55 / 217
第四部 思春期編
ヒロインの布石
しおりを挟む
ゼベル一行がエントールを王都を去り、外遊の旅に戻って数日後。
花魁道中のように侍女をゾロゾロと引き連れたアーメンガートは、乗馬のレッスンを受けるため王宮の裏手に広がる馬場に向かっていた。
たかが庭の散策にも難色を示し、ことあるごとに愛する人を自分の宮に閉じ込めておこうとするヤンデレ王太子だが、乗馬はれっきとした王妃教育の一環なので、渋々了承している。
普段は女性教師が傍に付いているが……季節外れの風邪をこじらせて休職してしまったため、ここしばらくは父の代わりに宮廷に出仕しているビクトリカが、乗馬の教師役を引き受けていた。
教師の休職については仕込みではなく本当に偶然だが、ここがチャンスとばかりに彼と接近するため、アーメンガートがミリアルドに頼み込んだのだ。
「未来の王妃として、隣国と円滑な関係を築くためにも、辺境の現状をよく知っておきたいのです。そのためには現場の方のお話を聞くのが一番ですわ。彼には婚約が内定しているご令嬢もいますし、屋外の人目があるところであれば悪い噂も立ちませんでしょう?」
それらしい理由を並べて、上目遣いでおねだりすればイチコロだった。
単に乗馬を教わるだけなら、非番の騎士や軍人を宛がえばいいだけだが、そこに辺境の知識を学ぶという付加価値をつければ、ビクトリカ以上の適任はいない。
それに、まだ正式な婚約者ではないとはいえ、政略上避けられない結婚を控えているビクトリカが、アーメンガートに不用意に近づくことはないとも考えた。
ただ、嫉妬深い彼が授業の一環とはいえ二人きりになるなど認めるわけがなく、専属侍女を山ほど控えさせ、その日の出来事を一人一人事細かに報告させてることで合意した。
しかし、彼女らはすでにアーメンガートの手先。
王太子の宮で働く侍女たちの多くは平民富裕層出身か、金銭的理由で社交界デビューできなかった貴族令嬢たち。金や利権で釣り上げるのは容易だった。
おかげで王太子への報告も、アーメンガートが吹き込んだままの嘘八百が並べられ、現実はヤンデレ婚約者に見つかれば修羅場必死の、イチャイチャ浮気現場である。
「ビクトリカ様……」
「アーメンガート……」
馬場に到着するなり、特に交わす言葉もなく抱き合いキスをする二人。
その光景は、禁じられた恋に肩までどっぷり浸かったカップルそのものといった風だが……本気になっているのはビクトリカだけで、アーメンガートにもちろんその気は微塵もない。
彼もまた婚約者と同等に自身の目的を達成するための駒であり、側近の一人エドガー・ブランシェのように退屈しのぎのための一時の戯れの相手に過ぎない。
だが、それを悟られないように情熱的に振る舞う。
年を経るごとに豊かに成熟していく体を密着させ、蜘蛛の糸のように彼の心を絡めとっていく。
ビクトリカは婚約者となるセシリアを心底嫌っており、その不平不満を丸ごと受け止め、彼の理想のする『貞淑でおとなしい女性』を演じれば、こちらもまたイチコロであった。
長いキスを経て、満たされたように微笑み合うと、一応の本題である乗馬のレッスンが始まるが――ビクトリカがアーメンガートを後ろから抱くような形で相乗りになり、ゆっくりと馬場の中を周回するだけの、いわゆる乗馬デートである。
似たようなイベントがゲーム中であったので参考にしたが、色っぽい雰囲気を醸しつつ密談をするにはなかなかいい形で気に入っている。
「……ねぇ、ビクトリカ様。わたくしがあげた“花の種”、ちゃんとあなたのお庭に蒔いてくださった?」
「ああ、もちろん。まだ芽は出てないけど、そのうちにきっと咲くよ。君のおかげで庭がきれいになりそうだ」
「ふふ、よかった」
言葉だけ捉えれば、初々しいカップルの微笑ましい会話だが、そこにある真意はかなり物騒だ。
