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第四部 思春期編
デートは前途多難
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――何がどうしてこうなった。
エントール王国が誇る大劇場“ギャレット・ホール”に併設されているティーサロンの個室にて。
観劇デートも終盤に差しかかり、あとはお茶をして帰るだけという段階になったのだが――全然手ごたえを感じないどころか、自分のペースが乱されてばかりで、トーマは内心頭を抱えていた。
対面に座るのはジゼル・ハイマン。
落ち着きのある若草色の立て襟のドレスをまとい、公爵令嬢の肩書にふさわしい所作で焼き菓子を口に運んでいるが、その表情は平静を保とうとしつつも、幸せそうに緩んでいる。
(……可愛い)
脳裏をよぎる言葉にはたと我に返り、小さくかぶりを振る。
いやいや、この不貞腐れた猫のような少女のどこが可愛いのか。
義妹のアンの方が容姿だけなら何倍も可愛い。
あちらに自覚はなくとも自分の地位を脅かす存在なので、心まで許すことはできないが、単純に容姿を愛でるならアンの方がいいに決まっている。
自分にそう言い聞かせて心を落ち着けながら、これまでの出来事を振り返る。
盤石とはいえない己の保身のために、見てくれは悪いが身分はピカイチのジゼルに近づいて早三か月。
不自然ともいえるほどの偶然の出会いを繰り返し、陰で「女の趣味が悪い」「後ろ盾狙いバレバレ」と罵られても無視して、彼女に懐いている義妹のアンをダシに交流を持ち、そろそろ次の段階に進んでもいいかとデートに誘った。
とはいえ、 初手でしくじるわけにはいかないと、デートコースを確定するには大いに苦悩した。
公爵令嬢ともなれば並みの贅沢はし尽くしているはずだし、彼女は領地で会社を営み、その関係で市井と交流が深いので、普通の令嬢なら興味を持つ城下の散策も新鮮味がない。
ハイマン家に観劇の趣味がないという情報を仕入れられたのは、ある意味天啓だった。
コーカス家は代々演劇世界への支援が厚い家系で、特にパージェス・アクターズには毎年多額の出資をしている。プレ公演のチケットを手に入れるのも容易かった。
それに食いついたのか、色のいい返事をもらえたまではよかったが……いかんせんオマケが多すぎた。
公爵邸に迎えに行くと、騎士でも苦戦しそうな屈強な護衛やら、トーマに警戒をあらわにする主家に忠実な侍女やらに囲まれ、ニコニコ笑うジゼルがいた。
ガードが固すぎる。
ついでにこの圧の中で平然と笑っていられるジゼルは、かなりの大物だ。ふくよかな体つきと相まって、妙な貫禄がにじみ出ている。
しかも彼女のすぐ脇には、ガーデンパーティーで割り込んで来た使用人こと、令嬢付きの従者テッドも控えている。
ハイマン家の遠縁だというこの青年は、そこいらの貴公子が霞んで見えるほどの美丈夫だ。
外見が優れているというのもあるが、一つ一つの所作に品を感じる上に、身のこなしに隙がない。一定の武術を修めているのだろう。
使用人としてではなく貴族として教育を受けてきたのは明白で、何故令嬢の従者などやっているのか甚だ謎な人物であるが――彼を見ていると、どうにもむかっ腹が立って仕方がない。
自分より見目がいいから嫉妬するのも確かだし、初対面時に小馬鹿にするように見られたことも関係しているだろうが……正直余るほど侍女を連れているのに、仮にも今日はデートだというのに、護衛ならともかく男の使用人を傍に置く意味が分からない。
遠回しに非難したら「旦那様のご指示ですので」としれっとした顔で言われたので、反論することはできなかった。
娘を溺愛する公爵ケネス・ハイマンが付き人を複数つけることくらいは想像していたが、ここまでするとは大人げないのを通り越して、こちらを潰しにかかっているのではと邪推してしまう。
手を出す相手を間違えただろうか?
