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第五部 風雲急編
バカップルはダブルシスコン
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一抹の不安を抱えつつも、どうにかなるだろうと楽観視して迎えた春の舞踏会当日。
毎度のことながら、身支度のため朝早くから叩き起こされ、侍女たちに体中をしっちゃかめっちゃかに磨かれ、ぐったりとしながら彼女らのなすがままに新品のドレスに裾を通す。
今年の装いは王都進出に勢いをつけるように、去年は遠慮したアニマル柄を多用し、かつ原色系を多用して仕立ててもらったので、かなり“目立ってナンボ”の大阪のオバチャンらしいテイストになった。
アニマル柄が定着すれば、アニマル顔の刺繍もそのうち取り入れたいところだが、あのそそっかしい新米お針子のように見本を見るなり卒倒されても困るし、社交場では威圧的すぎるので今のところ叶っていない……という個人的感傷はともかく。
もちろん衣装担当は、レビナス・クロースのお針子たちである。
試着の際に「この衣装を着こなせるのは、ジゼル様を置いて他はございません!」と握り拳で絶賛してくれたが……褒められているような感じがしないのは被害妄想だろうか。
いや、こんなド派手な令嬢がそこかしこにいたら目が死にそうになるので、ジゼル一人で十分だが。
今日の装いは、濃いベージュのヒョウ柄模様のレースをふんだんに用いた、クリーム色に近い薄い黄色をベースにしたドレスである。これでも結構目立つが、一応一番控えめなのを選んだ……つもりだ。
判断基準がおかしいという異論は認める。
「ほな、今日はウチがお兄ちゃん借りてくで」
「はい、よろしくお願いしますね」
ひとしきり身支度が整い、出発前の一休みということで、居間でお茶とお菓子をつまみながら、同じく赤ん坊がおとなしく寝ている隙に母親業務を小休止中のロゼッタと、楽しくおしゃべりしていた。
今宵の舞踏会は、ロゼッタは育児を理由に欠席する。
乳母のリリーだけでは三つ子の面倒を看るのは大変だし……先日アレクが熱を出して上へ下への大騒ぎをした直後だ。ちょうどロゼッタがどうしても外せない用事で出かけていた時の話なので、傍にいられなかったことを大変悔やんでいた。
幸い翌日には熱は下がり、すぐに元気になったが、ジゼルでもあわやと肝を冷やしたのに、母親となれば生きた心地がしなかっただろう。傍を離れたくないと思うのは当然の親心だ。
そんな事情もあり、ハンスも初めは妻とそろって欠席するつもりだったが、そろそろ爵位の引き継ぎも視野に入れている中で、人脈づくりをサボるわけにはいかない。
そこでジゼルがパートナー兼お目付け役として同行することになったのだ。
「浮気せぇへんようにしっかり見張っとくから、安心してお留守番しとってや」
「助かりますわ。妊娠中や子育て初期は、殿方にとって浮気のゴールデンタイムだと母が申しておりましたから、ハンス様一人を送り出すのは不安でしたが、ジゼル様がご一緒なら安心ですわ」
「……えええ? ちょっと、なんでそんなに信用ないの?」
同じテーブルについて書類を繰っていたハンスが、聞き捨てならないとばかりに顔を上げて突っ込んでくる。
ロゼッタと婚約する前だってロクに女遊びをしたこともないのに、いきなり浮気する前提で話を進められては面白くないだろう。
だが、真面目な人間ほど意外に足をすくわれやすく、浮気やら不倫やらにのめり込む危険性が高い。やがて泥沼な関係になって「まさかあの人が……」なんてささやかれることになる――なんて昼ドラ展開になったら目も当てらえない。
「申し訳ありませんが、ハンス様に対する信用のあるなしではなく、普遍的な殿方の性のお話ですわ」
「せやねぇ。ウチはお兄ちゃんが浮気なんかせぇへんって信じてるけど、世の中絶対ってないからなぁ……」
「ねー」とばかりに顔を突き合わせてうなずき合う妻と妹に、ハンスはがっくりと肩を落とした。
