殺人鬼（サイコパス）との鬼ごっこ

3章

意外なもの

「痛っ！」
　風真が、苦しい声をあげた。
　風真の背中に刺さった、ある意外なものを取っているのだ。
　それは、誰もが知っているであろう＿＿＿。
「なんで、俺の背中にフォークが刺さってるんだよ」
　痛みから少し解放された風真は、怒りをぶちまけた。それもしかたない。
　これがえいまがやったとしても、無差別殺人のようなものだ。無論、風真は
　えいまを怒らせるようなことは、なにもしてないから、同じようなもの。
「もしかしたら、なんだけど・・・、えいまがやったと思うんだ」
　舞花が打ち明けると、風真の目が開いた。
　心のどこかで思っていたが、本当だったとは、知らなかったようだ。
　でも・・・と舞花は思う。こんなことをしている間にも、えいまは私たちのことを
　見ているのではないか、そう感じてしょうがなかった。
「よし。手当て終わり！」
　乃愛がそう言い終わらないうちに、風真は立ち上がり、
　視点が定まらないまま叫んだ。
「えいまっ！いるなら出てこい！！俺は、お前が近くにいること知ってるんだぞ！」
　大きな声が辺りに響き渡る。
　だけど、えいまの気配はもちろん、物音ひとつしない。
　それでも、三人は緊張感をもって、色々な方向を見つめていた。