いや、ケネスとてこのままでは娘が行き遅れになるのは薄々感じているだろうし、ジゼルがこちらに心を傾けてくれれば勝ちだ。溺愛する娘の意向を無視して、政略結婚を断行する人物ではない。
ここで怖気づくわけにはいかないと己を叱咤し、エスコートするために彼女の手を取ったところ……予想外の感触に脳がしびれるような錯覚に陥った。
(なっ……プニプニでモチモチだと!?)
レースの手袋に包まれていたのは、体型によく似たずんぐりした不格好な手ではあったが、柔らかいのにほのかな弾力がある、まるで猫の肉球のようにずっと触っていたくなるような、魔性の感触を持っていた。
天性のものにお付きの侍女たちが日々手入れをし、十数年かけて培った、奇跡の産物である。
大人の自制心によって、本能的ににぎにぎとしたくなる衝動を抑え込むことができたが、あの時一瞬思考が停止したことは一生の不覚だった。
少なからず交際経験はあるし、淑女のエスコートは学園時代から慣れたものだと思っていたトーマだったが、このような体験は初めてである。
しかし、すぐに持ち直して馬車にエスコートし、劇場まで向かった。
さすがにテッドを含めた付き人たちも、他家の馬車に乗り込むほど無礼ではなく、後続の使用人用の馬車に乗り込んだので、運よく車内では二人きりになれた。
ここで距離を縮めておこうと、道中他愛ない世間話をしつつ彼女の様子を窺ったが……こうしてじっくり見てみると、妙に愛嬌がある顔立ちだと気づいた。肥満気味な体型も彼女の朗らかさをより引き立てている。
表面的な美醜に囚われていると見えない、独特の魅力と言うべきなのか。
魅力といえば、先ほど触れた彼女の手もやみつきになりそうな魅力があるが――と、変態な方向に思考がずれていきそうになったので、慌てて小さくかぶりを振った。
「……どないしはったんです? お加減悪いんですか?」
急に黙り込んだトーマを心配してか、ジゼルがずいっと身を乗り出して声をかけてきた。
身長差もあって自然と上目遣いになり……その表情に心臓が大きく飛び跳ねた。
(か、かわ……! いやいや、違う違う! おかしいだろう!?)
打算的な令嬢が好む角度だし、義妹もこうしてよくおねだりしてくるので、すでに見慣れているはずなのだが、ジゼルがやるとまったく別方向の破壊力があった。
ロゼッタをも撃沈させたブサ猫萌えである。
無論、萌えなど知らないトーマは、謎の動悸に困惑するしかない。
色気も美貌もない少女に、ましてや義妹と同じ歳の少女に大人の自分がときめくなど、天地がひっくり返ってもありえない話だ。
ひとつ呼吸を置いて心を落ち着かせ、微苦笑を浮かべてみせる。
「ご、ご心配なく。少し仕事が立て込んでいて、寝不足なだけなので……」
「当主のお仕事は大変なんですねぇ。せやのにウチのためにお時間作ってもろうて、ありがとうございます。まだつかへんやろうし、少し仮眠します?」
「いえ、大丈夫です。これくらいは慣れておりますので」
「そうですか? ああ、せやったらコレや。眠気覚ましにミント味の飴ちゃん、どうぞ」
レースの装飾に紛れた小さなポケットから飴玉を取り出し、ずいっと差し出してくる。
女性側に気を遣われるなど紳士として恥ずべきことだと反省しつつ、受け取らないわけにもいかないのでそのままもらい、封を開けて白味がかった飴玉を口に入れると、清涼なミントの味が鼻を抜けて頭が少し冴える。
そこでふと、おそらく初めてと思われるデートだというのに、まったく緊張している素振りがないことに気づいてしまった。
珍妙な訛りと愛想いい笑みを装備したジゼルは、どこからどう見ても通常運転だ。
服装や化粧も特段いつもと変わった様子もなく、トレードマークとなっている猫耳型のお団子もそのまま。
つまり、異性としてまったく意識されていない。
その結論に至った瞬間、かつてないほどの焦燥感を覚えた。
