき存在です。そのために私たちは幼い頃から礼儀作法を学び、高等な教育を受けているのです。
なのに、あなたのその振る舞いは、力任せに敵を征服する蛮族と変わりないではありませんか。民は貴族が考えるほど蒙昧ではありません。この事実を広く公にすれば、逆にオージュ家の権威は失墜し、爵位剥奪の上平民へ降格するでしょうね」
最後に淑女らしい微笑みを浮かべて言い切ってやると、ロックスは憤怒で真っ赤になりながら拳を握り締め、私に殴りかかろうとした。
殴りたければ殴ればいい。こういうのは手を出した方が負けだ。
あーあ、これで令嬢生活ともおさらばか。
まあ、件の借金地獄のせいで倹しい暮らしには慣れてるし、元が小市民だから平民に落ちたところで何も変わらない――なんて取り留めのないことを考え、迫りくるロックスの拳の衝撃に備えてぎゅっと目をつぶった時。
目深にかぶった制帽の影で目元ははっきりとしないが、細面ですっきりとした鼻梁と真一文字に引き結ばれた薄い唇から、かなりのイケメンだと想像する。
貴族でも家督を継がない次男三男が軍人になるのはよくある話だし、平和な世の中では彼らがコネで将校の位を持つことも珍しくない。
しかし、彼はそういう“名ばかり軍人”とは見た目だけでも一線を画する。肌は小麦色に日焼けしているし、服を着ていても鍛えているのが分かる体つきだし、何より動作の一つ一つがキビキビしていて隙がない。いかにも軍人という感じだ。
軍人萌えの属性はないし、スポーツマン系はタイプじゃないけど、なんだか彼の周りだけ凛とした空気が漂っているようで、不思議と目を引かれた。
「ご覧になって、カーライル様よ」
「いつの間に王都に戻って来たのかしら……ああ、嫌だわ」
「ご自身の罪ではないとはいえ、よくも陛下主催の舞踏会に顔を出せたものね」
さっきクラリッサの話題で盛り上がっていた夫人たちが、扇で渋面を隠しながら聞えよがしの悪口をコソコソとささやき合う。
カーライル、という名前に心当たりがあり記憶を辿ると、一人の人物に思い当たる。
カーライル・ジード。
またの名を、カーライル・クロウ・フォーレン。
この国の第一王子でありながら、側妃の子であることを理由に正妃の子である第二王子フロリアン殿下に王太子の座を譲ることになった人物だ。
その出生だけでも不遇だが、彼の母はどうしても自分の息子を王太子にしたかったようで、フロリアン殿下を亡き者にすべく刺客を雇い、幾度も暗殺未遂を繰り返した。まだカーライル様が成人する前、十三の頃の話だと言われている。
この事件は公にこそなっていないが、人の口には戸が立てられないのは当然の理で、それとなく誰かの口から洩れ、平民にまでは広がっていないまでも、貴族であれば大抵は耳にしたことのある有名な話だ。末端で社交界デビューもまだだった私も、概要だけは聞いたことがある。
側妃はその咎を問われて幽閉され、心身共に病んだのち服毒自殺。
残されたカーライル様は廃嫡に処され、完全に王位継承権を失った。
彼はフォーレン家から追放されて王族の傍流へ養子に入り、成長したのちに軍人となり、遠い辺境の地で国境警備隊の配属になった――という設定をフロリアンルートで聞いた。
殿下は腹違いの兄に罪悪感を抱きながらも、自力で人生を切り開く彼の強さにコンプレックスを抱き、彼の方が王にふさわしいのではないかと悩み、ヒロインにその心情を吐露するのだ。
そのあとはヒロインがガツンと檄を飛ばして問題は解決するのだが、あれだけ細かに人物像が語られているにもかかわらず、カーライル様がゲームのどこにも登場しないのは不思議だなとは思っていた。
事情が事情なだけに社交場に出てきづらいのは分かるし、私だったら絶対に出てこないけど、隠しキャラとしては最強の設定だ。実物もかなりイケメンっぽいし、どうしてカーライルルートはなかったのか。
……まあ、もしゲームにカーライルルートがあって攻略済みだったとしても、現実の彼を“攻略”できるなんて思ってないけどね。そもそも、傍流とはいえ王族の彼としがない子爵令嬢の私では、きっと人生は交わることはないだろう。
そう思いながら視線を逸らそうとした時、不意に立ち止まってあたりを見回すカーライル様と目が合った……ような気がして心臓が大きく跳ねた。
いやいや、落ち着け自分。ただの偶然だ。自意識過剰だ。
これだから転生ヒロインは脳内お花畑女って呼ばれるんだよ。
などと自分を諫めていると、カーライル様の前に一際目を引くご令嬢が現れた。
すべらかな白磁の肌に映える、濡羽色のロングストレートにアメシストの瞳。顔立ちもスタイルもまるで作り物のように完璧で、女神も嫉妬するような人形じみた美少女。
悪役令嬢ことクラリッサ・マクレインだ。
カーライル様へ優雅なカーテシーで挨拶をする彼女は、たおやかな笑みを浮かべつつも頬を薄っすらと染めている。まさに恋する乙女だ。カーライル様も少し肩の力が抜けたように見え、それなりに親しい関係なのは推察できた。
……ふーん、そういうことか。
誰ともフラグを立てなかったのは、カーライル狙いだったからってことね。
ゲームでは出てこなかったが、王家に近しい公爵家ともなれば廃嫡前の彼と接点があったのだろう。転生者であれば、謎に包まれたおいしい設定のキャラへ興味を惹かれて接触し、そのまま恋に落ちるということもありえる。ライトノベルでは、モブに恋する悪役令嬢も珍しくない。
よし、ひとまずの行動指針が定まった。
ザマァ回避のため、カーライル様には絶対近づかない。
愛され系悪役令嬢がいればヒロインなど見向きもされないだろうが、誤解が誤解を生んで泥沼になる、なんてオチだけは絶対に嫌だ。
そうと決まれば、父を探して一旦この舞踏会から撤退すべきだ。
善は急げ、とその場を立ち去ろうと踵を返したが、何か柔らかいものにぶつかってよろけ、履き慣れないヒールのせいでバランスを崩して床に崩れた。
「痛……」
「いったぁい! もう、どこ見て歩いてんのよ、このブス!」
いきなり罵倒されたことにムッとしながら顔を上げると、そこにはロックスの婚約者だという令嬢の巨体が山のようにそびえ立っていた。
どうやら彼女に衝突して転倒したようだ。
モブにブスと言われるヒロイン……お約束といえばお約束だし、この程度の顔面偏差値は貴族令嬢なら平均レベルなのは分かってるけど、これだけは言わせてくれ。
お前にだけは言われたくねぇよ、このデブめ!
