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第四部 思春期編
友達の輪
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一波乱あった舞踏会から時は流れ、雨期を前にすっきりとしない天気が続くようになった春の終わり。
薄曇りの空の下、グリード地区の孤児院の広い庭には大勢の子供たちが集まっていた。
そこで暮らす孤児たちだけではなく、この地域に暮らす乳幼児を含まない小さな子たちほぼ全員。
地面の上に敷かれたシートの上に座り、隣近所とおしゃべりしたり軽くふざけ合ったりしながらも、気がそぞろな様子で時々一定の方向をチラチラと見ていた。
彼らの視線の向こうには、お忍びスタイルのジゼルとテッドがいる。すっかり恒例となった孤児院訪問だ。
次期公爵夫人であるロゼッタも、新婚期間の終わりと共に一緒にここへ来るようになり、今も子供たちに交じっておしゃべりや手遊びに興じている。
ちょっとトゲトゲしいイメージのあるきつい見た目のツンデレキャラだし、案外人見知りというか緊張に弱いタイプなので、知らない環境に放り込んで大丈夫かと心配したが……歳の離れた弟がいるだけに子供との付き合いに慣れており、子供たちもそれが分かるのかすぐにロゼッタに懐いた。
件の弟ロベルトが元わんぱく坊主なだけに、元気の有り余る男の子相手に追いかけっこもするし、砂遊びや泥遊びにも付き合うなど、ジゼルとは別次元で貴族令嬢らしからぬ側面を垣間見た。
人間誰しも意外な一面があるというが、これは予想斜めすぎた。
「この程度、どうということはありませんわ。うちの弟は死角から泥団子を投げてくるわ、庭に水を満々に溜めた落とし穴を掘るわ、ベッドや服に虫やらカエルやらを放り込んでくるわ、ティーセットの砂糖を塩とすり替えるわ……いたずらで済むギリギリの悪行三昧を散々被ってきましたもの。ここの子たちはみんなお行儀がよすぎて、逆に心配になるくらいですわ」
これまで受けたいたずらの数々をサラッと告白しつつ、憂い顔でそう言うが……ロゼッタが相手だからお行儀よくしているだけで、子供たちだけならもっと大胆にふざけ合っているだろう。
前世でも今世でも下にきょうだいのいないジゼルには分からないが、これが弟のいるお姉ちゃんのデフォルトなのだろうか。
多分違うと思うが、そのおかげで義母であるアメリアからも「ロゼッタちゃんがいれば、わたくしはいつ隠居しても大丈夫ね」とお墨付きをもらっている。
その母ももちろん一緒に来ているが、別件があるのでこの場にはいない。
テッドがせっせと木製のイーゼルのような台の上に、十枚くらい重ねられた薄いベニヤ板を置いている横で、ジゼルはそり気味になりながら「あ、え、い、う、え、お、あ、お」だの「あめんぼ、あかいな、あいうえおー」だのと発声練習をしている。
傍から見れば奇妙な光景だが、これから何が起きるか分かっている子供たちは訝る様子もなく、むしろ待ち遠しいとばかりに眺めている。
ややあって、ジゼルは軽く咳払いをしたのち、手のひらサイズの木材をカンカンと打ち鳴らした。
「はーい、みんな静かにー! ジゼルちゃんの絵板芝居劇場ー、始まるでー!」
キャーとかワーとかいう歓声と共に拍手が沸き起こる。
そこに混じって「ジゼル様、素敵です! 頑張ってください!」と叫びながら一番熱心に拍手を送っているのロゼッタがいたが、見なかったことにしてスルーした。反応したらヒートアップしそうで怖い。
それがひと段落したのち、ジゼルが一番手前の何も書かれていない板を横にずらすと、『ウサギとカメ』というタイトルがデカデカと書かれた板が出てきた。
絵板などと言っているが、要は紙芝居である。
この世界にも型紙に使える程度の厚さの紙類はあるが、絵の具をベタベタと塗ってしまえば、ふにゃふにゃになったり歪んだりして紙芝居としては使い物にならない。なので、キャンバス用の布を張った板に絵を描いたものを用意している。