デートの最中、一応は二人きりの密室の中では、頬を染めて固まってしまう令嬢もいれば、逆にここぞとばかりに色目を使ってくる令嬢もいたが、こんな風に同性の友達感覚で接されたことがない。
エントール王国が誇る大劇場“ギャレット・ホール”に併設されているティーサロンの個室にて。
観劇デートも終盤に差しかかり、あとはお茶をして帰るだけという段階になったのだが――全然手ごたえを感じないどころか、自分のペースが乱されてばかりで、トーマは内心頭を抱えていた。
対面に座るのはジゼル・ハイマン。
落ち着きのある若草色の立て襟のドレスをまとい、公爵令嬢の肩書にふさわしい所作で焼き菓子を口に運んでいるが、その表情は平静を保とうとしつつも、幸せそうに緩んでいる。
(……可愛い)
脳裏をよぎる言葉にはたと我に返り、小さくかぶりを振る。
いやいや、この不貞腐れた猫のような少女のどこが可愛いのか。
義妹のアンの方が容姿だけなら何倍も可愛い。
あちらに自覚はなくとも自分の地位を脅かす存在なので、心まで許すことはできないが、単純に容姿を愛でるならアンの方がいいに決まっている。
自分にそう言い聞かせて心を落ち着けながら、これまでの出来事を振り返る。
盤石とはいえない己の保身のために、見てくれは悪いが身分はピカイチのジゼルに近づいて早三か月。
不自然ともいえるほどの偶然の出会いを繰り返し、陰で「女の趣味が悪い」「後ろ盾狙いバレバレ」と罵られても無視して、彼女に懐いている義妹のアンをダシに交流を持ち、そろそろ次の段階に進んでもいいかとデートに誘った。
とはいえ、 初手でしくじるわけにはいかないと、デートコースを確定するには大いに苦悩した。
公爵令嬢ともなれば並みの贅沢はし尽くしているはずだし、彼女は領地で会社を営み、その関係で市井と交流が深いので、普通の令嬢なら興味を持つ城下の散策も新鮮味がない。
ハイマン家に観劇の趣味がないという情報を仕入れられたのは、ある意味天啓だった。
コーカス家は代々演劇世界への支援が厚い家系で、特にパージェス・アクターズには毎年多額の出資をしている。プレ公演のチケットを手に入れるのも容易かった。
それに食いついたのか、色のいい返事をもらえたまではよかったが……いかんせんオマケが多すぎた。
公爵邸に迎えに行くと、騎士でも苦戦しそうな屈強な護衛やら、トーマに警戒をあらわにする主家に忠実な侍女やらに囲まれ、ニコニコ笑うジゼルがいた。
ガードが固すぎる。
ついでにこの圧の中で平然と笑っていられるジゼルは、かなりの大物だ。ふくよかな体つきと相まって、妙な貫禄がにじみ出ている。
しかも彼女のすぐ脇には、ガーデンパーティーで割り込んで来た使用人こと、令嬢付きの従者テッドも控えている。
ハイマン家の遠縁だというこの青年は、そこいらの貴公子が霞んで見えるほどの美丈夫だ。
外見が優れているというのもあるが、一つ一つの所作に品を感じる上に、身のこなしに隙がない。一定の武術を修めているのだろう。
使用人としてではなく貴族として教育を受けてきたのは明白で、何故令嬢の従者などやっているのか甚だ謎な人物であるが――彼を見ていると、どうにもむかっ腹が立って仕方がない。
自分より見目がいいから嫉妬するのも確かだし、初対面時に小馬鹿にするように見られたことも関係しているだろうが……正直余るほど侍女を連れているのに、仮にも今日はデートだというのに、護衛ならともかく男の使用人を傍に置く意味が分からない。
遠回しに非難したら「旦那様のご指示ですので」としれっとした顔で言われたので、反論することはできなかった。
娘を溺愛する公爵ケネス・ハイマンが付き人を複数つけることくらいは想像していたが、ここまでするとは大人げないのを通り越して、こちらを潰しにかかっているのではと邪推してしまう。
手を出す相手を間違えただろうか?