先日ゼベルが懸念していた異民族の異変は、ルクウォーツ家とヘンドリック家の野望を叶えるための布石の一つだった。
ルクウォーツ侯爵家はこの国が戦争に明け暮れていた時代、しがない子爵家でしかなかったが、優れた鍛冶職人を多数抱えて武具を大量生産し、大儲けをしていた。
最盛期には貴族の頂点に立つほどの資産を持ち、エントールの栄光を支えた功績で侯爵にまで上り詰めた、絵にかいたような成り上がりだった。
一時期は戦禍の財政難にあえぐ王家や公爵家にも融資するほど、貴族社会では圧倒的優位に立っていたが……戦争を望まない穏健派の王が政権を握るようになり、国全体の経済が回復すると、その勢いは一気に廃れていった。
軍事産業がなくとも領地の税収で十二分に豊かではあったが、現当主は過去の栄光を取り戻したがっていた。
一方でヘンドリック家は、異民族を平定して緩衝地帯を自領に取り込みたいと考えていたが、隣国の辺境伯モーリス家は共存共栄の姿勢を貫いており、下手に事を構えれば戦争に発展する恐れがあった。
エントールは大陸の中で強国に入り、単体同士で戦えば間違いなく勝利できるが、手当たり次第に侵略戦争を仕掛けていた過去から味方が少ない。
対するフォーレンはさほど軍事力はないが外交手腕に優れており、エントールの周囲にいくつもの同盟国がある。開戦と同時に多方向から集中攻撃されば勝ち目はない。
そういう理由で長らく我慢を強いられてきたが、その事情を知ったアーメンガートが一計を案じた。
領地で不良在庫となっている武器をヘンドリック家に安価に売り、それを一部の異民族に与える……というか、偶然拾わせる。
売買すれば法に抵触するが、武器を積んだ荷馬車を辺境に放置するだけなら、略奪にあったのだろうと推測されて罪には問われない。
先進的な武器を手に入れた者たちは、狩りなどでその使用感を試し、その素晴らしい性能を部族間抗争に持ち込むようになる。
そうなれば、これまで部族単位でバラバラだった彼らはもっと大きな集団になり、組織を支える物資や土地を求め、もっといい武器を手に入れるため、辺境伯領へと攻め入り略奪を企てるようになるだろう。
そうなればしめたもの。
国防の大義名分で侵略者たる異民族を合法的に武力制圧できる。
彼らを迎え撃つための武器はもちろんルクウォーツ家が支度する。
いつ有事が起きても稼ぎ時を逸しないよう高性能なものを常々開発しており、異民族討伐に使用されその成果を国に示せば、軍に買い上げられ莫大な収入を得ることが出来る。
加えて、元は敵同士である部族の寄せ集め同士で的確な連携が取れるはずもなく、間諜を忍ばせ仲間割れを誘うのも容易。
どんな大群で押し寄せようと、勝てない理由がない。
おそらくそうなれば、エントールだけでなくフォーレン側にも被害が出るだろうから、モーリス家も同じように武力でねじ伏せるしかなくなり、こちらを非難することはできなくなり、戦争という最悪の事態は回避できる。
平定した緩衝地帯の分け前を巡って物議が醸すやもしれないが、可能な限り折半する方向で折り合いをつければ問題ないだろう。
このアーメンガートの提案に両者は二つ返事で乗り、現時点で仕込みに当たる段階はクリアした。あとはビクトリカの言う通り、結果を待つばかりだ。
(異民族がはびこる緩衝地帯がなくなれば、口実をつけて辺境伯領に行くのも容易になる。そうなれば、あの人はもう目と鼻の先。ヤンデレを説得するのは骨が折れそうだけど、会う機会さえ作れば落とすのは簡単だわ)
前世も転生してからも、男を魅了することでのし上がってきた彼女は、自身の能力に絶対の自信を持っていた。
真に愛する人と結ばれる未来を思い描き、恍惚と微笑むアーメンガートだが、その思考を悟られないよう甘えるようにビクトリカの胸元にしな垂れかかった。