「うう、ひどいなぁ……僕はロゼッタとジゼル一筋なのに」
「ちょ、お兄ちゃん。そこは奥さん一筋やって言うところやろ!? 妹混ぜたらアカンわ!」
「いえ、そのお気持ちよーく分かりますわ、ハンス様。ハンス様とジゼル様、どちらか選べと言われてはっきりと選ぶ自信は、私にもございませんもの」
「なんでやねん! おかしいやろ!?」
「ああ、やっぱりロゼッタもそう思うよね? ジゼルは罪な女の子だよ、本当に」
「まったく同感ですわ、ハンス様。 ジセル様の尊さは罪ですわ」
「いやだから、二人ともウチの突っ込み聞いてぇな! てか、ウチを持ち上げるんかイチャイチャするんか、どっちかにして!」
バカップルに挟まれたジゼルの叫びも虚しく、夫婦のイチャつきの巻き添えを食らって、ふれあいコーナーの動物のようにモフられた。
おかげで少々ボロけてしまい、侍女たちの手間を増やしてしまったが――「ううう、私たちもジゼル様をモフモフしたい……」という不穏なつぶやきを聞いてしまい、帰宅後のお風呂タイムで身の危険を予期したジゼルだった。
……そんな珍場面がありつつも、お出かけ前に赤ん坊たちのご機嫌取りをして寝かしつけたのち、王宮へ向かった。
すでに到着していた友人たちと合流し、しばしの間飲み物を片手に談笑していると、見覚えのある人物を視界に捉え、おもむろに呼び止めた。
「あれ、コーカス伯爵?」
「……ああ。お久しぶりです、ジゼル嬢」
缶詰事業のことでちょくちょく手紙のやり取りはしているが、直接会うのは試作品を提示されたあの日以来なので、本当に久しぶりだ。
あの時のトーマは何故か憔悴していた様子だったが、今は実に生き生きとしているというか……幸せ全開というか色ボケしている空気が漂っている。
(おお、もしやこれが恋愛パワーなんか……)
非リアには眩しいオーラに目を細めつつ、せっかくなのでその話題を振ってみる。
「そういえば、アンに続いて伯爵もご婚約されたとか。おめでたいことが続いてなによりですわ」
「ありがとうございます。できれば彼女を紹介したいところですが……このような場ではちょっと……」
「あー、確か婚約者さんはクレイラ準男爵のご令嬢でしたっけ」
準男爵とは、大きな功績を残した平民が爵位を賜る時に使う称号だ。
クレイラ家は薬草栽培を専門に手掛ける農園を経営しており、約二十年前に定期的に流行する伝染病が猛威を振るった際、無料で治療に必要な薬草を提供した功績からその爵位を賜った。
だが、その爵位は一代限りで効果が消え、直系の子孫でも引き継ぐことはできない。彼の婚約者は、この国の身分制度に当てはめるなら平民だ。
「ええ。すでに爵位持ちの親戚にお願いして養女にしてもらいましたので、社交場に連れ出しても問題はありませんが、いきなり王宮に放り込んでは不快な思いをさせるだけですから」
「そら懸命な判断ですわ」
事情をよく知る内輪の催し物ならともかく、真っ黒な腹に一物も二物も抱えた狐狸の巣窟では、重度のトラウマになりかねない。
初っ端からことわざの獅子よろしく谷底に突き落としては、二度と這い上がってこれないと思う。
しかし、伯爵夫人としていずれはこの場にも立たねばならないだろうから、今から少しずつ経験を積まないといけない――と考えていると、ふと名案が浮かんだ。
「……せや。それなら婚約のお祝いに、今度ウチの主催するお茶会にお呼びしますわ。何事も場数を踏んでナンボですからね。参加される人らには、あらかじめ事情は通しておきますんでご安心を」
「え? そ、それはありがたい話ですが……」
「あら、心外ですわね。わたくしたちが貴殿の婚約者さんをいじめるとでも?」
「い、いえいえいえ、滅相もない! 恐れ多いことだと思っただけです!」
参加予定の友人が笑顔で圧をかけると、トーマは首がもげそうなくらいブンブンと振って否定を示したのち、「皆様がよろしければ、どうぞいろいろと教えてやってください」と丁寧に頭を下げた。
クレイラ準男爵令嬢がいかなる人物かは知らないが、随分と愛されているらしい。