つーか、お前の分厚い肉壁で弾かれた私の方が被害者だろうが!
……と、心の中で思い切り罵倒し、口では「申し訳ありませんでした」としおらしく謝る。こういう高圧的な人間には下手に出るのが一番角が立たない。
普通であればこれで済むはずだった。だが、
「あー! アタシのドレスが! アタシのドレスがぁぁ!」
グラスにわずかに残っていたワインが彼女のドレスの裾にかかり、小さな染みを作っていた。
「アンタのせいよ! アンタのせいで、ロックスからもらった大事なドレスが……!」
「ローザ、落ち着いて。ドレスならまた買ってあげるから」
ローザなる令嬢の巨体に隠れて見えなかったが、傍にいたらしいロックスがすかさず宥め、婚約者としばし甘い雰囲気で見つめ合ったのち、可愛らしい顔を怒りに染めて私を睨みつけた。
「よくもボクのローザに恥をかかせてくれたな。彼女を侮辱することはオージュ侯爵家を侮辱することと同じことだ。どこの誰だ、名を名乗れ」
声変わりしてもなお透き通るような中性的な声色はロックスそのものだが、彼はこんな風に傲慢で威圧的な言葉を紡ぐことはなかった。いつも明るく無邪気で、ちょっと腹黒いところはあるけれど、家名を笠に着るような真似はしなかった。
恋は人を変えるのか、あるいはゲームと現実では性格が違うのか……頭の片隅で嘆きながら、伏し目がちに答えた。
「……プリエラ・ホワイトリーと申します」
「ホワイトリー? 聞いたことのない家だな。爵位を金で買った成金貴族か? まあ、なんにせよ、オージュ家に逆らったからには爵位剝奪されて平民に成り下がるのは確定だし、どうでもいいことだな」
爵位剥奪?
前方不注意だったのもワインを引っかけてしまったのも私の責任で、多少咎められるのは仕方ないとはいえ、さすがにぶっ飛びすぎた罰ではないだろうか。それに、彼女の巨体のせいで私だって被害を被っているのに、謝りもしないどころか一方的に責めるなんて明らかにおかしい。
推しへの萌えも愛も一瞬で消し飛び、代わりにフツフツと湧き上がってくるのは、理不尽な扱いに対する憤り。
今すぐぶん殴ってやりたい。でも、さすがに手を上げれば言い逃れできない罪を背負ってしまう。自分だけならいいが、家族に迷惑をかけるわけにはいかない。
とはいえ、ここで黙って引き下がれば一生後悔する。それは個人的感情でもあるが、少なからず今世で培った貴族の矜持でもある。
すっくと立ち上がり、できるだけ冷静に、と自分に言い聞かせながら反論する。
「お言葉ですが、爵位と家名を振りかざして不当な罰を与えるなど、貴族として恥ずべき行為ではありませんか? 貴族は民の手本であるべき存在です。そのために私たちは幼い頃から礼儀作法を学び、高等な教育を受けているのです。
なのに、あなたのその振る舞いは、力任せに敵を征服する蛮族と変わりないではありませんか。民は貴族が考えるほど蒙昧ではありません。この事実を広く公にすれば、逆にオージュ家の権威は失墜し、爵位剥奪の上平民へ降格するでしょうね」
最後に淑女らしい微笑みを浮かべて言い切ってやると、ロックスは憤怒で真っ赤になりながら拳を握り締め、私に殴りかかろうとした。
殴りたければ殴ればいい。こういうのは手を出した方が負けだ。
あーあ、これで令嬢生活ともおさらばか。
まあ、件の借金地獄のせいで倹しい暮らしには慣れてるし、元が小市民だから平民に落ちたところで何も変わらない――なんて取り留めのないことを考え、迫りくるロックスの拳の衝撃に備えてぎゅっと目をつぶった時。
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