福笑いより予算も手間もかかっているので、繰り返し読み聞かせるうちに子供たちがお話に飽きれば、適当な大きさに切ってパズルとして再利用してもらうつもりだ。
紙ではないのに紙芝居というのもおかしいので、絵の描いた板を使ってるということで、絵板芝居と命名した。現在六タイトルが孤児院に収められている。
ネタはいくらでもあるのだが、紙芝居独特の絵の構図や物語構成を考えないといけないので、一本作るだけでかなりの製作時間がかかる。訪問するたび新作を持ち込むのは難しい。
令嬢兼社長のジゼルは、暇そうに見えても暇ではないのだ。
さて、この絵板芝居だが、元々福笑いと同様に孤児たちが雨の日も退屈しないようにと作ったもので、普段は大人たちや読み書きの達者な年長の子たちが読み聞かせをしている。
しかし、たまたま天気のいい日にみんなで庭に出てやっていたら、近所の子供たちが壁に鈴なりになって見ていたらしく、どうせならと定期的に彼らを招待して一緒に絵板芝居を楽しむようになったという。
初めはいろいろと喧嘩も多かったようだが、グリード地区で“飴ちゃんのお嬢様”と親しまれるジゼルが間に入り、今ではすっかり打ち解けた。中には絵板芝居の日でなくとも遊びにくる子もいて、親のいるなしに関係なく仲良くしているという。
思いつきで提供した娯楽が、思わぬ形で孤児たちの社交性を磨くこととなった……という経緯は、ひとまず置いておいて。
今日は新作の発表会ということで、お手本も兼ねてジゼルが読み手になっている。
「みんなー、ここになんて書いてるか読んでみよか。せーの――」
「うさぎとかめー‼」
「おお、めっちゃ賢いなぁ! ほんなら、どんなお話やと思う?」
「ウサギさんとカメさんがー、パンになるはなしー!」
「え、クッキーじゃないの?」
「ちがうよ、べっこうあめだよ!」
「……ジブンら……成長期とはいえ、ちょい食い意地張りすぎとちゃうかな!? なんで食べ物限定やの!?」
これまで何度か子供たちと一緒に、動物の形をしたパンやクッキーを作ったことがある。べっ甲飴は公爵家の菓子職人を出張させて、みんなの前で飴細工を作ってもらった時のことだろう。
食育とレクリエーションを兼ねたイベントだったが、料理の楽しさに目覚めて台所仕事を手伝ってくれるようになったり、将来はパンや菓子の職人になる夢を持ったりと、いい刺激になったようだ。
だが、それらの経験が仇となり、動物と聞いて食べ物を連想してしまったらしい。なんということか。
「子供たちの食い意地が張っているのは、お嬢様の薫陶の賜物でしょうかねぇ……いだっ」
「そんな教訓仕込んでへんわ! てか、速攻で話逸れてるやん! みんなー、ウサギさんもカメさんも、パンにもクッキーにも飴ちゃんにもならへんで! 一緒にかけっこするんや!」
先日の舞踏会で暴食した結果、体重増加で絶叫したことを知っているテッドが生温かい視線を向けてくるが、肘鉄を入れて黙らせて絵板芝居を始めることにした。
「えー、ゴホン。むかしむかし、ある野原にとっても足の速いウサギさんが住んでいました。森の向こう側へも山の向こう側へも、ピョンピョン飛び跳ねたらあっという間。どんな動物とも、かけっこで負けたことがありません。ある日、自慢の足で遠くの池まで遊びに行った時、一匹のカメさんに会いました。のんびり屋さんでノロノロと歩くカメさんです――」
特に児童教育に関わる仕事をしていたわけではないが、学生時代のボランティアで絵本の読み聞かせを何度かやったことがあるし、淑女教育の一環で詩の朗読もやらされていたので、まあまあ様になっている。
大体の筋書きは覚えているが、さすがに前世の子供時代に親しんだ童話だから、子細はすっかり抜け落ちている。
まあ、主旨さえしっかりしていれば、言い回しが多少違ってもイソップ氏も文句はあるまいということで、ウサギの野次からかけっこ対決が始まり、ウサギの居眠りとカメの執念の追い抜きを経て、カメはウサギを制して先にゴールする。