花魁道中のように侍女をゾロゾロと引き連れたアーメンガートは、乗馬のレッスンを受けるため王宮の裏手に広がる馬場に向かっていた。
たかが庭の散策にも難色を示し、ことあるごとに愛する人を自分の宮に閉じ込めておこうとするヤンデレ王太子だが、乗馬はれっきとした王妃教育の一環なので、渋々了承している。
普段は女性教師が傍に付いているが……季節外れの風邪をこじらせて休職してしまったため、ここしばらくは父の代わりに宮廷に出仕しているビクトリカが、乗馬の教師役を引き受けていた。
教師の休職については仕込みではなく本当に偶然だが、ここがチャンスとばかりに彼と接近するため、アーメンガートがミリアルドに頼み込んだのだ。
「未来の王妃として、隣国と円滑な関係を築くためにも、辺境の現状をよく知っておきたいのです。そのためには現場の方のお話を聞くのが一番ですわ。彼には婚約が内定しているご令嬢もいますし、屋外の人目があるところであれば悪い噂も立ちませんでしょう?」
それらしい理由を並べて、上目遣いでおねだりすればイチコロだった。
単に乗馬を教わるだけなら、非番の騎士や軍人を宛がえばいいだけだが、そこに辺境の知識を学ぶという付加価値をつければ、ビクトリカ以上の適任はいない。
それに、まだ正式な婚約者ではないとはいえ、政略上避けられない結婚を控えているビクトリカが、アーメンガートに不用意に近づくことはないとも考えた。
ただ、嫉妬深い彼が授業の一環とはいえ二人きりになるなど認めるわけがなく、専属侍女を山ほど控えさせ、その日の出来事を一人一人事細かに報告させてることで合意した。
しかし、彼女らはすでにアーメンガートの手先。
王太子の宮で働く侍女たちの多くは平民富裕層出身か、金銭的理由で社交界デビューできなかった貴族令嬢たち。金や利権で釣り上げるのは容易だった。
おかげで王太子への報告も、アーメンガートが吹き込んだままの嘘八百が並べられ、現実はヤンデレ婚約者に見つかれば修羅場必死の、イチャイチャ浮気現場である。
「ビクトリカ様……」
「アーメンガート……」
馬場に到着するなり、特に交わす言葉もなく抱き合いキスをする二人。
その光景は、禁じられた恋に肩までどっぷり浸かったカップルそのものといった風だが……本気になっているのはビクトリカだけで、アーメンガートにもちろんその気は微塵もない。
彼もまた婚約者と同等に自身の目的を達成するための駒であり、側近の一人エドガー・ブランシェのように退屈しのぎのための一時の戯れの相手に過ぎない。
だが、それを悟られないように情熱的に振る舞う。
年を経るごとに豊かに成熟していく体を密着させ、蜘蛛の糸のように彼の心を絡めとっていく。
ビクトリカは婚約者となるセシリアを心底嫌っており、その不平不満を丸ごと受け止め、彼の理想のする『貞淑でおとなしい女性』を演じれば、こちらもまたイチコロであった。
長いキスを経て、満たされたように微笑み合うと、一応の本題である乗馬のレッスンが始まるが――ビクトリカがアーメンガートを後ろから抱くような形で相乗りになり、ゆっくりと馬場の中を周回するだけの、いわゆる乗馬デートである。
似たようなイベントがゲーム中であったので参考にしたが、色っぽい雰囲気を醸しつつ密談をするにはなかなかいい形で気に入っている。
「……ねぇ、ビクトリカ様。わたくしがあげた“花の種”、ちゃんとあなたのお庭に蒔いてくださった?」
「ああ、もちろん。まだ芽は出てないけど、そのうちにきっと咲くよ。君のおかげで庭がきれいになりそうだ」
「ふふ、よかった」
言葉だけ捉えれば、初々しいカップルの微笑ましい会話だが、そこにある真意はかなり物騒だ。
先日ゼベルが懸念していた異民族の異変は、ルクウォーツ家とヘンドリック家の野望を叶えるための布石の一つだった。
