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第七部 革命編
見習いシスター、拉致される!?(上)
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その日、ジジはたまたま市場でのおつかいを頼まれて、一人で町まで降りていた。
ジゼルも一緒に来る予定だったが、雪かきに奮闘した結果風邪を引いてしまい、留守番を言いつけられていた。
他の令嬢たちも戦争が現実のものとなった今、戦場に近いラングドンにいて巻き込まれては危険だということで、ほとんど実家へ連れ戻されてしまった。
残っているのはより戦場に近い領地の子か、実家が遠すぎたり財政的に厳しかったりで、すぐに迎えを寄こせない子くらい。いくらこの半年で手慣れてきたとはいえ、少数で家事をこなさねばならず目の回る忙しさだ。
そんなこんなで珍しく単独行動となったジジは、任務遂行のため市場へと向かったが――道中、ヘビメタ讃美歌のファンの女の子たちに捕まってしまい、買い物そっちのけでおしゃべりに花を咲かせていた。
それがとんでもない替え玉事件の引き金になるなんて、夢にも思わずに。
「――で、次のライブはいつやるの?」
「うーん……雪も積もる日が増えて修道院まで来るのも一苦労だし、ここのところ風邪の人が増えてるみたいだから、しばらくはお休みしようかなって思ってるの。それに、冬場は乾燥して喉を傷めやすいから、思い切りシャウトできないもの」
「ええー、そんなぁ……」
「あたしたちはこの通り元気だし、喉も足腰丈夫だから平気よ!」
「自覚症状がなくても、実は風邪だったってことはよくあるから、気づかずに誰かにうつしたら大変でしょ。特に礼拝堂は狭いから、来た人たちみんなが風邪にかかるかもしれないわ。働き手がみんな寝込んじゃったら、仕事が滞っちゃうでしょ」
ライブ会場に使っている礼拝堂は、だいたい開けっ放しにしているので換気は十分ではあるが、結構な人数が集まって大声を出すので感染確率はかなり高い。
せっかくジゼルの機転で若者たちがしょっ引かれずに済んだのに、風邪で根こそぎダウンさせたとなったら本末転倒だ。
「それはそうだけど……」
「あなたたちだけじゃなくて、シスターたちも心配だわ」
まだ納得いかない顔をする少女たちに、ジジは深刻そうな表情を作って声を潜め続ける。
「年寄り扱いするわけじゃないけど、みんなそこそこいいお歳だし、もしも最年長の院長先生が風邪を拗らせでもたら、場合によっちゃあ……」
「そ、それはまずいわね……」
「うん……春までおとなしくしてるわ」
ジジの脅しに、少女たちは気まずそうな顔でコクコクとうなずく。
自分たちのせいで神に仕える老女が天に召されるかもしれないとなると、さすがに我を押し通す気にはなれなかったようだ。
三密回避できてほっとし、そういえば頼まれていた買い物がまだだったと内心焦り始めた時。
「……ひ、姫様? あれはもしや、姫様ではありませんか!?」
「王妃殿下譲りのお顔、茶交じりの金の髪、琥珀の瞳……間違いない! 亡命中にユーリア様がお産みになられた、アウルベル王国の由緒正しい血筋を受け継ぐ末姫様であるぞ!」
「当時は過酷な状況下で赤子をお育てすることができず、ユーリア様が泣く泣く養女へと出した姫様が、かようにご立派に成長になされたとは! 感無量でございます!」
「きっとすべて神の思し召しでしょう! おお、神よ! 感謝します!」
「なんと、貴殿らが長年探していた姫様がこちらか!? なんとお美しいお方なのだ! セドリック様もこのようなお妃様を迎えるとなれば、さぞお喜びになられるだろう!」
話が一区切りつくのを待っていたかのようなタイミングで、若い男が三人ジジと少女たちを分断するように間に割って入り、大仰な仕草で天を仰ぎながら、わざと喧伝するような大声で説明臭いセリフを並べる。