「――お昼寝から覚めたウサギさんは、びっくり仰天。のんびり屋さんのカメさんが、ゴールであるお山の麓のすぐそこに迫っているではありませんか。『こりゃ大変だ!』と急いで走りましたが、追いついた時にはカメさんはゴールしていていました」
そして、勝利を喜ぶカメと地団太を踏むウサギが描かれて終わり、だったと思う。それ以上の記憶はない。
しかし、ここで終わっては後味が悪い。
個人的に物語はハッピーエンドが好きだし、こうして価値観や環境の違う子たちが仲良くなれたのだから、ウサギとカメだって仲良くなれるはずなのだ。
薄曇りの空の下、グリード地区の孤児院の広い庭には大勢の子供たちが集まっていた。
そこで暮らす孤児たちだけではなく、この地域に暮らす乳幼児を含まない小さな子たちほぼ全員。
地面の上に敷かれたシートの上に座り、隣近所とおしゃべりしたり軽くふざけ合ったりしながらも、気がそぞろな様子で時々一定の方向をチラチラと見ていた。
彼らの視線の向こうには、お忍びスタイルのジゼルとテッドがいる。すっかり恒例となった孤児院訪問だ。
次期公爵夫人であるロゼッタも、新婚期間の終わりと共に一緒にここへ来るようになり、今も子供たちに交じっておしゃべりや手遊びに興じている。
ちょっとトゲトゲしいイメージのあるきつい見た目のツンデレキャラだし、案外人見知りというか緊張に弱いタイプなので、知らない環境に放り込んで大丈夫かと心配したが……歳の離れた弟がいるだけに子供との付き合いに慣れており、子供たちもそれが分かるのかすぐにロゼッタに懐いた。
件の弟ロベルトが元わんぱく坊主なだけに、元気の有り余る男の子相手に追いかけっこもするし、砂遊びや泥遊びにも付き合うなど、ジゼルとは別次元で貴族令嬢らしからぬ側面を垣間見た。
人間誰しも意外な一面があるというが、これは予想斜めすぎた。
「この程度、どうということはありませんわ。うちの弟は死角から泥団子を投げてくるわ、庭に水を満々に溜めた落とし穴を掘るわ、ベッドや服に虫やらカエルやらを放り込んでくるわ、ティーセットの砂糖を塩とすり替えるわ……いたずらで済むギリギリの悪行三昧を散々被ってきましたもの。ここの子たちはみんなお行儀がよすぎて、逆に心配になるくらいですわ」
これまで受けたいたずらの数々をサラッと告白しつつ、憂い顔でそう言うが……ロゼッタが相手だからお行儀よくしているだけで、子供たちだけならもっと大胆にふざけ合っているだろう。
前世でも今世でも下にきょうだいのいないジゼルには分からないが、これが弟のいるお姉ちゃんのデフォルトなのだろうか。
多分違うと思うが、そのおかげで義母であるアメリアからも「ロゼッタちゃんがいれば、わたくしはいつ隠居しても大丈夫ね」とお墨付きをもらっている。
その母ももちろん一緒に来ているが、別件があるのでこの場にはいない。
テッドがせっせと木製のイーゼルのような台の上に、十枚くらい重ねられた薄いベニヤ板を置いている横で、ジゼルはそり気味になりながら「あ、え、い、う、え、お、あ、お」だの「あめんぼ、あかいな、あいうえおー」だのと発声練習をしている。
傍から見れば奇妙な光景だが、これから何が起きるか分かっている子供たちは訝る様子もなく、むしろ待ち遠しいとばかりに眺めている。
ややあって、ジゼルは軽く咳払いをしたのち、手のひらサイズの木材をカンカンと打ち鳴らした。
「はーい、みんな静かにー! ジゼルちゃんの絵板芝居劇場ー、始まるでー!」
キャーとかワーとかいう歓声と共に拍手が沸き起こる。
そこに混じって「ジゼル様、素敵です! 頑張ってください!」と叫びながら一番熱心に拍手を送っているのロゼッタがいたが、見なかったことにしてスルーした。反応したらヒートアップしそうで怖い。
それがひと段落したのち、ジゼルが一番手前の何も書かれていない板を横にずらすと、『ウサギとカメ』というタイトルがデカデカと書かれた板が出てきた。