ルクウォーツ侯爵家はこの国が戦争に明け暮れていた時代、しがない子爵家でしかなかったが、優れた鍛冶職人を多数抱えて武具を大量生産し、大儲けをしていた。
最盛期には貴族の頂点に立つほどの資産を持ち、エントールの栄光を支えた功績で侯爵にまで上り詰めた、絵にかいたような成り上がりだった。
一時期は戦禍の財政難にあえぐ王家や公爵家にも融資するほど、貴族社会では圧倒的優位に立っていたが……戦争を望まない穏健派の王が政権を握るようになり、国全体の経済が回復すると、その勢いは一気に廃れていった。
軍事産業がなくとも領地の税収で十二分に豊かではあったが、現当主は過去の栄光を取り戻したがっていた。
一方でヘンドリック家は、異民族を平定して緩衝地帯を自領に取り込みたいと考えていたが、隣国の辺境伯モーリス家は共存共栄の姿勢を貫いており、下手に事を構えれば戦争に発展する恐れがあった。
エントールは大陸の中で強国に入り、単体同士で戦えば間違いなく勝利できるが、手当たり次第に侵略戦争を仕掛けていた過去から味方が少ない。
対するフォーレンはさほど軍事力はないが外交手腕に優れており、エントールの周囲にいくつもの同盟国がある。開戦と同時に多方向から集中攻撃されば勝ち目はない。
そういう理由で長らく我慢を強いられてきたが、その事情を知ったアーメンガートが一計を案じた。
領地で不良在庫となっている武器をヘンドリック家に安価に売り、それを一部の異民族に与える……というか、偶然拾わせる。
売買すれば法に抵触するが、武器を積んだ荷馬車を辺境に放置するだけなら、略奪にあったのだろうと推測されて罪には問われない。
先進的な武器を手に入れた者たちは、狩りなどでその使用感を試し、その素晴らしい性能を部族間抗争に持ち込むようになる。
そうなれば、これまで部族単位でバラバラだった彼らはもっと大きな集団になり、組織を支える物資や土地を求め、もっといい武器を手に入れるため、辺境伯領へと攻め入り略奪を企てるようになるだろう。
そうなればしめたもの。
国防の大義名分で侵略者たる異民族を合法的に武力制圧できる。
彼らを迎え撃つための武器はもちろんルクウォーツ家が支度する。
いつ有事が起きても稼ぎ時を逸しないよう高性能なものを常々開発しており、異民族討伐に使用されその成果を国に示せば、軍に買い上げられ莫大な収入を得ることが出来る。
加えて、元は敵同士である部族の寄せ集め同士で的確な連携が取れるはずもなく、間諜を忍ばせ仲間割れを誘うのも容易。
どんな大群で押し寄せようと、勝てない理由がない。
おそらくそうなれば、エントールだけでなくフォーレン側にも被害が出るだろうから、モーリス家も同じように武力でねじ伏せるしかなくなり、こちらを非難することはできなくなり、戦争という最悪の事態は回避できる。
平定した緩衝地帯の分け前を巡って物議が醸すやもしれないが、可能な限り折半する方向で折り合いをつければ問題ないだろう。
このアーメンガートの提案に両者は二つ返事で乗り、現時点で仕込みに当たる段階はクリアした。あとはビクトリカの言う通り、結果を待つばかりだ。
(異民族がはびこる緩衝地帯がなくなれば、口実をつけて辺境伯領に行くのも容易になる。そうなれば、あの人はもう目と鼻の先。ヤンデレを説得するのは骨が折れそうだけど、会う機会さえ作れば落とすのは簡単だわ)
前世も転生してからも、男を魅了することでのし上がってきた彼女は、自身の能力に絶対の自信を持っていた。
真に愛する人と結ばれる未来を思い描き、恍惚と微笑むアーメンガートだが、その思考を悟られないよう甘えるようにビクトリカの胸元にしな垂れかかった。
11
お気に入りに追加
2,281
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。