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第六部 ざまぁ編
野心家の逆襲計画
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シルリー一味を捕縛したムサカたちが王都を離れた、ちょうどその頃。
王宮の中でも下級役人が出入りするエリアにある小会議室では、白熱した議論が飛び交っていた。
「――ですから、全額返金していただこうなど、おこがましいことは申しておりません。三割……いえ、二割で結構です。譲歩していただけませんか?」
「断る。すでにあの会社は国の所有物となった。その財源は国庫と同じ。そこから勝手に金を引き出すなど横領以外の何物でもない。犯罪に手を染めてまで金を欲するとは、罪人に使われていただけはあってなんと悪辣なことか」
ジゼルの解任後、乗合馬車事業の臨時の責任者としてベイルードから呼び出されたジェイコブは、王都の商人から仲介を頼まれて協賛関係の解除と返金要請を行うため、交渉窓口である担当者と机を挟んで対峙していた。
「しかし、我々が出資していただく際に結んだ契約では、『経営開始以前に協賛者側から関係解除する際には、理由如何に関わらず出資額の三割を返金する』と書面を交わしております。ほら、この通り。国が契約不履行の烙印を押されてよろしいのですか?」
「知らん! それは私たちが行ったものではなく、あのデブス女が決めたことだろう! 何故私たちが罪人風情の尻拭いをせねばならないんだ!?」
「ジゼル様が国営化の際にサインした書類には、『これまで当社で決定されてきた事柄、並びに結んできた契約のすべてを継続すること』『それを変更する際は必ず重役会議を行い、多数決で可決を得ること』とあります。つまり出資者との契約もまだ生きており、それをなかったことにするには然るべき手続きを踏んでもらわないといけません。その手間暇を考えれば、素直に返金に応じていただく方が得策だと存じますが」
あれこれ子供みたいな駄々をこねて要求を突っぱねる担当官に、ジェイコブは理詰めで追い詰めていく。
神経質そうな外見という点ではジェイコブとよく似ているが、物言いが高圧的なだけで実の伴わない弁舌には怒りを通り越していっそ呆れるしかない。
こいつは絶対に縁故採用に違いない。
こんな三下役人を担当官に選んだ上司も大概だが……などと考えつつ、論破され続けて唸り声しか上げられない男に、冷めたまなざしを向けて返事を待つジェイコブ。
しばしの沈黙のあと、担当官は「上と掛け合ってみる」といって席を外した。
まあ、見るからに下っ端感半端ないあの男に決定権があるとは思えないので、上にお伺いを立てるのは当然のことか。
(あんなのが下級役人になれるなら、オレなら余裕で官僚になれるな)
自尊心高めの野心家は、出がらし同然の薄いお茶を啜りながらナルシズムに浸りつつ、その場で待つこと十分ほど。
戻ってきた担当官は「我、天啓を得たり」みたいな勝ち誇った笑顔をしていたので、ものすごく嫌な予感がしつつも回答を確認する。
「……上司殿から色のいい返事がもらえたようですね」
「ああ。お前らのお望み通り、三割の返金に応じる。ただし条件がある」
「条件ですか……」
「運賃を五倍に値上げすることと、役員を含めた全社員の給料を半減させること、それから下町方面への路線廃止だ。この三つを重役会議とやらで承認させろ。それが出来なければ、ビタ一文返すことはないからな」
「は?」
ジェイコブの口から地を這うような声が出た。
手持ちの金が減る分、多少の運賃や給金に悪影響が出るのは覚悟していたが、あまりにも法外な要求を突き付けられて一瞬思考が停止した。
しかし、すぐに持ち直して理由を問いただす。
「それは一体どういうわけで……?」