絵板などと言っているが、要は紙芝居である。
この世界にも型紙に使える程度の厚さの紙類はあるが、絵の具をベタベタと塗ってしまえば、ふにゃふにゃになったり歪んだりして紙芝居としては使い物にならない。なので、キャンバス用の布を張った板に絵を描いたものを用意している。
福笑いより予算も手間もかかっているので、繰り返し読み聞かせるうちに子供たちがお話に飽きれば、適当な大きさに切ってパズルとして再利用してもらうつもりだ。
紙ではないのに紙芝居というのもおかしいので、絵の描いた板を使ってるということで、絵板芝居と命名した。現在六タイトルが孤児院に収められている。
ネタはいくらでもあるのだが、紙芝居独特の絵の構図や物語構成を考えないといけないので、一本作るだけでかなりの製作時間がかかる。訪問するたび新作を持ち込むのは難しい。
令嬢兼社長のジゼルは、暇そうに見えても暇ではないのだ。
さて、この絵板芝居だが、元々福笑いと同様に孤児たちが雨の日も退屈しないようにと作ったもので、普段は大人たちや読み書きの達者な年長の子たちが読み聞かせをしている。
しかし、たまたま天気のいい日にみんなで庭に出てやっていたら、近所の子供たちが壁に鈴なりになって見ていたらしく、どうせならと定期的に彼らを招待して一緒に絵板芝居を楽しむようになったという。
初めはいろいろと喧嘩も多かったようだが、グリード地区で“飴ちゃんのお嬢様”と親しまれるジゼルが間に入り、今ではすっかり打ち解けた。中には絵板芝居の日でなくとも遊びにくる子もいて、親のいるなしに関係なく仲良くしているという。
思いつきで提供した娯楽が、思わぬ形で孤児たちの社交性を磨くこととなった……という経緯は、ひとまず置いておいて。
今日は新作の発表会ということで、お手本も兼ねてジゼルが読み手になっている。
「みんなー、ここになんて書いてるか読んでみよか。せーの――」
「うさぎとかめー‼」
「おお、めっちゃ賢いなぁ! ほんなら、どんなお話やと思う?」
「ウサギさんとカメさんがー、パンになるはなしー!」
「え、クッキーじゃないの?」
「ちがうよ、べっこうあめだよ!」
「……ジブンら……成長期とはいえ、ちょい食い意地張りすぎとちゃうかな!? なんで食べ物限定やの!?」
これまで何度か子供たちと一緒に、動物の形をしたパンやクッキーを作ったことがある。べっ甲飴は公爵家の菓子職人を出張させて、みんなの前で飴細工を作ってもらった時のことだろう。
食育とレクリエーションを兼ねたイベントだったが、料理の楽しさに目覚めて台所仕事を手伝ってくれるようになったり、将来はパンや菓子の職人になる夢を持ったりと、いい刺激になったようだ。
だが、それらの経験が仇となり、動物と聞いて食べ物を連想してしまったらしい。なんということか。
「子供たちの食い意地が張っているのは、お嬢様の薫陶の賜物でしょうかねぇ……いだっ」
「そんな教訓仕込んでへんわ! てか、速攻で話逸れてるやん! みんなー、ウサギさんもカメさんも、パンにもクッキーにも飴ちゃんにもならへんで! 一緒にかけっこするんや!」
先日の舞踏会で暴食した結果、体重増加で絶叫したことを知っているテッドが生温かい視線を向けてくるが、肘鉄を入れて黙らせて絵板芝居を始めることにした。
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「――お昼寝から覚めたウサギさんは、びっくり仰天。のんびり屋さんのカメさんが、ゴールであるお山の麓のすぐそこに迫っているではありませんか。『こりゃ大変だ!』と急いで走りましたが、追いついた時にはカメさんはゴールしていていました」
そして、勝利を喜ぶカメと地団太を踏むウサギが描かれて終わり、だったと思う。それ以上の記憶はない。
しかし、ここで終わっては後味が悪い。
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