やっぱりトーマはいい人なんだなと、ほっこりするジゼルとは裏腹に、友人たちはいかなるドラマがあって結ばれたのか、その令嬢に根掘り葉掘り聞く算段を練っていた。
他人の恋バナは、女子会で一番のご馳走である。
毎度のことながら、身支度のため朝早くから叩き起こされ、侍女たちに体中をしっちゃかめっちゃかに磨かれ、ぐったりとしながら彼女らのなすがままに新品のドレスに裾を通す。
今年の装いは王都進出に勢いをつけるように、去年は遠慮したアニマル柄を多用し、かつ原色系を多用して仕立ててもらったので、かなり“目立ってナンボ”の大阪のオバチャンらしいテイストになった。
アニマル柄が定着すれば、アニマル顔の刺繍もそのうち取り入れたいところだが、あのそそっかしい新米お針子のように見本を見るなり卒倒されても困るし、社交場では威圧的すぎるので今のところ叶っていない……という個人的感傷はともかく。
もちろん衣装担当は、レビナス・クロースのお針子たちである。
試着の際に「この衣装を着こなせるのは、ジゼル様を置いて他はございません!」と握り拳で絶賛してくれたが……褒められているような感じがしないのは被害妄想だろうか。
いや、こんなド派手な令嬢がそこかしこにいたら目が死にそうになるので、ジゼル一人で十分だが。
今日の装いは、濃いベージュのヒョウ柄模様のレースをふんだんに用いた、クリーム色に近い薄い黄色をベースにしたドレスである。これでも結構目立つが、一応一番控えめなのを選んだ……つもりだ。
判断基準がおかしいという異論は認める。
「ほな、今日はウチがお兄ちゃん借りてくで」
「はい、よろしくお願いしますね」
ひとしきり身支度が整い、出発前の一休みということで、居間でお茶とお菓子をつまみながら、同じく赤ん坊がおとなしく寝ている隙に母親業務を小休止中のロゼッタと、楽しくおしゃべりしていた。
今宵の舞踏会は、ロゼッタは育児を理由に欠席する。
乳母のリリーだけでは三つ子の面倒を看るのは大変だし……先日アレクが熱を出して上へ下への大騒ぎをした直後だ。ちょうどロゼッタがどうしても外せない用事で出かけていた時の話なので、傍にいられなかったことを大変悔やんでいた。
幸い翌日には熱は下がり、すぐに元気になったが、ジゼルでもあわやと肝を冷やしたのに、母親となれば生きた心地がしなかっただろう。傍を離れたくないと思うのは当然の親心だ。
そんな事情もあり、ハンスも初めは妻とそろって欠席するつもりだったが、そろそろ爵位の引き継ぎも視野に入れている中で、人脈づくりをサボるわけにはいかない。
そこでジゼルがパートナー兼お目付け役として同行することになったのだ。
「浮気せぇへんようにしっかり見張っとくから、安心してお留守番しとってや」
「助かりますわ。妊娠中や子育て初期は、殿方にとって浮気のゴールデンタイムだと母が申しておりましたから、ハンス様一人を送り出すのは不安でしたが、ジゼル様がご一緒なら安心ですわ」
「……えええ? ちょっと、なんでそんなに信用ないの?」
同じテーブルについて書類を繰っていたハンスが、聞き捨てならないとばかりに顔を上げて突っ込んでくる。
ロゼッタと婚約する前だってロクに女遊びをしたこともないのに、いきなり浮気する前提で話を進められては面白くないだろう。
だが、真面目な人間ほど意外に足をすくわれやすく、浮気やら不倫やらにのめり込む危険性が高い。やがて泥沼な関係になって「まさかあの人が……」なんてささやかれることになる――なんて昼ドラ展開になったら目も当てらえない。
「申し訳ありませんが、ハンス様に対する信用のあるなしではなく、普遍的な殿方の性のお話ですわ」
「せやねぇ。ウチはお兄ちゃんが浮気なんかせぇへんって信じてるけど、世の中絶対ってないからなぁ……」
「ねー」とばかりに顔を突き合わせてうなずき合う妻と妹に、ハンスはがっくりと肩を落とした。
「うう、ひどいなぁ……僕はロゼッタとジゼル一筋なのに」
「ちょ、お兄ちゃん。そこは奥さん一筋やって言うところやろ!? 妹混ぜたらアカンわ!」