「こんなはした金でいくら客を乗せてもたいした儲けにはならんし、貧乏人に金を持たせたところでチマチマ貯金するだけで経済が回らん。だいたい、貧乏人どもが市街地にあふれてきては、治安も景観も悪化するではないか。ゴミは掃きだめに留めておくべきだろう。百害あって一利なしだ。こんな簡単な道理を説明せんと分からんとは、所詮は学のない平民だな」
これを一般市民が聞けばブチ切れ案件間違いなしで、暴動が起こってもおかしくないような内容である。
しかし、ジェイコブは冷静だった。
怒りが吹っ切れて無になってしまったのもあるが、この発言を逆手に取れないかと頭が勝手にフル回転していた。
十中八九、この要求は「絶対に返金要請に応じないぞ」という相手側の意志の表れであり、本気でこんな阿呆なことを考えているわけではない。そうでなければ、本気を示すために上司も顔を見せるはずだし、少なくとも十分足らずで話がまとまるわけがない。
なのに、この男は上司の意図をちっとも汲まず、本気でそれが正しいと信じている節がある。
言わなくてもいいような平民への差別意識をむき出しにした挙句、高みから物を言い放つことへの優越感に満ち満ちた顔を見ていれば一目瞭然だ。
その小物感しかない様には憐憫すら覚えるが、利用するにはちょうどいい逸材でもある。
(ふん。そっちがその気なら、こちらにも考えがある)
この脳みそスカスカ男だけではなく、国ごとギャフンと言わせる策を思いついたジェイコブは、ニヤつきたくなるのを堪えて殊勝な態度を演出する。
「……分かりました。至急役員会議を開き、おっしゃる旨を可決させましょう」
うつむき加減で小さく震えながら、さも苦渋の決断と言わんばかりに絞り出すと、担当官はふんぞり返ってギャハハと笑い出した。
「分かればいいんだよ、分かれば! だいたい、あのデブス女がヘマをして乗合馬車の特許さえ取得していないから、こんなことになってるんだ! 特許さえあれば実際に事業をやらなくとも、勝手に膨大な利益が舞い込んだというのに!」
笑ったかと思えば勝手にキレ始める情緒不安定さに気味悪さを感じつつも、ジェイコブは反論する気力もないとばかりに黙って続きに耳を傾ける。
「クソ! なんで私が貧乏臭い平民と顔を突き合わせ、町役場にいるような木っ端役人のような仕事をせねばならないんだ!? 私は栄えある王国貴族の一翼を担う、子爵家の当主なんだぞ! 修道院送りなど生ぬるい! いっそ処刑してしまえばよかったのに!」
……本当に大丈夫だろうか、こいつの頭。
本当に偉い人間ほど偉そぶることはないので、これは俗に言う弱い犬ほどよく吠えるというヤツだが、それにしても常軌を逸している気がする。
代々公爵家に仕えているジェイコブからすれば「そっちの方こそたかが子爵風情で偉そうなこと言ってんじゃねぇよ」って感じだし、いくら罪人扱いになっているとはいえ公爵令嬢を侮辱するのはいかがなものだろう。
ジゼルがハイマン家の血筋ではないことは公表されたものの、養女としての手続きは済んでいるので、書類上は“正式な”公爵令嬢となっている。
こういうのは消えてくれた方が国のためだし、ちょっと誇張してケネスに告げ口することを心に決める。さすがに殺しはしないだろう……多分。
それより、あの時ジゼルが特許を取らなかったことが、こんなところで功を奏すことになろうとは。
楽して儲けられないことを当時は苦々しく思っていたが、こんな阿呆どもが暴利を貪るのを抑止できたことは、本当に僥倖だった。
ちなみに特許権がないことで、ベイルード周辺の領地では他の会社によっていくつか乗合馬車事業が展開されている。儲かることは誰でも真似したがるものだ。
豪商が始めたところもあれば、領地経営の一環として行っているところもあるが、いずれもオープンになっている情報をコピーしているだけで、ライバルになりえるような脅威はいない。