胡散臭いことこの上ない。
こういう輩と関わるとロクなことがないので、さっさと立ち去るべきだったが、「姫とか妃とか、なんかラノベみたいな展開きた!?」と軽くパニクっている間に、勢いに乗った男たちにぐるりと取り囲まれ、逃げ出す隙を失ってしまった。
「ひ、ひめ、さま? え、マジで?」
「ジジさんが、よその国のお姫様ぁ!?」
「ていうかお妃様って、なんかすごい! よく分かんないけどおめでとう!」
「ち、違う違う! ウソウソウソ! ないないない!」
少女たちがまんまるに見開いた目で見つめてくるが、心当たりのないジジは首がもげそうなくらいブンブンと横に振る。
しかし、動揺するジジなどお構いなしに、名前を知った男たちが話に突っ込んでくる。
「姫様はジジとおっしゃるのですね? もしかして、ジゼルの愛称ですか?」
「え、それって――」
まさか、彼らが探しているのはジゼルでは……とジジの中で確信に近い予感がした。
髪や瞳の色が同じだし、ジゼルは出自不明の養女という話だった。
それに以前、「転生悪役令嬢っぽい恋バナはないのか」としつこく突いてみたら、セドリックという名前の王子と婚約話が持ち上がっていたが、断罪の関係で白紙に戻ったと小耳に挟んだ記憶もある。
だが、ジジではなくジゼルを引っ張っていこうとしているのかは謎だ。
似ている要素はたくさんあるが、もっと決定的な特徴が違うから間違えるはずもない。
(もしかしなくても、ジゼルがブサ猫で気に入らないから、いろいろな共通点があって美人な私と取り替えようってこと……?)
手前味噌ながら、自分が美人だという自覚はあるが、それを悪用しようと考えたことはない。だって、ジジは異世界人生に求めるのは、溺愛でも玉の輿でもない。
(私が目指すのは出家してスローライフ! その一択よ!)
前世の彼女は、学生時代はヘビーメタルのアマチュアバンドでブイブイ言わせたものだが、就活に失敗してブラック社畜としてこき使われるわ、結婚詐欺師に騙されてほぼ全財産奪われるわ、もう絵にかいたような転落人生だった。
死因は未だに思い出していないが、ロクな死に方をしなかったのは確実である。
だから今世では、男とは無縁のゆるゆるスローライフが送りたいと願い、ごねる侯爵を一生懸命諭してなだめすかして出家したというのに、このままでは取り違え案件必死だ。
こんなところでささやかな野望を打ち砕かれるわけにはいかない。
ライトノベルでは状況はいろいろながら、身代わりにされたヒロインが溺愛されてハッピーエンドとなるが、明らかに容姿が違う自分が出ていけば即刻大騒動勃発だ。
なんとかバックレられないかと頭を悩ませていたが、
「うん。確か、本名はジゼルだったわよね」
「修道院にもう一人ジゼルさんがいるから、ややこしくないようにジジって呼んでって言ってたもの」
「ちょ……!」
少女たちが暴露してしまって詰んだ。
それを聞いた男たちがニンマリとした笑みを浮かべる。明らかな下心が透けて見える表情に、ゾゾゾッと悪寒が走る。
「やはりそうでしたか!」
「これでただの他人の空似ではないと、確証がもてました!」
「いや、その、ジゼルなんて珍しくない名前だし、そのもう一人のジゼルも確かめてからでも、遅くないんじゃ!?」
「失礼だけど、ジゼルさんってお姫様っぽくないよね。お妃様って感じでもないし」
「賢いし頼りがいあるし誰にでも優しいし、貴族のお嬢様だっていうのにすごくいい人だけど……ねぇ……」
「いい人だけど恋愛対象じゃないみたいな言い方!」
テンプレの悪役令嬢らしく、万人が認める美少女だったら説得力もあっただろうに。
悲しいかな、ゆるキャラ的なジゼルのブサ猫顔と庶民派な雰囲気が、ここに来て完全に裏目に出ている。
「おい、お前ら! ジジちゃんになんの用だ!?」
「新手の人さらいか? 怪しい奴らめ、自警団に突き出してやらぁ!」