いや、ケネスとてこのままでは娘が行き遅れになるのは薄々感じているだろうし、ジゼルがこちらに心を傾けてくれれば勝ちだ。溺愛する娘の意向を無視して、政略結婚を断行する人物ではない。
ここで怖気づくわけにはいかないと己を叱咤し、エスコートするために彼女の手を取ったところ……予想外の感触に脳がしびれるような錯覚に陥った。
(なっ……プニプニでモチモチだと!?)
レースの手袋に包まれていたのは、体型によく似たずんぐりした不格好な手ではあったが、柔らかいのにほのかな弾力がある、まるで猫の肉球のようにずっと触っていたくなるような、魔性の感触を持っていた。
天性のものにお付きの侍女たちが日々手入れをし、十数年かけて培った、奇跡の産物である。
大人の自制心によって、本能的ににぎにぎとしたくなる衝動を抑え込むことができたが、あの時一瞬思考が停止したことは一生の不覚だった。
少なからず交際経験はあるし、淑女のエスコートは学園時代から慣れたものだと思っていたトーマだったが、このような体験は初めてである。
しかし、すぐに持ち直して馬車にエスコートし、劇場まで向かった。
さすがにテッドを含めた付き人たちも、他家の馬車に乗り込むほど無礼ではなく、後続の使用人用の馬車に乗り込んだので、運よく車内では二人きりになれた。
ここで距離を縮めておこうと、道中他愛ない世間話をしつつ彼女の様子を窺ったが……こうしてじっくり見てみると、妙に愛嬌がある顔立ちだと気づいた。肥満気味な体型も彼女の朗らかさをより引き立てている。
表面的な美醜に囚われていると見えない、独特の魅力と言うべきなのか。
魅力といえば、先ほど触れた彼女の手もやみつきになりそうな魅力があるが――と、変態な方向に思考がずれていきそうになったので、慌てて小さくかぶりを振った。
「……どないしはったんです? お加減悪いんですか?」
急に黙り込んだトーマを心配してか、ジゼルがずいっと身を乗り出して声をかけてきた。
身長差もあって自然と上目遣いになり……その表情に心臓が大きく飛び跳ねた。
(か、かわ……! いやいや、違う違う! おかしいだろう!?)
打算的な令嬢が好む角度だし、義妹もこうしてよくおねだりしてくるので、すでに見慣れているはずなのだが、ジゼルがやるとまったく別方向の破壊力があった。
ロゼッタをも撃沈させたブサ猫萌えである。
無論、萌えなど知らないトーマは、謎の動悸に困惑するしかない。
色気も美貌もない少女に、ましてや義妹と同じ歳の少女に大人の自分がときめくなど、天地がひっくり返ってもありえない話だ。
ひとつ呼吸を置いて心を落ち着かせ、微苦笑を浮かべてみせる。
「ご、ご心配なく。少し仕事が立て込んでいて、寝不足なだけなので……」
「当主のお仕事は大変なんですねぇ。せやのにウチのためにお時間作ってもろうて、ありがとうございます。まだつかへんやろうし、少し仮眠します?」
「いえ、大丈夫です。これくらいは慣れておりますので」
「そうですか? ああ、せやったらコレや。眠気覚ましにミント味の飴ちゃん、どうぞ」
レースの装飾に紛れた小さなポケットから飴玉を取り出し、ずいっと差し出してくる。
女性側に気を遣われるなど紳士として恥ずべきことだと反省しつつ、受け取らないわけにもいかないのでそのままもらい、封を開けて白味がかった飴玉を口に入れると、清涼なミントの味が鼻を抜けて頭が少し冴える。
そこでふと、おそらく初めてと思われるデートだというのに、まったく緊張している素振りがないことに気づいてしまった。
珍妙な訛りと愛想いい笑みを装備したジゼルは、どこからどう見ても通常運転だ。
服装や化粧も特段いつもと変わった様子もなく、トレードマークとなっている猫耳型のお団子もそのまま。
つまり、異性としてまったく意識されていない。
その結論に至った瞬間、かつてないほどの焦燥感を覚えた。
デートの最中、一応は二人きりの密室の中では、頬を染めて固まってしまう令嬢もいれば、逆にここぞとばかりに色目を使ってくる令嬢もいたが、こんな風に同性の友達感覚で接されたことがない。
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