むしろ旅行客に扮した産業スパイがベイルードにやってきては、何度もご乗車いただいたり、回転焼きやシリアルバーをたくさん買ってくれたりと、次々お金を落としていくのでありがたいくらいだ。
もちろん、社員として潜入を企む者はきちんと排除している……というか、基本採用面接にはジゼル自らが出てくるから、だいたいビビッて尻尾を巻いて逃げてしまう。
たまに女子供だと舐めてかかる奴もいるが、怪しいとみなした瞬間に、彼女の背後に控える従者が恐ろしい笑顔で圧をかけてくるので、やっぱり逃げる。
ジゼルはそれを見て「これがホンマの圧迫面接か」とかぼやいていたが、言い得て妙だと思う。あの圧迫感は半端じゃない。
……という余談はさておき。
ジェイコブは今回の提案を即可決させる一方で、自分で新たに乗合馬車会社を立ち上げるつもりだ――役員も社員もマニュアルもこれまで培ってきたノウハウも、根こそぎ引っこ抜いて。
国営化した元ブサネコ・カンパニーには何一つ残しやしない。
それはジゼルへの裏切り行為ではなく、彼女が積み上げてきたものを別の場所に移すだけだ。
「お客さんは神さんなんは当然やけど、従業員かて神さんや。ウチらがこうしてのほほんとしてる間にも、一生懸命働いて会社に尽くしてくれとるんやから、大事にせんかったらバチ当たるで」
ジゼルはそう言って、末端一人一人を代えの効かないものとして大事にしていた。
働きに応じた給金を与え、福利厚生を充実させ、広く意見を集めて細かく業務を調整していく……そうして環境を整えることで社員たちの労働意欲が上がり、それが結果的に事業の成功に結び付いたとジェイコブは感じている。
この阿呆のように下々を蔑むような輩どもに、ジゼルが残した“遺産”を横取りされるなど言語道断。
ただそれは会社やジゼルに対する忠誠心というよりも、あいつらより自分の方がずっとうまく運用できるという、野心家としてのプライドではあるが――どちらにしろ本当に守るべきものが守れるなら問題ないはずだ。
ジゼルもきっとこう言ってくれるはず……「ま、ええんとちゃう?」と。
王宮の中でも下級役人が出入りするエリアにある小会議室では、白熱した議論が飛び交っていた。
「――ですから、全額返金していただこうなど、おこがましいことは申しておりません。三割……いえ、二割で結構です。譲歩していただけませんか?」
「断る。すでにあの会社は国の所有物となった。その財源は国庫と同じ。そこから勝手に金を引き出すなど横領以外の何物でもない。犯罪に手を染めてまで金を欲するとは、罪人に使われていただけはあってなんと悪辣なことか」
ジゼルの解任後、乗合馬車事業の臨時の責任者としてベイルードから呼び出されたジェイコブは、王都の商人から仲介を頼まれて協賛関係の解除と返金要請を行うため、交渉窓口である担当者と机を挟んで対峙していた。
「しかし、我々が出資していただく際に結んだ契約では、『経営開始以前に協賛者側から関係解除する際には、理由如何に関わらず出資額の三割を返金する』と書面を交わしております。ほら、この通り。国が契約不履行の烙印を押されてよろしいのですか?」
「知らん! それは私たちが行ったものではなく、あのデブス女が決めたことだろう! 何故私たちが罪人風情の尻拭いをせねばならないんだ!?」
「ジゼル様が国営化の際にサインした書類には、『これまで当社で決定されてきた事柄、並びに結んできた契約のすべてを継続すること』『それを変更する際は必ず重役会議を行い、多数決で可決を得ること』とあります。つまり出資者との契約もまだ生きており、それをなかったことにするには然るべき手続きを踏んでもらわないといけません。その手間暇を考えれば、素直に返金に応じていただく方が得策だと存じますが」
あれこれ子供みたいな駄々をこねて要求を突っぱねる担当官に、ジェイコブは理詰めで追い詰めていく。
