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4章

疑心

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『あれ、私は・・・』 
 確か、えいまにチェンソーで・・・。
 そう考えて、舞花は自分の負った傷を見た。でも、傷はどこにもない。
 それどころか、乃愛と風真、えいまの姿までもが消えていた。
 痛みから、解放され安堵して、二人を探していた時だ。
 女の人と男の人の、すすり泣く声が聞こえたのは。
『え・・・。あれは___』
 見たことがない人だったが、舞花にはそれが誰だか、なんとなくわかった。
 目元や、背格好がそっくり。それで、わかったのかもしれない。
『あの。今、ニュースでやってる、連続殺人犯の・・・』
 そこまで、言うと二人は、舞花のほうを向いた。悲しげな表情からは、
 寂しさという気持ちが伝わってくる。
『そう・・・。ニュースに映っていた息子を見て、悲しくなってね」
 女の人__えいまのお母さんはそう言った。
 倒れそうになった女の人を、男の人を支える。じゃあ、と舞花は口を開いた。
『えい・・、息子さんに、言わないんですか?そんなこと、しないでって』
 二人は目を開いて、大粒の涙をひとつ流すと、顔を見合わせて言った。
『言えないんだ。俺達は__死んでいるから」
 死んで___いる?
 舞花は、驚いた。まさか、今目の前にいる人が死んでいた人だったなんて。
 が、それと同時に疑心がうまれてきた。
 えいまは、どうして人を殺すようになったのだろうかと。
『その、なんで人を殺しちゃったんですか・・・?」
 おずおずと話した舞花。そんな舞花に、女の人は言葉を選びつつ、喋りだした。
『あの子は・・・、多分なんだけどね、私達がいなくなって、
 情緒不安定になっちゃたんだと思うの』
 私達は、当時の殺人犯に殺されちゃってね。あの子だけでもと思って、
 あの子を逃がしたんだけど・・・。もしかしたら、___。
 女の人の話しを聞いて、舞花はやっぱり、あの時のえいまの動揺って・・・。
 と考えていた。 
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