リアルに頭を抱えるジジの元に、騒ぎを聞きつけたガタイのいい職人たちが駆け寄ってきた。
ジゼルも一緒に来る予定だったが、雪かきに奮闘した結果風邪を引いてしまい、留守番を言いつけられていた。
他の令嬢たちも戦争が現実のものとなった今、戦場に近いラングドンにいて巻き込まれては危険だということで、ほとんど実家へ連れ戻されてしまった。
残っているのはより戦場に近い領地の子か、実家が遠すぎたり財政的に厳しかったりで、すぐに迎えを寄こせない子くらい。いくらこの半年で手慣れてきたとはいえ、少数で家事をこなさねばならず目の回る忙しさだ。
そんなこんなで珍しく単独行動となったジジは、任務遂行のため市場へと向かったが――道中、ヘビメタ讃美歌のファンの女の子たちに捕まってしまい、買い物そっちのけでおしゃべりに花を咲かせていた。
それがとんでもない替え玉事件の引き金になるなんて、夢にも思わずに。
「――で、次のライブはいつやるの?」
「うーん……雪も積もる日が増えて修道院まで来るのも一苦労だし、ここのところ風邪の人が増えてるみたいだから、しばらくはお休みしようかなって思ってるの。それに、冬場は乾燥して喉を傷めやすいから、思い切りシャウトできないもの」
「ええー、そんなぁ……」
「あたしたちはこの通り元気だし、喉も足腰丈夫だから平気よ!」
「自覚症状がなくても、実は風邪だったってことはよくあるから、気づかずに誰かにうつしたら大変でしょ。特に礼拝堂は狭いから、来た人たちみんなが風邪にかかるかもしれないわ。働き手がみんな寝込んじゃったら、仕事が滞っちゃうでしょ」
ライブ会場に使っている礼拝堂は、だいたい開けっ放しにしているので換気は十分ではあるが、結構な人数が集まって大声を出すので感染確率はかなり高い。
せっかくジゼルの機転で若者たちがしょっ引かれずに済んだのに、風邪で根こそぎダウンさせたとなったら本末転倒だ。
「それはそうだけど……」
「あなたたちだけじゃなくて、シスターたちも心配だわ」
まだ納得いかない顔をする少女たちに、ジジは深刻そうな表情を作って声を潜め続ける。
「年寄り扱いするわけじゃないけど、みんなそこそこいいお歳だし、もしも最年長の院長先生が風邪を拗らせでもたら、場合によっちゃあ……」
「そ、それはまずいわね……」
「うん……春までおとなしくしてるわ」
ジジの脅しに、少女たちは気まずそうな顔でコクコクとうなずく。
自分たちのせいで神に仕える老女が天に召されるかもしれないとなると、さすがに我を押し通す気にはなれなかったようだ。
三密回避できてほっとし、そういえば頼まれていた買い物がまだだったと内心焦り始めた時。
「……ひ、姫様? あれはもしや、姫様ではありませんか!?」
「王妃殿下譲りのお顔、茶交じりの金の髪、琥珀の瞳……間違いない! 亡命中にユーリア様がお産みになられた、アウルベル王国の由緒正しい血筋を受け継ぐ末姫様であるぞ!」
「当時は過酷な状況下で赤子をお育てすることができず、ユーリア様が泣く泣く養女へと出した姫様が、かようにご立派に成長になされたとは! 感無量でございます!」
「きっとすべて神の思し召しでしょう! おお、神よ! 感謝します!」
「なんと、貴殿らが長年探していた姫様がこちらか!? なんとお美しいお方なのだ! セドリック様もこのようなお妃様を迎えるとなれば、さぞお喜びになられるだろう!」
話が一区切りつくのを待っていたかのようなタイミングで、若い男が三人ジジと少女たちを分断するように間に割って入り、大仰な仕草で天を仰ぎながら、わざと喧伝するような大声で説明臭いセリフを並べる。
胡散臭いことこの上ない。
こういう輩と関わるとロクなことがないので、さっさと立ち去るべきだったが、「姫とか妃とか、なんかラノベみたいな展開きた!?」と軽くパニクっている間に、勢いに乗った男たちにぐるりと取り囲まれ、逃げ出す隙を失ってしまった。