神経質そうな外見という点ではジェイコブとよく似ているが、物言いが高圧的なだけで実の伴わない弁舌には怒りを通り越していっそ呆れるしかない。
こいつは絶対に縁故採用に違いない。
こんな三下役人を担当官に選んだ上司も大概だが……などと考えつつ、論破され続けて唸り声しか上げられない男に、冷めたまなざしを向けて返事を待つジェイコブ。
しばしの沈黙のあと、担当官は「上と掛け合ってみる」といって席を外した。
まあ、見るからに下っ端感半端ないあの男に決定権があるとは思えないので、上にお伺いを立てるのは当然のことか。
(あんなのが下級役人になれるなら、オレなら余裕で官僚になれるな)
自尊心高めの野心家は、出がらし同然の薄いお茶を啜りながらナルシズムに浸りつつ、その場で待つこと十分ほど。
戻ってきた担当官は「我、天啓を得たり」みたいな勝ち誇った笑顔をしていたので、ものすごく嫌な予感がしつつも回答を確認する。
「……上司殿から色のいい返事がもらえたようですね」
「ああ。お前らのお望み通り、三割の返金に応じる。ただし条件がある」
「条件ですか……」
「運賃を五倍に値上げすることと、役員を含めた全社員の給料を半減させること、それから下町方面への路線廃止だ。この三つを重役会議とやらで承認させろ。それが出来なければ、ビタ一文返すことはないからな」
「は?」
ジェイコブの口から地を這うような声が出た。
手持ちの金が減る分、多少の運賃や給金に悪影響が出るのは覚悟していたが、あまりにも法外な要求を突き付けられて一瞬思考が停止した。
しかし、すぐに持ち直して理由を問いただす。
「それは一体どういうわけで……?」
「こんなはした金でいくら客を乗せてもたいした儲けにはならんし、貧乏人に金を持たせたところでチマチマ貯金するだけで経済が回らん。だいたい、貧乏人どもが市街地にあふれてきては、治安も景観も悪化するではないか。ゴミは掃きだめに留めておくべきだろう。百害あって一利なしだ。こんな簡単な道理を説明せんと分からんとは、所詮は学のない平民だな」
これを一般市民が聞けばブチ切れ案件間違いなしで、暴動が起こってもおかしくないような内容である。
しかし、ジェイコブは冷静だった。
怒りが吹っ切れて無になってしまったのもあるが、この発言を逆手に取れないかと頭が勝手にフル回転していた。
十中八九、この要求は「絶対に返金要請に応じないぞ」という相手側の意志の表れであり、本気でこんな阿呆なことを考えているわけではない。そうでなければ、本気を示すために上司も顔を見せるはずだし、少なくとも十分足らずで話がまとまるわけがない。
なのに、この男は上司の意図をちっとも汲まず、本気でそれが正しいと信じている節がある。
言わなくてもいいような平民への差別意識をむき出しにした挙句、高みから物を言い放つことへの優越感に満ち満ちた顔を見ていれば一目瞭然だ。
その小物感しかない様には憐憫すら覚えるが、利用するにはちょうどいい逸材でもある。
(ふん。そっちがその気なら、こちらにも考えがある)
この脳みそスカスカ男だけではなく、国ごとギャフンと言わせる策を思いついたジェイコブは、ニヤつきたくなるのを堪えて殊勝な態度を演出する。
「……分かりました。至急役員会議を開き、おっしゃる旨を可決させましょう」
うつむき加減で小さく震えながら、さも苦渋の決断と言わんばかりに絞り出すと、担当官はふんぞり返ってギャハハと笑い出した。
「分かればいいんだよ、分かれば! だいたい、あのデブス女がヘマをして乗合馬車の特許さえ取得していないから、こんなことになってるんだ! 特許さえあれば実際に事業をやらなくとも、勝手に膨大な利益が舞い込んだというのに!」
笑ったかと思えば勝手にキレ始める情緒不安定さに気味悪さを感じつつも、ジェイコブは反論する気力もないとばかりに黙って続きに耳を傾ける。