「いえ、そのお気持ちよーく分かりますわ、ハンス様。ハンス様とジゼル様、どちらか選べと言われてはっきりと選ぶ自信は、私にもございませんもの」
「なんでやねん! おかしいやろ!?」
「ああ、やっぱりロゼッタもそう思うよね? ジゼルは罪な女の子だよ、本当に」
「まったく同感ですわ、ハンス様。 ジセル様の尊さは罪ですわ」
「いやだから、二人ともウチの突っ込み聞いてぇな! てか、ウチを持ち上げるんかイチャイチャするんか、どっちかにして!」
バカップルに挟まれたジゼルの叫びも虚しく、夫婦のイチャつきの巻き添えを食らって、ふれあいコーナーの動物のようにモフられた。
おかげで少々ボロけてしまい、侍女たちの手間を増やしてしまったが――「ううう、私たちもジゼル様をモフモフしたい……」という不穏なつぶやきを聞いてしまい、帰宅後のお風呂タイムで身の危険を予期したジゼルだった。
……そんな珍場面がありつつも、お出かけ前に赤ん坊たちのご機嫌取りをして寝かしつけたのち、王宮へ向かった。
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「あれ、コーカス伯爵?」
「……ああ。お久しぶりです、ジゼル嬢」
缶詰事業のことでちょくちょく手紙のやり取りはしているが、直接会うのは試作品を提示されたあの日以来なので、本当に久しぶりだ。
あの時のトーマは何故か憔悴していた様子だったが、今は実に生き生きとしているというか……幸せ全開というか色ボケしている空気が漂っている。
(おお、もしやこれが恋愛パワーなんか……)
非リアには眩しいオーラに目を細めつつ、せっかくなのでその話題を振ってみる。
「そういえば、アンに続いて伯爵もご婚約されたとか。おめでたいことが続いてなによりですわ」
「ありがとうございます。できれば彼女を紹介したいところですが……このような場ではちょっと……」
「あー、確か婚約者さんはクレイラ準男爵のご令嬢でしたっけ」
準男爵とは、大きな功績を残した平民が爵位を賜る時に使う称号だ。
クレイラ家は薬草栽培を専門に手掛ける農園を経営しており、約二十年前に定期的に流行する伝染病が猛威を振るった際、無料で治療に必要な薬草を提供した功績からその爵位を賜った。
だが、その爵位は一代限りで効果が消え、直系の子孫でも引き継ぐことはできない。彼の婚約者は、この国の身分制度に当てはめるなら平民だ。
「ええ。すでに爵位持ちの親戚にお願いして養女にしてもらいましたので、社交場に連れ出しても問題はありませんが、いきなり王宮に放り込んでは不快な思いをさせるだけですから」
「そら懸命な判断ですわ」
事情をよく知る内輪の催し物ならともかく、真っ黒な腹に一物も二物も抱えた狐狸の巣窟では、重度のトラウマになりかねない。
初っ端からことわざの獅子よろしく谷底に突き落としては、二度と這い上がってこれないと思う。
しかし、伯爵夫人としていずれはこの場にも立たねばならないだろうから、今から少しずつ経験を積まないといけない――と考えていると、ふと名案が浮かんだ。
「……せや。それなら婚約のお祝いに、今度ウチの主催するお茶会にお呼びしますわ。何事も場数を踏んでナンボですからね。参加される人らには、あらかじめ事情は通しておきますんでご安心を」
「え? そ、それはありがたい話ですが……」
「あら、心外ですわね。わたくしたちが貴殿の婚約者さんをいじめるとでも?」
「い、いえいえいえ、滅相もない! 恐れ多いことだと思っただけです!」
参加予定の友人が笑顔で圧をかけると、トーマは首がもげそうなくらいブンブンと振って否定を示したのち、「皆様がよろしければ、どうぞいろいろと教えてやってください」と丁寧に頭を下げた。
クレイラ準男爵令嬢がいかなる人物かは知らないが、随分と愛されているらしい。
やっぱりトーマはいい人なんだなと、ほっこりするジゼルとは裏腹に、友人たちはいかなるドラマがあって結ばれたのか、その令嬢に根掘り葉掘り聞く算段を練っていた。
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