「ひ、ひめ、さま? え、マジで?」
「ジジさんが、よその国のお姫様ぁ!?」
「ていうかお妃様って、なんかすごい! よく分かんないけどおめでとう!」
「ち、違う違う! ウソウソウソ! ないないない!」
少女たちがまんまるに見開いた目で見つめてくるが、心当たりのないジジは首がもげそうなくらいブンブンと横に振る。
しかし、動揺するジジなどお構いなしに、名前を知った男たちが話に突っ込んでくる。
「姫様はジジとおっしゃるのですね? もしかして、ジゼルの愛称ですか?」
「え、それって――」
まさか、彼らが探しているのはジゼルでは……とジジの中で確信に近い予感がした。
髪や瞳の色が同じだし、ジゼルは出自不明の養女という話だった。
それに以前、「転生悪役令嬢っぽい恋バナはないのか」としつこく突いてみたら、セドリックという名前の王子と婚約話が持ち上がっていたが、断罪の関係で白紙に戻ったと小耳に挟んだ記憶もある。
だが、ジジではなくジゼルを引っ張っていこうとしているのかは謎だ。
似ている要素はたくさんあるが、もっと決定的な特徴が違うから間違えるはずもない。
(もしかしなくても、ジゼルがブサ猫で気に入らないから、いろいろな共通点があって美人な私と取り替えようってこと……?)
手前味噌ながら、自分が美人だという自覚はあるが、それを悪用しようと考えたことはない。だって、ジジは異世界人生に求めるのは、溺愛でも玉の輿でもない。
(私が目指すのは出家してスローライフ! その一択よ!)
前世の彼女は、学生時代はヘビーメタルのアマチュアバンドでブイブイ言わせたものだが、就活に失敗してブラック社畜としてこき使われるわ、結婚詐欺師に騙されてほぼ全財産奪われるわ、もう絵にかいたような転落人生だった。
死因は未だに思い出していないが、ロクな死に方をしなかったのは確実である。
だから今世では、男とは無縁のゆるゆるスローライフが送りたいと願い、ごねる侯爵を一生懸命諭してなだめすかして出家したというのに、このままでは取り違え案件必死だ。
こんなところでささやかな野望を打ち砕かれるわけにはいかない。
ライトノベルでは状況はいろいろながら、身代わりにされたヒロインが溺愛されてハッピーエンドとなるが、明らかに容姿が違う自分が出ていけば即刻大騒動勃発だ。
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「うん。確か、本名はジゼルだったわよね」
「修道院にもう一人ジゼルさんがいるから、ややこしくないようにジジって呼んでって言ってたもの」
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少女たちが暴露してしまって詰んだ。
それを聞いた男たちがニンマリとした笑みを浮かべる。明らかな下心が透けて見える表情に、ゾゾゾッと悪寒が走る。
「やはりそうでしたか!」
「これでただの他人の空似ではないと、確証がもてました!」
「いや、その、ジゼルなんて珍しくない名前だし、そのもう一人のジゼルも確かめてからでも、遅くないんじゃ!?」
「失礼だけど、ジゼルさんってお姫様っぽくないよね。お妃様って感じでもないし」
「賢いし頼りがいあるし誰にでも優しいし、貴族のお嬢様だっていうのにすごくいい人だけど……ねぇ……」
「いい人だけど恋愛対象じゃないみたいな言い方!」
テンプレの悪役令嬢らしく、万人が認める美少女だったら説得力もあっただろうに。
悲しいかな、ゆるキャラ的なジゼルのブサ猫顔と庶民派な雰囲気が、ここに来て完全に裏目に出ている。
「おい、お前ら! ジジちゃんになんの用だ!?」
「新手の人さらいか? 怪しい奴らめ、自警団に突き出してやらぁ!」
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