「クソ! なんで私が貧乏臭い平民と顔を突き合わせ、町役場にいるような木っ端役人のような仕事をせねばならないんだ!? 私は栄えある王国貴族の一翼を担う、子爵家の当主なんだぞ! 修道院送りなど生ぬるい! いっそ処刑してしまえばよかったのに!」
……本当に大丈夫だろうか、こいつの頭。
本当に偉い人間ほど偉そぶることはないので、これは俗に言う弱い犬ほどよく吠えるというヤツだが、それにしても常軌を逸している気がする。
代々公爵家に仕えているジェイコブからすれば「そっちの方こそたかが子爵風情で偉そうなこと言ってんじゃねぇよ」って感じだし、いくら罪人扱いになっているとはいえ公爵令嬢を侮辱するのはいかがなものだろう。
ジゼルがハイマン家の血筋ではないことは公表されたものの、養女としての手続きは済んでいるので、書類上は“正式な”公爵令嬢となっている。
こういうのは消えてくれた方が国のためだし、ちょっと誇張してケネスに告げ口することを心に決める。さすがに殺しはしないだろう……多分。
それより、あの時ジゼルが特許を取らなかったことが、こんなところで功を奏すことになろうとは。
楽して儲けられないことを当時は苦々しく思っていたが、こんな阿呆どもが暴利を貪るのを抑止できたことは、本当に僥倖だった。
ちなみに特許権がないことで、ベイルード周辺の領地では他の会社によっていくつか乗合馬車事業が展開されている。儲かることは誰でも真似したがるものだ。
豪商が始めたところもあれば、領地経営の一環として行っているところもあるが、いずれもオープンになっている情報をコピーしているだけで、ライバルになりえるような脅威はいない。
むしろ旅行客に扮した産業スパイがベイルードにやってきては、何度もご乗車いただいたり、回転焼きやシリアルバーをたくさん買ってくれたりと、次々お金を落としていくのでありがたいくらいだ。
もちろん、社員として潜入を企む者はきちんと排除している……というか、基本採用面接にはジゼル自らが出てくるから、だいたいビビッて尻尾を巻いて逃げてしまう。
たまに女子供だと舐めてかかる奴もいるが、怪しいとみなした瞬間に、彼女の背後に控える従者が恐ろしい笑顔で圧をかけてくるので、やっぱり逃げる。
ジゼルはそれを見て「これがホンマの圧迫面接か」とかぼやいていたが、言い得て妙だと思う。あの圧迫感は半端じゃない。
……という余談はさておき。
ジェイコブは今回の提案を即可決させる一方で、自分で新たに乗合馬車会社を立ち上げるつもりだ――役員も社員もマニュアルもこれまで培ってきたノウハウも、根こそぎ引っこ抜いて。
国営化した元ブサネコ・カンパニーには何一つ残しやしない。
それはジゼルへの裏切り行為ではなく、彼女が積み上げてきたものを別の場所に移すだけだ。
「お客さんは神さんなんは当然やけど、従業員かて神さんや。ウチらがこうしてのほほんとしてる間にも、一生懸命働いて会社に尽くしてくれとるんやから、大事にせんかったらバチ当たるで」
ジゼルはそう言って、末端一人一人を代えの効かないものとして大事にしていた。
働きに応じた給金を与え、福利厚生を充実させ、広く意見を集めて細かく業務を調整していく……そうして環境を整えることで社員たちの労働意欲が上がり、それが結果的に事業の成功に結び付いたとジェイコブは感じている。
この阿呆のように下々を蔑むような輩どもに、ジゼルが残した“遺産”を横取りされるなど言語道断。
ただそれは会社やジゼルに対する忠誠心というよりも、あいつらより自分の方がずっとうまく運用できるという、野心家としてのプライドではあるが――どちらにしろ本当に守るべきものが守れるなら問題ないはずだ。
ジゼルもきっとこう言ってくれるはず……「ま、ええんとちゃう?」と。
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